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蒼き夢の果てに

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第5章 契約
  第76話 名付けざられしもの

 
前書き
 第76話を更新します。

 次の更新は、
 11月27日、『私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?』最終話。
 タイトルは、 『迎えに来たのは彼女の方ですよ?』。

 その次の更新は、
 12月4日、 『蒼き夢の果てに』第77話。
 タイトルは、 『風の眷属』です。
 

 
「なんだ、またお前らか」

 殺戮の現場となった広場の片隅。正面の一番奥に存在する、付近の建物の中では一番大きな木造の建物の辺りから投げ掛けられる若い男性の声。
 但し、その声の中に漂うこの常軌を逸した殺戮の現場には相応しくない、少し……。いや、かなりやる気を感じさせない気だるい響き。

「オマエは?」

 その声を掛けて来た方向に視線を転じながら、そう問い返す俺。
 ただ、その男声自体から記憶の片隅に有る何かを呼び覚ます……、思い出せそうで、思い出せないようなもどかしさを感じる。何と言うか、以前に何処かで聞いた事が有る声のような気もするのですが……。

 其処。建物の影から姿を現し、俺たちの立つ翼人のコミュニティの入り口辺りから大体、二十メートルほど向こう側に立ち止まった存在とは……。

 まるで蟠った闇を纏うかのように、月明かりの下に立つ若い男性。
 見た雰囲気から言うと、身長は俺よりも少し低いぐらい。年齢的には俺と多分、同じ程度。少し明度が低いのが理由で判り難いだけ、だとは思いたいのですが、黒髪で黒い瞳をしていると思います。
 容姿に関しては多分十人並み。俺が元々暮らして居た現代の日本でならば、街へと出かけて行けば……。いや、おそらくクラスに一人や二人は存在している、あまり目立つ事のない少年から青年へと変わる狭間の存在。服装に関しては、濃い緑色のブレザーに白のシャツ。そして、ワインレッドのタイ。スラックスは黒。もしかすると本当に、日本の高校の男子生徒が、俺と同じようにこのハルケギニア世界に使い魔として召喚された存在かも知れない。
 そう思わせる容姿と服装。
 その両手に革製のオープンフィンガーグローブと言うタイプの、指先を露出した形の手袋をしている点のみが、暗がりに立つ青年の特徴と言えば特徴でしょうか。

 ただ……。
 ただ、そんな何処からどう見ても普通の目立たない青年が、こんな殺戮の現場に現れる訳は有りません。
 まして、周囲に散乱している元翼人たちを殺害したのが彼ならば、その彼が地球世界出身の普通の高校生などと言う事はないでしょう。
 その証拠に、暗視の魔法で普段よりも暗い森の中でも問題なく戦闘を行い、更にそれ以後は、ほぼ全速力で暗闇に包まれた森の中を駆け抜けて来ても、一度もつまずく事すらなかった俺の瞳に、何故か、この新たに現われた青年の姿をきっちりと捉える事が出来ないで居たのですから。
 これは、明らかに何らかの魔術が行使されて居て、この目の前の青年の姿を認識出来ないようにされて居ると言う事。そんな存在が一般人の訳は有りません。

「おいおい、人に名前を聞く時は、先ずは自分の方から名乗るのが礼儀じゃなかったかな」

 かなりやる気を感じさせない言葉ながらも、それでも、ある程度は常識的な答えを返して来る革手袋の青年。
 成るほど。言葉を交わす事は可能な相手と言う事ですか。

「それはすまなかったな。俺の名前はルイス。そして、こっちの少女はタバサ。ちょいとしたお仕事でこの翼人のコミュニティにやって来たんやけど」

 そう自己紹介を行った後、赤とも黒とも付かない色に染まった周囲を見回しながらそう答える俺。おそらく見た目から考えると、俺やタバサの方もかなり奇妙な存在で有るのは間違いないでしょう。
 明け方が近いとは言え、高緯度地域の晩秋。森の中、それも山に囲まれたこの地に朝の息吹は遠い。むしろ濃く垂れ込めた死の影により、世界は普段の夜よりも更に深い闇に沈んで居ると思います。
 そんな、夜中と言っても良い時間帯。更に、人払いの結界に因り守られたこの翼人のコミュニティを訪れた少年少女。そして、この死臭漂う異常な状況下に置いて取り乱す事もなく、冷静な態度で臨んでいる存在ですから。

 俺とタバサのふたりの方も十分に怪しい存在だとは思いますね。
 第三者的な視線から考えて見たのならば。

 その俺の自己紹介をあまり興味のない、と言うか、やる気を感じさせない視線及び雰囲気で聞いていた青年。

 そして、

「成るほどな。うかつに本名を口にするマヌケと言う訳でもないか」

 ……と、そう言った。

 本名を口にしない。成るほど。こいつは、ハルケギニア世界ではあまり表に出て来ない類の、俺が元々暮らして居た地球の魔法の世界に近い状態に身を置く存在と言う事ですか。
 そう考えながら、まるで地球世界の男子高校生のような服装の青年を、改めて強く見つめる俺。
 それに、そもそも魔法使いに対して本名を名乗ると言う事が危険だ、などと言う思想は、このハルケギニアの表の世界には存在して居ませんから。

