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チートだと思ったら・・・・・・

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二十話

「よし、作戦は決まった。行くぜ!」

刹那と楓は魔法先生を足止めするべく外へと向かい、残りのメンバーはこっそろ裏口から脱出しネギの救出を試みる。本当ならば従者召喚でいつでも呼び出せる健二が楓に代わるのが理想だったのだが自分はあの二人を足止めするには実力が足りないと進言したためこの布陣になったのだ。
刹那と楓が外に出て行ったのを見計らい、ハルナのアーティファクトで作成した簡易ゴーレムと刹那の札をダミーとして残し残りのメンバーもエヴァ宅を後にする。

「見ろ! 電話BOXだ!」

「ラッキーだ! さっそく調べてくれ!」

それなりに重量があるにもかかわらずわざわざ手に持ってきたノートパソコンを千雨起動し電話BOXとケーブルでつなぐ。彼女が調べる様に依頼されたのは麻帆良大「世界樹をこよなく愛する会」という所詮弱小サークルのHPだ。これは世界樹の魔力の満ちる学園祭帰還中でしか使えないタイムマシン、それを打開するための情報を得るためだ。

「お待ちなさい!」

「あ、アンタ達は!」

だが、突如として現れたのは三人の少女。内二人は全員が見覚えのある顔。麻帆良武道会に出場していた魔法生徒だ。独断なのか指示されたのかは分からないが、ネギパーティを捕えに来たのだろう。

「さぁ、大人しくしてもらいます」

「それはお断りだ」

「なっ!?」

瞬間、四つの銀閃がきらめいた。高音とナツメグと呼ばれる少女は頭に乗せた帽子を。愛衣は髪を両サイドで纏めていたリボンを。その軌跡すら捕えられなかった健二の矢でもって吹き飛ばされていた。

「…………」

「そん、な」

三人は言葉も出ない。勿論、戦闘になる可能性は考慮していたし、その対策として対峙時から高音の黒衣の盾を全員装着していたし念のため自前の障壁も展開していた。しかし、その全てが無駄だった。自動防御を行うはずの黒衣の盾が反応しなかったということは、先の攻撃は高音の魔法レベルを遥かに超えているということだ。そして、どちらかと言えば純粋魔法タイプである三人には黒衣の盾が反応できぬ攻撃に対応することはできない。たった一撃……たった一撃の攻撃で彼女達の決意は砕かれてしまったのだ。

「くっ! まだです! まだ終わってなど!」

それは年長者としての意地だったのか。高音は唯一膝を屈さず目の前の健二を見据えた。

「明日菜。やれ」

しばし高音を見返していた健二だったが、高音の目に宿る力に心を折る事を不可能、もしくは徒労だと感じたのか。黒衣の盾を容易く破ることの出来る明日菜に後を任せ視線を外した。

「宮崎さん、アーティファクトを」

高音も明日菜の手により無力化され、黒衣の盾を解除された三人はハルナによって作られた簡易ゴーレムで手を縛られ拘束されている。マヌケな話だが、黒衣の盾が解除された三人は武道会の高音のように全裸になってしまったため一人男性の健二は顔をそむけて離れた場所で立っている。

「情報も手に入ったし、後は兄貴を救出するだけだな」

「しかし本当に大丈夫なのか? 正直、これは賭け以外のなにもんでもねーぞ? それに……」

「? まぁ賭けってことには否定しねぇがこれ以外方法がねぇのも確かだからな。そいじゃ、さっさと行くぜ」



手に入れた情報を手にネギパーティは囚われのネギの救出へと向かう。得た情報によればネギがいるのは地下。そして、麻帆良内にある魔法使いの拠点の一部だ。恐らく、警備の者が何人もいるだろう。突入前にパーティは最後の小休憩を挟み、そして作戦を開始した。

(来た。数は二人だ)

(分かったわ)

(任せるアル)

現在、健二・明日菜・古菲の三人は建物の天井に張り付いていた。ネギ奪還へと動き出したのはいいものの、まずは建物中央の広場にある地下への入口へと辿り着かなければならない。そのため、健二のセンリガンの透視能力を使い警備の姿を捕え、明日菜のハマノツルギで障壁を破壊し古菲が意識を奪う。と言うやり取りを繰り返しながら少しずつ進んでいるのだ。

「もしもし」

二人の内肌の黒い方の携帯がなり、意識がそちらへと向けられたその時。

(今だ!)

