| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

とある星の力を使いし者

作者:wawa
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第103話

五和が通信魔術を組み上げ、建宮に連絡を入れる。
天草式は日常動作に残された僅かな宗教的要素を拾い出し、何十回と重ねる事で魔術を発動させるという独特の方法で魔術を発動させる。
五和はそこら辺に落ちている瓦礫やポケットからティッシュなどを取り出し、術式を組み上げる。
連絡を取った後、建宮達とはすぐに合流する事ができた。
何でも彼らの方でも街に異常事態が起きている事に気がつき、向かっていたらしい。
建宮達と合流した麻生達は人が集まりつつあるので、場所を変える事にする。
あの場所に人が集まっているおかげか、場所を少し離れると人が少なくなる。
それを確認してからインデックスは言う。

「まず、状況を説明するね。
 あの運河の道を破壊したのは「アドリア海の女王」の補佐する「女王艦隊」によるものだよ。」

インデックスの言葉を聞いた天草式のメンバー全員は驚いた顔をする。

「おい、「女王艦隊」ってなんだ?」

皆が驚いている理由が分からない麻生は五和に説明を求める。

「「女王艦隊」というのはアドリア海の監視の為に作られた艦隊です。
 星空や風、海面などからデータを採取して、それらからアドリア海のどこでどれくらいの魔力が使われているかを調べるのが目的です。」

「採取が目的なのにそんなに大きくする必要があるのか?」

「あれが作られたのは数百年前、アドリア海の治安が危ぶまれていた時代です。
 艦隊のように大きくしないとすぐに沈められてしまう可能性があるので、その大きさが今に伝わっているのです。」

「んじゃあ、「アドリア海の女王」は?」

「昔、ヴェネツィアは塩や交易品で莫大な富を得ました。
 一方でフランクやジェノバといった大国からの侵略を幾度となく防ぎ、パトヴァやキオッジアなど周辺都市国家を次々と制圧していくだけの軍事力を誇っていました。
 ローマ正教の本拠地、教皇領からそう遠くもなく、なおかつその支配を受けない海洋の強国として君臨したのです。
 いつ自分達に牙を剥くか分からない都市国家を放っておくわけにはいきません。
 そこで、ローマ正教はヴェネツィアに巨大な艦隊術式を贈りました。」
 それが・・・・」

「「アドリア海の女王」。
 なるほど、それは対ヴェネツィア用に作られた、特殊な巨大艦隊という事か。」

想像以上に大事な事件になりつつあることを再認識した麻生はため息を吐いた。
そのため息を無視して話は進んでいく。

「でも、あの「女王艦隊」はどうしてオルソラ嬢とあいつを襲ったんだ?」

「それは当麻と天草式とオルソラが一緒に行動していたからだろう。」

「それが理由だとしてもおかしくないか?
 我らとオルソラ嬢は同じイギリス清教、あいつに関してはイギリス清教でも何でも・・・・」

建宮はそこまで言うと、何かに気がついたらしい。
その建宮が気がついた事を麻生が言う。

「そう、お前達は「法の書」の一件でローマ正教からマークされている筈だ。
 加えて、当麻。
 あいつは何度もローマ正教の企みを潰してきた。
 これらが集まれば警戒するなというのも無理な話だ。
 だが、それらは警戒だけで済むのにわざわざ攻撃してきた。
 これらが意味するのは何か分かるか?」

「ローマ正教は何かを企んでいる。
 だから、我らを見てその企みを潰されると勘違いして攻撃してきたという訳よな。」

「そう、何を企んでいるか分からないが、ロクな事ではないだろうな。
 それでこれからどうする?」

麻生はその場にいる全員に問い掛ける。
相手は艦隊と言うのだから一隻だけではない筈だ。
不用意に使づけば、艦隊全部から攻撃を受ける可能性もある。
それでも、建宮はニヤリ、笑みを浮かべて言った。

「そんなの確認するまでもないよな。
 助けに行く、それだけよな。」

建宮は後ろにいる天草式のメンバーに視線を送る。
その視線を見た天草式のメンバーは頷く。
麻生はそれを見て、二度目のため息を吐いて言う。

「どうせ、俺もついて行かないと駄目なんだろう?」

「乗りかかった船よな。
 それにお前さんがいてくれるだけでかなり心強いよな。」

麻生の肩をばしばし、と叩いて天草式はアドリア海に向かって歩き出す。
麻生とインデックスもそれについて行く。
少し歩いて、一番近い海辺に着く。

「それでここからどうするんだ?
 まさか、潜って行くとか言わないよな?」

「そんな事をする訳ないよな。」

建宮はポケットから輪ゴムで束ねた紙束を取り出す。
その中の一枚を引き、海に投げる。
紙は海面に落ちると、ドン!!、と水分によって膨張した紙切れが、大量の木材を生み一つの船が作り上がる。
全長三〇メートル、全幅八メートルほどの、ラグビーボールのような船ができあがる。

