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中二病が主人公になったら?

作者:アガセ
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第11話

サスケとの一戦以降、サスケはナルトに勝負を仕掛けなくなった。
その代わり、1人校庭でトレーニングしている姿を見かけることが多くなったそうだ。
そして、アレ以降クラスでのサスケの評価はさらに上がった。
一方、ナルトはヒール扱いから普通より少し下の扱いまで上がるという地位の飛躍(?)を果たし、虐められる回数も少し減ったようだ。

さて、そんなナルトは今、何をしているのかというと・・・

「HA☆HA☆HAァ!全速前進DA!」

・・・山の中を走っていた。

事の発端は、数時間程前・・・
キバはクラスの男子を数人引き連れて近場の山まで来ていた。

「いつも通り、山の頂上に一番乗りした奴がコイツを総取りだ。」

目の前には多種多様のお菓子が山積みされている。
どうやら、これらを賭けて競争するようだ。

「ワン!ワンワンッ!」
「任せとけ、赤丸。お前にも分けてやるからよ。」
「なーに言ってんだ?オレが勝つからな!」
「いーや、オレがお菓子をいただく!」

キバとその他諸々は競争前にも関わらず、既に火花を散らしている。

「チョウジ、ホントにやんのか?
どうせキバの勝ちだぜ?」

一緒に来ていたシカマルは少々呆れた顔をしてチョウジに問いかける。

「大丈夫。ボクは食べ物が賭かると負けないからね。」

何処から湧いてくるのか分からんが、チョウジは自信満々にニッと笑って答える。

「シカマル!」
「うん?」
「やんねーならタイム計ってくれよっ!」

キバはシカマルにストップウォッチを投げ渡す。

「チッ、めんどくせーなぁ・・・」

シカマルは少々眉をしかめながら、それを受け取る。

「ちょっと待ったぁー!」

突然聞こえた大きな声にみんな反応し、その出所に視線を集める。

「その勝負、オレが受けて立ってやるってばよ!」

そこには、大きな木の枝の上で仁王立ちしているナルトがいた。
ナルトは気合を入れてそこから飛び降り、皆の下へ駆け寄る。

「ハァ?お前じゃ相手になんねぇよ。」
「帰れ!帰れ!」
「ナルトじゃカモになるだけだ!」

モブたちはナルトじゃ勝負にならないから競争を楽しめないと言わんばかりに口々に言うが、

「だったら、貰えるお菓子が増えるね♪」

というチョウジの発言に、みんなはハッとする。
その顔を見て、"その通りだろう?"というような顔でチョウジとナルトは満面の笑みを浮かべる。

「そうだなぁ。お菓子さえ出せば誰でも入れてやるよ。」
「もちろん!持って来たってばよ!」

そう言い、背中に隠し持っていた袋をグイッと前に出す。
ナルトが持つその袋からは、何やら香ばしい香りが漂っている。

「オレが賭けるのはコイツだ!
渾身の最新作、バター醤油味のポテチだ!
木の葉ではまだ開発されていないポテチの味、いわゆる"未知の領域"ってヤツだが、味はオレが保証するぜ!」

皆から「オォー!」と声が上がる。
その中の数人からお腹の鳴る音が聞こえ出す。
どうやら、ここにはバター醤油ご飯の味が好きな人しかいないようだ。
そして、シカマルの傍からSLの汽笛のような音が聞こえ出した。

「絶対、ボクが食べるもんね!」

そこには目をクワッと見開き、蒸気が見えそうなくらいに鼻息を荒くしたチョウジがいた。
どうやら、"お腹を空かせたブタ"ではなく、"飢えたイノシシ"と化したようだ。

ナルトは自分の持って来た袋を目の前のお菓子の山に置き、そして、その山を改めて見て感心する。

「これだけの量が集まったのか・・・こりゃあ、食い切れねぇな♪」
「なに勝つ気でいるんだよ!」
「おめぇはドベ決定だ!」

ナルトの言葉にモブたちが口答えしている間に、シカマルがお菓子をまとめ、風呂敷で包んで肩に担いだ。

「んじゃ、オレは先にゴールへ行って合図だしてやっからよ。」
「ああ。」
「一番はオレだってばよ!」

シカマルが頂上に向かっている間に、キバが木の棒を使ってスタートラインを引き、皆はそこに横一列に並ぶ。
同じく並んでいる赤丸は唸り声を上げている。
どうやら、気合十分のようだ。

「そろそろだな・・・。」

ゴールの方を見てキバは呟く。
より一層真剣な顔付きに変わる。

「いつでも来いってばよ!」

ナルトも気合を入れてスタートの構えを取る。

そして、山の頂上から「ヒュゥゥゥ・・・」と花火が空高く上がり、天辺で「パァン!」と弾けた。
それと同時に皆は一斉にスタートを切った。

先頭を走るは、キバと赤丸。
どうやら彼らは先行策のようだ。
続いて、それをモブたちが追う形。
最高峰から2番目の位置にナルトは陣取っており、最後方にはチョウジが追走している。
どうやら彼らは終盤に追い込むつもりだ。