 存在して居るとしたらそれは裏の世界。
 俺やタバサが現在立っている場所で、モンモランシーやその他の人ならざる存在(モノ)たちが暮らして来た世界。
 まして、相手の本名を知ったのなら、俺でも有る程度の呪詛を行う事は可能ですから。

 呪詛を返す事が出来ると言う事は、つまり、相手の行って来ている呪詛の原理をある程度理解出来て居ると言う事。そして、理解出来て居るのなら、それを行う事は理論上可能ですから。

 但し、出来るからと言って、俺がそんな陰の気に満ちた行いを為せば、俺自身が徳を失う事と成りますから、現実に行う事は有り得ないのですが。

「俺には名前はない。だから、好きに呼んでくれて構わないぜ」

 俺が少し考え事をしている空白を見計らった様に、青年がそう答えた。
 但し、その瞬間に周囲の気温が更に下降線を辿り、夜の闇は更に濃く成って行く。

 そんな、俺の心の中に冷たい何かを差し込んだ青年は、そんな事など気にしないかのように更に続ける。

「色々な呼び名で呼ばれたけどね。門にして鍵。全にして一、一にして全なる者。原初の言葉の外的表れ。混沌の媒介なんていうのもあったかな」

 本当に普通の名前を名乗るような気楽な口調で、非常に危険な異名を口にして行く青年。
 そう、これは異名。この目の前の目立たない……。一般人に紛れて仕舞えば特定する事すら困難と成る、目立った特徴を持たない青年を表現するには非常に不釣合いな名前。

 ただ……。

「それで、そのナナシさん……。それとも、ウェイトリィ家の双子の片割れは、こんなトコロで一体何をやっていたのですか。どう考えても、ここは真っ当な人間が居るべき場所でも、居るべき時間でもないと思うんですけどね」

 かなりの緊張を伴いながらも、時間稼ぎを行うようにそう問い掛ける俺。それに、現在の状況を判断するには、今のトコロ情報が不足し過ぎて居ます。
 実際、ここに近付くに従って聞こえて来ていた風の音が、風の邪神を讃える歌に変化していたのは事実ですが、今は何も聞こえて来ては居ません。
 しかし、召喚の呪文が唱え終わって居たにしては、周囲の雰囲気は……。邪神、それも、今まで顕現して来た連中の中でもトップの風の邪神が顕現するような異界化現象は今のトコロ起きては居ません。

 確かに、この目の前の青年が自らの事を名付けられていない存在だとは名乗りましたが、その後に語った異名に付いては、そいつとは別の神性の異名。一説には、その風の邪神の父親に当たる存在の方だと思うのですが……。
 もっとも、あの神族に関しては謎とされる部分が多く、更にその神たちにしても、真面な知性が存在しているのは這い寄る混沌のみだと言う話も有る訳ですから、異名だけで、この目の前の青年の正体を決めつける事は出来ませんが。

「知って居るか、忍。ここいら辺りは、火竜山脈から蒸発する水蒸気の影響で蒼穹の星々が歪んで見える事が有るって事を」

 蒼穹が歪んで見える?
 そのナナシの青年の一言に、少しの驚きを持って蒼穹を見上げる俺。但し、見上げたからと言って、俺には現在、俺の頭上で輝いている星々や玲瓏たる蒼き月の位置が正しい位置に存在して居るのか、それとも大気中の余計な水分に因って歪んで見えて居るのかの判断を下せるだけの知識は持って居なかったのですが。

 ただ、確かに天文観測のレベルでは大気や湿度の影響で星の位置がずれて見えたり、普段よりも瞬いて見えたりする事が有るのは事実です。
 故に、研究機関の天体望遠鏡は、大気が安定している空気の層が薄い山頂に置かれて居たり、大気の影響が一切存在しない宇宙望遠鏡を使用したりするのですが……。

 但し……。
 但しこの時の俺は、科学とは無縁の神話的な内容の方に対して、恐怖を全身に感じ始めていました。

 そう。彼の神族に共通する予言の言葉。『やがて星々の位置が正しい位置に戻る時、古き神々は力を取り戻すだろう』……と言う言葉と、先ほど青年が語り、俺の知識が補完した内容とが奇妙な符合を示しましたから。
 所謂、星辰が揃う、……と言う風に言い表される日。しかし、未だかつてそんな日が訪れた事は、俺の知って居る限りでは一度しかなかった夜。
 長い人類の歴史の中でもたった一度だけしか存在しない日の事。

