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エネミーワールド

作者:そうん
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第十五話「入部希望者」

 
前書き
どうも筆者のそうんです。 やっと今日の分を更新できました。本当に苦労しましたね。それゆえにわかりづらくなったりと色々と・・・。2日分の更新は結構辛いものですね。まぁ読んでくだされば幸いです。 

 
第十五話「入部希望者」

昨日…僕はえらい目にあった。メルの暴走…顧問の計り知れない戦闘力…。昨日はとんでもなかった。ユウタは全治2週間の怪我を負い、僕は顧問にメルの事を託された。そして、肝心なメルは…記憶がすっぽりと抜けたような様子だった。やはり人格事変わっているのか、それとも心の中の闇が蔓延してそうなったのか…僕にはわからない。顧問であるあの先生なら知っていると思うけれど、どうも今日は会う気にはなれない。とても複雑な気持ちだ。

シャイン
「…。」

ハヤト
「…。どうした?少年。」

シャイン
「その…どうした?少年っていうのやめてくれないか?」

ハヤト
「わかった。ところで何かあったのか?」

言えない。というより気持ちの整理が着いていない僕にどうしろと言うんだ?といっても…ハヤトは昨日の出来事すら話してなかったな…。

シャイン
「そっか…。ハヤトにはまだ言っていないね…昨日の事。」

ハヤト
「何か…あったのか?」

シャイン
「あ…ぁぁ。ちょっとした問題があってな…」

僕はハヤトに昨日の全てを語った。ユウタが怪我を負い、メルが暴走するところまでは…。顧問については僕は話さなかった。これは僕と先生にある約束事のようなものだから。

ハヤト
「ほぅ…そんな事があったのかい。そりゃ気の毒だね…君も…。」

シャイン
「君もってどうゆうことだよ?」

ハヤト
「あれ?思い出したんじゃないのか?うーん。やっぱり断片的に記憶が混濁しているのか。はぁ…面倒だね。」

断片的?つまり僕の記憶は完全ではないのか?まぁ、確かに違和感はあるからそうなのかな…。

シャイン
「つまり、僕はまだ完全じゃない。ってことだろ?」

ハヤト
「なんだ…わかってるじゃないか。んまぁそういうわけで、君は何もしらない、思い出せないと。」

シャイン
「それより…教えてくれないか?ハヤトは何か知ってるんだろう?過去の僕に何かあったのか?話してくれよ。」

ハヤトは少し戸惑うように、目を逸らし、髪の上まで上げているメガネを装着する。その瞬間、彼の目が輝くように照り、僕を見つめる。

シャイン
「ま、まぶしぃっ…。」

ハヤト
「話す気にはなれないから我慢してもらうよ。私も正直語りたくないんだ。」

シャイン
「ぅ…まぶしすぎる…。」

次第に照り方も凄まじくなり、僕を包み込む…。彼のメガネはどうなっているんだ?ますます眩しくなる…。
そして、僕の目の前に扉のようなものが現れる。冥界に通じそうな紋章がたくさん描かれた門…。門が開かれる時、僕はその中へと吸い寄せられた。

シャイン
「ぅ…うぉおわぁあっ‼」

門の向こう側はハヤトの見てきた風景がスクリーンのように映し出されて行く。この風景からして過去に遡っているような、そんな感覚がした。そして懐かしくも思った。

シャイン
「これが…ハヤトの見てきたもの…。色々見てきたんだね…。それにくらべて僕は…。」

気が滅入ってしまいそうになる。圧倒的な劣等感が僕を支配する。僕にある空白の時間はなんだったのか再び思い知らされる。

シャイン
「こ、これは…。」

ふと、スクリーンが停止する。僕の目の前にある一面の風景…。これは…まさしく僕の求めていた真実。何が起きたのかが物語られる。

「シャイン‼や、やめるんだ‼」

「ウォオオオオオオッ‼」

映し出されていたのは野獣とかした僕…そしてその猛者とかした僕に襲われるハヤトがそこにいた。その時、僕は驚愕していた。まさかメルと同じような症状が僕に出ていたなんて…僕は一体…。

