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俺が魔王の息子ってマジですか!?

作者:ユウスケ
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11話 買い物をする時はサイフの中身を確認しましょう。

ー紅蓮視点ー

さて、人間界に逃亡した俺。
ランダム転移に怯えつつ、無事に地上に生還した。
よかった!神様っていたんだね!本当にありがとう!
神様に感謝しつつ、周囲を確認すると何処かの裏路地のようだ。
おお!コレは珍しくついているのでは?
ついに俺の時代が、脱走してよかった!
とりあえずここが何所なのかを調べないと……。
そう思った、俺は裏路地を出る。

「いらっしゃい!いらっしゃい!」

「奥さん!今日の夕飯に……」

路地を出ると、賑やかな商店街の風景が目の前に広がっていた。
懐かしい。
まるで、死ぬ前に戻ってきたようだ。
懐かしさをかみ締めながら、商店街を歩く。

「あら」


「わぁ」


「凄い、イケメン」

ぼそぼそ

懐かしさに浸っていたので、気がつかなかったが、
周りの視線が集中している。
あれ?俺何かした?かなり怖いんですけど!
もしかして、服装が怪しいのか?
普通の黒いスーツだと思うんだけど、おかしいのか?
周りの視線にビビッていると、ケータイで写真を撮ろうとする人まで現れた。
ええ!!俺何かしましたか!?
視線に耐え切れなくなった俺は視線から逃げるために走り出した。

10分後


走る事10分。
人通りも少なくなったので、立ち止まる。
辺りに人がいないかを確認し、安心していると、自分の喉の渇きに気づく。
一応金はあるから、近くのコンビニで何か飲み物でも買おう。
辺りを見渡すと、丁度コンビニがあった。
ラッキー!
コンビニがすぐに見つかった幸運に感謝しつつ、コンビニへ向かう。

ウィーン

コンビニの中に入り、飲みたいジュースを商品棚から選び、レジに並ぶ。

「750円になります」

「えー700~……っげ」

ん?前に並んでいる女性の様子が……。
何かあったのか?

「あ~……50円たりないわ~」

どうやら、お金が足りないらしく、困っているようだ。
まあ、50円くらいならいいか。
俺は自分のサイフから、50円玉を取り出す。
よ、よし!準備OK、あ、後は渡すだけだ。
大丈夫、俺なら出来る。

「これを……」

「え?」

50円玉を女性に差し出すが、女性は突然の事に驚いているのか。
俺を凝視している。
なんてこった!魔王っぽい、生活が長かったから、すっかり口調がー!!
もしかして、キモイと思われた……?
いや!ここでくじけるな!がんばれ俺!!
心の中で自分にエールを送り、もう一度話しかける。

「使うといい」


「は、はい!あ、ありがとうございます!!」

おお!!びっくりした。
もう一度、話しかけると、顔を赤くして俺から丁寧に50円玉を受け取った。
おそらく、お金が足りなかったのが周りにばれて恥ずかしいのだろう。

「では、丁度頂きます。レシートはどうしましょう?」

「い、いらないわ!」

アルバイトの店員が女性にレシートの質問をするが、女性はここから早く
逃げ出したいのか、さっさと答えてコンビニから出て行ってしまった。
大丈夫だろうか?

「次のお客様どうぞ」

「ああ」

ジュースを置いて、サイフから代金を取り出す。

「135円になります」


アルバイトの店員に言われた通りの金額を出す。


「指定の商品をお買いいただいたので、こちらでクジをどうぞ」


そう言うと、アルバイトの店員は穴の開いた箱を取り出す。
まあ、この手のクジはろくな物はないんだろうけど、もらえるものは貰っておこう。

ガサゴソ

腕を突っ込んで、三角形の紙を取り出す。

「では、こちらで開けますので」

アルバイトはハサミを取り出す。
俺は、アルバイトの店員にクジを渡すと、三角形の先端を切った後、俺に渡した。
クジを受け取った俺は、クジを広げて中身を確認する。

「3等」

中身には3等と書かれていた。
どうやら、3等が当たったらしい。
どんな商品が貰えるのだろうか?

