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ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄

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第三話「サッカー/SOCCER」

 
前書き
遅くなって申し訳ありません。ようやく書き終えたので投稿します! 

 
僕、蒼霧タケルは極度な対人恐怖症の小学生です。しかし、そんな僕は謎の金属生命体モデルXと出会い、ロックマンとして魔法少女になったなのはと共にジュエルシードの回収に協力するのでした……
そして、とある夜更けの鳴海市内でも、僕ことロックマンと魔法使いの少女なのはが静まり返った学校の校庭で……
「チャージショット!」
深夜の校庭に僕が放つ数発のチャージショットの銃声が響き渡り、
「リリカル・マジカル!ジュエルシード、シリアル20……封印!!」
レイジングハートがジュエルシードを吸い込んだ。
「二人ともお疲れ様!」
『タケルもなのはも、お互いに上達しているね?』
こうして、なのはは魔法少女を営んで僕はイレギュラー化、いわゆる暴走したジュエルシードを回収する魔法使いの用心棒「イレギュラーハンター」なるものを営んでおります。
理由は、ロックマンの力でジュエルシードを撃破したら大爆発を起しかねませんので市街地の中では封印という形で最期はなのはのお役目です。

こうして、二人は夜の戦いを終えてクタクタになった身体でふら付きながら自宅へ帰るのでした。
「あぁ……疲れるな?」
重い瞼を抱えて歩く僕と、その後ろにはレイジングハートの杖を引きずって歩くなのはがいた。
「ハァ……ハァ……」
「な、なのは……大丈夫?」
この中で最も疲労している彼女にユーノが心配する。
「大丈夫……なんだけど、ちょっと疲れた……!」
すると、なのははバタリと路地へ倒れてしまった。
「な、なのは!なのは?大丈夫!?」
ユーノが揺さぶり、僕も慌てて彼女に歩み寄る。
「なのは……!?」
タケルはなのはを抱き起こしすと、彼女の額に掌を添えた。かなり高い熱を出している。
「熱が出ている……!」
タケルはなのはを揺さぶって起すが、
「なのは……!」
しかし、彼女は唸るだけで何の返答も無い。これはカナリの疲労と熱が彼女を苦しめているようだ。僕は仕方ないと、なのはをおんぶして家まで帰宅した。
「なのは、もうすぐ家に着くからね……?」
幸いなのはの身体は結構軽く、それほど負担は掛からなかったので僕は軽い汗を額から流しただけで、それほど家に着くまでも時間はかからなかったが、
「……今頃桃子さん達心配しているよな?」
明日は休日だからといって小学生二人が夜更けに出歩いていたら何と言われるか……
「ハァ……」
その後、僕はどうにか恭也達に見つからず家に潜入でき、なのはも無事に部屋へ運ぶことが出来た。
翌日、なのはの熱も下がり、僕も多少の睡眠不足で疲れたが熱は出す事は無く健在だ。
「お、おはようございます……」
少しフラフラするも、僕は食卓へ顔を出した。最初は少し恐がって余り顔を出す事はしなかったが、今は少しずつだがロックマンとなって高町家の人たちと仲良くなりつつある。
「おはよう、タケル君!」
