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真・恋姫†夢想~世界樹の史~

作者:genji丸
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第一廻 はじめてのさようなら

 
前書き
※この物語は特に蜀√が本筋というわけではありません。
※筆者は三国志好きのため、姫武将以外もオリジナルで登場します。
※なろう、にも投稿しています。そちらでは現在二十話です。 

 
第一廻 はじめてのさようなら




はじめは妙だと思った。
新たな外史とやらに巻き込まれ、気がついたら見知らぬ荒野。

鈴々「おにーちゃん 誰なのだ?」

見ず知らずの3人組。
大陸の平和と民の笑顔を増やしたいと願う3人組。

桃香「ここは五台山の麓だよ!
 それにしても…変わった服着てるね~。おひさまの光でキラキラしてる~!」

なぜ自分がここに居るのか。
その時はちゃんとそう思ってたんだ。

劉備玄徳、真名は桃香。
関羽雲長 真名は愛紗。
張飛翼徳 真名は鈴々。
俺を『ご主人様』と呼び慕ってくれる事になった女の子。

あぁ…もしかしたら、彼女たちの願いを叶える為に俺は堕ちてきたんだろうか。
『天の御遣い』として。


「「我ら4名!同年同月同日に死せんことを!」」

桃園の下、高らかに声を上げる俺たち4人。
恥ずかしげもなく言えば、俺には何の力もない。
特別頭が良いわけでも、運動神経がいいわけでもない。
剣は…一応使えるけど、この時代の人に比べたらお遊び程度。

こんな俺だけど義勇軍から始まり少しずつ力を蓄えて、曹操率いる魏との最終決戦までこぎつけた。
孫策率いる呉と共闘し、辛くも勝利するかにみえた最終決戦。

伝令が伝えるのは五胡の襲来。

三国の決戦は敵を変えて力を合わせる。




              色んな事があった。




仲間も増え、民とふれあい、涙も流した。

ちょっと頼りないけど、とっても優しい劉備こと桃香。

頑固で不器用だけど、強くて美しい関羽こと愛紗。

元気いっぱいで甘えん坊な張飛こと鈴々。

はわわあわわと慌てん坊だけど、すごく頼りになる諸葛亮と龐統。真名を朱里と雛里。

ちょっとネジが外r…変わってる万能美人、趙雲こと星。

恥ずかしがり屋で猪突猛進な馬超こと翠。またの名を失禁馬c…槍が降ってきた。

翠の義妹でイタズラ大好きな馬岱こと蒲公英。

妖艶な魅力と三国屈指の弓の名手黄忠こと紫苑。その娘の璃々も。

喧嘩屋で大酒飲みだけど、いざとなったら誰よりも心強い厳顔こと桔梗。

俺のことは嫌いだったかもしれないけど、その真っ直ぐなとこが大好きだった魏延こと焔耶。

圧倒的な強さと、動物的な可愛さがある呂布こと恋。あぁ、小さな大軍師陳宮こと音々音はいつも一緒だったね。

董卓と賈詡、真名を月と詠はいつも俺の世話を焼いてくれていた。

顔良、袁紹と文醜のお世話いつもご苦労様。




五胡との決戦が三国同盟により終結を迎えた頃、

何故だかその時、

愛し愛された仲間たちの顔を思い浮かべていた。




だってほら、俺の手がちょっと透けてるんだ。
怖かった。当たり前だろう?



でも、根拠はないけど確信があった。

俺は消える。

勝利の鬨を上げ、仲間たちが集まってくる。

一刀「みんなお疲れ様!無事で良かったよ!」

いつも通りに、いつも通りに声を出せ北郷一刀!
涙なんて論外だ!

桃香「ごしゅ…じんさま?」

桃香が、蜀のみんなの顔が固まっている。

一刀「そ…っ!」
そんな顔するなよ!俺達勝ったんだぞ!?

声、出てるよな?出せてるよな?