明日菜と古菲が天井より降下。障壁破壊、意識を奪うと言うここまで来るのに数回こなした作業を同じようにこなして二人の魔法先生の意識を奪う。

「あれ、片方は瀬流彦先生だったのね」

「気付かなかったアルな」

「どうした、先に進むぞ」

地面に横たわり目を回す馴染みの教師を何となく申し訳なさそうな目で見る二人の横に健二が降り立ち進む事を促す。二人は心の中で瀬流彦に詫びをいれ、駆けだした。



「えーっと、本気?」

「こんな状況で冗談なぞ言わん」

一行は魔法的な警備システムをかい潜る最良の道として、古い螺旋階段へと辿り着いていた。ただ、付け加えるのならば……深い。底も見えぬほどべらぼうに深い階段だと言うことだ。
時間とも戦わなければならないこの状況、はっきり言ってここで時間を取られるのは非常に痛い。戦闘派である健二等三人はともかく残りの非戦闘員五人は大きく時間がかかるだろう。その解決案として健二はある提案をした。

「だからって、ここを飛びおりるって言うのか!?」

とびおりるって言うのか、言うのか、言うのかー、と千雨の声が木霊する。健二の提案は彼女の言うとおり、この階段を飛びおりると言うものだ。勿論、非戦闘員は健二達が抱えてだ。それに真っ向から反対したのが千雨だ。いくら魔法使い達がとんでもパワーを持っているとはいえ自分がこの高さから飛び降りると言う事態が彼女にとって受け居られなかったのだろう。

「あいにくと、そうこう言っている時間はない」

「ちょ、おまっ! やめっ! やめろぉ!!」

ジタバタと抵坑する千雨を力ずくで肩に抱え、健二は一足先に飛び降りる。残されたメンツはそろって顔を見合わせた後、急いで二人の後を追った。



「はぁ、はぁ、はぁ」

千雨が荒い息をつく。高所からの長時間に及ぶ落下。それは存外に彼女の体力を奪っていたらしい。最も、彼女が体力を消費した原因は何時までも健二の肩の上で暴れていたからなのだが。

「っと」

「到着アル」

やや遅れて、明日菜と古菲が残りのメンバーを抱えて降り立った。ここまで来ればネギが捕えられている場所はもう目前。皆は顔を見合わせ小さく頷くと、その場を勢いよく駆けだそうとした。だが、その出鼻を挫くかのようにして道の先、トンネルとなって先の見通せないそこから一つの小さな影が姿を現した。

「ちょっと……」

「あ、あはは……」

その影は小さい。確かに、小さい。数えで10歳のネギなんかよりよっぽどだ。だが、その影が、大きな三つ首の魔獣の背にのっていたとしたら、どうだろう。彼女達の様に、思わず足を止めて引き攣った笑みを浮かべてしまうのも、無理は無いだろう。



「さて、どうしたものかな」

原作を知っている健二にとってこれはただの児戯にすぎない。ならば、さっさとこの幻覚を止めさせろとも思うのだが自分が全てを片付けてしまっていいのかという思いも彼の中にはあった。現状では時間が押しているということもあって前面にたってきたがやり過ぎていいものかとも思ってしまうのだ。

「とりあえずは」

健二のために用意されたのか、原作にはいなかった岩の巨人が彼の目の前を塞いでいる。これまで動きは無かったが、ついに痺れを切らしたのかその大きな拳を頭上へと振りかぶった。

