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BlackLagoon~Twilight which falls~

作者:虎龍
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Twilight which falls

 
前書き
アニメを見てヘンゼル(女と設定)が死ぬのが納得できるようで納得出来なかった…と言う事で二次創作を衝動書き…続くかわかりませんがよろしくお願いします。

後原作の台詞を忠実に創作に持ってくるつもりはありません。大まかな話の内容で合ってればそれでいいと思ってますので。ご了承下さい。

 

 
 俺の名前はロック。今俺の目の前を行き交うのは雨が横に降ってるんじゃないかと錯覚を起こすほどに交互に行き交う銃弾の嵐。もはや声にならない声を上げつつ、隣でカトラスを狂気じみた表情でぶちかましているレヴィに視線を送る。

 あぁ、何故こうなった。最初はレヴィと二人でyellowflagで落ち着いて酒を飲んでいるだけだと思ったのに…気づけばこうなっていた。日常と言われればそれで御終いの光景と言ったらそうなんだけどさ。

「レヴィ!いい加減にしろよ!」

「あぁん!?んだよロック!あたしはまだ満足しちゃいねぇぜぇ!」

 そんな捨て台詞と共に二丁のカトラスを持ちながら定番のポジションとも呼べるカウンターの裏から銃弾行き交う地獄の世界へ身を出して行った。そしてその場に残されたのは俺と…災難としか呼べないyellowflagの主人バオ。

「またてめぇらだよ!請求先はラグーンの方に送りつけるからなぁ!」

 一丁のライフルを脇に抱えながらそう叫び散らすバオに俺は何も言い返せない。事実、今回の事に限っては…俺達、いやレヴィの方にも非はあるのだから。

 一体全体何故こうなってしまったか?理由は簡単。レヴィが相手に喧嘩を吹っかけられたから。たったそれだけの理由で皆が酒を飲む場所は弾丸行き交う地獄の踊り場へと変貌してしまった。既に酒を飲んでいた数人は体に風穴が空き風通しが良くなってしまっている状態だ。今yellowflagで息をしているのはレヴィに喧嘩を吹っかけた見知らぬよそ者達とレヴィ本人とバオに俺。

 あぁ…この惨事から生まれてしまった請求と言う名の金は誰の懐から消えてゆくのだろうか。それが唯一の憂いである。人が既に数人風穴開けて死んでしまってると言うのに…俺が懸念しているのは金の話。随分と堕ちてしまっているとは自分でも思うけど…そんな環境を生み出せるロアナプラは…嫌いじゃない。

「どうした余所者ぉ!達者名のは口だけかぁ!?もっと楽しませろよ!」

 人間業とは思えない動きにいつもどおり目を奪われる。レヴィのそれは軍人のように洗練された動きではなく、それとは真逆の自然体の動きではあるが、どこか計算された動きは思わず見とれてしまう。あまり広いとは言えない酒場を縦横無尽に動き回り、時にはテーブルを盾に、時には死体を盾にしながら二丁のカトラスで相手を躍らせる。…っと、レヴィの動きの見とれてる場合じゃなかった。

「レヴィ!これ以上ここに留まったらそいつらのお仲間が増えるかもしれない!今の所は引こう!」

「ぁあ!?んなもん片っ端から殺せばいいだろうが!」

「これ以上店の請求額を増やしたいなら勝手にすればいい!だけどその時俺は知らないからな!」

 最後にそれだけを言い残し、弾丸に当たらないよう地を這いながら店の裏口へと向かう。これ以上店の請求額を増やされるなんてたまったんもんじゃない。ここんとこ仕事がないからラグーン商会だって俺の懐にだって金はない状態なんだ。あぁ、ダッチに何を言われるかわかったもんじゃない。

「ッチ。分かったよ!仕方がねぇ」

 レヴィも渋々だと行った感じだが僕の提案には納得してくれた様子なので安心して店の裏口へと急いで向かう。

 裏口の扉を開き、どこを走っても追いかけてくる弾丸の嵐をどうにか避けながら何かあったことを考えて裏口の方に停めてあった車の中に飛び込み、流れるような動作で車のエンジンを掛けた。エンジンが掛かったと同時に車に乗り込んだレヴィを傍目で確認してから遠慮なくアクセルペダルを踏み込み、急加速でyellowflagを後にした。

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「おいおいロック。こいつはどういう事だ?」

 ラグーン商会に薄汚れた姿で帰るなりダッチに突きつけられたのは一枚の紙切れ。

 おいおい…嘘だろ?幾らあのチンピラを撒くために遠回りしたとは言えyellowflagが蜂の巣になってからそう時間は経ってないはずだぞ?

 と、そう思っても俺の目の前に書かれてるのは請求書とでかでかと書かれたyellowflagで壊れた備品の数々が記載された紙だ。錯覚でも幻覚でもない。一番したにまとめられた請求額も…現実だ。

 あぁ、何故こんな異常な額が送られなければならない。俺がなにかしたか?否!俺は何も悪い事はしていない!そうだ…こんな請求書を送られた原因は間違いなく後ろで不完全燃焼状態にあるレヴィが悪い!