「や、やめるんだ‼シャインっ‼シャインっ‼」

___________________。

ここで映像は途絶えた。この後何が起きたのかのかはその映像が物語っていた。この映像はハヤトの意思によるものだとしたら…ここでハヤトは意識が飛んでいることになる。僕はハヤトになんてことをしてしまったんだ。

シャイン
「…。そうか。僕も…。」

シュイイイイイーン。

その映像の停止により僕は元いた世界へと引き戻される。そして彼の実体験の映像再生と共に僕は門から追い出され、現実へと終着する。

シューン…。

シャイン
「…。」

ハヤト
「どうだ?今、私の体験してきた映像を君に見せてやった。これが真実だ。」

シャイン
「真実…か。悪いな。僕は…君を…。」

ハヤトは俯く僕に対し、頭を撫でた。それも髪がボサボサになるくらいに…。

ハヤト
「いいんだよ。過ぎたことだ。過去より今を大事にするんだ。自分を見失わないように生きることが、君に託された使命だ。」

シャイン
「使命…。先生も言ってたっけな…。僕には使命があるとかなんとか…。」

ハヤト
「それはどうか知らないが…使命というのも悪くないぞ。私にだってある…。私はあの日から君を何があろうと守ると決めているんだ。」

シャイン
「ハヤト…お前ってやつは…。」

自然と涙が溢れ出そうになった。ハヤトのしてきた行動そのものが僕を制御することに繋がっていたと思うと…僕は…感謝のあまり、泣くだろう。だけど僕も泣いてはいられない。僕と同じ境遇にあっている人がいるんだ。今度は僕が守らなければならない。何があろうとも…唯一の理解者である僕が…彼女を制御していかなくてはならない。このハヤトのように…僕は人のために尽くしたい。それがハヤトに僕ができる唯一の恩返し。彼だってそうしてほしいと思っているはず…。

シャイン
「ありがとう。ありがとう。ハヤト。」

ハヤト
「礼には及ばないさ。私は君を失いたくなかった。それだけさ。それだけ…私は利己的な考えを持っているようだ。君に感謝されるような人間では…」

シャイン
「いや、十分だよ。僕にとっては君は恩人かつ最高の友人…。それ以上は求めない。今のままの君が僕は好きだ。」

ハヤトは目を丸くし、僕を抱きしめた。耳元に入るそのかすかな声は、彼の本心から出たもの…。

ハヤト
「ありがとう。だって…?それを言うのはこっちの方だよ。ありがとう。あいにく私は君のように純粋な人間じゃない。君は…私より清らかな人間…。誰にでも救いの手を伸ばせる立派な男だ。君は…光。私にはできない可能性を秘めている。だから…君が、彼女を救え。君にしかできないことだ。」

僕はコクコクと頷くことしかできなかった。目の周りにたまるその涙の粒はついに限界値を超え、流れ出てきた。僕は…決めた。何があろうとも…僕は彼女を守ると…。それが僕にできるというのなら…僕は喜んでやる。

ハヤト
「もう一度、聞くぞ…。君のすべきことはなんだ?」

シャイン
「言うまでもないよ。それじゃ…。」

僕は最後に彼に手を振り、その場を後にした。今行くべきは部活動。メルの容態、部員の安否の確認を取るのが先だ。何かあってからではもう遅い。僕はそれを恐れ、足早に部活動へと向かった。

だが、部屋のドアを開くと僕の思っていた風景とは一転していた。

シィラ
「ぁ、先輩…。」

シャイン
「ん?どうした?ん!?」

僕の前には、シィラ、メル…そしてもう一人。ユウタなはずがない。ユウタは怪我を負ってしばらくは部活に出席できないような容態だったはず…じゃあこの後ろ姿は?

メル
「どうやら、入部希望者らしいのよ。」

シャイン
「へー。入部希望者か…。!?え!?今なんて!?」

僕は耳を疑った。こんなどうしようもなくふざけた部に入部希望者がいるなんて前代未聞だな。一体どういう人柄なんだ?

