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中二病が主人公になったら?

作者:アガセ
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第4話

「知らない天井だ・・・。」

目が覚めて最初に見たものが、それであった。
しかし、ナルトにはこれが何の天井であるか見当はついている。

"ずばり、木の葉病院の病室の天井だろう。"

ナルト自身が連れて行って欲しいとお願いしたのだから、こう推測するのは当然であろう。
ふと、ナルトが自分の右腕に目を移す。
昨日まであらぬ方向に曲がっていたその腕にはギプスが装着されていた。

"このギプス・・・何かに似てんなぁ・・・"

このギプスを見てナルトは、無性に『シェルブリットぉ!!』と叫びたい衝動に駆られるが、場所が場所だったので、そこはグッと堪えた。

起きてからしばらくして、ドアをノックする音が聞こえた。
ナルトはそれに返事をすると、日向家当主『日向ヒアシ』が病室に入ってきた。

「腕の具合はどうかね?」
「おかげ様で、昨日と比べて痛みが大分引きました。」
「フム。それは良かった。
改めて言うが、昨日の件、本当にありがとう。」
「いや、そんな大したことしてないですよ。
それより、ヒアシさんの娘さんの具合の方はどうですか?」
「特に目立った傷は無かったようだ。あと少ししたら自宅に戻す予定だ。」
「そうですか。大きなケガとかしていなくて良かったです。」
「いや、私がもっとしっかりしていればナルト君をこんな目に遭わせずに済んだのに・・・」
「いや、そう落ち込まないで下さい。
誰だって失敗くらいします。問題は次どうするかです。」
「・・・そうだな。ちょっと動揺し過ぎたようだ。
気づかせてくれてありがとう。
ところで、果物を持ってきたんだ。
良かったら食べてくれ。」

そう言うと、リンゴやバナナ、メロンなどがいっぱい入ったカゴを近くの机に置いた。

「ありがたく食べさせて戴きます。」
「おっと、そろそろ火影様との会談の時間のようだ。
済まないが、これで失礼させてもらうよ。」

そう言うと、ヒアシは足早に病室出て行った。

「ちょっと意外だったな。
思ったより喋りやすかったし、まさか見舞いにくるとは。」

ナルトはそう呟くと、カゴに入っていたミカンをむき始めた。


3日後、ナルトは退院した。
しかも、全治ではなく完治してしまったのである。
複雑骨折したにも関わらずこの治りの早さは異常である。
まあ、九尾の治癒力のおかげと言えばそれまでだが。

とりあえず、短期間とはいえ入院したことで体が鈍っているはずと思い、軽く体を動かすことにした。
まずは、腕立て、腹筋、逆腹筋、背筋、スクワットをそれぞれ200回ずつやってみる。
入院前と全く変わらない感覚だったのでいつものメニューをこなそうと一瞬考えたが、一応病み上がりなので大事を取ってストレッチだけすることにした。


翌日、事件前と変わらぬトレーニングをしていた。
いや、正確に言えば、ちょっと重りを重くして取り組んでいる。
どうやら、前の重さでは何とも思わなくなってしまったようだ。
ちなみに、現在の重りの重さは両足に70kgずつ、両腕に50kgずつの合計240kgである。
もはや、みんなの知る3歳児ではない。
想像してみるといい。
トマトを潰すかのごとく片手でリンゴを潰している3歳児を。
どうだ。気味が悪いだろう?ww

日が少し西に傾いてきた頃、一通りトレーニングが終わってしまったので、万華鏡写輪眼のもう1つの能力について調べることにした。
前回『月詠』を使ったときに左眼を使っている感覚があったので、恐らく左眼の能力はそれなのだろう。
という訳で、まだ判明していない方である右眼にとりあえず力を入れてみる。
しかし、何も起こらない。
『何も起こらない』ということは、うちはオビトの『神威』みたいにすり抜ける能力である可能性が出て来た。
という訳で、右眼に力を入れながら大木に突進してみる。
すると・・・なんと、見事にすり抜けられたのである。
したがって、もう片方の能力が『すり抜けしか使えない神威』であると判決を下そうとした。
しかしその瞬間、体がこれ以上前に進まなくなってしまった。
どうやら、右足が木の中に埋まっていて抜けなくなってしまったようである。
しかし、1秒後には再びすり抜けられるようになっていたので、それを使って大木から右足を抜いた。
これに対してナルトは不思議に思った。
うちはオビトの『神威』は連続して最大5分間すり抜け続けられるのに対し、こちらはたった1秒しかすり抜けられなかったのである。
つまり、何故こんなに短いのか、と思った訳である。。

ここまでの結果から、この能力は『次回の発動まで1秒のインターバルを要する、1秒間のすり抜け能力』と言える。
しかも、『吸い込み』も出来ない。
簡単に言えば、これは超劣化版の『神威』である。

「しかし、この能力・・・何か見たことあるような・・・
ああ、思い出した!これ、『阿修羅閃空』じゃん!」

『阿修羅閃空』とは、ス○リートファイターで登場する技で、一時的に全てをすり抜けて移動する技である。
主に画面端で使われ、画面端に追い込まれたときに使うことで相手の後ろを取り、かつ逆に相手を画面端に追い込むことが出来る結構面白い技なのである。
まあ、ゲームではムサいおっさんが腕を組んで「ム゛ゥゥゥゥン!!」と言いながら移動しているだけにしか見えんがww

"とりあえず、この技があれば相手の虚を衝く攻撃が出来るかもしれない。
やったね!タ○ちゃん!"


