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深き者

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第十五章


第十五章

「まあ海の中で戦ってもですね」
「そのままだと間違いなくこちらがやられる」
 こう返す役だった。
「それはわかるな」
「ええ。じゃあどうしましょうか」
「その為には海の中でも戦えるようにしていくことだが」
 役の言葉は続く。
「そうした薬もないわけではない」
「錬金術のですね」
「そうだ。そしてだ」
 さらに言う役であった。
「君の術も必要だ」
「俺のですか」
「私の周りにも君の周りにも結界を張りだ」
「それで相手の攻撃も水も防ぐんですね」
「その二段でいく。これでどうだ」
 ここまで話したうえで本郷に問うてみたのであった。
「それでだ」
「そうですね。悪くないと思いますよ」
 暫く考えてからこう返した本郷だった。
「それで」
「そうか。ではそれで決まりだな」
「ええ。それでですけれど」
 だが本郷はさらに言葉を続けるのだった。
「その薬っていうのは」
「空気がなくとも呼吸できるものだ」
 それだというのである。
「簡単に言えば鰓呼吸ができるようになるものだ」
「それで海の中を進んで、ですか」
「ついでに言えば水面を歩けるようにもなる」
 それに付け加えて、であった。それもあるというのである。
「それでどうだ。かなり有利に戦いを進められると思うが」
「そうですね。地上と同じように戦えればそれで問題はありませんからね」
「私も海中では銃を使えない」
 ここでは顔を曇らせた役であった。
「それに対する考えもあるのだしな」
「備えあればってやつですね」
「君も手裏剣が使えないが」
「ああ、それはですね」
 今の役の言葉に対して楽観そのものの言葉で返してきたのだった。
「大丈夫ですよ」
「大丈夫なのか」
「ええ。海の中でも結界使って使えますし」
 こう言うのである。
「普通に投げられます」
「そうか。それならいいのだがな」
「それに持ってるだけでもかなり武器になりますしね」
 本郷の言葉が続く。
「いけますよ。連中は飛び道具とかありませんしね」
「あの連中ならないな」
 役も考えながら述べる。
「あの神に仕える連中ならばな」
「だから大丈夫ですよ」
 またこう言う本郷であった。
「手裏剣も」
「よし。それならばだ」
 役は本郷の言葉をここまで聞いたうえで頷くのだった。
「今回は速攻で行くか」
「速攻ですか」
「そうか。すぐに相手を襲撃する」
 こう言うのだった。
「すぐにな。それでどうか」
「俺はそういうのが大好きなんですけれどね」
 そして本郷も役のその提案に対して笑ってみせ乗り気であるということを見せるのであった。
「もう電撃戦っていうのがね」
「それなら問題はないな」
「ええ。それじゃあ仕掛けますか」
「今夜だ」
 もう時間も決めるのだった。
「今夜早速仕掛ける」
「わかりました。それじゃ」
「それまでは英気を養っておくか」
「そうですね。じゃあ昼は寝ますか」
 気軽にこんなことを言う本郷であった。
 
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