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吉良の奇妙な生活

作者:そうん
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第一部「吉良吉影は眠れない」
  第四話「サンジェルマンにて」

 
前書き
どうも更新遅れてすいません。致し方なかったのです。家庭の事情というかなんというかで・・・まぁ所詮私のいい訳ですね。申し訳ないです。それでまぁ第四話「サンジェルマンにて」となっているのがお分かりでしょう。このサンジェルマンとは原作、第四部にて登場する店ですね。作中では吉良が片手にサンジェルマンの紙袋に切り取った手首を入れていましたが・・・。
 

 
第四話「サンジェルマンにて」

頭が痛い。今日は特にだ…。
あの事件から有伍が私によくつきまとうようになった。正直言って、目障りだ。だがしかし、私は一度彼を下部にしている。私は一度決めた事はやりとげるまで行使することにしている。
中途半端なのが一番嫌いだ。そしてこの有伍も中途半端だ。

「吉影様、焼きそばパン買ってきたぞぉ〜。」

「何?私はコロッケパン、略称:ロケパンと呼ばれるパンを頼んだはずだが?」

「んなこたぁどーでもいいじゃねぇかよぉ〜。
なぁ?これも同じくれーうまいはずだ、食ってみろよ。」

パンを買いに行かせたのはいいが…頼んだ品でない物を持ってくるとは…。配下にする人材を誤ってしまったか…。しかし焼きそばパンとは…さぞうまいのだろうが、どうも私の口には合わない。

「なら、お前が食べろ。私はロケパンを買ってこいと確かに言った。これは絶対だ。」

「んなこと言われてもよぉ〜。俺もう金ないし…それに焼きそばパン好きじゃないし…。」

なら何故私に君の苦手な焼きそばパンを私に捧げようと思ったのだ?私でさえ苦手だというのにこの男は…。

「えぇい、面倒だ。買いに行かせた私がバカバカしい!!自分で買いに行く。」

「なら最初からそうしてくれよぉ〜。」

「いちいち気に障る奴だな。少しは私の身にもなってくれ…。」

深いため息を吐き、私は身だしなみを整え、街中へと歩を進めた。

スタスタスタッ…

徐々に私の耳に入るその足音…私は息を呑み振り返る。

「吉影様〜!!待ってくれよぉ〜。」

またか…。本当に面倒だ。ここで彼に構うわけには行かない。せっかく一人になれたのだ。これはチャンスだ。これを逃せば次の機会はこない。そう思った。だから私は逃げ切るため全力疾走で走ることにした。

「近寄るなッ!!クズめ!!私から離れろッ!!」

全力で私は街中を走る。しかし、わずか数秒私は捕らえられることになる。

ガオンッ!!

「瞬間移動ってやつさ!!」

「ぬ、ぬぁにい!?」

有伍のそのスタンド、削り取る能力で空間を削る。それは引き付ける他に自らも瞬間的に移動できるものだった。その結果、私は有伍に手を掴まれてしまった。

「俺のザ・ハンドは削り取る能力。この虹村有伍に削れないものはねぇ!!」

「君はバカだ。」

「ぇ?な、なんで?ねぇ、なんでだよぉ〜?」

有伍がキョトンとした様子で私を見つめる。彼にとってはその時間すらかなりの無駄な時間だ。そんなことのために時間を使うなら、避けることに頭を使った方がいい。

ガコンッ!!

「うげっ!!」

かなり鈍い音が聞こえた気がする。いや、したのだ。彼に花瓶のようなものが頭部に命中したのは確かだった。有伍は空間を削り取り距離をつめた。つまり、周りのものも彼に引き寄せられるわけだ。

「っててててて…。」

「ほらみろ。よそ見をしている時間があるなら頭を使え。だからバカなんだよ。」

「んなら、お前も同じことだろうがよぉ〜。」

「ん?」

私は彼の言葉が嘘で無いと瞬時に判断できた。なぜなら彼は単純かつどうしようもない純粋だからだ。だから今の状況は理解できた。

「キラークイーン。」

バキンッ‼

突然私に向かって飛んできた鈍器をキラークイーンが粉々に粉微塵にした。

「容易い。こんな事如きで私に傷をつけられると思ったか?フン…。」

「いや、違うんだなぁ〜それが…」

「ハハハ…いや、ハッタリだね。」

一安心しきっていた私は油断をしていた。油断は大敵…この日初めて思い知る。

ガコンッ!!