「これで「女王艦隊」に近づくよな。
 おそらく、サーチ術式を発動してあるから囮も作る必要もあるよな。」

そう言って、他の紙束に巻いてある輪ゴムを外し、一気に海面に投げ捨てる。
それらも海面に落ちると、ドン!!、と水分によって膨張して、長さ三〇メートル、幅は七メートル、高さは帆を入れて二〇メートル弱の帆船ができあがる。
一隻二隻ではなく数十もの帆船が海面に並ぶ。

「こいつらでかき回しながら、オルソラ嬢達を救出しに向かうよな。
 それじゃあ、皆はこの船に乗り込んでくれ。」

麻生達はラグビーボール型の船に乗り込む。
全員が乗り込むと、翼のように広がっていた木材が船を覆う。
完全に覆い被さると、船は動き始める。

「これは上下艦ってヤツよ。
 外に出した帆船を囮にしつつ、我らは水中深くから接近するよな。」

そう言って、建宮はどこから出したのか、フランベルジェを片手に持ち待機する。
他の天草式もそれぞれ武器を持ちながら各々自由に行動していた。
艦隊に近づくのに時間がかかるのだろう、と麻生は勝手に考え、近くの壁に背中を預ける。
インデックスは上条は心配なのかソワソワ、と落ち着きがない。
すると、麻生は多くの視線を感じた。
周りを見ると、建宮と五和を除く天草式のメンバーが麻生の事をじ~、っと見つめていた。
そして、ひそひそと話し声が聞こえる。

「あれが教皇代理が頼りにしていると言っていた御仁か。
 見た目は普通の人間に見えるが。」

「あなたはオルソラ様救出作戦に参加していなかったから、そんな事が言えるのよ。」

「そうだぞ、彼一人で二五〇名の戦闘シスターを壊滅させたのだぞ。」

「我らがどれだけ助けられたか分からない。」

「噂では女教皇様(プリエステス)もあの方に完敗して、さらにはもっとも頼りにしているとか。」

「なるほど、五和が惚れるのも無理はない。」

「五和は死に際に颯爽と助けてくれたらしいぞ。」

「絵に描いたような王子様みたいね。
 少し羨ましいかも。」

「何でも女教皇様(プリエステス)も彼の事を好いているとか。」

「それは初耳だな。
 女教皇様(プリエステス)には悪いが我らは五和を応援するぞ。」

最後の辺りはよく聞こえなかったが、麻生の事について話しているようだ。

「お前達は俺に何か用があるのか?」

麻生が訪ねると、彼らは一斉に首を横に振り各々散らばる。
少し居ずらい雰囲気を感じた麻生は、壁に背中を預ける。
その時、船が大きく揺れた。
突然の揺れにその場いる全員が少し驚く。

「大丈夫よな。
 おそらく、艦隊が囮の船に気がついて攻撃しているんだろうな。
 我らも気がつかれる前に接近するぞ。」

「そういえば、接近するのはいいがその後はどうするんだ?」

「そんなの考えてないよな。
 当たって砕けろ!!」

「おい、待て。
 その選択は間違いなくアウトだぞ。」

麻生が建宮を止めようとした時、一段と船が揺れる。
それに合わせて、慌てた天草式の男が一人近づいてくる。

「教皇代理!
 艦隊が別の艦隊を攻撃しています!」

「何だと!?
 それはどういう事よな!?」

「わ、分かりません。
 ですが、艦隊の残骸が海に沈んでいくのを感知しています。」

「どういう事よな?」

敵の艦隊を見つけ、それを攻撃するのなら分かる。
だが、味方の艦隊を攻撃する意味が全くない。
むしろ、デメリットしかない。
建宮はその意味について考えようとするが、別の天草式の男が建宮に報告する。

「艦隊の残骸の中に生命反応を複数察知しました!!」

「・・・・・・・・・インデックス、「女王艦隊」は何でできている?」

「え?・・・えっと、魔術で作った氷だけど。」

「なるほどな、建宮。」

インデックスの言葉を聞いた麻生は建宮に指示を出す。

「おそらく、その生命反応の中に当麻達がいる筈だ。
 回収しないと溺死するぞ。」

「ちょっと待つよな。
 何がどうなって・・・・」

「説明は後でしてやるから、今は回収作業を優先にしろ。」

「・・・・分かったよな。
 お前ら!生きている奴は全員救うぞ!!」

船が激しく移動する。
船の前面が、四つに分かれると花のように開いて海に投げ出された人を次々と回収していく。
回収した中には見慣れない男が数人とローマ正教の修道女などだ。
その中にはルチアとアンジェレネという修道女もいる。
麻生もこの二人には見覚えがあった。
その中にオルソラ、最後に上条が回収されていった。 
 

 
後書き
感想や意見、主人公の技の募集や敵の技の募集など随時募集しています。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