 何故ならば、すべての条件が整ったとしても、今夜この場所に俺とタバサが現れたように、今までも見知らぬ誰かの手に因って未然に防がれて来たのです。
 彼の神族の関係者が口にする『星辰が揃う』と言う夜は。

 世界自体が滅びを回避する為に用意する最後の防衛機構たちの手に因って……。

 そして当然のように、そのヤツラの企みの阻止に失敗したたった一度とは、その世界の終りの始まりへと進み始めた日と成りましたが……。
 それは有り得ない話。俺の住んで居た地球世界に伝わる御伽話。
 ただ、平行世界にこうやって俺自身が召喚された以上、その御伽話。世界は一度、一人の少女の手に因って滅び、二人の女性に因って産み落とされた、などと言う荒唐無稽な話も、かなりの現実味を帯びて来たのは間違いないのですが。

 その御伽話の内容……出来事自体が、何処かの段階で枝分かれをした平行世界の出来事だと仮定したのならば。

 もっとも、そんな事よりも、更に驚愕の事実をさらっと口にしましたね、このナナシさんは。
 その驚愕の事実と言うのは、

「オマエ、さらっと俺のファースト・ネームを口にしたな」

 俺の通称を口にしたナナシの権兵衛に対して、それまでよりも少し強い口調でそう問い掛けた。
 それもヤツの口から発せられたのは漢字表記の忍と言う名前。この世界にやって来てから呼ばれて居たカタカナ表記のシノブではない響きを、俺の耳……正確には脳が受け取っていたのです。
 おそらくは相変わらず、相手の見た目からそう聞こえたような気がし――――

 ――ただけ。そう考え始めた俺の記憶の中に発生する微かな違和感。
 確かに、漢字表記で忍と呼び掛けて来たように感じた相手は、ティターニアとこの目の前のナナシの権兵衛さんだけですが、見た目が日本人に見える人物ならば俺はもう一人知って居ます。
 それは魔法学院のメイドのシエスタ。彼女も見た目は日本人ですが、彼女からの呼び掛けはシノブさんで有って、決して忍さんでは有りませんでした。

 俺は少し余計に霊力を籠めて、このナナシの権兵衛を見つめる。
 コイツは、何らかの召喚魔法に因って、俺と同じように地球世界の日本から召喚された存在ではないか、そう思い始めて居ましたから。
 もっとも、武神忍の名前は自称。当然のように本名と言う訳では有りませんから、例え、相手が俺に対して名前を使用した呪詛の類を行って来たとしても、生命に関わるような実害を被る事はないのですが……。

 そんな俺の様子を、やる気をあまり感じさせる事のない様子で見つめ返すナナシの権兵衛。しかし、彼から感じるのは肌をピリピリさせるような危険な雰囲気ではなく、普通の……。普通に存在して居る当たり前の男子高校生以上には見えませんでした。
 おそらく、コイツも俺と同じように気を隠して……。

「何を言っているのかさっぱりと判らないんだが、オマエさんの事を何故、俺が知って居るのかと言う問い掛けならば、知らない方がどうかしている、と答えるべきなのかな」

 しばらくの間、俺の事を気のない視線で、耳の穴に右手の人指し指をツッコミながら見つめていた青年がそう答えた。
 本当に、この状況。周囲に散乱する元翼人たちを作り出したのが彼だとは考えられないような面倒臭げな様子。
 まして、これだけの殺戮を行いながら、その姿は普通の高校生男子そのもの。返り血などでその姿を汚している訳でもなければ、戦闘によって汚れている訳でもない。
 まるで、朝、登校する直前のような綺麗な姿形。

 但し……。

 但し、その言葉を発し終え、右手の人指し指の先に息を吹きかけた瞬間、彼が発する雰囲気が変わった。
 そして、それは何処かで感じた事が有る雰囲気。
 これは……。

「オマエさんは有名人だぜ。有る一部の存在からはな」

 そう言ったナナシの権兵衛が俺の顔を見つめて、初めてやる気の感じさせない表情以外を見せる。
 ……いや、その時、俺の目の前に存在して居たのはやる気を感じさせない、一般人に埋没するような目立たない青年などではなかった。

「俺とオマエは今生では一度。それ以前の生命でも何度か出会っているはずだぜ」

 其処……。先ほどまで目立たない青年が存在して居た場所には……。

 毎朝身なりを整える時に必ず鏡の中に存在する少年。いや、少年から青年への(きざはし)を上り始めた存在。
 これと言って目立つ特徴の有る顔立ちではない。ただ、瞳に……今では蒼と紅と変わって仕舞った瞳にのみ強い力を感じるその蒼い髪の毛の少年が、その顔に似合わないある種の笑顔をこちらに向けて居たのだ。
 吐き気をもよおす程の邪気と狂気に包まれた笑み。生命体が持つ、本能的な恐怖心を呼び覚ます酷く危険な笑顔を、俺とタバサに対して魅せて居たのだ。

