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気まぐれな吹雪

作者:パッセロ
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第一章 平凡な日常
  16、雲と雨に気に入られる。うわ、天気悪っ

やっほー。

毎度お馴染みの屋上だぜ。

やっぱいいよな、風は気持ち良いし昼寝もできるし。

邪魔はされるけどな、雲雀に。

「やあ、また君かい? ここで何してるの?」

「昼寝です」

「許可できないよ」

全く、理不尽な返答だぜ。

「じゃあ、どうすれば許可もらえます?」

「そうだね。僕と戦って勝てたら許可するよ」

「お断りします」

雲雀と戦う?

やなこった。

前回死にかけてんだっつーの。

「それに、そのブレスレットとチョーカー。校内でのアクセサリーの着用は禁じられているはずだよ」

ギクリ。

否定できません、はい。

って待てい!

ブレスレットだったら獄寺だってチャラチャラつけてるじゃねぇかよ!

「その他にも、君のことは前回咬み殺し損ねているしね」

「げ……ってえええぇぇっ!!?!? 強制スタート!?」

有無を言わさずトンファーをもって突っ込んでくる雲雀。

マジ待ってくださいって!

オレの武器まだ出来上がってねぇんだよ!?

いくらケンカ馴れしてるからって素手vsトンファーはガチねぇぜ!?

くそ、こうなったら!

明日からの筋肉痛上等!

I can fly!!!

脚力をアップさせて、地面を思いきり蹴り上げる。

ちょっ、高い高い!

そのまま宙返りをして、雲雀の後ろに着地した。

今度からは加減の練習しよっかなぁ……。

「へぇ、君いいね。僕の攻撃を回避するなんて、咬み殺しがいがありそうだ」

「笑いながら怖いこと言うなよ!」

「無駄口叩いてる暇はないよ」

再び走ってくる雲雀。

マジこいつやべえって!

背後に龍が見えるから!

くっそ、コンタクト映像カモン!

標的(ターゲット)固定、あとはタイミングを合わせて……。

「おらっ」

鳩尾に一発喰らわせる。

バランスを崩すにはこれでいけるはず……。

「ふっ」

笑ってる……。

この人、怖い笑みを浮かべてるよ……。

「君、気に入ったよ。風紀委員に入らない?」

「お断りします」

「言い方を変えるよ。 風紀委員に入れ」

「命令形!?」

ていうか、なんでこんな状況に陥っちゃったわけ!?

もう逃げらんねぇじゃん!?

どうするよオレ!?

「じゃ……じゃあ、条件付きでいいなら」

「何?」

「風紀委員に入る代わりに、武器の所持とアクセの着用許可、あと屋上の使用許可を。あ、めんどいからタメ語の許可も」

「ふぅん、その程度で入ってくれるんだ。いいよ、許可する」

その程度、かよ……。

てっきり、武器の所持とタメ語は断られるかと思ってたぜ。

つーかよぉ、原作キャラには関わらねぇって決めてたのに何やってんだオレ。

あ゙、山本助けた時点で既に……あ゙あ゙……。

そんなことをしているうちに、いつの間にか雲雀はいなくなっていた。

「ハァ……。風紀委員、か……。嫌われポジションだけど、ま、友達とかいねぇしいっか」

ガチャッ

突然、屋上の扉が開いた。

「お、いたいた。よっ霜月」

「山本? 何か用か?」

「この間のお礼と謝罪ってとこだ。お前のおかげで、自殺を踏みとどまれたんだ。ありがとう。
 それと、命を軽く見てすまなかった!」

山本が、深々とオレに頭を下げてきた。

思わず、驚きで瞳孔が開いた。

「いや、オレは思ったことを言っただけで……」

「あの日の後、いろいろ考えてさ。もしかしたら霜月は誰か大切な人を亡くしたんじゃないかって思ったら、ホントに申し訳ないことしたって気づいたんだ」

意外といろいろと当たってるその直感、こえ……。

「だからさ、オレと友達になってくんね?」

…………はい?

オレとお前が友達に?

ていうか、話がぶっ飛んでね?

「周りの奴はみんなオレを特別扱いして、思ったこと口をに出してくれる奴なんていねーんだ。でも、霜月は言ってくれた」

「むう……」

特別扱いねぇ……。

確かに、教室で見てると、周りのやつら、山本に気ぃ遣ってるやつばっかだったな。

そんな奴らがいるから、山本も追い込まれちまったんだろうけど。

「そーだな……。なりたいやつがいたら、何て言ったのはオレの方だしな。いいぜ」

「サンキュ♪」

うわぉ、山本の爽やかスマイルゲットだぜ(サ●シ風に)

「でさ、ケータイ持ってるか? メ アド交換しようぜ」

「あ、ああ」

ズボンのポケットからケータイを取り出す。

スマホじゃねぇよ、ガラケーだよ、文句あんのか。

「赤外線でいいよな?」

「大丈夫だ」

ピッ

こうして、オレの電話帳が初めて1つ埋まった。

それを確認して、またズボンのポケットに突っ込んだ。

同時に、予鈴が鳴り響いた。

「授業始まるな。行こうぜ、()

「っっ!!」

固まる彼に、ニッと笑いかけて、オレは屋上を出た。

せっかく友達になろうって言ってくれたんだ。

これぐらいしてやらねぇとな。

「ありがとな、要」

屋上を出るときに、恥ずかしそうな山本の声が聞こえた気がした。 
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