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(仮称)真剣で転生者に恋しなさい!

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第4話

 
 
 Side:迷彩


 私が川神を去ってから早6年程。実家に帰ってまずは色々と驚いた事を教えられた。

 まずは家系図を見せられたのだが、出るわ出るわ英霊や英雄達の名前が。フランシス・ドレイク、イスカンダル、アストルフォ、アーサー・ペンドラゴン、ガウェイン・ペンドラール、モルドレッド・ペンドラグ、ネロ・クラウディウス、歴代ハサン・サッバーハ、李書文、ジャック・ザ・リッパー、セミラミス、アヴィケブロン、ウィリアム・シェイクスピア、ジル・ド・レェ、クー・フーリン、ディルムッド・オディナ、ヴラド三世、エリザベート・バートリー、エンキドゥ、ランスロット・デュ・ラック、スパルタスク、ダビデ、アタランテ、ロビンフット、コーマック・マック・アート、フィン・マックール、源義経、武蔵坊弁慶、那須与一、本田忠勝、織田信長、徳川家康、豊臣秀吉、呂布、関羽、劉備、曹操、孫策、孫権、張飛、馬超。その他、世界各国の名の有る英雄や英霊達。挙句ギルガメシュやカルナ、ヘラクレス、メディア、ケイローン、アキレウス、玉藻の前、ゼウス、ベルレポーン、メドゥーサ、ゴルディアス等、神話の英雄や神達、神の血を引く者達や仙人等の名前が載って居て、おかしくないか?と呟いてしまった私は悪くない。信じれる訳無いだろう。多分偽物。本多忠勝とか徳川家康は百歩譲って御先祖かもしれないけど、アーサー王とかカルナとかメドゥーサとかに子供は居らんわ。

 次に驚いたのは蔵の中を見た時だ。蔵に入れば有るのは武器、武器、武器。ゲイ・ボルグ、ゲイ・ジャルグ、ゲイ・ボー、モラルタ、ベガルタ、アロンダイト、キュプリオト、各十束剣と草薙剣、ミョルニル、ブリューナク、干将莫邪、クラウ・ソラス、カラドボルグ、バルムンク、レーヴァテイン、デュランダル、ダーインスレイヴ、金剛杵、蛇矛、青龍偃月刀、フルンティング、フラガラッハ、フロッティ、クルージーン・カサド・ヒャン、ブルートガング、奉天戟、エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ。果てはヴィマーナや完成形変体刀、鍵剣何て物まで有った。殆どFate/シリーズや刀語に登場した物と同じ形状だった。

 その次に驚いたのは技や奥義の多さだ。なんで、虚刀流や千刀流、全刀流、心王一鞘流、六式、十殺元、九心義、海陸四法、心月流、無音拳、狐火流、神鳴流、伊賀忍法、真庭忍法、真庭剣法、真庭拳法、相生忍法、相生拳法、不忍法、人形殺法、中国拳法、日本古流武術全般、導術、仙術、その他諸々の武器術や技の数々。挙句の果てに言葉(スタイル)何て物もあって軽く千は超えてたね。と言うか、普通に魔術書みたいなのとか怪しげな書物や巻物も沢山あって、それを読まされて中身を覚えさせられた。なんかどこぞの英雄王とか征服王みたいな事出来る様に成ってたんだが。巻物に『魔術全集』とか『サルでも分かる魔法発動法』とか訳のわからん書物が沢山有ったけど、此処は本当にどんな世界だ。


 それら千を超す技を覚えた後は只管研鑽した。技を研鑽しながら学校生活を過ごしながら重爺経由で偶に頼まれ事を熟している内に色々と渾名だか二つ名だかを付けられて、中学を卒業した。そしてその後は重爺に言われて世界中を旅して周り、重爺の伝手がある軍で半年程訓練に参加させてもらったり、色々な武人や武術家と手合せしたり、テロ組織の構成員全員の意識と共に組織の溜めこんだ裏金を刈り取った後にその国のお偉いさんか軍事関係者に通報したりして更に渾名や二つ名と各国のお偉方や軍関係者からの信頼が増えた。超増加した。具体的にはどこぞの豪放磊落な征服王が消えかけの状態から令呪三つ使ってブーストした状態になる程の勢いで増加した。


