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弓兵さんの狩人生活

作者:ねむたい
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2日目

さて、今日でここに現界して二日目。今日は辺りを散策していて中々珍妙な生物と遭遇したので、大部分はそれについて書き記していこうと思う。

まず、日が昇り切る前に起きた私は近くの河原に顔を洗いに行った。
しかし、そこには昨日の散策時には見なかった生き物がたくさんいた。
その生き物らは5,6頭の群れで行動しており、その姿形は生前に恐竜の図鑑で見たパラサウロロフスを彷彿とさせた。彼らは見た目と同様に大人しいらしく、私が近づいても周りに生えている雑草を食べ続けていた。とりあえず。
彼らに警戒される前に顔を洗い、昨日寝床にしていた場所まで戻ることにした。戻る道中、今度は色とりどりのキノコを発見した。青色をしたものや黄色のもの、紫色のものなど様々だった。
その中で私は朝食用に青色のキノコと青みがかかった小指ほどの大きさのキノコを採取した。ほかのキノコはなぜか、採取しようとした時に悪寒がしたためやめておいた。
また、朝食がキノコだけというのも味気がないので河原まで引き返し魚を何匹か釣った。何匹か釣った後、今度こそ寝床にしていたところまで戻り朝食を食べた。
ちなみに今朝の朝食の献立は、焼き魚にキノコを軽く炙り、申し訳程度に添えた物だ。
題して“焼き魚キノコ軽く炙りあえ”の完成だ。
見た目については調味料などが無い中、割りといい感じに出来たと思う。
味に関しては美味くもなく不味くも無い。しいて言うならば、かなり独創的な味だったとでもここに記しておこう。
さて、朝食を食べて腹を満たした私は昨日に引き続き散策を開始した。
今日は昨日と違って、割りと早い時間から散策を開始し始めたため、かなり散策がはかどった。
今日、わかった事を上げると大きく二つに分けられる。

まず一つ目は、ここら一帯の地形についてだ。

ここら一帯の地帯事に大きく分けると、森林、草原、洞窟、崖の四つに分けられる。
森林地帯には、今朝発見したキノコ類を始め蜂蜜や果実などが採取できるようだ。
草原地帯では、薬草などの植物、あと一部には魚の姿も見えたので魚も採取することが可能だと思われる。
洞窟の中は、まだ確認していない。下手に入って出てこれなくなってしまったら大変なので後日、万全な状態で臨もうと思っている。
崖地帯では、加工次第で役に立ちそうな植物の蔦や鉱石などを採掘が出来るようだ。

二つ目は冒頭で書いたとおり珍妙な生物達についてだ。

ここら一帯に生息している生物達は、守護者として様々な場所に召喚されている私でも見たことが無い生物達だった。
今朝見たパラサウロロフスに似ている生物を始め、ヴェロキラプトルに良く似ている生物、なぜか道具を持っている猫型の獣人?のような生物などがいたが、その中でも極めつけなのが昼間、草原地帯を散策していた時に遭遇した巨大な鳥だろう。
姿形は、どことなく鶏を連想させた。しかし、明らかに大きすぎる嘴や顔の周りを覆っているエリマキのような耳、体を覆っているのが体毛ではなくピンク色の堅そうな鱗であったりと中々ユニークな鳥だった………


―回想開始―


偶然、草原地帯を通りかかった時に遭遇したその鳥は、私を見たとたん、突然奇声を発しこちらに向かって突進してきた。
突然の事過ぎて理解が追いつけなかった私は、踵を返し全速力で逃げる事にした。
草原地帯から森地帯へ、森林地帯から崖の方へ、崖からまた草原地帯へととにかく逃げ回った。
唯一の救いは、今日の早いうちにここら一帯の地形を把握出来ていたことであろう。
だが、逃げれども逃げれどもなぜか鳥はついて来た。
しかも途中から、口から火の玉を出しながら追いかけてくるようになる始末。
さすがに、このままいってはじり貧だろうと思った私はこのユニークな鳥と戦うことを決めた。
走っている状態からいきなり急停止をかけ真上へと跳躍。
すぐさま、剣を投影し、目標を失いあたりをきょろきょろと見回している鳥に斬りかかった。
しかし、斬りかかったものの体を覆う硬い鱗にはじかれてしまう。
思ったよりも硬かったため、一瞬その場で立ち停まってしまった。
私の一瞬の隙を相手は見逃すはずもなく、尻尾を薙ぎ払って攻撃してきた。
その攻撃をすぐさま、バックステップで回避し体勢を立て直した。
鳥は標的を再度確認したからか再度、奇声を上げこちらに向かって突進してきた。

戦闘を開始してから5分ほどたっただろうか。
何度か隙を窺い、斬りつけるが一向にダメージを与えられた気配がなかった。
途中から強化を使っているにも関わらずだ。
それどころか斬りつけていた剣そのものが先にダメになる始末―――ちなみに現在、使用している剣は5本目だったりする。
強化をしているため、強度に関してはなんら問題ないはずである。
それなのにダメージを与えられないとなると問題になって来るのは切れ味である。
ならばと思い、いったん鳥から距離をとり手元に刀を投影した。
投影したのは、彼の剣豪――佐々木小次郎が愛用した刀。物干し竿。
強度、切れ味ともに高いこの刀ならば確実に相手にダメージを与えられるだろうと思いこの刀を投影したのだ。
相手の懐に潜り込み刀で腹のあたりを斬りつけた。
ザクっという音とともに食い込んだ刀。
やはり、切れ味が原因だったかと思いながら刀を腹から勢いよく引き抜いた。
途端、噴き上がるのは赤い血飛沫。
致命傷には至っていないかもしれないが十分にダメージを与える事に成功しただろう。
そう思い鳥の方を見てみると予想とは違い、かなりご立腹な鳥がいた。
目つきはさっきまでとは違いかなり鋭くなり、口の中では何が起こっているのか知らないが炎の玉のような物が溜まっている。
そして、最も変わったのが、鳥が繕っている雰囲気。
私を追いかけていた時に感じていたのが、縄張りあらされた事に対する敵意だとすれば、今感じているのは明確な殺気。
まちがいなくこちらを殺しにかかって来るだろうと感じられる。
これは長丁場になりそうだ。そう思いながら私は刀を構えなおした。


―回想終了―


結果から言おう。鳥との決着が着いたのは戦闘開始から大体10分後。
つまり、私が初めてダメージを与えてから約5分後ということになる。
最初の方は攻撃を当てやすかったが腹を立ててからが難しかった。
別人―――いや、この場合は別鳥か?のような動きを相手はしてきたからだ。
攻撃のスピードもかなり速くなり、攻撃力も増大。
なによりも厄介だったのが攻撃のモーションがかなり短くなった事だった。
今までは大振りの攻撃モーションのおかげで初見の敵ながらもある程度、攻撃を予測し戦えていたが、それが短くなった途端予測しづらくなったのが原因だった。

今回の巨大な鳥との戦闘をふまえて感じたのは、私自身が持つ情報量の少なさだ。
今日見ただけでも今まで一度も見たことが無い生物がたくさんいた。
それらを知るだけでも大分違うであろう。
とりあえず、明日から人を探してみようと思う。





















今日の私を振り返って一言

青色のキノコを焼いたらはっきり言って不味い。今後、調理には十分に注意するように。
 
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