ライル
「俺がそうだ。入部希望者…隣のクラスのライルだ。よろしくな。」

シャイン
「ぁ…おぅ。」

思わず無意識に握手を交わしていた。本当に部への入部をしようというのか?僕は念入りに質問した。

シャイン
「本当に入るつもりなのか?」

ライル
「おぅ。」

シャイン
「僕だってよくわからないような部に?」

ライル
「おう‼ 男に二言はねぇ‼」

うわ、こいつバカだわ。そして熱い。暑すぎる…。本当に隣のクラスなのか?こんな暑苦しいような奴なら僕の耳に入ってもおかしくないのに…。

シャイン
「…んなら…いいか。よろしくな。」

ライル
「おぅ。ぁ、そうそうちなみに部長はあんたか?名前聞かせてくれよ。」

部長?僕に言っているのか?いや、僕は違うし…こんな部作ろうとも思わないし…。ぁ、でもメンツがメンツか…。

シャイン
「いや、僕じゃないけど…。」

ライル
「ぇ?嘘着くなよ。なら誰が部長だってんだ?」

シャイン
「そこの子です。」

僕はそう言わざる負えなかった。もし、自分が部長だなんて言ったら僕の命はなかったな。これは…。だって今も僕を軽く睨んでるんだもの…。

メル
「ライル…と言ったかしら…?」

ライル
「あ、あれ?もしかして…この子?ハハハ、ちっちぇなぁwww」

バカだ。こいつ本当にバカだ。天然か何かか?
だとしてもあのメルに天然なんてものは通用しない。待っているのはどのみち死。恐ろしいな。本当に…。

シャイン
「ま、まぁ。落ち着きましょうよ。僕はシャインです。そこの子が部長のメルです。」

ライル
「ん?何が?落ち着く?ハハハw」

メル
「もういいわ。シャイン。下がってて…。」

はーい。

この人終わったな。僕は一歩二歩と言わず10mは離れた。僕は顔を引きつらせつつも指でサインをした。

ライル
「ぉ?どうしたんだ?そんな離れて…」

シャイン
「はぁ…。まぁ後々わかりますよ。わかりたくなくても時期に…。」

ライル
「何言ってんだwww?何かのサプライズか?ハハハwww歓迎ってやつか!いいねぇ‼」

まぁある意味サプライズだな。まぁ受けたくもないサプライズだけれども。この人本当に死ぬ気だよね?ある意味尊敬しちゃうかも。

メル
「そうね。サプライズね‼ぁ、シャイン…シィラ…後ろ向いててくれる?」

シィラ
「わかりました姉御。」

もちろん僕もそのつもり…あんな痛々しいのは見たくないからね。

メル
「さーてと、どんなサプライズしてあげようかしら?」

ライル
「ぇ?何々?どんなの?ねぇ、どんなの?」

うわ…。ピュアすぎる…。この人見てると助けたくなるけど、ただでさえ僕の命が危ないからなぁ。まぁ今回ばかりは神様も大目に見てくれるだろう。

そう信じて30分…。僕は振り返ってみる。

シャイン
「ぁ…あれ?」

シィラ
「ぇ?」

僕ら二人の口は塞がらない。予想だにしない風景が僕らを待っていた。メルは…汗だくになって、息が切れていた。ライルはなんともないようにピンピンしていた。この人すごw

メル
「はぁはぁはぁ…。どういうことよ‼」

ライル
「どういうことって何が?」

本人はまったく気にしていない様子だった。あれほど派手な攻撃に対し、彼は…。笑っている。

シャイン
「は?」

シィラ
「え?」

メル
「ぇ?」

変な沈黙が部屋を包み込んだ。この間なんと10分…。僕らはただただ目の前で起きたことが信じられなかった。 
 

 
後書き
新キャラ導入というわけで、ある意味、やばいキャラ出ましたね。まぁ読む限りでは無能者とは思えないですね。何かあるんじゃないですかね?国語の教師みたいな例外なキャラもいるわけですからね…。まぁ今後どうなるかはお楽しみってことで。 
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