 ま、これが大まかな6年間の流れだ。


 Side:Out










――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――










 此処は九鬼極東本部の地下6階にある鍛錬場。そこに3つの影が走る。


 1人は長い黒髪をポニーテールに結び、刀を持った少女。
 1人は腰にひょうたんをぶら下げ、手には杓丈を持った少女。


「ッく! 弁慶、左右から挟撃するぞ」
「はいよ。んじゃあ、義経は陽動をよろしく」


 義経と呼ばれた少女は弁慶と呼ばれた少女に小さく呟く。弁慶はそれに頷きで応じ、杓丈を構える。


 この2人、名前だけ聞けば親が歴史上の人物に対する憧れが強く、その様に生きて欲しいと言う願いを込めて名前を付けられたと思う人も居るかもしれないが、この2人は『武士道プラン』と呼ばれる九鬼財閥のクローン技術を総動員して生まれた『源義経』と『武蔵坊弁慶』のクローンである。性格や性別、容姿等の細かい所の違いは有れど、魂はきちんと偉人のソレを受け継いでいる、いわばソノ人そのものである。無論、武も知も各々確りそのままである。


 そんな2人に相対するのは比較的高身長の少年――敦賀迷彩。
 女だと思ってたとは初対面の人達全員の談。


『如何した2人共。来ないのか?』


 高く透き通った声と共に、迷彩は脱力する。一端の武道家なら侮辱だ何だと非難の声を上げるが、義経、弁慶共にそんな事は言わない。むしろ気を引き締め直して各々の武器を構える。それが一流の武人に対する敬意を含んだ物だと理解しているからであり、何より眼前の人物――迷彩が一流の武人相手に慢心をもって相対する事等有り得ないと言う信頼の証でもあった。


「なら………行かせてもらう!」


 義経はそう言うや否や、離れていた距離を一気に詰め、手にした刀を一振り。
 しかし、迷彩はそれを難なく避け、義経に蹴りを入れる。義経もそれを間一髪で受け止める。


「弁慶! 今だ!!」
「応ともさ!」


 義経の声に、待ってましたとばかりに弁慶の杓丈による剛撃が振り下ろされる。
 杓丈は地面に叩き付けられると同時に轟音を轟かせ、鍛錬上の地面を砕いて土煙を上げる。そんな威力の一撃を繰り出せば普通は此処で終了。だが、弁慶と義経の連携攻撃は止まらない。
 弁慶が同じような威力の剛撃を放てば、義経が弁慶とは違う、速度重視の神速の剣撃を繰り出す。


「はぁぁぁぁ!!」
「せやっ!!」


 義経と弁慶が、自身が持つ最高の一撃を放つ。
 審判のいないこの場では止める者は誰もいない。自分たちの判断で勝敗は決まる。
 攻撃が止まないのは、相手が戦闘不能状態に陥ってないからに他ならない。
 その証拠に義経と弁慶の表情は硬いままである。


「うぅ……今回も義経たちの負けだ」


 ガックシと膝を突く義経。

 それもそのはず、最高の一撃を繰り出したのにも関わらず土煙の中に見える人影は立ったままなのである。これを見た義経は、素直に負けを認めた。


「そう落ち込まないの義経。前回よりはまだマシになったじゃない」
「しかし……義経は義経のクローンなのだから勝たないといけない………」
「そんなことはないと思うよ。義経にだって出来ないことはあるはずさ」


 落ち込んでる義経も可愛いなぁ……という本音を胸のうちに秘めながら、義経を励ます弁慶。


『義経も弁慶も、強くなったね。結構危なかったよ』


 不意に聞こえた割と高めの少年の声。二人がそちらを見やる。


 土煙の中から出て来た少年には掠り傷一つ無く、それを見た弁慶は思った。



 ―――説得力にかけるよね……



 全力で挑んで掠り傷一つ無いとか何なのさ……と、流石の弁慶も苦笑いが抑えられない。


 初めて挑んだ時は何も出来ないうちに敗北した。僅か一秒も掛からず。


 この結果に対しては、普段は面倒くさがりの弁慶も悔しく思い、義経と共に鍛練の時間を増やした程だ。

 しかし、結果は今回も敗北。義経的には前回よりも善戦したと言っても、それは時間的なもので、結果が変わらなければ同じこと。


 ああ、今夜も義経は可愛いだろうなぁ……と、今夜部屋で落ち込んでいるであろう主の一挙一動に、思わず顔が綻ぶ弁慶であった。


 因みに今回は一分は耐えられたと、弁慶的には満足した結果となった。


『義経の一撃一撃が重くなってて、驚いたよ。弁慶もだんだん攻撃速度が早くなってきたし、これで与一が入ったら苦労しそうだよ』
「うぅ、義経はもっともっと鍛練の時間を増やすことにする……」
「流石は迷彩。日本最強にして最古の武術を受け継いでいるだけあるね」
『ま、伊達や酔狂で日本最強最古の武術を受け継いでる訳じゃ無いからね』


 敦賀迷彩。
 現在九鬼財閥の保有する島で、武士道プランによって生まれた四人の護衛兼世話役としてクローン組を絶賛猫可愛がり中(勉強とか武術とかで)である。 
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