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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~

作者:biwanosin
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短編 あるお盆の物語 ⑥

「これは・・・確認しなくても分かるな。霊獣クラスが出現してる。」

一輝はかつて白澤と戦ったときのような、強者の出現を感じ取り、三人に聞こえるように言う。

「一輝、それは間違いないのか?」
「間違いないね。一回でもあのクラスのやつと一対一で戦ったことがあるやつなら、近くに出現したことに気付く。」
「それは、私達には分からない感覚だねぇ~。じゃあ、今回のボスはそいつ?」
「近くにって・・・運が悪い、です・・・」

一輝の感覚の分からない三人は、半信半疑ながらも起こっているとして話を進める。

「まあ、一応連絡をしてからかな・・・おい、光也。」
『これはどうも、寺西さん。どうかしましたか?』

一輝は光也へと電話を繋ぎ、現状を簡単に説明する。

『今回はそちらのあたりに出現しましたか・・・あ、スイマセン。ほかの二部隊からも連絡が入ったので、少々お待ちを。』
「了解。できる限り早くな。」

霊獣が出現したため他の部隊より優先すべきではあるが、現状把握くらいはしておいたほうがいい。
そちらでなにか、もっと重大なことが起こっている可能性もあるのだ。

「とりあえず、霊獣が出現した辺りに向かおう。監視くらいはできるようにしておきたい。」
「「「了解。」」」

一輝は光也が再び電話に出るまでの間、時間を無駄にしないためにも行動を始める。

『あ、寺西さんですか?ちょっと予想外の事態になっていますよ。』
「は?予想外?」

一輝は光也に聞き返す。
霊獣が出現したこと以上の事態が思いつかなかったのだ。

『信じがたい話なのですが・・・夜刀神さん、犬神さんのところでも霊獣が出現。夜刀神さんのところではただの陰陽師が立ち向かおうとしているそうです。』
「そいつら、バカだろ。それか自殺志願者?」

一輝は思ったことをそのまま口にした。
霊獣に立ち向かった自分が言えたことではないが、幼いころから立ち向かうな、と教育されているはずだからだ。

『それが・・・卵に殺せて、自分達に殺せないはずがない。そんなやつが『席組み』にいるべきではない、追い出してやる、と言っているそうです。』
「はあ・・・明日にでも、そいつら俺のところに連れて来い。一度戦って、実力の差を思い知らしてやる。」

まあ、卵はまだ見習い、奥義を習得したものだけが一人前である、と言うのが陰陽師の中の常識。卵にできることは陰陽師にできて当たり前、と思っているものもかなりの数なのだ。

《まあ、席組みに入ったときも、色々面倒だったからな・・・》

一輝はそのときのことを思い出しながら、話を続ける。

「じゃあ、こっちに顕現したやつはこっちで対処したほうが?」
『そうなりますね。一応、顕現したのが何なのか、だけ教えてください。』
「了解。もう面倒だから交戦することにする。三人も、それでいいか?」

一輝は部隊にいる残りの三人に確認を取る。

「去年よりは少ない人数での戦いだが・・・」
「きっと、なんとかなる・・・よね?」
「心配ですけど・・・頑張り、ます。」
「ああ、お前たちなら俺がいなくても大丈夫だよ。じゃあ、行こう。」

三人が頷くのを確認し、一輝は一気に目的地まで水に乗って飛ぶ。
もちろん、残りの三人も乗せて、だ。

「確かこのあたりのはず・・・おわ!?」
「え?」
「水が消えたな。」
「冷静になってる場合じゃなーい!!」

大体目的地の辺りにつくと、一輝たちは攻撃され、水が消滅。そのまま落下していく。

「まずは安全確保!!」

が、一輝はいたって冷静に、他の三人を回収しながら空気抵抗を操って落下速度を緩め、安全に着地する。
回収方法としては、まず美羽を右腕で抱え、次に匁を左腕で抱え、最後に殺女を自分の背中に抱きつかせる、と言った形だ。