あぁ、光の粒子が降りてきた。
もう全身が消えかかってるようだ。

嫌々と首をふる桃香。あるものは涙を流し、またあるものは苦悶の表情を浮かべる。
それは周りの兵士たちも同じだった。

桃香「っ!」

桃香が堪え切れずに、抱きついてくる。

ダメだよ桃香、だって…

桃香「きゃっ!」

俺にはもう、触れないんだ。

愛紗「桃香様!」

愛紗が桃香に駆け寄る。
ごめんね、もっと一緒に居たかったよ。

言葉にするんだ。

伝えるんだ。

星「逝かれるのか?」

一刀「…そう、みたいだ。あははっ…。」

星「そうですか…。」

一刀「また…」

会えるのか?絶対に?
約束できるのか?自分を愛してくれた人たちに残酷な嘘をつくかもしれないのに。

かまうもんか。
要は帰ってくればいいだけだ。
だから笑って…。

一刀「また会おう!
   絶対に、絶対に帰ってくる!」

恋「…やくそく?」

一刀「あぁ!俺が恋との約束を破ったことがあるか?」

恋「…フルフル」

ありがとう、ありがとうみんな。

紫苑「いってらっしゃいませ、ご主人様。」

桔梗「お館様、お早いお帰りを。」

一刀「行って来ます!」

光りに包まれた。
最後に見えた景色は、涙でぐしゃぐしゃな顔で笑い、「またね」と口を動かす桃香の顔だった。







真っ暗だ。
誰も居ない、ただ一人の空間。
だからこそ泣くことができた。

一刻ほどそうしていただろうか。
優しい声が聞こえてきた。

?「お疲れ様です、北郷一刀様。」

一刀「君は…誰だい?」

そこには儚げに、美しい女性が立っていた。

?「悲しかったですか?辛かったですか?」

一刀「…。」

?「そう、それは全てわたくしのせい。
  恨んでいただけるのなら そうしてください。
  罵声を浴びせたければ 気が済むままに。」

最初は腹がたった。そうしてやりたいと思った。
でも何故だろう。
この声が俺よりも悲しそうに聞こえるのは。

一刀「いや、遠慮するよ。
   悲しそうな女の子を怒鳴りつける趣味は無くてね。」

息を呑む音が聞こえる。
図星、か。

?「種馬。」

一刀「あれっ?!なんか、あれっ?!」

ちょっとちょっとちょっと!何々なんなのこの仕打ち!
いや良いんだよ?なんか湿っぽくなってたからさ!
でも…あれっ?!

一刀「待て待て!なんだそれ!
   さっきの殊勝な感じは国外逃亡か?!国境警備隊は何をしていた!」

?「ふふっ、冗談です。
  さて、では少しだけお話に付き合ってくれませんか?」

一刀「お、おぉ。頭のクイックネス半端ぱねぇな。」

?「先程まであなたが居たのは外史と呼ばれる空間です。
  例えて言うなら…傘でしょうか。」

一刀「パラレルワールドって事か?」

?「話が早くて好都合です。
  その傘の面はたくさんの人の想いで形作られています。
  では…もしその傘の一つの面が破れたら、どうなると思います?」

一刀「それってつまり…」

?「そう、それはもう傘の役目を果たせません。
  修繕か、破棄。どちらかの処置をとるでしょうね。
  そして貴方が先ほどやり遂げたのは一つの修繕です。」

修繕。だが違和感がある。

一刀「いや、でも実際の歴史とは…」

?「歴史と外史は違います。
  外史は人の思いを、歴史は人の記録を指すもの。
  多少の繋がりはあれど別のものと考えていいでしょう。

  さて、此処から先は、聞くか聞かないかは貴方に委ねましょうか。」

一刀「え?聞かないって言ったらどうなるの?」

?「その場合は、想いを受け止める人が居なくなるわけですから。
  まず、外史はまるごと破棄されるでしょうね。
  そして貴方は元居た世界へ帰還できます。」

一刀「…破棄された世界はどうなる。」

?「存在そのものの消滅を意味します。
  もとに戻すのは…不可能ですね。」

一刀「…。」

?「い、いや、睨まれましても…。」

一刀「あ、あぁごめん。
   でも、大体の話はわかってきた。
   だから…。」

?「ふふっ」

一刀「聞かない。」

?「あれっ?!なんか、あれっ?!」

一刀「あのな、結局のところ外史を全部修繕してくれって頼むつもりなんだろ?」

?「え、えぇ、まぁ大体はそんな感じですが…。」

一刀「やるよ。
   さっきの世界に戻れないかもしれない。
   でも、消すわけにはいかないんだ。あいつらを。」

?「…辛い目にあっても、ですか?」

一刀「後悔するよりマシだ。」

?「死ぬかもしれませんよ?」

一刀「かもね。」

?「…。
  呆れるほど器が大きいですね。」

一刀「さっきまで誰と一緒に居たと思ってんだ。」

?「ふふっ、なるほど。

  では、まず忠告です。
  これから修繕へ向かう世界の住人は貴方とは初対面です。
  いきなり真名を呼んだりしちゃダメですよ?」

一刀「了解。」

?「それから、貴方自身は記憶や経験などに影響を受けません。
  存分に知識を奮ってください。

  それと、なにか必要な物はありますか?可能な限りは協力しますが。」

一刀「え、マジで!?じゃあ重機関銃…嘘です冗談ですだからそんな怖い笑顔を向けないでください。」

?「嫌ですね~そんな怖い顔なんてしてないですってば。」

一刀「えっと、なら…力。力がほしい。」

一瞬、女性は訝しげな顔になる。

?「…。
  それは…一体どんな力でしょう。」

一刀「大切な人を守る力を。」

?「修行を怠らないと誓えますか?」

一刀「あぁ誓うよ。」

?「なら、貴方は成長という形で強くなっていくでしょう。」

一刀「あれ、それって何も変わらなくないか?」

?「そうですね、何も変わらないと思っていてください。
  あとは貴方の修行次第です。行く先々でも師には困らないでしょう?」

一刀「ま、それもそっか。

  あ!!そうだ!!」

?「うひゃぅ?!き、急に大きな声出さないでください!」

一刀「え、今可愛い声ださなかっt」

?「気のせいです。」

一刀「え、だっt」

?「もう帰れよ!お前もう元の世界帰れよ!」

一刀「キャラどうなってんだよ!ブレ幅尋常じゃねぇだろ!