「このゴミをかたずけるか」



「ん?」

健二がゲイ・ジャルクを石の巨人に突き刺すと同時に、幻覚空間が解けた。もしや、手に持つ破魔の槍の効果が及んでしまったのかと健二は冷や汗をかいたが綾瀬夕映が幻覚であったと暴いて他の者に説明している当たり、健二が直接の原因ではないようだ。

「そろそろ行くぞ」

幻覚についての説明もそこそこに、健二達は再び足を進め始めた。幻覚を使っていた少女は少し前に奥へと駆けて行ってしまった。と言うよりは、明日菜や古菲がもの凄い勢いで詰め寄ったため逃げて行ったのだが。なんにせよ、あの少女が邪魔することはもうないだろう。

「ム!」

最初に気付いたのは、この中で最も高い実力を誇る古菲。そして続き健二、明日菜が進む先に待ちうける人物に気付く。タカミチ・T・高畑。そして、先の少女が抱きついていることから少女の父親だと思われる魔法先生だ。
健二を除くパーティの全員が素早く身構え、訪れるかもしれない本物のタカミチとの戦闘に備える。正直なところ、誰もがタカミチに勝てるとは思っていなかった。しかし、それでも引けぬという覚悟が、全員の瞳に宿っていた。

「………………」

それをジッと見つめていたタカミチは一つ息を吐くと小さく言った。

「行きなさい」

「へ?」

何をされるまでもなく通行する事を許可された事に思わず面々は気の抜けた声を漏らす。だが、そんなことを気にしていないかのようにタカミチは言葉を続ける。

「立場上表立った協力派出来ない。けど、10分ほど居眠りをしてしまうことはあるかな。寝ていないしね」

ようやく頭の理解が追いついた彼女達は顔に満面の笑みを浮かべ、タカミチに感謝の言葉をかけながらその脇を抜けていく。そして、最後の三人千雨、明日菜、健二が順に抜けていく。千雨は小さく礼をして、そしで明日菜はがんばってと小さなエールを貰い、そして健二は……

「貴方は、気付いているんじゃないのか? 俺達が過去に戻った所で、貴方達は救えないと……」

足を止めて、そんな事を問うていた。

「そう、だろうね」

やはり、と健二は眉をしかめた。元々、この質問をしたのもタカミチがそのことに気づいてるのではないかと言う懸念があったからだ。何故そう思ったかなど分からない。ただ何となく、そんな気がして尋ねた。何故、自分は救われないのに何も言わず、俺達を送り出すことができるのか。それが気になって。

「これから世界は混乱の一途をたどる。超君は上手くやると言っていたが、それは絶対に避けられない。出来る事なら、未来を担う君達にはこんな大変な世界では無く、今まで通りの世界を歩んで欲しい」

健二の疑問を何となく悟ったのか。タカミチは先んじて言葉を紡ぐ。そこに込められた想いは、大人が子供に願う想い。

「ありがとう、ございます」

「明日菜君を、頼んだよ」

たった一人しかいない”この”世界のタカミチの頼みを胸に、健二は一度深く頭を下げ、その場を後にした。千雨と明日菜がその話を聞いてしまっていた事に、気付くことなく。





「ネギ先生!」

「み、皆さーん!」

タカミチと分かれてしばらく。道なりに真っすぐ進んでいくと、開けた場所で見慣れた大きさの影が此方に向かって来ているのを全員が目に捕えた。それがネギだと確信してからは全員が走る速度を速め、そして久方ぶりの再開を喜んだ。



時が経ち、ネギを新たに迎えた一行は世界樹の根が張り巡らされた通路を奥へ奥へと進んでいた。理由は簡単、本来学際中しか扱えぬはずのタイムマシン、カシオペアを使用するためだ。なぜ、扱えぬはずのタイムマシンが世界樹の根っこの中心部に向かえば使えるようになるのか。それは、先に千雨が調べた世界樹をこよなく愛する会のHPより得た情報に起因する。

