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ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~

作者:蕾姫
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仮装パーティ

 
前書き
Trick or Trick!(訳:菓子はいらねぇ、悪戯させろ)

日本人にはあまり馴染みのないハロウィン特別編です。全三話構成です

さて、戦闘に期待はしないでくださいw 

 
ハロウィン
日本人にとっては馴染みが薄いだろう。某夢の国で特別なイベントがやるというCMを目にして初めて思い出す……といった人も少なくないと思う(作者とか)

「今日はハロウィンだね」

「そういえばそうだな。……残念ながら菓子は用意してないぞ?」

その日、家を訪ねて来た詩乃が開口一番にそう言った

「お菓子狙いとかじゃなくて……ALOでハロウィンイベントやるんだけど……知らない?」

「あーっ、知ってる! 今夜六時からのやつだね!」

俺がなにか答える前に隣から直葉が大きな声をあげて会話に入ってきた
制服を着て、肩に竹刀の入ったケースを担いでいるところを見ると今から学校に行こうとしていたところなのだろう

「どんなイベントなんだ?」

「仮装してのMOB戦らしいよ。イベント前に配られるアイテムを使うとランダムで武器から装備まで変わるって」

「ねぇ、リン君。参加してみようよ!」

「そうだな……」

今日は予定はない。強いて言うなら詩乃と過ごすくらいだが、その詩乃もイベントには乗り気らしく、こちらに期待した目線を向けてくる

「わかった。参加しよう」

俺が頷くと詩乃と直葉に部屋に連れて行かれた
……時に直葉、部活はいいのか?















†††















さすがに三人では寂しいので知り合い全員に誘いのメールを送った後、部屋の中で少々時間を潰す
Trick or Treat と言われ、菓子を持っていない俺は菓子を作らされたのはいい思い出
……やられたらやり返すからな?

ともあれ時刻はイベント開始三十分前の午後五時三十分。食事は済ませ、アルンにある待ち合わせ場所に指定したとあるモニュメントの前に到着した
仕事が忙しいエギルた以外は全員が暇だったらしい

ともあれ、今回招集したメンバーは……
キリト、アスナ、シリカ、リズベット、クライン、ユウキ、ミユの七人
ここに招集した当事者である俺、リーファ、シノンを合わせると十人。俺たちが到着したとき、全員揃っていたので十人いる……はずなのだが実際にいるのは十一人だった

「なんでいるんだ、クリスハイト」

「いや、だってこんな楽しいイベントはみんなと楽しみたいじゃないか」

「……呼んでないはずだが……どこから嗅ぎ付けた」

意図してこいつに知らせるのを避けたのにも関わらずどこから漏れた?

「嫌だなぁ、僕と君の仲じゃないか」

「お前とは特別な仲になったつもりはない。強いて言うなら利用し合う関係だろう」

ALOの件やGGOの件、そしてユウキの件においてもそうだったはずだ。間違ってもオトモダチなんておめでたい関係になった覚えはない

「相変わらず釣れないなぁ……」

落ち込んだ体を見せつつも底の知れない笑みを絶やさないクリスハイト
相変わらず読めないやつだ

「えっと、そろそろアイテムを使わないか? 自分の持つ武器も慣らさないといけないだろ?」

「……そうだな……」

キリトの言葉に頷くとクリスハイトから視線を切る
そしてストレージから、このイベントのために配られた″ディスガイズセット″というアイテムを取り出した
これを手に持って、Trick or Treatと叫ぶと自動的に装備が変わり、イベント終了までロックされるらしい

「じゃあ一人ずつ順繰りに行こうか、誰からやる?」

「俺様が行くぜェ! とりっくおあとりーと?」

クラインの酷い発音でもちゃんとディスガイズセットは効力を発揮し、ボフンというコミカルな音とともにクラインは煙に包まれる
そして、煙が晴れたときに見えたものは包帯で全身を覆われたクラインの姿だった

「……ミイラ男か?」

「そうみたいだなァ。武器、鞭って俺様、鞭スキルビタ一上げてねェんだが……」

クラインは手の包帯を少しだけ解くと振り回しながらぼやいた

「特殊能力も付与されるって聞いたけど、なにかある?」

「これか?おぉ……暗視とか同族製作とかあるぜ!」

ミイラ男の能力は、暗視、同族製作、痛覚麻痺、乾燥肌、状態異常無効(毒、麻痺、睡眠)
暗視と痛覚麻痺、状態異常無効は名前の通り
同族製作は倒した相手に包帯を巻くとミイラ男になるらしい。単純な命令しかできないものの、盾が増えるのはありがたい。ただ、包帯を巻くのに結構時間を食うのが欠点だろう
ちなみにエネミー以外にもNPCやPLにも使えるらしい
乾燥肌は火属性ダメージ倍加で水属性ダメージ半分になる

比較対象がいないのでなんとも言えないが、かなりHPが高い

「次は俺がやろう。Trick or Treat」

俺は自ら立候補しディスガイズセットを使用する。クラインのときと同じように、コミカルな音とともに視界が真っ白に染まる

「ヴァンパイア?」

腕を振ってメニューを呼び出す
どうやらリーファの呟いたヴァンパイアで正解らしい

「武器は爪と牙か……」

爪は伸ばして使うらしい
体術スキルをメインに使うことになるだろう

吸血鬼の特殊能力は暗視、飛行、吸血、魔眼、鮮血の貴人の五つ
暗視、飛行は名前の通り
吸血は人型のキャラクターに噛み付いくとHPやMPを回復したり、有利なバフを得たりできるそうだ
魔眼は敵に目を向けると一瞬動きを縛るもの。ただし、クールタイムが結構長い
鮮血の貴人は敵に与えたダメージに応じて与ダメージを増加させていくもの