「ほう・・・陰陽師として覚醒もしていないのに、よく動く。それに、なにやら面妖な術も使っておるな。」
「そりゃどうも。アンタは、いったい何もんだ?」

一輝は三人を下ろしながら、自分達を攻撃してきた霊獣クラスの妖怪に話しかける。
その姿は青白い、病人のような肌を持ち、高貴な着物を着ている。
日本の妖怪について、少し詳し目の知識を持っていればその正体の予想はつく。

「ただの平民が我に名を尋ねるのであれば、せめて自らの名を名乗ってはどうだ?」
「そいつは失礼。確かに、上皇ともあろうお方に失礼だったな。俺は寺西一輝。家の名すら失った、なっさけ無い半端もんだ。」

一輝はふざけた口調でそう返す。

「匂宮美羽。今の匂宮家の頭首見習い・・・です。」
「九頭原匁。現九頭原家頭首。」
「土御門殺女。ただの陰陽師~。」

残りの三人も、簡単に名を名乗る。

「なるほど・・・中々に素質の高いものたちだ。では、我も名を名乗ろう!我が名は崇徳!第七十五代天皇にして、日ノ本の三大悪妖怪の一角である!」
「だそうだよ?聞こえたか?」
『はい、確かに聞きました。崇徳上皇とは、こちらもかなりのビックネームになりましたね~。』

光也はそうお気楽な口調で言うと、急に口調を変えて一輝にある事態を伝える。

『でも、そのレベルならよかったです。まだ、匂宮さんたち三人で対処できますから。』
「その言い方・・・まるで、俺がこの場を離れないといけないみたいな言い方だな?」
『まあ、その通りですからね。』

一輝は光也のその返しに、一気に冷静になりながら相手の攻撃を裁きつつ話を続ける。

「何かやばい事でも起こったか?」
『ええ、ここまでのことは過去の記録をあさってもありません。なんせ、三体の霊獣と、一柱の神が、ほぼ同時に出現したんですから。』
「・・・・・・・・・は!?」

一輝は光也の言っていることが理解できなかった。
まあ、当然のことであろう。ここまで重なるなんて、運がなさ過ぎる。

「それは、マジでいってるのか?」
「一輝、いつまで話している!」
「もう向こうは攻撃を始めてるよ!」
「はやく・・・手伝ってください・・・!」

他の三人がそう言うが、一輝の耳には一切入っていない。

『大マジですよ。今回顕現した霊獣のうちの一体が、神使だったので、それに影響されて封印が解けたと思われます。』
「その流れか・・・今回の打ち上げ、容赦なく楽しむからそのつもりでいろよ?」

一輝はそういって、電話を切ると式神を崇徳上皇に向かわせて、時間を稼ぎ三人と話す時間を作る。

「カズ君、呑気に話してる時間はないよ?」
「分かってるよ。ただ、ちょっと緊急事態なんだ。」
「緊急事態?霊獣出現以上のか?」
「ああ。何とビックリ、ここのほかにも二箇所で霊獣が顕現し、さらには神様まで顕現した。」
「「「・・・はい!?」」」

一輝は三人が予想通りの反応をしたことに満足しつつ、話を続ける。

「って訳で、俺はその神様のほうに向かう。こっちは任せていいか?」
「それなら、仕方ないですけど・・・神様相手に、大丈夫ですか?」
「大丈夫だろ。光也の口ぶりからすると、他の霊獣殺しも来るみたいだし。」
「じゃあ、そっちは大丈夫かもね・・・うん、こっちも頑張ってみるよ!」

話が纏ったところで、一輝は立ち上がって式神を回収する。

「じゃあ、美羽、匁、殺女。こいつの退治は任せた!」
「行かせはせぬ、」
「邪魔立て禁止!」

一輝の乗った水を攻撃しようとする崇徳を匁が攻撃し、一輝は離脱に成功する。

「我の邪魔をするか、女子(おなご)よ。」
「一応、ここを任されたからね。」
「その責任くらいは果たさないと~。」
「では・・・いきます!」
「うむ、我を楽しませよ!」

一つ目の対決が今、始まった。
 
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