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蘇生してチート手に入れたのに執事になりました

作者:風林火山
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酸素が入った試験管の中に火のついた線香入れてみるとどうなるっけ?

真の両手から発された多くの光の玉が宏助に当たる、当たる。
避けようと思っても避けきれる量と速度では無い。その場から全力疾走しようにも光のせいで視界が悪い。
淀みなく真の両手から放たれる。既に宏助の右肩は謎の光のせいで全く力が入らない。
光に触れた部分はすぐさま無力化されてしまう。なので打ち落とすことも出来ない。
そもそも物理的干渉が行えるとは思えない謎の光。
やがてその光は宏助の身体に当たりまくり、宏助の身体は無力化された。
がくりとその場に倒れる宏助を例の虚ろな目で見る真は静かに語りかけてくる。
「魂とは、通常、その宿る人間の姿形を取っている。幽霊はそのため、肉体が無くなっても人型をとれる。また、人間には出来ないが、幽霊などにはH自分の魂を思う通りの形に変えられる能力が有る。まぁ、自分の肉体代わりにもなっているのだし当然だな。
つまり、話が逸れたが、人間にはその肉体を形作っている魂と、その核である中心となる魂が胸の部分にある。そして、その肉体を形作る魂は、その肉体を動かす第二の原動力でもある。そのため、普通は肉体に隠れて見ることは極めて困難だ。
その肉体を動かす原動力である魂を「浄化」した。まぁ、見えなくとも、その肉体の部位に必ずあるのだ。「浄化」出来ぬ訳はない・・・・・。
おっと、長話が過ぎたな。そろそろ止めを刺そう。」
ご丁寧に説明をしてくれた彼は、どうやら俺に止めを刺すことを決意したらしい。
宏助はしかし焦る。
魂の話はなんとなく分かったが、結局あの光がなんなのかよく分からない。
そして、今、その光の正体を早急に解かないと、宏助は止めを刺されてしまう。
マズイ奴が近づいてくる・・・・。残り二メートル位か・・・・。全く身体に力が入らない。
「ちょっと待って下さいっツ!」
「・・・・明さんっツ!」
「俺が貴方を気配察知していないとでも?どうやら伊島は気配察知機能まで今は働かないようだが、俺は貴方を気配察知していたのですよ。貴方が伊島の前に立つタイミングを計ってね。これで二人同時に始末できる。」
そういって真は両手を自分の正面で組み合わせる。するとその両手から先程よりかなり大きな光が出始める。しかもまだ膨張している。
「どうしちゃったんですか真!こんなことをする貴方じゃないはずです!」
「俺は最早、貴方を抹殺する対象としか見なしていないのですよ。」
「いいから早くどいてくださいっツ!明さ~ん!」
「どきません!ゼッタイに!」
そういって明は両手をいっぱいに広げて、その光を遮る姿勢になる。
しかし・・・・・
「無謀だな・・・・。浄化法・・・・・「大聖槍」!」
なんと真は攻撃を開始する。真の両手に集まっていた多くの光が段々凝縮され、細長い形へと変化していく。
そして、その・・まるで槍のようになった光は宏助と明に向けて、発射される。
そして、容赦なくその光は・・・・、
宏助の胸と明の胸・・・・・
「・・・んんっツ!」
「ぐはっツ!」
・・・・つまり先程真が説明をしていた人の胸にある魂の「核」を貫く。
「・・・・・チェックメイトだ。」
真の呟きは、耳をやられた今の宏助には・・・届かない。