MPがかなり高いのが特徴だろうか。HPは結構低いが

その後、全員がディスガイズセットを使った結果

キリトが野生味溢れる姿の狼男となった。なんと上半身裸で、下半身には短パンをはいただけだという
武器は爪だけだそうだ
特殊能力は暗視、軽業、獣の魂
獣の魂は一時的に動物の姿になるらしい


アスナは魔女。手には箒を持っている。バーサクヒーラーとして有名なアスナが箒で敵シバいていく姿が目に浮かぶようだ
吸血鬼と同じく、MPがかなり高い
幅広の帽子を被り、黒いローブに身を包んでおり、満足げである
特殊能力は暗視、飛行、隠密

リーファは妖精。いつものリーファを小さくした姿である。服装は草のようなもので作られており、結構露出は高いのだが……小さいのであまり妖艶さは感じない
吸血鬼、魔女と同じくMPが多い
特殊能力は暗視、飛行、妖精の光
妖精の光は周囲を回復するという能力らしい

ちなみにユイが仲間ができたと喜んでいた

シノンは死神。ボロボロのマントに巨大なサイス。マントはフード付きだが今は身につけていない
死神とはハロウィン的にどうなんだ……
クラインと同じく武器のスキルを持ってないのでどうするか思案中
特殊能力は暗視、飛行、首狩り、魂狩り
首狩りは首に攻撃を当てた際にダメージを増加させるもので、魂狩りは止めをさしたとき復活能力を無効化するというもの

死神と聞いてシノンのトラウマを刺激しないか心配になったが、杞憂だったようだ

シリカは吸精鬼(サキュバス)。装備の露出が増していたのだが、残念ながら色気は全く感じない。キリトに突っ掛かっていったものの、いつもの鈍感で一蹴されていた
武器は爪
特殊技能は、吸精、飛行、暗視、夢魔の色気
吸精は敵を倒したときにMPが回復する……のだがシリカは魔法を使えない
夢魔の色気は対男のとき、相手からの被ダメージを半減するが対女のときは逆に倍化するというもの

……だから色気なんて感じない。だからシノン、リーファ、ユウキ……睨まないで欲しい

リズベットは幽霊(ゴースト)。透けている上に気配が薄くなっている。前衛としては致命的ではないだろうか?
武器はなし
特殊技能は、浮遊、物理無効、ゴーストタッチ、暗視
ゴーストタッチは敵に触れる度に敵のHPとMPを削れるそうだ

ユウキは猫又。尻尾が二本生えて猫耳が飛び出た以外は変化なし
武器は爪
特殊技能は、暗視、軽業、仙術

仙術はMPを消費して魔法ではない効果を発揮するものらしい。いくつか有用なものを見つけたらしく、ユウキは機嫌がよい

そして、問題のクリスハイトなのだが……

「どうだい?……なんか暗いね」

頭にバケツ(視界確保用の穴付き)のようなものを被り、薄手のピンクの服に黒いマントを付けたような仮装に全員がクリスハイトから一歩離れる

「すまん、なんと表現したらいいのかわからない」

「あはは……自分で見てみたらどうかな?」

アスナはそう言うと自分のストレージから手鏡を取り出すとクリスハイトに手渡した

全員がクリスハイトのリアクションに注目する

「これは……なかなか素晴らしいと僕は思うけど?」

「お、おう……」

「……やはり、クリスハイトの感性はわからん」 
 

 
後書き
10月31日、午後五時五十分、某レストランの個室

「今日はHalloween……Ah、懐かしい響きだぜ」

妙に発音のよいハロウィンを披露しつつ、部屋に備えつけられている椅子に腰掛ける一人の男
ちなみにこの部屋には一人しかいないので、応える者はいない
寂しげな雰囲気を纏いながら男はメニューを開いた

「disguise set……手に取って使うのか」

男がメニューを操作すると一つのアイテムが実体化した
ディスガイズセット、今回のクリスタル型のイベントアイテムである

「時間もない、使うとしよう。It's a show time!」

手に持ったディスガイズセットを高く掲げ、強く握り締めながら、高らかに叫んだ
……しかし、なにも起きず痛い沈黙が辺りに立ち込めた

たっぷり三十秒ほどその体勢のまま、固まっていた男だが、おもむろにメニューを開くとディスガイズセットの解説を黙読し始める

「Oh……コマンドを間違えた……」

間違いに気づいたらしい
彼を知る者ならあまりの滑稽さに唖然とすること請け合いだ
この場にはこの男しかいなかったのが不幸中の幸いか

「では改めて、Trick or Treat!」

今度こそ、男の身体を光が包む。やがて光が薄れ、光の中から現れたのは……

小肥りの黄色い体躯に赤いセーター。顔も黄色く、頭の上には丸く大きな耳。手には丸い壷を持ち、その壷からは少々甘い匂いがする

「……いつぞやのアルバムの姿じゃねぇか」

クマのプ○さん
武器は壷
特殊技能は、暗視、甘い香り、琥珀色の液体、夢の国の住人

甘い香りは敵を引き寄せる効果がある。琥珀色の液体は壷の中に入っており、敵にかけると動きを阻害できる。さらに自分で食べればHPとMPが回復するスグレモノ。夢の国の住人は魅力的に見える

そして、彼はフィールドに降り立った。武器となる壷を両の手でしっかりと腕の中にかかえこんで 
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