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悪魔は避けて通れ

作者:雨棒
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第4話

 
前書き
初お気に入りを頂いてうれしいばかりです! 

 
 夢を見た。温かい家庭で笑っている夢。みんなとご飯を囲む風景は懐かしくて、寂しかった。私は食べ終えて食器を運ぶ。パリンッ!食器を落としてしまった。片付けないと。割れて粉々の食器に触れる。うっかり手を切って血を出してしまった。血がダラダラと流れ、足元を血で染めていく。辺り一面真っ赤に染まる。いや違う。私の血じゃない。気づくと傷は塞がっている。それでも血は広がり続ける。おそるおそる後ろを振り向く。そこにいたのは…。

 はっとして目が覚めた。ベットは寝汗で湿っていた。気持ち悪い。シャワーを浴びて制服に着替える。今日はナルミに朝から呼び出されている。髪の毛を乾かして寮を出た。初等部の職員室に入りナルミのところに向かう。
「ナルミ先生。」
「おはよう、咲月ちゃん。今日は階級と能力別クラスの話をしようと思ってね。咲月ちゃんはトリプルだよ。」
星のバッジを受け取った。トリプルの階級は初等部ではあまりいない。この学校は階級によって色々な特典がある。その中でもスペシャルは一番上で、幹部生にしか与えられないとか。日向棗はスペシャルだったっけ。
「あと、咲月ちゃんは特別能力系になるから、今日の能力別の授業はそこに行ってね。」
特別能力系。特力系は色々なアリスが集まっている。私もその仲間に入るというわけだ。今日は能力別授業の日なので中等部に向かわなければならない。ナルミに地図をもらって職員室を後にした。


職員室[ナルミ]

 彼女は危険能力系になる予定だった。ここにくる前の事が多分その要因だ。しかし私と他の先生たちで上に掛け合った。半年だけ猶予を与えられた。彼女がこのままの状態で彼の処に行ってしまったら、彼女は本当に壊れてしまう。半年の間に出来るだけ仲間を作るんだ。自分を支えられるだけの、生にしがみつく理由を作ることができれば君は、きっと心から生きたいと思えるようになるから。



屋外[咲月]

 私は地図が苦手だ。自分がどこにいて、どっちをむいているのか分からないから。実際に今も中等部に向かっているがどこが中等部なのかさっぱり。もう授業は始まってるし、辺りには人気もない。どうしようもないので木に登って辺りを見渡すことにした。最悪、寮に戻って休みたい。一番高そうな木を探す。木の根元に立って、口に手をあてて力を使う。力を足に移すと高く飛び上がる。太い枝を足場にひょいっと上がっていく。結構な高さまできたら葉っぱを掻き分けて辺りを見た。すぐそこに中等部があった。木に登ったのが馬鹿馬鹿しく思えるほど近くにあってため息が出る。降りようとしたとき、後ろから物音が聞こえて振り返った。


 
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