 その表情、そして雰囲気は、正に暗黒の皇太子と呼ぶに相応しい様相。

「貴様は――――」

 そして、現在、ヤツが放っている雰囲気には確かに覚えが有ります。火竜山脈で不死鳥の再生に関わった事件の翌日に魔法学院で開かれたダンス・パーティ。俺的に言うのならヴァルプルギスの夜に現れて、ルイズとダンスを踊っていた俺の二重存在らしき存在が発して居た気配。
 それとほぼ同じ気配を、目の前の俺そっくりの姿に変わったナナシの権兵衛は発して居たのですから。

 しかし――――
 しかし、内心の動揺を自らの矜持によって無理矢理ねじ伏せ、鷹揚にひとつ首肯いて見せる俺。
 そう。相手の気に呑まれると、そのまま相手の術中に嵌るのが魔術の基本。この程度の幻術で一々驚いて居ては、生命が幾つ有っても足りませんから。

「成るほど。矢張り、あの夜に顕われたのは俺の二重存在などではなく、俺の姿を偽った何モノか、だったと言う事か」

 そうして、かなり冷静な思考の元に、そう答える俺。
 ましてあの夜に顕われた存在が俺の二重存在ならば、能力も俺に準じているはずです。
 しかし、あの夜に顕われた存在は、俺をあっさりと自らの術の影響下に置いて仕舞いましたから。

 流石にこれは異常。いくら俺がマヌケな上に準備を怠っていたとしても、いともあっさりと俺を催眠状態に落とす事は難しいはずです。
 もっとも、あの夜は戦闘に対する準備を行うには、俺を着せ替え人形扱いしたキュルケが傍に居た為に、十分な準備を行う事が出来なかったと言う事情も有ったのですが。

 ただ、それ……俺を簡単に術の効果に落とす事が出来たと言う事は、それに準じた伝説上の能力をこの目の前のナナシの権兵衛が持って居たと言う事です。

 そう、それはつまり……。

「成るほど。あの夜の俺は、玉座にすわるもの。黄衣の(キング)のダンスを見て仕舞ったと言う事か」

 伝説や狂気の書に記されている名づけざられしモノの化身のひとつ、黄衣の王と言う存在のダンスを見た者は魅了状態に陥れられると言われて居ます。そして、伝説や伝承には当然、それなりの霊力と言う物が籠められて居る物でも有ります。
 但し、伝説の格……古さや、世界中で語り継がれている物語の多さで言うのならクトゥルフの邪神よりも龍の方が格は上。更に、あの夜には俺の気付かない内に、俺の能力を神。龍神の域にまで押し上げる巫女の存在が傍らに居たのですから、例え相手が黄衣の王だったとしても簡単に致命的な被害……精神的な実害が残るような被害を受ける事はなかったと言う事ですか。
 そもそも俺は龍神。王などに簡単に遅れを取る訳には行きません。

 そして彼女は未だ俺の傍らに有り。この部分に関しては何の問題もない。
 それならば、

「トコロでなぁ、ナナシの権兵衛さんよ。ここに居る翼人たちの傷の治療をしてやりたいんやけど、出来る事ならこの場は見逃してくれる訳には行かへんかな」

 ヤツ。ナナシの権兵衛に何のメリットが有って俺の問いに答えてくれているのか判らないのですが、それでも会話が通じるのなら何とかなる物です。
 いや、当然、既に星辰が整い、生け贄が神に捧げられた後で、更に神を讃える呪文が唱え終わっているのですから、後はそいつ……。名づけざられしモノで有ろうが、門にして鍵で有ろうが、何モノかが出て来るのはほぼ確実。
 可能性としては、その何モノかが顕われるまでの時間潰しのような状況で、このナナシの権兵衛さんは俺の話し相手をしている状態だとは思うのですが。

 但し、現状で出て来る邪神の正体は不明。出て来た後に対処するしか方法がない状態。
 まして、ここに防御用の陣を構築しようにも、あまりにも周囲の気が悪過ぎて真面に機能する陣を構築するには多少、周囲の邪気を祓う必要が有る。
 もっとも、そんな事を始めたら、この目の前のナナシの権兵衛がどう出るか判らない。

 ならば……。

 俺がそう覚悟を決めて時間の引き伸ばしの為に会話を続けた。朝日が昇れば、こちらには増援が訪れる可能性が高い。

 しかし――――

 ナナシの権兵衛が再び嗤った。それは、無気力な青年だった時とは違う妙に人間臭い、そして、俺の顔では決して浮かべて欲しくない類の嗤いで有った。

「無駄に成る事が判って居るのに、それでもどうしても試すと言うのなら止めはしないが。
 どうする、試して見るか?」

 俺と同じ声が、星々から……。そして、蒼き偽りの女神から放たれる悪意ある妖光の下で風に乗り俺とタバサの元へと辿り着く。
 そう、何時の間にか、木々の間を縫うようにして風が舞い始めて居たのだ。