「ぬぉ!?」

まさか、花瓶が私の頭部を直撃するとは…よりによって私が油断している時に…。

「な?言ったろ?」

「うぐぐぐぐ…。有伍…貴様…。」

強打した頭部を抑え、私は膝をついてしまった。これほど屈辱的なことはない。見下した者の前で私も同じことをしていることに気づいたからだ。

「もういい!!来るならこい!!私は今からサンジェルマンのサンドイッチを買いに行く事にした。」

「ぁ、うん。いってらっしゃい。」

この野郎…。どこまで私をコケにしたら気が済むんだ?これでは私の面子が崩れてしまう。ここは私の誇りにかけて…

「いや、お前もこい。お前は私の下部だ。私のいいなりになってもらうぞ。」

「ぇ!?えー!!な、なんでだよぉ〜!!そのくらい一人で行けよぉ〜。」

「ゴチャゴチャ言わずについてこい。それともあれか?下部辞めますとか言うんじゃないだろうな?」

「…。仕方ねぇ。いくしかねぇのか。」

最初からそうすればいいものを…。
こいつにはプライドというものが無くて助かる。あればあるほど面倒になるだけだ。特に、バカでなおかつ頑固な奴は私が最も嫌う性格だ。理解力の欠片もない。だから嫌なのだ。
騒がしい奴なら黙らせれば済む話だが、そういう奴はまったく耳を傾けようとしない…。私の平穏な生活において邪魔な存在だ。

「フン…。」

「そんなふくれっ面になるなよぉ〜吉影様〜。」

はぁ…。腹が立つな。こいつの口調に対しては毎度毎度、私の気に障る。どうにかならないものか?空気を読むことはできないのか?それともただのバカなのか?

「おぃ、おま、いや、吉影様…あんた心のどこかで俺をバカにしたな?」

な、なんだ!?こいつ、エスパーなのか!?
それともスタンド能力?いや、違う。ではなんだ?これは…!!

「?なんのことだ?」

「ぉ?もしかして図星?テキトーに言っただけだってのによぉ〜。」

…なんだ、偶然か…。にしても本当にイラつくな。こいつに関してはいつかしつけをしなくてはならないらしい。明日にでも教育させとくか。

「そんなことをしてる暇があるならとっとと私についてこい。」

「おぃおぃ…冗談も通じないのかよぉ〜。」

「あぁ。そんなものは知らん。」

そんなくだらない会話をしていた私はいつしか感情を、覚えた。なんだ?友情なのか?かつて味わったことのない胸の高まり…。

「どうしたんだ?吉影様〜?ボーッとしちゃってさぁ〜。」

「ん、あぁ悪いな。」

「ぉ?今謝ったよなぁ〜‼︎強情なあんたが俺に謝ったよなぁ〜!!」

「そんなことはどーでもいいだろ!!」

私に向けて指を差し、大げさに笑う有伍をみていると腹が立つ。前言撤回だ。これは友情なんかではない。恥辱だったのだ。

「お前をみていると腹が立つな。」

「なんでだよぉ〜。」

そして駄弁っているうちにサンジェルマンへと行き着いた。しかし学校から徒歩5分だというのに…何故か30分もかかってしまった。これは全て有伍のせいだ。絶対にそうに決まっている。

「やっとついたなぁ〜。吉影様〜。」

「お前のせいで5分の道を30分もかかってしまったがな。」

「いや、元はと言えば、サンジェルマンに俺を連れてくからこうなったんじゃないのか?」

…。言い返せない。そもそも何故こいつを連れてかなければならなかったのだ?むしろ邪魔だったはずだ。何故…私は…。

「うるさい。そんなことはどうでもいいんだ。」

「そうやって話を流す〜。いつもいつもよぉ〜。」

「黙れ。木っ端微塵に吹き飛ばすぞッ!!」

もう我慢できない。こいつを置いて行く。決めたぞ。しばらくはこいつには構わないし構うこともない。私は一人で店内に入る。

「有伍、そこでまっていろ。」

「ぇ?何でぇ〜?」

「お前といるとバカが移る。そこで待っていろ。面倒だからな。」

「お、おぃ!!」

私はところかまわずサンジェルマンの中へと入る。無視だ。早く済ませるか。返って面倒だからな。

チャリンチャリン…。

「ありがとうございました。」

私はサンドイッチの入った紙袋2つ持って店を出た。何故2つか?これは有伍の分だ。勘違いするなよ。別に友情など抱いていないし友人とも思ってはいない。騒ぎやすい彼の口止めのためだ。あくまでも私のため。