 「分析班は少しでも早く、弱点を見つけてっつ!戦闘班は二手に分かれてなんとか死神二人を分散して!」
麗は激しく指示を出しまくるが、その当の相手は全く持って余裕の様子だ。
「分散っつたって。そもそも俺はコイツと組みたかねーよ。」
「・・・同意。そもそも我らに弱点など人間相手にあるはずもねぇ。」
「ふん!それもそうだな。お前風に言うと同意、だ。」
そんな余裕の二人だが、既にしゃべりながらも二人の武器からは炎と風が出ずっぱりだ。
麗の指示で多少は離れて、射撃を行っているが、弾丸は炎に溶かされたり、風に飛ばされたりで全く役に立たない。
(まずは・・あの武器をなんとかせねば・・。)
あの武器をなんとかしないと、こちらは三十人いても近づくことすら出来ない。
武器を取り上げても、やっと人外の力所持の超人、というランクに下がるのだから気が遠くなる。
炎と風。炎ならなんとか出来る手段はあるが、風の対処は正直困る。
そもそもひとりひとりの武器を奪ったり無力化するにもあの二人を分散しなければいけない・・・。
「しょうがありませんね・・・。罠・壁(トラップ・ウォール)です!」
「はい、分かりました!」
分析班の一人が、なにやらキーボードに打ち込む。
ドゴゴゴゴゴ
闘技場が二つに割れ、壁が出てくる。
そもそも、死神二人をSPによって分散していたので闘技場から出てきた壁によって完全に分離される。
「お、お。面白い仕掛けだな・・・!」
「・・・・マズイぞ・・・これは。」
有馬は普通にしているが、もうひとりの死神が顔をしかめる。
しかし、そこで・・・、
「いけ・・・っツ!一斉放射っツ!」
『うおおおおおおおおおお!』
「なっつ!水ぅ!」
斧を持つ死神が焦った声を出す。
そう、麗は簡単に考え、水をかければ炎では勝てまいと考えた。
その結果、園芸用の超巨大特注ホースを何本も持ってきて、水の一斉放射を行っているのだ。
当然水があれば、炎は出せまい。そういう考えだ。
更に・・・・
「うっぉおっぉおおお!なんだってんだこれは!」
風を発生させた有馬の周りには砂の竜巻が出来ている。
空気中に砂の粉塵を放っていたのだ。風の発生源に巻き込まれるのは、竜巻と同じ現象だ。
これで、有馬の視界はブロックされている。
しかし、この程度で死神は倒れない。
「水程度・・・・我がそんなものを蒸発できないと思うなよ!」
彼の斧から更に激しい炎が出る。それは放射されていた水を蒸発される。
それでも・・・・
「諦めるなっつ!放射し続けろ!」
『ハイっツ!』
一方、二人目の死神もただでは倒れなさそうだ。
「フン。こんな砂ごときで、俺がやられるかっツ!」
『ううわああああああ!』
砂を逆に放出し始めたのだ。砂が一瞬でこちらの視界を奪う目くらましとなる。
しかし・・・・・
「・・・・・おい、俺のところまで視界が悪いぞ。」
「全く周りが見えん。」
砂を逆に放出したせいで、有馬の視界以外の全体の視界が悪くなる。
「まだ、水は放出されるのか・・・ウザったい。」
「くそっツ!気配感知とは面倒くさい。」
砂のせいで気配感知もままならないため、水攻めの効果にもよって二人は上手く動けない。
「こうなったら・・・一気に風を放出してやるっつ!疾風大乱破!」
「・・・・・・水の放出源を燃やす。・・・・・・灼熱炎壊破!」
どうやら死神二人は大技に出るらしい。
とてつもない量の炎と風が出てくる。
「・・・これを待ってた。全員待避っツ!」
『うおおおお!』
「うん?待避だと?なめてやがるぜ。」
「・・・・・俺らの技避けられるはずが・・・・・なんだあれはっツ!」
「・・・・なっつ!」
二人の死神の驚く様子が聞こえる。しかし、もうフィニッシュだ。
まず、砂と水はフェイク。意味合いは、二人の武器のある程度の無力化。そして、大技を出させるため。
もう一つは、それに混ぜて、放出していたもうひとつのもの、つまり酸素。
まず、二人を分散、更に、砂により視界を悪くし、同時に放出していた酸素で、酸素濃度を高める。
そこを、闘技場を囲う防弾ガラスのフィルターを発動。発砲訓練などでよく使うのだが、それを用いる。
それは空気口を開ければ、空気は入るが、トレーニングのために、酸素の薄いところを実現できるよう、当然気体を閉じ込めることも可能だ。
砂によりその巨大なフィルターの存在を隠し、閉じ込めた酸素濃度の高い気体は彼ら二人の死神の周囲に溜まる。
そこで炎の大技を使えば・・・・
ドカァァン!
「うわぁあああ!」
「・・・・・・なんとっツ!」
酸素濃度の高い気体に引火し、大爆発を引き起こす。当然、麗達SPで、フィルターの中にいるものなどひとりもいない。
砂と水の作戦段階の時点で、既に、SP達は、フィルターが出る外側にいた。
「・・・・・・チェックメイトです。」
麗のその言葉と、真のその言葉が重なったのは、必然なのか・・・はたまた偶然なのか。 
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