  まぁいいや、武器くれ武器!」

?「コホンッ 武器?一体どんな武器でしょう?」

一刀「盾がほしい。軽くて、絶対に貫けない盾が。」

?「盾ですか。
  なるほど、ではこういう物はどうでしょう?」

ポンっと手を叩くと、そこには西洋の騎士が持つような白く綺麗な盾が現れた。

一刀「おぉ!すげぇ!しかも軽い!
   ん?裏に収納スペースついてるし!もう住めそうだここに!」

?「喜んでいただいて何よりです。(住む??)」

一刀「おう!
   それとあれだ、ついでに折れたり刃毀れしない剣をくれ!」

?「…絶対に貫く矛、とか言われなくて良かったです。
  これでどうです?」

また手を叩くと、少し小ぶりで白い刀身をした美しい剣が現れる。

一刀「カッケーーーー!!何これ!こんなん使っていいの?!」

?「特別サービスとでも思ってください。

  さて、どうやら私にできるのはここまでですね。
  少し消耗しすぎたようなのでそろそろお別れとしましょう。」

一刀「そうだな、じゃあ行ってきますか。次の外史に。」

?「これだけは覚えておいてください。
  辛いことや悲しいことが、これから貴方に幾度と無く襲いかかってくるでしょう。
  でも私だけは、どんな時も貴方の味方です。」

一刀「おう、ありがとな。
   あ、そうだ、最後に名前聞かせてくれないか?」

?「あら、私としたことがすっかり忘れていましたね。
  私の名前は荘周、字は子休と申します。」

一刀「そっか、よろしく荘周。」

荘周「えぇ、ではそこに並んでいる扉を選んでください。」

振り返ると、そこには無数の扉が並んでいた。

一刀「へ?あれ?こんな所に扉なんてあったか?」

荘周「ありませんでしたよ、今出しましたから。」

一刀「すげぇな。
   ん~っと…ま、これにしとくか!行ってくるよ!」

荘周「行ってらっしゃい、天の御遣い。」


扉を開け、勢い良く飛び出す。

そこは雲の上だった。


一刀「ウソ?!ちょっと、荘周?!あ、落ちてる俺落ちてる!

   アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

気を失った。








view ~荘周~


荘周「行ってしまいましたか…。」

貂蝉「ぬっふ~ん♪お・つ・か・れ、荘周ちゃん!」

筋骨隆々の『漢女』がそこに居た。

荘周「貂蝉、貴方見ていたのですか?」

貂蝉「あったり前じゃなぁい!愛しのご主人様の晴れ舞台だもの!」

荘周「す、すごいイレ込みようですね…。」

貂蝉「あ~ら、荘周ちゃんだっていつにもなくハシャいでたようだけど~ん?」

荘周「気のせいです!」

貂蝉「そ~お?でも、無理しすぎよん?成長のリミッターを外すなんて…消耗しすぎてご主人様が帰ってくるまで寝たきりね。」

荘周「そう…ですね。でも!」

貂蝉「ん~?なにかしら?」

荘周「彼なら、やり…とげて…」

ふらりと倒れる周荘を貂蝉は軽く抱きとめる。

貂蝉「限界のようね。
   一番想いが強いのはこの子のはずだもの。
   でも、愛しのご主人様なら必ず何とかしてくれるわよん♪」



第一廻 fin 
 

 
後書き
はじめまして、genji丸と申します。
今更かもしれませんが、恋姫†夢想の二次創作となります。

恋姫†無双の二次創作作品は膨大な数が世に出ているわけですが、
正直に申しまして他の作品と何処かで被ってしまうのではと戦々恐々としております。

文才などない拙い作品ではございますが、何卒暖かな目でご覧いただければ幸いです。
尚、筆者には絵心がございません。
挿絵などは挟めないと思われますので、予めご了承くださいませ。

もう一点、筆者はしがないサラリーマンです。
毎日のように更新することはまず出来かねると思われます。
重ねてご了承いただけますようお願い申し上げます。

コメントやメッセージなど頂ければ、genji丸は飛び跳ねて喜びます。

最後に一句
「忘れ草 あのね私も 蜀の将」
          公孫賛(白蓮)心の俳句 
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