「あら、おはよう?」
新聞紙を広げる士郎さんと台所で朝食を作る桃子さん、恐がっていたものの声を掛けられるに連れて悪い人じゃないことが徐々にわかってきたし、それほど警戒もしなくなった。
「……」
しかし、食卓では皆の話に溶け込むわけでもなく、ご飯を食べたら食器を片付けて部屋へ戻るだけだった。しかし、今日は士郎さんがなにやらご機嫌のようだ。
「なぁ?タケル君」
と、案の定士郎さんは僕に声をかけた。
「は、はい……?」
僕は恐る恐る士郎さんの話に耳を傾ける。
「タケル君はサッカー好きかい?」
「……?」
いきなり何を言い出すのか?サッカーか……でも、「大嫌い」と言ったら士郎さん残念がるし、それに過去の妄想がまた襲って僕を苦しめる……ここは中立な意見で、
「……えっと、普通?です」
「そっか、実は私はね?少年サッカーの監督をしているんだよ?」
「少年サッカー……」
「どうだい?今日は休みだし気分転換にサッカーをして汗を流さないか?」
「や、やるの……?僕が?」
そう言われて僕は困ってしまう、実はサッカーで散々虐められたことがあり、士郎さんには申し訳ないけど、僕はサッカーが死ぬほど「大嫌い」だ……
「……」
僕は口を閉ざすと、
「丁度君サイズのユニフォームも残っているし、やってみないかい?」
「なっ……!?」
そういうと士郎さんは笑顔でユニフォームを両手に持って見せた。彼は僕にサッカーをやってもらいたいようだ……
「っ……」
どうしよう?僕は運動オンチで体力なんか全然無いし……でも、士郎さんの期待を裏切ったら妄想が……
「あ、ありがとうございます……」
僕はしぶしぶと士郎さんからユニフォームを受け取った。
その後、士郎さんが監督の少年サッカーチーム翠屋JFCに僕は強制的?に入部させられて士郎さんが僕をメンバー達に紹介した。
「……と、言う訳で今日から新人のタケル君をよろしくな?」
「……」
ユニフォーム姿に着替えた僕はこれまでにない気まずさに包まれていた。しかし、サッカーも気まずいが、何より気まずいかというと……
「タケル君!頑張ってね?」
「頑張ってください?」
「カッコいいとこ見せなさいよ?」
「……」
なのはと彼女の友人二人が応援に来ていることが何よりの気まずさであった。ここで僕が妄想を引き起こして疾走などすればなのはの友達は気味を悪くし、それがなのはの評判にまで繋がって……
そして、さらに気まずさは続く。僕が持ってきたリュックのチャックの隙間から……
『タケル!がんばって……?』
モデルXまでがこちらを見つめている……
「最悪だ……逃げ出したい、全ての現実から目を逸らしたい……幻なら全て滅びよ!」
小学生が言うようなこととはとても思えない台詞を僕は口にしていると、いつの間にか審判が咥えるホイッスルの音が鳴った。
選手達はボールを追いかけて一斉に走り出し、僕も後を追うが足が遅い分やはり目立ってしまう……
「あれ?タケルだけ何だか遅いよ?」
と、アリサ。
「まだ他人に慣れていないから恥ずかしいんだよ?」
と、すずかが理解するとアリサもタケルが対人恐怖症だと思いだして納得した。
「タケル君大丈夫かな?今朝お父さんが喜んでタケル君を連れて行ったけど、タケル君……あんまり嬉しそうじゃなかったみたいだし」
なのははタケルの気持ちを悟って心配していた。
「そら、パス!」