「つまり、ここ60年のデータを元に考えりゃ、学際から一週間の今でも魔力が残ってる可能性があるってわけだ!」

「それなら、カシオペアが使えるかもしれないんだね!」

「ああ! ただし可能性は五分五分。その可能性を少しでも上げるために中心部へGO! ってわけだぜ」

ネギへ説明している間も足を止めず走り続ける。今この時にも世界樹の魔力は消滅してしまっているかもしれない。そう考えると、足を止めることなど到底できなかった。

「……どうやら、賭けには勝ったようだぞ」

「何だって!?」

健二が指さす一角から先の根には、確かに魔力の光を宿している。

「兄貴!」

「う、うん」

ネギがすかさず懐からカシオペアを取り出し確認する。すると、チッ、チッ、と弱弱しくはあるがカシオペアは確かに起動していた。

「いよぉっしゃぁー!! 後は少しでも魔力が多く残っている中心部へ行くだけだぜ」

「そうと決まれば早く行こう!」

自分たちではどうしようもできない賭けの部分が解決したことで、疲れていたはずの面々も足取りが軽くなる。最後尾を走っていた健二は人知れず速度を落とし、一団と距離をあける。そして、完全に足を止め、後ろを振り返る。

「グウゥウゥ」

そこにいたのは二つ足に大きな翼を持つドラゴン。確か、原作ではアルビレオ・イマの居城へと続く扉の守護をしていた竜……だったはずだ。

「あいにくと、彼女達の心労を増やしたくないのでね。悪いが……」

健二の手に現れるシンプルな衣装の西洋剣。だが、その剣が現れた途端、竜が目に見えて分かる程に震え始める。これは、恐怖による震えだ。

「ここで散ってくれ」

――――グラム!!

最高クラスの竜殺しの魔剣は、目の前の竜を容易く葬り去った。それを見届けると、健二は大分距離が開いてしまった皆を追いかけるべく、走り出した。



「あ、健二さん! どうしたんですか? 心配したんですよ」

丁度世界樹の真下に位置する場所。そこは特別な空間なのか、今まで通ってきた通路とは一線を画す雰囲気に満ち溢れていた。その中央に、遅れてきた健二を待つネギ達の姿があった。木乃香の傍には刹那が控えており、後は楓を待つだけの状態だ。

「楓さんもそろそろ着くと思うんですが……」

「待たせたでござるな」

まさにグッドタイミングと言う奴だろう。健二がパーティの輪に加わると同時に、どこからか現れた楓もが加わった。これで、ネギ・パーティは完全状態。後は、過去に戻り超を止めるだけだ。

「それじゃあ、早速カシオペアを……」

「ちょっと待ってくれ」

懐からカシオペアを取り出しカリカリと一週間前へ飛ぶべく設定を始めたネギを千雨がとめた。

「宮内、だったな。どうしても、あんたに聞きたい事がある」

「聞きたい事?」

健二には一切心当たりがないのだろう。それも、殆ど初対面の様な千雨が相手であればなおさらだ。

「アンタが高畑先生に言ってたあの言葉……私達が過去に戻っても貴方達は救われないってのは、どういう意味なんだ?」

「!?」

まさか、聞かれていたのか。そう健二は心の中で漏らした。だが、冷静に考えてみれば碌に対策もとらず話していたと思い至り、自分のうかつさに腹がたった。

「どういう、ことですか……? 過去に戻っても、救えないって」

全員が健二を見つめている。当然だろう。ここにいる皆は過去に戻って超を止め、歴史を変えるつもりなのだ。だが、それは救いにならないというのだという。そんなことが、認められるわけがない。

