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第七章

「過度に食べることは禁物です」
「そうか」
「普通の肝臓ならいいです」
 そちらは構わないというのだ。
「そして肉も赤身がいいのです」
「普通の肉の武文か」
「はい、そこがいいのです」
 食べるのなら、というのだ。
「そして野菜も」
「普段からかなり食べているがな」
 こちらも楽しむのが彼なのだ。
「今以上にか」
「そうです、お食べ下さい」
「そして砂糖もだな」
「そうしたものや蜂蜜はこれまでの半分程にされて下さい」
 セルバンテスや家の者達の摂る量を診ての言葉だ。
「そうされて下さい」
「わかった、そのこともな」
「そのうえで、です」
 医者がさらに言うことはというと。
「身体を動かされることです」
「フェシングに乗馬だな」
「他には散歩もいいです」
 歩くこと自体もだというのだ。
「テニスや水泳も」
「遊ぶことではないか」
 身体を動かすそれだとだ、セルバンテスは言う。
「それがいいのか」
「健康の為には」
「そうなのか、遊ぶことがか」
「身体を動かすことならば」
 健康にいいというのだ。
「ですから是非共です」
「わかった、しかし私は」
「侯爵の場合はまずは水泳がいいでしょう」
 彼のそのあまりにも肥満し過ぎた身体を見ての言葉だ、このことは彼だけでなく家の者達も程度の差こそあれど同じだ。
「それからです」
「水泳からか」
「はい、それからです」
「何故水泳からだ?」
「水泳ならば身体を痛めずに身体全体を動かしいい運動になるからです」
 だからだというのだ。 
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