一方、試合中に選手の一人が僕のもとへパスを渡してきたが、
「いただきぃ!」
「あ……!」
とろうと思ったが、運動神経ともに反射神経も鈍い僕なので直ぐに相手選手にパスを奪われてしまった。
「おいおい!何やってんだよ!?」
始めて早々僕は怒られてしまった。
「!?」
しかし、こんなところで怖がってたまるか!試合が終わるまで頑張らなくちゃ!
「どんまい!どんまい!気にしないで?」
「?」
すると、向こうから味方側のキーパーが僕に優しく励ましてくれた。彼は確かレギュラーの……名前なんか知るはずがないや。
ドンッ……
「痛っ!」
「わぁ…!?」
気を取り直して走ろうとすると、ボールを持つ味方選手とぶつかってまたボールを奪われてしまう。
「な、何するんだよ!?」
「ご、ごめ……」
謝ろうとする暇もなく選手は怒って行ってしまい、それでも気を取り直してプレーしようも、今度はボールがこちらへ向かって飛んで行き、
「!?」
つい反射的にボールを手で払ってしまい、審判から「ハンド!」と叫ばれてしまった……
「あ……」
「タケル君!しっかり!?」
と、ベンチではコーチの士朗さんが目立つ僕に叫んでいる。これほど足手まといならいい加減選手交代してもいいじゃないかと思うが、士朗さんは僕のことを思ってか?試合が終わるまで僕をフィールドへ取り残したのだ。
とにかく、僕がいようがいまいが2対0で翠屋JFCの圧勝で終わった。これもあのキーパーのスーパーセーブによる大活躍が決め手であった。ちなみに僕はほぼ全員の足を引っ張ったようなもの。後で陰口を言われるのを覚悟していよう……
「ハァ……ハァ……!」
僕は今まで以上に体を動かしたので鈍っていた体が悲鳴をあげて激しく息切れを起こしていた。
「よーし!全員よくやった!後で飯を食おう!!」
勝利に喜ぶ士朗は全員をレストランへ連れて行くが、僕だけは帰る支度をして家へ帰ろうとしていた。
「タケル君?どうした?」
と、皆とは正反対の道を歩こうとしている僕に士朗さんが声をかける。
「そ、その……今日は疲れたので早めに家へ帰ろうかと?」
「え?今からレストランで飯を食いに行くところなんだよ?タケル君も一緒に行こう?」
「い、いえ…遠慮しておきます……僕、食欲が……」
「いいから?遠慮はいらないよ?」
「……」
僕は困っていると、再びあの「妄想」の声が士朗さんの姿を背景に聞こえてきた。
(この役立たずが……!)
「!?」
その瞬間、僕は急に膝が落ちてパニックに陥ってしまった。そして、急に締め付けるかのような息苦しさが僕を襲う。
「うぅ……!?」
発作だった。僕は両手で口を覆い、呼吸難に苦しみだした。最近起こりはしないと思っていたのに、今日に限って……
「た、タケル君!?」
士朗さんが急に様態が悪化した僕に近寄るが、僕は士朗さんの差し伸べる手を振り払って土手を駆け上り、失踪してしまった。
「ま、待ってくれ!タケル君!?」
士朗は先にレストランへ行くように選手たちへ言いかけると、タケルを探しに駈け出した。
「タケル君どうしたの!?」
疾走する彼の場面を目にすずかは驚いていた。
「やっぱり、集団のスポーツだからまずかったかな?」
アリサは予想していたアクシデントに納得していた。
「私、タケル君を探しに行ってくる!二人は先にレストランで待ってて!?」
なのはも士朗に続いてタケルを追いかけに行った。