 微かな妖気の籠った冷たい風が。
 それは何処か闇の奥。遙か蒼穹の彼方に存在する黒き湖から吹き寄せる魔風で有ったのだろうか。それとも、時空間の底の底、混沌の只中から吹き寄せる魔風なのか。

「知って居るのだろう。神の贄に捧げられた者の魂が戻って来る事は有り得ないと言う事は――――」


☆★☆★☆


 初手は俺でもなければ、ナナシの権兵衛でもなかった。
 俺とまったく同じ姿形をしている相手に対するとは思えないような思い切りの良さで、右腕を振るうタバサ。
 その繊細な手から発せられた数本の飛刀が、かなり西に傾いた蒼き女神の光りを受けて蒼銀色の輝きを放つ。

 そう。その煌めきに彩られた飛翔物体はその美しさに比例するように、ひとつひとつに必殺の威力を内包し、ただ棒立ちで立ち続けるナナシに向かって飛んで行くのだ。

 しかし、その瞬間。

 何の前振りもなくナナシの周囲に浮かび上がるナイフ。
 これはおそらくは一種の鍛造魔術(たんぞうまじゅつ)。タバサが放ったのが、俺が扱う物と同じ。かなり長い目の釘ならば、ナナシの周囲に浮かび上がったのは特徴的な湾曲を持ったナイフ。全長は十センチ以上、二十センチ未満と言うサイズ。
 西洋のダガーと呼ばれるナイフと言うよりは、アラブの一部で使われて居たジャンビーヤと呼ばれている両刃のナイフに形が似ている。

 それぞれが独自の意志を持つ者の如く、真っ直ぐに接近しつつ有る蒼銀の光輝に複雑な軌道を描きつつ迫るジャンビーヤ。そして次の瞬間には、タバサの放ったすべての釘は無効化されて仕舞って居た。

 但し、そんな攻撃など所詮は牽制に過ぎない。

 タバサの釘を迎撃が為された瞬間、切り結ばれる二振りの蒼銀の光輝と、白銀の二振りの曲刀。
 風を――否、大気さえも完全に切り裂き、視覚的な意味で表現するのなら、地点と地点の間で瞬間移動を行ったかのような雰囲気で移動。少なくとも、人間の瞳では絶対に捉える事の出来ない速度で動いた三者の、ほぼ中央の位置で八相から斬り降ろされたタバサの一太刀を左手に顕われた白銀の偃月刀で。同時に、地を這うような位置から斬り上げられた俺の一刀は、右手に顕われて居た偃月刀で受け流して仕舞うナナシ。

 そう、この瞬間に俺とタバサの完全に動きと息を合わせた攻撃が、この正体不明のナナシの青年によっていとも簡単に無効化されて仕舞ったと言う事。
 一瞬の交錯の後、再び、最初の距離。二十メートルほどの距離を置いて相対する俺、タバサと、何モノにも名付けられていない、……と自称している青年。

 今の動き。俺とタバサは、精霊の加護に因り常人では絶対に為し得ない能力を示して居る。
 その二人と互角以上の能力を示して居る以上、このナナシは本当に名付けざられしモノや、門にして鍵の顕現の可能性も有りと言う事に成ります。
 まして……。

「その両手に召喚した偃月刀は、もしかするとバルザイの偃月刀とでも言うのか」

 両手に顕われた刃渡り五十センチ程の刀を構える事もなく、ただ月下に立ち尽くすだけのナナシの青年に対して、そう問い掛ける俺。
 そう。今の彼はただ立ち尽くすのみ。何時の間にか俺とそっくりに擬態していた姿から、最初に顕われた時のまるで地球世界の男子高校生のようなブレザー姿に戻り、何の誤謬も、そして訂正さえも行う必要がないぐらい、自然な姿で無防備に立ち尽くすのみでした。

 但し、故に其処に存在して居ながら、何故か彼の存在自体を認識出来難く成っていたのですが……。

「俺の本体を召喚しようとする時に用いられる以上、これは常に俺と共に在る」

 青年はそう答えてから、少し嗤った。
 その瞬間、自らが気付かない内に全身が震えている事に気付く。そう、その時のナナシの青年の瞳に浮かぶモノを見た瞬間に、目の前に居る存在が自分とはまったく違う異質なモノで有る事が改めて確信させられたのだ。

「外なる虚空の闇に住まいしものよ、今ひとたび大地に現れん事を我は願い奉る」

 ……そう言えば、ヨグ・ソトースの人間体と言われる存在は薄いヴェールのようなモノを纏って人々の前に登場するし、黄衣の王も黄色の衣装と青白き仮面を被って登場すると言われていましたか。
 そんな、少し意識がトリップし掛かった瞬間を見逃す事もなく、先ほどと同じように……。それこそ、地点と地点の間を切り取って結ぶかのような、双方の距離と言う概念を一切無視した動きで接近して来たナナシが、俺の目前で右手の偃月刀を一閃。そして、そのまま遠心力を利用、半回転して来た左手内の偃月刀で更に一閃!