翌日、演習場で昨日同様のメニューに取り組み、その後公園にて『阿修羅閃空』を組み合わせた攻撃の練習をしていた。
何故、練習場所を公園に移したかというと、それは『とあるフラグを回収するため』である。
どうやら、フラグを回収する時間が来たようだ。

「弱えよ。ちゃんと謝れよ。」
「謝れっつうの!」
「・・・ごめんなさい。ごめんなさい。ごめん・・・なさい。」

公園の木陰でにて、日向ヒナタがモブ少年3人に土下座していた。

"おお?やってるなぁ。さあて、止めに入るかぁ~"

「おい、やめろよ。」
「「「あん?」」」

ナルトが声をかけると、少年3人は訝しげな顔を向けてきた。

「何だオマエ?」
「おい、コイツ、アレだよ。
馬鹿なイタズラばっかやって、嫌われてるアレじゃん。」
「ああ、アレかぁ!」
「アレねぇww」

そう言うとモブ3人は嘲笑う。
ちなみに、ナルトは一度もイタズラをやっていない。
やったことと言えばせいぜい、石を投げつけてきたヤツのケツにネギをブッ刺しただけである。

「そもそも、イタズラやったことねぇし、オレは『オマエ』なんかじゃねぇ!
オレは『うずまきナルト』!いずれ火影になるってばよ!覚えとけ!」

とりあえずナルトは、原作通りのセリフを吐いてみた。

「「「火影ぇ?」」」

そう言うとモブ共は再び嘲笑し出した。

「バカじゃねぇの?w」
「何抜かしてんだよww」
「頭わりぃガキだなwww」

ナルトはちょっと腹が立ったが、頭脳は大人なので黙って我慢する。

「オメェみてぇなガキが成れる訳ねぇじゃん!」

そう言うとモブの内の1人が殴ってきた。
本来なら屁でもないパンチだが、あえて殴り倒される演技をする。
そして、フラフラとちょっと苦しそうに立ち上がる演技をし、

「ふぅん。」

と某社長っぽく言って、あえて余裕そうにして見せる。

「やるかぁ?」
「・・・後悔すんなよ?オメェら。」

そう言うと指を十字に交差させた印を結ぶ。

「「「まさか、その印は・・・!?」」」
「影分身の術!」

そう叫ぶともう1人のナルトが隣に出現し、

「変化!」

と分身ナルトが叫ぶと、グラサンをかけた長身の男に変化した。

「「「なにぃ!?」」」

とモブ共が叫ぶ。

「磯○!デュエル開始の宣言をしろ!」
「デュエル開始!」

それを聞いた瞬間、本体は目の前にいるモブの1人にラリアットを食らわせて地面に倒した。
そして、そのモブに圧し掛かり、

「右A!「グワッ!」左A!「グエッ!」」

と殴りかかったが、残りの2人に引き剥がされ、モブ共にタコ殴りにされる。
ナルトは某社長のパロディーネタ(?)が少し出来て満足していたので、モブ共の気が済むまであえて反撃せず黙って殴られ続けることにした。
チラッとヒナタの方を見てみると、痛々しくて見てられないとでも言うように目を瞑って俯いていた。


リンチが始まってから少しして、

「ヒナタ様!」

と言いながら日向家の人が走って来た。
それを見たモブ共は、

「「「うわっ!やべぇ!」」」

と言って、そそくさと逃げていった。

「ヒナタ様、大丈夫ですか?」

日向家の人の問いかけにヒナタは頷いて答える。
この男はそれを見て安堵の表情を浮かべ、それから左下に視線を移す。

「この子は・・・」

そう言っただけで、再び視線をヒナタに戻し、

「さあ、ヒナタ様。帰りましょう。」

と言った。

「待って。この子は私を「彼とは関わってはいけません!さあ!」で、でも・・・」

ヒナタの反論も虚しく、男はナルトを放置して、ヒナタを連れて去っていった。

"えええ!?先日ヒナタを助けたのに、そんなにオレの株って上がってないの!?
マジかよ・・・orz"

人柱力であることのハンデの大きさを実感したナルトであった。

余談だが、『ヒナタのイジメを止めて、そこから一気に「ひなだお!」と言わせる』フラグは回収失敗に終わったものの、ヒナタの中でナルトの株が上がったことは間違いないとでも思ったのか、顔の半分はドン引きするほど凄くニヤついていたと言う。 
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