「……」
僕は怖くなってライト博士のもとへ向かおうとそこに続く歩道を歩いていた。
『タケル……やっぱり君はサッカーが嫌いだったのかい?』
すると、リュックからモデルXが僕に囁いてきた。また、モデルXは僕とテレパシーで会話もできるため、人ごみではいつもそうして会話をしている。
「う、うん……」
『そうだよね?でも、君は士朗さんの期待を裏切りたくなかったんだよね?それで無理をしてまでもサッカーに出たんでしょ?』
「……」
僕はうなずくと、モデルXは優しく慰めてくれた。
『君は本当にやさしいね?自分のことよりも他者に合わせようとするなんて……でも、逆に無理なことに付き合うと、今度は逆に相手が心配してくるよ?今頃士朗さんは君を必死になって探していると思う。会ったら素直に自分の思うことを打ち明けよう?』
「うん……」
『大丈夫、僕も一緒に居てあげるから勇気を出して?ね?』
「……」
「あら?あなたは!」
「え?」
その声に僕は振り向くと、後ろには学校でよく絡んでくる……じゃなくて!よく合うクラス委員長の……白金さん?別名委員長。
「委員長……!?」
僕は警戒して逃げようとしたが、目の前に巨大なお腹と正面所とつしてポヨヨンと跳ね返って尻もちをついてしまった。巨大なお腹の正体は牛島君の腹部であった。
「よ!帽子野郎」
「……!?」
僕は彼がいることに驚いてまた虐められるのではないかと怯えていると。
「まちなさい?別に休日のプライベートくらい私は指導をかけたりしないわ?」
と、委員長がそう言って歩み寄ってきた。
「ま、僕たちも君に敵意をもって居ませんので、警戒は控えてください?」
次に牛島君の後ろから最少院君が隠れていたかのように出てきた。
「じゃあ……何の用?」
僕を指導する以外は思い浮かべない。
「別に?街中であなたの姿を見かけたから、ただ声をかけただけよ?」
そう委員長がキッパリ答えたので僕は意外にもキョトンとした。
「そ、そうなの……?」
「ところであなた?サッカーとかやったりするの?」
と、彼女は僕が翠屋JFCのユニフォームを着ている姿を見てそう尋ねた。しかし、僕は全否定する。
「違うよ……成り行き」
「ふうん?それよりも、明日は月曜日なんだから宿題はちゃんと忘れずに済ませなさいね?」
それだけ口うるさく言うと、委員長はお供の二人を引き連れて僕と別れた。
「さて……」
気を取り直して僕はライト博士の自宅へ向かおうとすると、また背後から声がした。
「おや?タケル君じゃないか?」
「あ、先生……?」
振り向くと、そこには育田先生が学校でおなじみの白衣姿で僕に声をかけてきた。
「日曜日にサッカーかい?」
と、委員長と同じ質問をしてくるので、
「ちがいます……」
そうきっぱり答える。
「え?じゃあ何だい?」
「僕、サッカーが怖いです……」
「サッカーが?でもどうしてユニフォームなんかに?」
「……」
すると、しゅんとなった僕の様子を見ると先生は、
「ほほう……訳ありのようだね?」
先生は僕を喫茶店へ連れて行き、そこで相談を聞いた。
「……なるほど、つまり保護者のおじさんの期待を裏切りたくなかったから、苦手なサッカーをすると?」
「はい……」
僕はジュースのストローを突っつきながらそう頷いた。
「そうか……でもね?タケル君、君はまだ子供だ。だから苦手な誘いだったら遠慮なく断っても良いと思うよ?多分、君のおじさんも正直な答えを望んでいると思う。無理して誘いに乗ってしまえば、誘った本人が心配してしまうからね?君のその優しい気持ちは素敵だが、時には素直になってもいいんだよ?」
「……」
「さて!私はこれで失礼するよ?家で子供たちが待っているんだ?」
「先生、結婚していたんですか?」
「ああ!これでも父親でね?タケル君もお家の人が心配しているんだし、早っく帰ってあげなさい?」
「は、はい……」
道徳先生を別れた後、僕は勇気を出して自宅へ路を歩みだした。理由を問われるかもしれないけど、勇気を出して素直に伝えればきっと士朗さんだってわかってくれるはずだ。
いつまでも妄想や発作に怯えていたら駄目だ。僕はロックマンなんだ!
「……あれ?」
そう意気込んでいるとき、向こう側の横断歩道で今日活躍した翠屋JFCのキーパーとその隣にはマネージャーの女の子が居た。
「……」
僕は何だか気にかかって、二人の様子を見つめていると、
「あ、あれは……!?」
『ジュエルシード!?』