さて、序盤のなだらかな坂を登り、森の中に突入。
ここで最初の関門、"泥土"だ。
腐葉土のモコモコした感触が脚力を奪っていくのが特徴だ。
先頭を行くキバと赤丸は難なく突破。
続くモブも次々とそれを乗り越えて行く。
おおっと!ここでモブの1人が急激にペースダウン!
ここで体力が尽きてしまったのか?何とも早い脱落だ!
一方、後方を走るナルトとチョウジは難なく突破した。

さて、第2の関門、"丈の長い芝生"だ。
足をいつもより高く上げていかないと草に足を取られてしまう上に、濡れていて滑りやすい厄介な所だ。
さあ、依然先頭をひた走るキバと赤丸は・・・おっと、木の上を飛び移って進んでいる。
どうやら、ここも難なくクリアしそうだ。
続くモブたちは・・・どうやらダメなようだ。
キバの真似をして木の上に登ろうとしたがそれは出来ず、仕方なく下を走るも草に足をとられて失速。
何とかここから抜け出そうとしているが、力が入らないのか中々それが出来ずにいる。
どうやら乳酸地獄に陥っているようだ。
さあ、後方に位置していた2人は・・・なんと、ツタを掴んで進んで行っている!
ターザンのように軽快に宙を舞っているかのようだ!
ああーっと!ここで2人のツタが切れてしまった!
これは大失速してしまうのか・・・?
・・・いや、どうやら第2の関門は抜け出した後のようなので大丈夫なようだ。

さあ、ここまでのタイムはおよそ2分弱といったところか。
どうやら、キバ&赤丸とナルト&チョウジとの差は最初の10馬身差から4馬身差まで縮まってきているようだ。あれ?いつから競馬実況になったんだ?ww

さて、最後の直線だ。
ナルトたちからは既に目で捉えられる位置にキバたちの姿がある。
ここで、ナルトはペースを上げる。
おや、これはどうしたことだ?
チョウジのペースが上がらない。
どんどんナルトから引き離されて行っているぞ?

ここで、ナルトはギアをもう1段階上げたようだ。
おおっと、これは早い!キバたちとの差がグングンと縮まって来ている!
おっと、自身の危機に気付いたようだ。
キバたちもラストスパートを切った!
しかし、それでもナルトはさらに差を縮めて来ている!
さあ、ついに肩が並んだ!
互いに体をぶつけ合い、「我先に、我先に!」と進もうとしています!
さあ、ゴールはもう目前だ!
さあ、勝つのはキバたちか?それとも、ナルトか?

・・・・・・おおっと!?
な、ななっ、何ということだぁ!?
金髪男、ゴール前の大木に激突してしまった!
これは痛恨の凡ミス!ただの前方不注意だ!
何たるミスを犯してしまったんだ、この男は!

ああっと、ここでゴールイン!
1着はキバ&赤丸だぁ!
そして、少し遅れてチョウジがゴール!
その後、続々とモブたちがゴールしていっております。
しかし、あの男、"金色のちゃっかしマン"がいません!
どうしたのでしょうか・・・?
おおっと、ここで"ちゃっかしマン"鼻血を出しながらのゴールイン!
ビリです!ドベです!何という情けない結末!
あれだけ自信満々な発言をしていた本人のメンツは丸潰れだ!

以上、スイーツドリーム杯の実況中継(?)でした。

・・・さて、世界観とか色々と元に戻そう、うん。

「さあ、タイムは?」

とキバがゴールにいたシカマルに問いかけると、シカマルは左手に持っていたストップウォッチをキバに投げ渡した。

「おおっ!新記録だぜ!」

タイマーを見たキバは自分の立てた記録に大喜びし、仲間に向かってガッツポーズする。
そして、自分の樹立した記録を意気揚々とゴール地点の木にクナイで削り書いていく。

「くそぉ!またキバの勝ちだよ。」
「でも、あのバカには勝ったけどな。」

モブたちは、鼻血を出して情けない顔をしているナルトを見てケラケラと笑っている。
そう言われて、ナルトは後ろを向いて自分の顔をモブたちに見せないようにし、そして悔しそうにワナワナと震えている。
一方、キバは賞品のお菓子をモグモグと頬張っていた。
赤丸も幸せそうな顔をして食べている。

「ボクのお菓子ぃ・・・」

チョウジはそんな2人の様子を、指を咥えながら見て呟いた。

「よしっ!もっかい!
もう一回勝負だってばよ!」

ナルトがキバを指さして宣戦布告する。
どうやら、あれで負けたのが相当悔しかったらしい。

「バーカ!オレのタイム超えてから言えってぇーの!」

キバは、アハハハ、と高らかに笑いながら、お菓子の沢山入った風呂敷を担いで悠々と去って行った。

それからナルトは、最近練習してやっと出来るようになった"土遁・加重岩の術"で自分がいま身につけている重りをあえてさらに重くして、キバのレコードを塗り替えるまで毎日タイムアタックを続けたそうだ。 
 

 
後書き
疾風伝の240話に出てくる回想シーンでは、チョウジはビリorビリから2番目なんですけどねww
まあ此処は、アニメの時のチョウジと心構えが違ったという事でそこは大目に見て欲しいですww 
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