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ソードアート・オンライン ~双子の剣士~

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第六章 第一層攻略会議②

 
前書き

中間テストなう


⋯⋯なのですが全くテスト勉強をしていない今日このごろ⋯⋯⋯⋯ 

 

その日はエギルと名乗った戦斧使いがアルゴのエリア別攻略本を使いキバオウを黙らせた

キリトとノアは無料配布していたことに少なからず驚いていた


「アルゴさんが情報を無料で配布しているなんて⋯⋯」
「あの商売の鬼が無料配布とか有り得ないだろ⋯⋯」


さすが双子だけあって意図せずに同じような事を同時に呟いていた

⋯⋯今回の事は、あの《鼠》の事を知っている奴なら誰もが同じような反応をしただろうが⋯⋯
まぁ、ともかく攻略会議はそこで終了となった


そして、会議の翌日にボス部屋が発見されるというかつてないほどのハイスピードで迷宮が攻略された
ディアベル達はその場でボス部屋の扉を開け、住人の顔を拝んで来たらしい
それをその日の夕方に再び開かれた会議で青髪の騎士は誇らしげに報告した

ボスは身の丈が二メートルに達する巨大なコボルド
名は《イルファング・ザ・コボルドロード》、武器は曲刀カテゴリで取り巻きに、金属鎧に斧槍を携えた《ルインコボルド・センチネル》が三匹

そこまでの情報は、ベータの時と全く同じである


「⋯けど違うんだろうなぁ」
「⋯ああ、だろうな」


ノアとキリトが同時に溜め息を吐く


「にしても大丈夫か、アルゴのやつ」


キリトは手に持っている《アルゴの攻略本》を見ながら呟く
ボスの攻略法が中に書かれており、閉じた裏表紙には今までの攻略本に存在しなかった一文が赤い文字で書かれて並んでいる

【情報はSAOベータテスト時のものです、現行版では変更されている可能性があります】
と、書かれているのである


とまぁ、キリトはいつものように人の話を聞かずに考え事をしていたが


「⋯⋯それじゃ、早速だけど、これから実際の攻略作戦会議を始めたいと思う!
何はともあれ、レイドの形を作らないと役割分担もできないからね
みんな、まずは仲間や近くにいる人と、パーティーを組んでみてくれ!」
「⋯⋯⋯⋯⋯なんだと」


というディアベルの言葉で現実に引きずり戻された


「ど、どうしよう」

ノアが焦ったような声でキリトに囁く

キリトもノアもとてつもなく人付き合いが悪いのである
周りはディアベルの指示からわずか一分足らずで、七個六人パーティーがアッサリ完成してしまった


「⋯⋯⋯ん?」


キリトは少し離れたところにひっそりと立つフーデットケープのプレイヤーを発見し、そちらへ歩いていった


「⋯⋯⋯⋯あんたもアブレたのか」


キリトが小声で訊くと、押し殺した声が答えた


「⋯⋯⋯⋯アブレていません
周りがみんなお仲間同士みたいだったので遠慮しただけです」
「⋯⋯⋯アブレたってゆうんだと思うんだけど」


幸い、ノアの呟きはフードのプレイヤーには聞こえなかったらしい
キリトはそれをスルーして真顔で言った


「なら、俺達と組まないか?レイドは八パーティーまでだから、そうしないと入れなくなる」


フードのプレイヤーは一瞬逡巡を見せた後、頷いて言った


「⋯申請のやり方が分からないのでそちらが申請してもらえますか?」
「⋯⋯ああ、分かった」


キリトは相手のカラー・カーソルに触れるとパーティー参加申請を出した
フードのプレイヤーが恐る恐るといった感じでOKを押すと、視界左側にやや小さい三つ目のHPゲージが出現した
【Yukina】それがフードのプレイヤーの名前だった
⋯⋯声で何となく分かっていたのだが、フードのプレイヤーは女だった