モデルXもそれに察知したが、既に遅かった。なぜなら、それはキーパーがマネージャーにジュエルシードのかけらを手渡した時に気づいたのだから。
「!?」
突如、キーパーからマネージャーの手元へジュエルシードが渡った刹那、二人は眩い光に飲み込まれ、天空に光の柱が突き刺さった。
そして、その地面から巨大な根が湧き出し、それはビルをも飲み込み、巨大な大木へと遂げてしまったのだ。町中は突如出現した巨大な木々によって大半が飲み込まれてしまったのである。
「こ、これは……」
ロックマンXへ変身した僕はビルの屋上でその惨状を目にした。
『ジュエルシードがイレギュラー化したんだよ……』
モデルXはどう説明するが、僕にとってこの現場は今までの戦いの光景とは違いすぎた。
「そ、そんな……だって、今までこんな事にはならなかったのに!」
「たぶん、人間が発動させちゃったんだよ?」
僕の後ろでなのはの肩にのるユーノが語った。
「酷い……」
なのはも、僕と同じようこんな光景は今まで見たこともなかったから驚くのも無理はない。
「強い思いを持った者が願いを込めて発動させた時、ジュエルシードは一番強い力を発揮させるから……」
その説明を聞いた僕はあのとき、向こうの歩道にいた二人に対してもっと早く気づいていればと強く悔んだ。
「そんな……どうして…どうしてあの時早く気付かなかったんだ!?」
僕は先ほどまで己の気弱だけに気を取られていた自分を酷く憎んだ。もっと早く止めることが出来たなら、こんな惨状にはならなかったというのに……
僕はなのはと共に大木とその根に覆われた町並みを目にそう思った。
「そんな…タケル君だけのせいじゃないよ!私だって最初からあの子が持っていたかもって思っていたんだよ?私だってあの時気づいていれば……」
「なのは……」
僕と同じよう悔むなのはにユーノは表情を曇らし、
『タケル……』
モデルXも同じような顔しか出来なかった。
そんな時、なのはが手に握るレイジングハートの杖が光だした。
「ユーノ君!こういうとき、どうすればいいの!?」
「え?」
積極的に本気になったなのははユーノに封印の方法を尋ねた。そして、僕も。
「モデルX!?」
『……!?』
彼は今まで聞いたことのない本気になった僕の呼び声に驚き、
「どうしたらいいの!?このイレギュラーをどうやったら止められるの!?」
『タケル……』
「……あ、うん!封印するには接近しないとだめだ。まずは元となった部分を見つけないと……でも、これだけ広がっちゃっていると何処を探したらいいか……」
『心臓部となるコアを探さなくてはならない。だが、こうも広くては……』
「元を探せばいいんだね?」
すると、なのははレイジングハートで周りに円を描くと、彼女の足元には魔法陣が浮かび上がった。
「リリカル…マジカル!探して?最悪の根源を!?」
レイジングハートは起動し、まるで探知機のような働きで杖から光が飛び散り、大木の周辺へと散っていく。
「……コアユニット捜索開始せよ…!」
一方僕は、ひとりでに口からアーマーへと支持を送っていた。
『タケル…!そんな、Xアーマーにこれほど強度なレーダー機能は……』
本来、モデルXには専用のパーツを装備しなくてはこれほど重度な探索は不可能なのに、タケルは自分も教えたことのない動作方法を口に唱え、捜査していた。
「ユニット検察……場所は……?」
僕の視界はまるでターゲットを探すロックオン場面へと切り替わり、そこに映るカーソルが大木の木々や無数の根を探しまわった。そして数秒後、僕はこの木々の中で一番高く聳え立つ大木の天辺付近を目にする。
そこには黄色い眉が埋め込まれ、中にはあの二人が閉じ込められていた。しかし、その大木の根元には閉じ込められた二人以外にも三人の人影が見えたのだ。その三人は……
「い、委員長達!?」
僕は咄嗟に叫んだ。なんと、委員長達がジュエルシードに寄ってイレギュラー化した
大木の根に囲まれて倒れていた。
『なに!?一般人が?』
モデルXは驚き、僕は彼らを助けるために駆けだす。
「なのは!僕があの三人を助けるから、それまで待っていて!?」
「わ、わかった!」
バスターで立ち塞がる根を排除し、道を作って三人のもとへ突っ込んで行く。
「三人とも!しっかりして!?」
ようやく根元まで来た僕はバスターで檻状に群がる根を壊して三人を担ぎあげる。ロックマンであるときは通常の倍の怪力を得るため牛島君でも軽く持ち上げることが出来る。そのまま僕は三人を抱えて根元から脱出し、安全な場所へ一先ず運んだ。