 僅かなタイムラグを利用しての連続攻撃を、最初の一閃は微かに上体をぶれさせるだけで回避。次の一閃は、上体をやや前傾姿勢にしたまま脚だけを屈めるようにして回避。
 その瞬間。周囲に瞳を開けて居られぬほどの光輝が閃き、僅かに遅れて轟音が響き渡った。

 それは俺の生来の能力で呼び寄せられた雷公の腕(いかずち)
 しかし、それは攻撃を行う為に召喚された訳でもなければ、まして、牽制の為に呼び寄せられた訳でもない。

 何故ならば、召喚された雷公は、その腕を大地に振り落す事などなく空中の有る点に集中。そして、そこから黒焦げに成った何か。先ほど、タバサが放った釘を迎撃する時に使用された優美な反りを持つナイフ(ジャンビーヤ)が落ちて来たのだ。
 そう。俺とタバサに接近する瞬間に、常人には……否、警戒していなければ俺でも感知出来たかどうか判らない極微量な魔力で現出させた数本のジャンビーヤを、自らを囮と為す事で上空から必殺の攻撃を行わせようとしたのだ。

 バルザイの偃月刀による二閃を、そして、ジャンビーヤによる奇襲攻撃すらも防がれ、
 左右、双方の鈍く光る刃が空を切り、更なる攻撃に移る為にその場で独楽のように高速で回転を行うナナシの青年。

 但し!

 但し、そんな無防備な状態で居る敵を見逃す訳はない。まして、この状態。一瞬の隙を作る為に俺が囮と成って前に出たのです。
 左腕のバルザイの偃月刀を躱した際に身体を完全に下げた俺の右肩を踏み台にして、背後から何かが飛び出した。
 神速を持ち、砲弾の如き破壊力を秘めた霊刀が、タバサの霊気の高まりを受けて更なる輝きを放った!

 そう。この時タバサは、霊刀を突き出す形で正面から回転を行って居る最中のナナシの青年の身体を貫こうとしたのだ。
 これは当たるべくして当たる一刀。俺の肩を踏み台にした瞬間、俺の生来の能力でタバサの勢いに更なる上乗せを行った以上、ナナシの青年の回転は間に合わないはず。

「門にして道なるモノよ、我が嘆願を聞き入れ給え!」

 しかし、タバサの放った必殺の突きがナナシに到達したかに見えた正にその瞬間、先ほどから唱えていた呪文。召喚呪文がひとつの形を成した。
 その刹那。前に進み続けるだけで有ったタバサのベクトルを、俺の生来の特徴。重力を操る能力を全開で発動。下から強引な形で彼女の小さな身体を跳ね上げ、その一瞬後に自らの身体も後方……一先ず安全圏で有ろうと思われる地点まで退避を行う俺。

 普通の人間ならば、空気の抵抗だけで死亡に至る被害を受ける勢いで上空高くに投げ出されるタバサ。

 しかし!
 しかし、彼女が蒼穹高く舞った瞬間、彼女が突き抜けようとした空間に亀裂が入った。
 そして、彼女の手にする七星の宝刀が、その亀裂の向こう側に半ばまで消えている。

 そう。それは、何もないはずの空間に入った空間自体の断裂。タバサがそのまま進めば、その空間の断裂に巻き込まれた事は間違いない位置に、何の支えもなく何かに。まるで向こう側の世界から力任せに引き裂かれたような歪な形をした亀裂が存在していた。
 その無限の彼方に続くかのような断裂に向かって吹き込む大気が、俺たちが動く事に因って発生した土埃が。そして、周囲に散らばっている翼人たちの羽根が、その空間に出来上がった亀裂の向こう側に向かって吸い込まれて行く。

 そして、向こう側から此の世ならざる声が響き渡り、それと同時に世界を七色に染め上げる強い光輝が漏れ出して来た。

 この瞬間、世界が断末魔の悲鳴にも似た軋みを大音声で上げ、ゆっくりと。そう、酷くゆっくりと世界は紛う事なき異世界……。狂った世界へとその相を移したのだった。

「やれやれ。矢張り、地球産は使えないな」

 弾除け。いや、今回の場合は盾の代わりぐらいにしか使えないか。そう、疲れたような口調で嘆息混じりの言葉を吐き出すナナシ。
 その瞬間、亀裂の入った空間の向こう側からドロリとした何かが俺の目の前に零れ落ちて来る。

