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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第一話

 
前書き
なろうから暁に移転しました。
なろうでも思いましたがこれは一応クロス作品でしたので断念しました。 

 




「曹徳、そこの部屋を掃除しときなさい」

「………はい」

 母親の曹嵩に汚物を見るような目で見られながら俺はグチャグチャになった宴会後の部屋を掃除していく。

「……あら? 曹徳はまた掃除なのかしら? よっぽど掃除が好きなのね」

 掃除をしていると貧乳のクルクルドリルが特徴の曹操とお供の夏侯惇と夏侯淵がやってき た。

「……それが仕事なのですよ姉さん」

「あらそう。ならついでに厠も掃除しといて ね」

 曹操は興味なさそうに言い、夏侯惇も先程の曹嵩同様に汚物を見るような目で俺を見て、二人は何処かに行く。

 唯一、夏侯淵は申し訳なさそうに俺に頭を下げて部屋を出た。

「……さて、片付けるか」

 俺は皿などの片付けにかかる。

 そろそろ俺の自己紹介をするか。

 俺の名は曹徳で親は曹嵩、姉は曹操だ。

 え? 頭を打ったて? いやこれが冗談と違うからなマジで。

 前世の俺は高校卒業後は任期制自衛官で、自衛官退職後は知り合いの運送会社で働きながら即応予備自衛官をしていた。(また、自分自身は軍オタでアニオタ)

 そんなある日、仕事が終わって帰宅途中に乗用車にひき逃げをされた。

 そして気がつけば、昔の中国ぽい家にいて姿は赤ん坊だった。

 そして母親が曹嵩と知った時は驚いたな。

 歴史は好きだったから三国志もある程度は 知っていた。(まぁ殆どが横山三国志やけど……)

 でも、もっと驚いたんが姉が真・恋姫の曹操だった事だな。

 ただし、義姉らしい。(歳は曹操と同じ)

 俺も詳しい事は分からんからな。実は俺は捨て子で、曹操が生まれてから曹嵩が家の近くを散策していたら俺を見つけて拾ったとか使用人達が話しているのを盗み聞きして得た情報だから確証は無い。

 曹操は正に天才で、十年の一人の逸材らし い。

 対する俺は、平凡な大学を出た運送会社だったので、知能は普通。

 曹操同様に期待していた曹嵩は俺に落胆し て、教育の全てを曹操に注がせて俺は家の使用人と同様雑用の仕事ばかりさせてきた。

「……こんなもんだな……」

 俺は綺麗にした部屋にふぅと息を吐く。

 さて、部屋に帰って読書するか。

 俺の部屋は厠の近くにある物置に近い部屋 だった。(てか臭い)

「……………」

 俺が読んでいるのは薬草の本だな。

 何でそんな本を読んでいるのかというと、もうすぐこの家を出るからだ。

 このまま家におったら近いうちに俺は死ぬわほんまに。全身痣だらけだしな。

 そのために、野宿する際に食べれるきのみや薬草をこっそりと勉強している。

 え? 盗賊に襲われる?

 まぁそうだろうな。

「そこが問題だよなぁ……」

 俺は眠そうな目を擦る。

 ……悩んでも仕方ないし、厠にでも行くか……ってッ!!