その後、ディアベルに取り巻きコボルドの潰し係を押し付けられた


「⋯⋯どこが重要な役割なんですか
ボスに一回も攻撃できないいまま終わっちゃうじゃないですか」
「し、仕方ないよ、三人しかいないんだから」
「スイッチでPOTローテするにも時間が全然足りない」
「⋯⋯スイッチ? ポット⋯⋯⋯?」


訝しそうな呟きに、キリトは改めて思った
この少女は、本当に何の知識もない完全な初心者として、ここまでたった一人で来たのだろう


「⋯⋯あとで、全部詳しく説明する
この場で立ち話じゃとても終わらないから」


その後、いろいろと話し合った後
キリト達三人はフィールドに出て、百聞は一見にしかず、ということで実践をしながらフードの少女にひたすらレクチャーすることになった

この時に分かったことだがこの少女はどうやらソードスキル《リニアー》一つしか使えないらしい
しかも、尋常じゃなく速く、正確に敵の急所を突くのであった






「⋯⋯みんな、いきなりだけど⋯⋯ありがとう!
たった今、全パーティー四十四人が、一人も欠けずに集まった!!!」


途端、うおおっという歓声が広場を揺らし、滝のような拍手が起きる


「今だから言うけど、オレ、実は一人でも欠けてたら今日は作戦を中止しようって思ってた!
でも⋯⋯そんな心配、みんなへの侮辱だったな!
オレ、すげー嬉しいよ⋯⋯こんな、最高のレイドが組めて⋯⋯
まぁ、人数は上限にちょっと足りないけどさ!
もう、オレから言うことはたった一つだ」


右手を左手に走らせ、銀色の長剣を音高く抜き放ち⋯⋯


「⋯⋯⋯勝とうぜ!!!」



移動を開始してしばし

ユキナは疑問に思い、隣を歩いている片手剣士二人に話掛けた


「⋯⋯あの、あなた方はここに来る前も他のエ⋯⋯、MMOゲーム?っていうのをやっていたんですよね?」
「ああ、まあな」
「うん、そうだよ」
「他のゲームも、移動の時ってこんな感じなんですか?なんていうか⋯⋯遠足みたいな⋯⋯」
「⋯⋯ふふ、遠足はよかったなぁ」


ノアが口元に手をやり笑う


「残念ながら、他のタイトルじゃとてもこうは行かなかったの
だって、フルダイブ型じゃないゲームは、移動するのにキーボードなりマウスなりコントローラを操作しなきゃいけないからチャット窓に発言を打ち込んでいる余裕はなかなかないの」
「⋯⋯ああ、なるほどです⋯⋯」
「まぁ、ボイスチャット搭載のゲームはその限りじゃないだろうけど、俺達はそういうのやってなかったからな」
「へえ⋯⋯」


そんな会話をしながら進んでいき

午後十二時半過ぎにボス部屋の前に辿り着いた


「⋯⋯ちょっといいか」


キリトとノアはユキナに身を寄せると声を低めて囁いた


「今日、俺達が相手する取り巻きは雑魚扱いだが充分に強い」
「昨日もかいつまんで説明したけど、頭と胴体の大部分を金属鎧でがっちり守ってるから、あなたの《リニア―》もただ撃つんじゃ徹らないの」
「解ってます
貫けるのは喉元一点だけですよね」
「そうだ
俺とノアが奴等の長柄斧をソードスキルで跳ね上げさせるから、すかさずスイッチで飛び込んでくれ」


こくり、とユキナは頷き、大扉に向き直った


ディアベルは、銀の長剣を高々と掲げると、大きく一度頷いた
四十三人のレイドメンバーも、それぞれ武器をかざし、頷き返した
青いロングヘアをなびかせて振り向き、騎士は左手を大扉の中央に当て⋯⋯⋯


「⋯⋯⋯⋯行くぞ!」


短く一言だけ叫び、思い切り押し開けた



ボス戦がついに始まった 
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