 強い腐臭を放つそれが亀裂の向こう側の世界から人間の住む世界へと、粘液状の糸を引きずって落ちて来た瞬間、ドサリと言う重い音と共に大地にその醜い姿を晒した。
 非日常の中に存在する、日常を示す物理的な現象。

 亀裂より吐き出された不気味にうねる巨大な肉の塊を見つめる俺。
 そして、発生する不気味な空白。更に侵食度合いが強く成る異世界の気配。
 それ……亀裂より吐き出された肉塊は、タバサの霊刀を受けた傷痕からはごぼごぼと強い腐臭を放つ粘液状の何かを流出させ続け、その身体全体より発せられる光は、赤から青へと弱々しく明滅を繰り返し、最後に黄色の光りを放ってそれっきり何の反応も示す事はなくなって仕舞っていた。

 次の瞬間、その大地に落ちた不気味な肉塊が徐々に姿を変えて行く。それは最初、燦燦たる太陽が強く輝く真昼、目に見えない魔物に貪り喰われたと言う魔術の徒が記した忌まわしい書物に記載されている通りの、うねうねと蠢く玉虫色の球体で有った。
 そう。これはおそらくヨグ・ソトースの球体と言われる存在。迂闊にコレに触れると火脹れ、組織の乾燥、骨の露出を起こすと言われている。
 しかし、断末魔の黄色い光を放った次の瞬間にそれは、黄色い巨大な生命体。黄金の冠を戴いたラクダへと姿を変え、
 そして最後には、腰に王冠をたずさえた、流れるような滑らかな紅き長い髪の毛を持つ貴婦人の姿へと変わって行った。

「玉虫色の球体からラクダへと姿を変え、最後は王冠を腰にたずさえた赤毛の貴婦人。門にして鍵の使い魔で有り、第一の球体ゴモリか!」

 その赤い見事な髪の毛と同じ色の液体で、黒のベルベットと白のヴェールを染め上げて行く貴婦人。
 但し、大地に倒れ込んだ赤毛の貴婦人はピクリと動く事もなく……。

「だから最初から言って居るだろうが」

 何処か遠くから。目の前に居る青年から聞こえて来ているはずの声なのですが、何故か何処か遠くから聞こえて来る声のように感じて居るこの声。
 いや、間違いない。明らかにヤツ……ナナシの権兵衛が纏って居る闇が濃く成って来ている。

 これは――――

 何時の間に現われたので有ろうか。亀裂の向こう側から現れた十二の球体がゆっくりと俺たちの周囲を反時計回りに回転し始める。
 まるで夢幻の中を舞うメリーゴーランドのように……。

 そうして、

 ゆらゆらと揺れながら灯るそれは、呪われた書物に記載される如く七色の光りを世界に与えて行く。
 そう。空間自体に虹色の軌跡を刻みながら、世界を冒涜し始めたのだ。

 その時、既に世界は更に一歩分だけ向こう側の世界へと近付いて居た……。

 それまでは確かに、森の中にぽっかりと空いた丸い空間から、妙に歪んだあまり見覚えのない、しかし、確かに通常の明け方近くの蒼穹が見えて居たはずの場所には、白色や黄色に輝く星々の姿を探す事は出来ず、変わりに毒々しいまでの桃色や緑色がまるで安物のミラーボールの如く……。いや、地上、こちら側の世界で回転し続けるヨグ・ソトースの球体の如く、一瞬一瞬ごとにその色と瞬きを変化させていた。
 そう。ここは既に異界。夢幻に広がる空間のようで有り、同時に確固とした現実世界の中に存在する空間のようにも思える場所。

 蒼穹と自分。自分とタバサ。自分とナナシ。彼らが傍に居るのにも関わらず、すべてに対してまるで距離感を掴む事は出来ず、大地をしっかりと踏みしめて居るはずなのに平衡感覚すらもあやふや。

 何処からともなく聞こえて来る単調なフルートの音色に導かれるように、ゆっくりと世界を巡る七色の光の球体(たま)。それぞれがそれぞれに向けて糸のような、てらてらと不気味に光る粘着質の物質により形成された糸のような物で繋がり……。

「知って居るか。この辺りには遙かな昔に蒼穹の彼方から飛来した存在。後の歴史ではヴァリャーグ(向こう岸からの来訪者)と呼ばれている何モノかが封じられている土地だっていう事を」

 遙か彼方。闇の向こう側から聞こえて来る声。
 その声が、単調なフルートの音色に乗ってまるで夢幻の世界に誘うかのうように、正常な思考を奪い去って行く。

 しかし、ヴァリャーグ。……確か、地球世界に於いてヴァリャーグと呼ばれているのはノルマン人。スェーデン・バイキングの事を指している言葉だったと記憶しているのですが。
 そして、同時通訳技能で頭の中に響いたのはその事を裏付ける言葉。フランス辺りから考えると向こう岸と言うのはスカンジナビア半島の事で有り、それにノルマンディー辺りに王朝を開いたのもこのヴァリャーグと呼ばれた連中の一派だったはずなのですが……。

