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悪魔は避けて通れ

作者:雨棒
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第1話

 
前書き
初投稿作なので優しく見守ってください。誤字脱字には気をつけていますがあるかも知れないので報告お願いします。原作に沿ってみたり沿わなかったりしています。
 

 
 普通が良かったなんて思うようにになったときには、普通には戻れない。普通に生きて普通に青春して普通に死ねたらどんなに幸せか。あの頃の私には分からなくて。こんな世界に生を受けたということは、どんなメッセージを含んでいるのか、私には分からなかった。しかし普通でない出来事も連続して起きれば普通に変わってしまうのだから結局は同じことの繰り返しだと気づいたのはいつからだっただろうか。こうして時間は知らぬ間に過ぎて行く。

寒い。すごく寒い。寒さに耐えようと体を擦ってもどうしようもない。赤くなる手足とは逆に白く血の気を失った肌はほとんどの感覚を持たない。寒さは私の生を奪っていく。それでも私の生はまだこの世にしがみついている。近くから足音がする。悪魔の足音が。逃げなければ、私はまた悪魔になってしまう。逃げ出したのに!もう戻りたくない!歩いて、走って、逃げ回る。もっと早く、遠くへ。冷たい体を無理やり動かして逃げる、逃げる、逃げる。気持ちばかり早く早くと焦って、心臓がバクバクと脈打つ。寒さで喉が焼けるように熱い。膝をついて口を手で覆う。息がまともにできない。地面にうずくまり呼吸を精一杯する。足音が頭のすぐ上で止まる。誰かが来た。それは悪魔の手先なのか、天使の使者なのか。意識を手放した私には分からなかった。でもその人間はとても暖かかった。



私が目を覚ましたとき、目の前に見えたのは金色の髪をもった天使の使者だった。天使の使者はここは安全な場所だと、自分は味方だと告げた。天使の使者、彼はナルミというらしい。そしてここは学校だという。特別な力をもった子どもたちが集められた学校。ナルミはここの教師をしている。彼も特別な力を持っている。私と同じ特別な力。私もこの学校の生徒として生活しなければならない。私、金谷川咲月(かなやがわ さつき)のアリス学園での学生活が始まった。 
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