「なのは!今だ!!」
僕の叫びになのはのレイジングハートは鳥のように白い翼を広げ、先からは強烈なエネルギー派を集結させる。そして、僕もこの場からバスターを根元周辺の群れへと向ける。バスターも同じように眩い光がバスターの先へ集められていく。
「なのは!僕がフルチャージで邪魔な根を排除するから!?」
「お願い!タケル君!!」
限界まで達したチャージを僕は目標へ向けてロックオンする。
『まさか……この威力はフルチャージショット!?かつてオリジナルの彼しか編み出すことが出来なかったあの技を!?』
モデルXは予想もしないタケルの才能に目を丸くした。
「ターゲット捕捉!行け……フルチャージショットおぉ!」
僕が放つフルチャージショットに続き、なのはの魔法弾も撃ち放たれた。
僕のフルチャージショットが立ち塞がる巨大な根を薙ぎ払い、そしてなのはの魔法弾が中心ユニットの眉へ命中させた。
「リリカル・マジカル!ジュエルシード、シリアル10……封印!!」
レイジングハートから激しい光が放たれ、大木と根に飲まれた町はその光によって元の姿へと戻ることが出来た。
「大丈夫?しっかりして」
僕は委員長達のもとへ歩み寄ると、委員長の方を揺さぶった。
「う、うぅ……?」
彼女が目を覚ますと、目の前には蒼い鎧をまとった少年が自分の方を揺さぶっていた。
「あ、あなたは……?」
「ぼ、僕?僕は……」
あまりこの姿で名乗るのはどうも恥ずかしいが、僕はモデルXを見つめて……
(モデルX…ロックマン…)
僕は咄嗟に思いついた名前を彼女たちに名乗った。
「……僕の名前は、ロックマンX!」
そう言うと僕は壁蹴りでビルとビルを飛び移りながらなのはのもとへと戻った。
「ロックマンX……素敵!」
委員長はロックマンXと名乗ったタケルの背を目に目を輝かせていた……
「ROCK・ON…解除……」
僕はそう呟き、ロックマンの変身を解いた。そして隣には元の姿に戻ったなのはもいた。
「僕にでも使えない遠距離魔法……この子、一体どれだけ魔法の才能を持っているんだ?」
なのはの足元でそう思うユーノと、
『僕の機能とは対応外だった高性能なレーダー反応と、そしてあのオリジナルの彼にしか編み出せなかった伝説の技までも……この少年の適合能力は僕の想像以上にズバ抜けている……』
モデルXもこの事態を認めざるを得なかった。
「……いろんな人に迷惑かけちゃったね?」
そうなのはが呟くと、僕は頷いた。
「うん……」
「何言っているんだ!二人とも、ちゃんとやってくれているよ!?」
『そうだよ?そんなに自分を責めることはないよ?』
二人の相棒はそう慰めるも、
「私、本当はあの時気づいていたんだ?でも、気のせいかと思っちゃって……」
そう彼女は落ち込みながらしゃがみこんだ。
「なのは……」
僕はそんな彼女を見た。
「悲しまないで……?僕にだって責任があるよ。僕の気の弱さが、今日みたいな事を引き起こしたんだ」
「そんな、タケル君は何も悪くないんだよ?本当ならジュエルシードを集めるのは私の役目なのに、それをタケル君もが手伝ってくれて……今まで私が全部引き受けるはずだったのが、タケル君も一緒に居てくれたから……」
「なのは……」
それでも僕のことを責めず、むしろ感謝していた彼女に僕は振り返った。
魔法使いと、ロックマンになって初めての失敗を僕らは経験した。自分のせいで誰かが傷つくのは見たくない、自分ばかりが逃げていてはいけないと気付いた僕はモデルXと共にロックマンとなってなのはと一緒にジュエルシードを集めることにしたのです。
最初は収集だけが目的かと思っていた、自分なりに一生懸命やればそれでいいと思っていた、けれど、今日の出来事と出会って僕は気付きました。自分なりの一生懸命ではなく、全力の一生懸命でなくては、誰かが傷つき、悲しんでしまう。だから、なのはの助手としてではなく、自分の意思でロックマンの自覚を胸に戦おうと思いました……!
 
 

 
後書き
次回予告

なのはの友達の家に誘われた僕の目の前にもう一人のロックマンと名乗る適合者が現れる!
その圧倒的な強さに僕は苦戦して……

次回ロックマンX1st第四話「ゼロ/ZERO」

「君は……誰だ?」

 
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