 但し、それは飽くまでも地球世界の話。まして、ナナシはそのヴァリャーグと呼ばれている存在がこの地に封じられていると言いました。
 これは一体……。

「封じた場所を護るかのように森を造り上げ、そして、邪気を帯びた大地から天に向けて少しずつその邪気を吸い上げ、大気中に散じさせる為に太古の森を造った。その森の番人が、この地に暮らす翼人たちだった、と言う事だ」

 俺の疑問を他所に続くナナシの言葉。それはおそらくタバサ。いや、それドコロか、この任務を命令して来たイザベラ。つまり、ガリア王家さえも知らないで有ろう内容。
 もしかすると、かつての……。簒奪される前の正統なるガリア王家の嫡子にならば伝えられていたかも知れない真実。

「いや、忍にはこう言った方が通じ易いか。ここは日本の鞍馬山。翼人は西洋版の天狗どもだ」

 鞍馬山に天狗!
 その瞬間、それまで俺が描いていた西洋風ファンタジー世界の色が吹き飛び、行き成り東洋風伝奇小説の内容が俺の頭の中に浮かんだ。

 そう。ここが鞍馬山と同じ意味で魔物を封じ、その魔物を封じた場所を天狗ならぬ、翼人が護って居たと仮定するのなら……。
 それに、確か鞍馬山に封じられている神も金星からやって来た星神だと伝えられていたはずですから……。

「そのままの状態では流石の俺も手出し出来なかったから、人間どもに多くの木を切らせ、森を開かせたのさ」

 まして、ブリミル教の御蔭で精霊に対する信仰を失い、翼人も悪魔扱いと成っていたから、更に仕事はやり易くなって居たのも幸いだったな。
 かなりの嘲りの色を籠めたナナシの言葉が、闇の奥から投げつけられて来たのだった。

 この事件も同じ。いや、このハルケギニア世界に俺が召喚されてから経験して来た事件の内の多くは、ブリミル教と言う一神教の教えに因って大地や精霊と人間の絆が失われた結果に因り発生した事件でしたか。
 これは、俺の暮らして来た地球世界ならば異常気象や天変地異と言う形で表現されるべき事案が、ここハルケギニア世界が西洋風のファンタジー世界で有るが故に、こう言うオカルト的な事件と成って居ると言う事なのでしょう。

 但し、その裏で暗躍して居る存在が居る段階で、これは天災などではなく人災と言う事に成るのですが。

 ゆっくりと七色の光が周囲を回り続ける。
 その球体が通った道筋に繋がる粘液状の細い糸。
 やがてそれは複雑な紋様を一度作り出し、その直後、千々に乱れ大気へと拡散して行き、そしてまた集結して、再び複雑な魔術文字を用いた紋様へと集結して行く。

 いや違う。その七色の光を受けててらてらと不気味に光る粘液状の糸さえも、細かな魔術文字の組み合わせ。その一本一本が既に魔術回路。

 そして其処に描き出されていたのは……。複雑な、俺の知らない系統に繋がる魔術回路。それだけは間違いない。
 ただ、門にして鍵の使徒が描き出す魔術回路の使用方法と言えば――――

 
 

 
後書き
 最早、原作の『タバサと翼竜人』の内容など欠片も残っちゃいませんね。
 まして、第21話『ヴァルプルギスの夜』以来、放置し続けていた伏線の回収を、百万文字を超えたここで行うのですから……。
 読者の皆さんが覚えて居てくれる事を期待していますけど。

 それでは次回タイトルは、『風の眷属』です。

 追記。これ以降は、かなりのネタバレを含む内容と成ります。

 原作沿いと原作コピーの違いが判らないから、原作と違う道を歩んで居る。
 ……と言う内容を以前に書いた事が有りましたが。

 あれれ、おかしいぞ。サイトたちの方は明らかに『原作沿い』じゃないのか?
 ……と思われた方も居られると思いますね。

 この偽ハルケギニア世界は輪廻転生がすべての生命体に行われる世界です。
 そして、既に前世の記憶を持って転生して来ている人間が何人も登場して居ます。
 タバサ然り、湖の乙女然り、エトセトラエトセトラ。
 それに、ジュリオ・チェザーレのような例も登場していますしね。

 ならば?

 原作沿いのルートに物語を展開させている『転生者』がいない、と決めつける根拠も何処にも存在していない事に成りますよね。

 もっとも、ソイツを転生者と表現すべきかどうかは甚だ疑問なのですがね。
 
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