「おいレヴィ!この額どうするんだよ!お前一人で払えよな!」

「はぁ?お前だってあの場にいただろ!お前も払えよな!」

 何故俺が?俺は一人で争いごとを避けるかのように静かに飲んでいたのに?確かにレヴィはチンピラに喧嘩を売られた側だ。そこを考慮するなら全てにレヴィに非がある訳ではないと分かる。でも!それとこれとは話が別だ!一度や二度の話じゃない。この請求書がこんな迅速に送られてきたと言う事はバオも恐らく頭の中が相当沸騰しているだろう。

「どうしてそうなる?俺は何もしちゃいないだろ!」

「んなもん知るか!お前のあの場にいたんだから払うのが常識だろ!」

「まさかレヴィに常識を問われるとは思ってなかったよ!」

 まさに買い言葉に売り言葉。僕は自分の言っている事が間違っているとは思わない。そして…レヴィの言っている事も正直間違っているとは思っていない。一般的に考えるのならばレヴィの言っている事は滅茶苦茶かもしれないが、ここはロアナプラ。常識なんて言葉は存在しない。

 つまり何が言いたいのかと言うと…引いた方の負けだ。

「オーケーオーケー…。クールに行こうぜお二人さん。此処で喧嘩おっぱじめても何も解決しないのは互いに分かるな?」

「あぁ」

「んな事しねぇよ」

「よし。なら答えは簡単だ。互いに半分ずつ。そんくらいの額は持ってるだろ?今回の話はそれでナシにしてやる」

 ダッチの言葉に俺もレヴィも何か反論しようと一瞬口を開くが…何も言い返せる言葉を持たず、結局互いに口を閉じた。

 事実俺達二人はリーダーであるダッチが不在の場でドンパチやらかしたのだ。これ以上ダッチに迷惑を掛ける訳にはいかない。それは俺もレヴィも互いに理解しているからこそ黙って頷くしかないのだ。

「まぁ別に請求書の額を綺麗に二人で半分ずつ分けろとは言わない。そこは互いに決めればいい」

 最後の最後に小さな爆弾を落として言ってくれたが。

「なら私が「まぁその話は後にしろ。今はもっと重要な話がある」さんわ…り…」

 レヴィの最後の三割…と言う言葉が非常に気になる所だがダッチの漂わせる雰囲気が有無を言わせない。奥の扉からベニーが出てきた所をみると仕事の話。…それもとびっきり危険な。まだ入って勝っらの時間は浅いが、ダッチの漂わせる雰囲気で仕事の危険度ぐらいは予想できる。

 今まで日本の小さな社会で上司の機嫌を常に伺っていたサラリーマンの敏感さを侮らないほうがいい。

「レヴィ。最近ここいらで起きてる事件を知ってるか?」

 ダッチの言葉に何が起こったのか思い出そうと考えを働かせるが、ここはロアナプラ。事件なんて腐る程転がっている。

「…あれのことか?ダッチ」

「あぁそうだ」

「何のこと?」

「知らねぇのかロック。殺しだよ殺し」

 殺しなんて…また珍しくもない。だけどダッチの雰囲気を見る限りおそらくは只の殺しじゃない。そんな予想は簡単に立てる事が出来た。

「ロックの思ってる通り殺しなんて珍しい話じゃねぇが…ホテル・モスクワ相手となると話は別だ。この一ヶ月で六人も殺られてる」

 ホテル・モスクワ。ロアナプラに住んでる人間なら誰でも頭の中に入れておかなければならない名前だ。ここロアナプラ含め、タイ支部を仕切っているバラライカさんが相当やばい人だ。当然本人を目の前にそんな事は口が滑っても言えないが。

 それにしてもロアナプラでホテル・モスクワに喧嘩を売る人間がいるのか?そんな命知らずの人間が此処に居るとは思えないな…。

「正解だよロック。外の人間がでけぇ花火をロアナプラでぶちかまそうとしているのさ」

 あぁ…これは暫くロアナプラを出たほうが命の危険がなくなるかもしれない。

 だけど世の中はそう甘くない。ダッチの重要な話ってのと、このホテル・モスクワの話…もはや嫌な予感しかしない。

「それで仕事の話なんだが…」

 その日僕は…死ぬんだなと冗談抜きで感じた。


 


 
 

 
後書き
 一話一話は基本短く切っていきます。
 ネット上でヘンゼルとグレーデルの性別について色んな論議が交わされていますが…この小説の中では男と女の設定。そのまま兄様が男、姉様が女。正直そう言っても作中の間で入れ替わっていると言う話もありますので、最後に生き残っているのは姉様、つまり女の子の方と言う設定でいきます。 
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