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HEART IS GUN

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第三章


第三章

「じゃあそこにか」
「行って見て来いよ。俺が持ってるショットガンもマシンガンもな」
「おもちゃか」
「おもちゃにもならないな」
 そこまでだとだ。社長は笑って俺に話す。
「そこまで凄いからな」
「そこまで言うんだったらな」
 俺もだ。社長の言葉に乗った。そうしてだった。
 俺はその海軍の基地に行った。事前に電話を入れて許可を得てそうして基地の中に入る。海軍だから港だ。しかも滅茶苦茶でかい。
 港に入ってだ。俺はまず驚いた。
「おいおい、ニューヨークの港とどっちが大きいんだよ」
「どっちもどっちだろ」
 黒人の、俺の案内役をしてくれるセーラー服の兄ちゃんが俺に言ってきた。
「俺だってあれだよ。ニューヨーク生まれだけれどな」
「へえ、あんたニューヨーカーかい」
「郊外だけれどな」
 つまりニューヨークって町じゃなくて州に生まれたってことだ。
「それでマンハッタンや港も見てたけれどな」
「そうか。それでか」
「ああ、あそこの港も知ってるぜ」
 兄ちゃんは屈託のない笑みで俺に話してくれる。白いセーラー服がブラウンの肌によく似合ってる。とりあえず俺は人種的偏見はないつもりだ。ガキの頃から黒人やヒスパニックの奴とも仲良くやってきている。ついでに言えばクランは嫌いだ。アメリカの恥だと思ってる。
 とりあえず俺はその兄ちゃんにだ。こう言った。
「で、だけれどな」
「ああ、何だ?」
「船とかは」
「見えるだろ。あれだよ」
 兄ちゃんは笑って港の先の方を指し示した。するとそこにだった。
 青い、それもかなり濃い青の海と白いコンクリートの波止場の間にだ。グレーの船があった。それも一つや二つじゃない。かなりある。
 しかもその大きさがだ。相当なものだった。
 かなり遠くにいるがそれでもだった。その大きさはわかった。
「でかいな」
「空母だよ。わかるな」
「ああ、よくテレビに出てるからな」
「あそこにそれこそ何千人もいるからな」
「アパートがそれこそ何十も入るよな」
「ははは、アパートなんかめじゃないぜ」
 兄ちゃんは明るく俺に話してくれる。
「それこそな。小さなタウン位はあるぜ」
「タウンか」
「行ってみるかい?空母のところに」
 兄ちゃんは俺にこう誘いをかけてきた。
「それで近くで見てみるかい?」
「ああ、案内してくれるか?」
「俺の今の仕事だからな」
 案内役がそれだとだ。兄ちゃんは答えてくれてだった。
「行こうか。それじゃあな」
「ああ、じゃあな」
 こうしてだった。俺は兄ちゃんの案内を受けて空母のところに向かった。その間空にはばかでかい飛行機やヘリが始終飛んでいて波止場の船達もだ。
 とにかくでかい。しかもそこには大砲や機関砲がある。ミサイルランチャーも見える。そうしたものを横目で歩きながら見ているとだ。
 俺はこうだ。兄ちゃんに言った。
「ピストルなんてな」
「ピストルがどうしたんだい?」
「いや、ちっぽけなもんなんだな」
 こう言うのだった。自分でも言葉がしみじみとしたものになっているのがわかる。
「本当にな」
「そうだよな。ピストルなんてな」
「ああ、ミサイルや大砲に比べたらな」
「ピストルであの船を沈められるかい?」
 兄ちゃんは面白そうに右手のでかい、多分巡洋艦のそれを指差してきた。何か随分と突起があってレーダーやら何やらが見える。
 やっぱり大砲があってミサイルランチャーもある。でかさなんてとんでもなくてだ。俺達が横を歩いても一分やそんなのじゃ横切れない。
 その船を見てだ。俺は兄ちゃんに答えた。
「大砲かミサイルでもないと無理だろ」
「そうだろ。絶対に無理だろ」
「ピストルじゃとてもな」
 笑い話だった。人間を針で刺す、そんなものにすらならない。
「どんだけ撃ってもな」
「だろ?巡洋艦でそれだぜ」
「じゃあ空母とか戦艦はか」
「ミサイルなり大砲を何発も撃ち込まないとな」
 沈まない。そうだと言われた。
 
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