「3等ですか、おめでとうございます。あちらの商品棚から好きな商品を
5つ選んでいいですよ。」

アルバイトの店員が指差した、商品棚を見る。


コロナミンC リポビ∀ ウコーンの力 


商品棚には三つの種類の栄養ドリンクが、大量に置いてあった。
売れ残りだろうか?
そんな事を思いながら、コロナミンCを5本選んだ。

「ありがとうございましたー」

ウィーン

コンビニを出た俺は買ったジュース、ヨーグルッチを開ける。
さて、このヨーグルッチを飲んだら、仕事と住む場所を探すか。
ヨーグルッチを飲みながら、頭の中で予定を立てる。
うん。まだお昼だし、最悪住む場所だけでも確保できるだろう。
予定を立て終わった俺は、空になったヨーグルッチをゴミ箱に捨てる。
さて、行きますか!












「そこの若者。少しよろしいかの?」










ー男鹿美咲ー

あー、だるい。
こんな時は、アイスよねアイス。
リビングのソファーに座っていた私は、好物であるアイスを求めて
台所に向かった。

ガラ

「あれ?」

たしかこの間、愚弟である辰巳(たつみ)に買いに行くように命じたはずなのに……。
あの野郎、忘れやがったな。
帰ってきたら、ボコボコにしてやる!
愚弟の処刑を決めた私は、財布を持って近くのコンビニへと向かった。



ウチの近くのコンビニは歩いて3分の距離、たいしたことは無いのだが
だるい、私にとっては苦痛だ。
だから私は、愚弟が帰ってきたらどのように処刑するかを考えながらコンビニへと
進む。



ドロップキック、それともキン肉バスター……。
よし、決まった!処刑方法はボールクラッシャーで決まりね!
え?何所のボールかって?それは乙女の秘密よ。

ウィーン

ん?どうやら考えている間についてしまったようね。
見慣れた、コンビニの風景を確認すると、すぐにアイス売り場に向かった。

「これと、後これに……」

自分の好みである味のアイスを選び、レジに持っていく。
これだけあれば、しばらくは持つわね。
そんな事を考えながら、バイトの店員にアイスの入った籠を渡す。

「750円になります」

「えー700~……っげ」

店員の会計が終わり、言われた通りの金額をサイフから出そうとしたのだけど、
私のサイフの中は700円しか入っていなかった。
……っは!しまった!この間友達と服買ったんだった!!

「あ~……50円たりないわ~」

思わず声に出てしまったが、しかたがない。
商品を一つ返して、会計を……。


「これを……」

突然後ろから50円玉を持った手が、現れた。
ラッキー!!
誰だか知らないけど、ありがたい。
私はお礼を言おうと、50円玉の持ち主を見る。

「え?」


ドキューン!!


持ち主を見た瞬間、私の間抜けな声と脳内で胸をぶち抜いた音がした。
なんと、持ち主はとんでもないイケメンだったのだ!
さらさらとした緑色の長い髪にクールな雰囲気。まるで誇り高い狼。
しかもカッコイイだけじゃなく、優しさもある。
私の周りの男達と比べたら、月とスッポン!
ああ!神様!ありがとう!
そして弟よ、買い忘れてくれてありがとう!
帰ってきたら、アイスを分けてあげるわ!!

「使うといい」


「は、はい!あ、ありがとうございます!!」


彼の掌にある、50円玉を丁寧に受け取り、お礼を言って会計をする。
あ~!!どうしよう!何て話せばいい?
彼はスーツ姿だけど、年上なの?年下?それとも……。
あれ?そんな事よりも、私は今どんな格好をしていたっけ?
自分の着ている服をゆっくりと見る。
一応、外着だけど、ラフすぎる!
そういえば、化粧もしていない!!

「では、丁度頂きます。レシートはどうしましょう?」

「い、いらないわ!」


化粧や自分の状態を再認識して、恥ずかしくなった私は、買い物袋を
店員から引ったくり、自宅まで走った。
あーーーーー!!!こんな事ならちゃんとした格好で行っていればよかった!!!



この後、私は自宅でアイスを冷凍庫に突っ込み、自分の部屋に閉じこもる事になる。



この日、私は恋をすると同時に、新たな黒歴史を増やす事になった。



変な子って、思われてないよね?大丈夫だよね?





こうして、元スケ番だった男鹿美咲は恋する乙女となった。




「あの人にまた、会えるかな?」
 
 

 
後書き
魔王の息子は永遠のチキン。 
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