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第四章

 男は青年と共に家を出た、するとそこには白い馬がいた。
 只の馬ではなかった、その背には一対の翼がある、男はその翼のある馬を見てその上で青年に答えた。
「ペガサス、また出会えるとは」
「そう、君の親友だよ」
「そしてこの馬に乗ってですか」
「キマイラを倒しに行くんだよ」
 そうせよとだ、青年は男にここでも告げた。
「いいね」
「何故ここまでしてくれるのですか?」
 男は怪訝な顔になって青年に問い返した、そのペガサスの前で。
「私に、かつて貴方達に迫ろうとした私に」
「君が考えを変えたからだよ」
「だからですか」
「君はもう一度僕達のところに行きたいと思っているのかな」
「いえ」
 首を横に振ってだ、彼は青年に答えた。
「それは」
「後悔しているね」
「驕っていました、そのことを恥じる日々でした」
「だから人とも交わらなかった」
「それに値する者ではなかったので」
 そうしたとだ、男は答えた。
「そうしてきました」
「そうだね、けれどね」
「今はですか」
「君は悔いそして再び人の為に戦おうと考えている」
「それが故に」
「行くんだ、あの時の様に」
 そうせよというのだ。
「いいね」
「わかりました、それなら」
「あの時の様に戦うんだ、いいね」
「はい」
「ペレロポーン」
 ここでだ、青年は男の名を呼んだ。
「このヘルメスは君の背中を押す為に来たんだからね」
「私の為に」
「そう、キマイラを倒して人々を救うんだ」
 絶対にだ、そうしろというのだ。
「いいね」
「はい、ヘルメス神」
 男、ペレロポーンもまた青年の名を呼んだ、そしてだった。
 素早くペガサスに乗りそうしてだった、剣を手に。 
 天駆ける馬の背からヘルメスに言った。
「ではあの鬨の様に」
「キマイラを倒すんだよ」
「そうしてきます」
 こう告げてそしてだった、ペレロポーンはヘルメスに一礼してからそのうえで空に舞い上がった、それからだった。
 空からキマイラを探す、するとすぐにだった。
 村人達を見つけた、彼等の前に。
 山羊の身体に蛇の尾、獅子の頭を持つ獣がいた、それこそがだった。
 キマイラだ、ペレロポーンはそのキマイラを見て言った。
「よし、今から行くぞ」
「ヒヒーーーーーン!」
 ペガサスはペレロポーンの言葉に応えていなないた、そして。
 村人達に今まさに炎を吐かんとする獣に上から襲い掛かった、ペガサスが蹴りペレロポーンが剣を繰り出す。
 蹴り飛ばされた獣はその頭に剣を受けた、これではさしもの獣もひとたまりもなかった。
 あえなく吹き飛ばされ死んだ、そして。
 ペレロポーンは村人達の前に降り立った、そのうえでペガサスから下りて村人達の前に立った。 
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