「買ってきてやったぞ。」

「ぉー。吉影様もなかなかいいところあるじゃねぇか!!」

「ほれ、早く受け取れ。私の腕が疲れる。」

「ほいほい。ありがとさんっ!!」

有伍が私の手からサンジェルマンの紙袋を受け取ろうとした時、何者かが私と彼の間を割って入り、紙袋を奪い去った。

「!?」

「あれ?どうゆうこった!?」

「奪われた!!私のサンドイッチが!!」

すぐさま、視線を逃亡する男に当てがった。その男には見覚えがあった。有伍だった。だがしかし有伍は確かにここにいる。私はますますわけがわからなくなった。

「有伍!?」

「いや、あれは…俺だ!!どういうことだ!?」

とても信じがたい現象だが、ひとつだけ考えられる。これはスタンド能力以外考えられないということを。

「ドッペル…ゲンガー…。」

「んぇ?ドッペルなんだって?吉影様、それはなんだぁ?」

「ドッペルゲンガーだよ。瓜二つの分身。直接自分を目撃するとそいつは死に至る。という言い伝えだが…。」

「つまり、俺…死んでるってことかぁ!?」

急に血の気が引いた有伍は言葉を失い、挙動不審になっている。バカバカしい。もしそうなら今頃こうしてること自体できないというのに…。

「いや、あれはスタンドだ。スタンドに私のサンドイッチを奪わせたんだ。」

「ぇ、つまり俺死んでない?死んでない!!」

「追うぞ!!もしかすると奴が弓と矢の事を知っているかもしれない!!」

「あとサンドイッチを奪い返しに!!」

ぁーもう。そんなこと今はどうでもいいだろうが…。だからバカなんだよ。君は…。

こうして私たちは瓜二つの分身を操るスタンド使いを捜索することになる。だが、この時間帯での商店街はひどく混雑しているのだ。 
 

 
後書き
オマケ 第三話「吉良の亀②」

私はついに公園へと足を運んだ。私を待っていた情景はまさに騒々しいくらいに盛り上がりを見せていた。私とは無縁の風景である。私が好む情景とは静寂かつ落ち着き、平然さを保てるようなものであって…こんな奮闘に満ちたこの気とは相反するわけだ。私はまず、一通り屋台をめぐることにした。せっかく訪れたのだ。少しくらいは回っても構わないだろう。まぁそのうち気が散りメチャクチャにすることには変わらないがな。

「なるほど…祭りとはこういうことなのか。」

見た感じではなかなか趣深いものばかりが並んでいる。まずは射的だ。私自身得意ではないが、生まれついてできたこのキラークイーンで吹っ飛ばせば問題はない。一般人には見えていないようだしな。そして・・・金魚すくい。あれはくだらない。あんなチャチな紙切れに棒のついたもので何をすくえというのだ。できるわけがなかろうに…よってあれはダメだ。やりたくもないし小さな金魚ごときに私は構っていられない。ほかを回るか。

「むぅ・・・くじか・・・。」

次に見たものは至ってシンプル。くじのようだ。それもかなり胡散臭いどこにでもあるようなものだ。どうせその中身にはあたりなどもう入っていないだろう。ベルの音からするともう3回は出ていることになる。もう無駄だろう。買うやつの気がしれん。

「お、当たった!!1等だ!!」

「な・・・なんだと・・・。」

私の目の前でまさかの当選・・・。予想外だ。しかし人生というのは最後までわからないようなものだ。賭けてみるのも人生を楽しむための手段の一つなのかもしれない。例えば・・・そうだな、ギャンブル。あれはかなりリスクを背負う形にはなるが、儲かればそれなりの額は得られる。まぁ私はやらんがな。あんなものに金を費やしてたまるものか。億万長者を夢見るやつは何人も朽ち果ててきた。あれはダメだ。負け組の中のクズだ。そんなやつの気など知ったことか。

「はぁ…気分が悪い、ほかを当たるか。」

目の前であんなものを見せられてはたまったもんじゃない。ここから私は離れることにするか、さて次は…何を見せてくれるのか…期待を大きく裏切られる覚悟はできている。まぁその時はその時だ、この場を木っ端微塵に吹き飛ばす。それだけだ。くだらん愚民共の茶番など価値などに値しない。どのみち私にとっては不要なものだ。

「ん、亀すくい?これはなんだ?」

to be continued…
 
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