「ごまかしはなしだぜ。アンタはエヴァンジェリンの別荘でも、救えないと口にしていた。ちゃんと、説明してもらおうか」

「……健二」

ビクリ、と健二の体が大きく震える。まさか、いや、そんな……と健二の中がそういった言葉で埋め尽くされる。だが、それが意味の無い事だと言うのも分かっている。

「おねがい」

だって彼女は、タカミチと話していた時千雨より近くにいたのだ。そんな彼女が……

「あの言葉の意味を、ちゃんと教えて?」

自分を想う少年と、自分が想う男性の会話を聞いていないはずがないのだ。





「……仮に、だ」

数分の時間を置いて、ようやく健二が重たい口を開ける。今から話す内容、これは気にしない人は全く気にしないだろうが、気にする人はとことん気にしてしまうだろう。特に、失敗したとはいえ想い人に告白した明日菜には酷かもしれない。

「過去に戻り、超を止める。それが成功したとしよう。だが、それが今ここにいる人達の救いになるのか?」

「そりゃ、過去に戻るんだから……」

「ああ、そうだ。過去に戻る”私達”はな」

今の健二の発言に千雨とハルナが僅かではあるが反応する。この二人は漫画などに通じているため、どこか引っかかりを覚えたのだろう。

「私達は過去に戻れる。だが、それ以外の人達は?」

「それは、どういう……」

「私達が過去に戻って超を止めたら、ここにいる超の計画が成功した世界の人たちはどうなる」

全員が、健二の言いたい事を何となく悟ることができた。自分達は過去に戻り、新たな歴史を辿るだろう。だが、既に済んでしまっているこの世界は?

「消滅するのか、俺達を欠いた状態で時が流れ続けるのか……どちらにせよ、今この時を生きる人々は救われない」

「そん、な」

「例えるなら、時間とは一本の道だとしよう。本来、人は自分が生まれた時に乗っていた道の上しか進めない。そして、それは一方通行だ。だが、タイムマシンがあるならば話は変わってくる。これを使えば、本来戻れぬはずの道を戻る事が出来るんだ」

一同の顔に暗い影が刺す中、健二の話は続いていく。

「だが、道を戻った所で今まで進んでいた道がなくなったわけじゃない。当たり前だ。その道は自分だけではなく、世界中の人が一緒に乗っている道なんだから。あくまで、戻ったのは自分だけ。そして、時を遡った異分子がいる世界が、同様の道を紡ぐはずがない。ならばどうなるのか……答えは簡単。生まれるんだよ新たな道が。何もかもが元を同じくするけど、過去を遡った人物がいるという世界がな」

「おい、それって」

「平行世界……パラレルワールド」

やはりその単語に行きついたのは千雨とハルナ。他にも数名がその単語を聞きイメージを確たるものとした。

「そうだな、過去に戻るという行為は似ているけど決定的に違う世界を生み出すってことなんだ」

いきなり平行世界だの、パラレルワードだの言われ納得できるものなのか……そう健二は微かに思ったが、その心配は杞憂だったようだ。こうも暗く沈んだ顔を見せられれば、健二の言葉が大きく影響を与えていると察せずにはいられない。

「だから、言いたくなかった。言ってしまえば、決意が鈍る。過去に戻るってことは、今この時点まで共にすごしてきた人たちと永遠に分かれると言うことなのだから」

そう、過去に戻ればその時点で全てが元を同じとするが別のモノへと変貌する。共に遊んだことも、ケンカしたことも、同じ記憶を持っていようとやはり別のモノなのだ。

「……時間がない。全てに別れを告げ、超を止めに行くのか。それとも、残るのか……決めてくれ」

中心へと向かって失せてくる魔力の光を目に止めながら、健二は宣告を下した。





皆は結論を下した。過去に戻り、超を止めることを。元より、何名かは既にタイムマシンを使ってしまっているのだ。これは、当然の結論だったのかもしれない。
だが、皆の心に大きな傷を残したことだけは確かだった。 
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