「どわぁッ!?」

 俺は躓いて転けた。

 そして書簡が積まれていた棚から書簡が落ちてきた。

「いつつ……げ、書簡を直さなあかんな」

 ほっといたらまぁた怒られるな。

「……ん?」

 その時、足下に一つの書簡が紐を解かれた状態にあった。

 しかし俺はある文を見て驚いた。

「……日本語……だと?」

 何故かその書簡は日本語で文が書かれていた。

「こんなんあったか?」

 俺は驚きつつも文を読んだ。

「袈裟斬りの斬り方……ってこれは剣術?」

 その書簡には剣術の仕方が書かれていた。

「……まさか過去に日本人がこの世界におったのか?」

 それが事実ならこの書簡が日本語で書かれているのも頷ける。

 取りあえずは読んでみるか。





 結果的に言えばこの書簡は過去にこの中国に来た日本人が残した物だった。

 しかも幕末……戊辰戦争を経験した人物であり、最期は函館で戦死したらしいが気付けばこの恋姫の世界にいたらしい。

 しかもこの他にもある書簡にはある武器や何故か日本酒……濁酒の製造法も書いてあった。

 てかこの武器はよく知っていたよなと思える。

 それに先日、武器庫の片隅に何故かこの時代には無いはずの日本刀があったが恐らくはその日本人が所有していた日本刀なんだろう。

 何故この部屋にあったかは不明だけどな。

 しかも二本もあって、うち一本は何でか知らないが小太刀だ。それに個人的に空手も少しやっていたけど、実践では役に立たない可能性があるけどな。

 路銀もかなり貯めている。

「ま、それより今は勉強だな………」

 それから、勉強と剣術の練習(使用人の一人から剣術指導をしてもらっていた)は遅い時間までやった。







 そして十日後、俺はとうとうこの家を出る事にした。

 正直、曹嵩のイジメには耐えられなかった な。(よく十二年も耐えれてたわ。あ、歳は十九ね)

 皆が寝静まった夜中、俺はこっそりと塀を乗り越えて着地した。

「さて、追っ手が来る前にちゃっちゃと逃げるか」

 一応、旅の商人の恰好はしてるけどな。(それ用の服は買っている)

「……俺を育ててくれてありがとう。じゃあ な、俺をイジメた人達よ」

 俺は生家に御礼を言い、曹嵩達への言葉を 言って夜の闇の中に消えた。

 翌日、曹徳が消えた事を知った曹嵩は「育ててやった恩を忘れおったな曹徳ッ!!」と激昂して見つけ次第打ち首にしろと命令をして曹徳の捜索を開始した。

 しかし、曹徳は一向に見つかる気配はなかった。



―――曹操SIDE―――

「そう……曹徳は見つからないのね。下がっていいわ春蘭」

「は」

 私の言葉に春蘭が下がる。

 私は姓は曹、名は操、字は孟徳よ。

 曹徳が消えてしまったのはかなりの痛手ね。

 義弟である曹徳は昔からよく分からない男 だったわ。

 でも、同時に私は無能の曹徳は化けると思っていた。

 そう直感した私は曹徳をあえて突き放していたわ。

 母様はその事に気づいていない。

「まぁ、果実は熟したら美味しいからね」

 いつかまた会えたら曹徳……貴方は私好みに化けているのかしら?

―――曹操SIDE終了―――





―――夏侯淵SIDE―――

「……曹徳様……」

 私は捜索隊を率いる中、思わず溜め息を吐いた。

 曹徳様の行方が分からなくなって既に三日が経過していた。

 私が初めて曹徳様にお会いしたのは七つの時だった。

 姉者は華琳様に付きっきりだったが、私は何故かよく曹徳様と遊んでいた。

 しかし、曹徳様が華琳様より普通だと知ると途端に私の両親は曹徳様に近づく事を禁じた。

 皆は曹徳様を普通だと言うが私はそうは思わない。

 曹徳様は華琳様とはまた違う逸材だと私は思う。

 曹徳様……ご武運を祈ります。

 曹徳のために夏侯淵は曹徳の武運を祈った。







――曹嵩SIDE――

「おのれ曹徳ゥッ!! 人が育ててやった恩を忘れおったなァッ!!」

ガチャーンッ!!

 曹嵩が酒が入った瓶を壁にぶつける。

 瓶は勿論割れて、酒を床にぶちまける。

「……やはりあの時、曹徳を拾うのではなかったな」

 曹嵩はそう呟いたのを使用人達が聞いていた。

「(よく言うよ……曹徳様を捨てたのは自分なくせに……)」

「(曹操様が頭が良いと知ると勉強を辞めさせて私達と同じ雑用をさせていたのは自分なくせに……)」

 使用人達はヒソヒソと話し合う。

「えぇい気分が収まらんわッ!! 酒だッ!! 酒を持ってこいッ!!」

 屋敷に曹嵩の怒号が響いたのであった。






「さて、何処に行こうかな……」

 確か董卓は涼州にいたはず……。

 それに董卓軍は俺の嫁(笑)の華雄がおったしな。

「よし、涼州に行くか」

 俺は涼州に向かった。



 
 

 
後書き
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