| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

とある星の力を使いし者

作者:wawa
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第91話

ああ~だるい、と麻生は心底面倒くさそうな表情を浮かべていた。
あの施設で海原はこう言った。

「あなたでしたらそこいらの車よりも早く移動する事が出来るでしょう?
 それなら、もう片方の施設に向かって首謀者を捕まえてきてください。
 自分達はこの後始末を終えてから向かいます。」

にっこりと素晴らしい笑みを浮かべながら海原は麻生に伝えた。
状況が状況なので拒否する事もできずに能力を使って此処まで来たのだ。
入り口を探すのも面倒だったので壁を壊して入ろうとしたのだが、タイミングが良いのか悪いのかもう一つの暗部の組織のメンバーが殺されかけたのを麻生が邪魔をしたようだ。

「あの男・・・誰なのって訳?」

「さぁ・・・・敵でない事を・・・・超祈ります。」

麻生は周りを見渡すとこめかみに手を当てて膝を折っているのが二人と、うつ伏せに倒れているのが一人、後は腹を押えながら立ち上がろうとしているのが一人。
これが海原の言っていたもう一つの暗部の組織のメンバーなのだろう、と麻生は適当に考える。
すると、マシンガンを構えていない男が麻生に話しかける。

「君は何者だ?」

「いつもなら通りすがりの一般人Aとか言いたいが今回だけは変えよう。
 この施設と別にあるもう一つの施設にいる暗部の組織のいわば助っ人だ。」

麻生の言葉を聞いて銃を構えている男達の間に動揺が広がる。
それもその筈。
麻生の言葉が正しいのなら、対能力者用のAIMジャマーを使ってさらには装備を整えた十五人を相手に生き残ったというの事になる。
麻生の事を能力者だと決めつけている男達はこう思ったのだろう。
この男にAIMジャマーは効かないのでは?、と。
その同様に気づいたのか、首謀者である八雲は周りに言い聞かせる。

「落ち着け!
 どうせ、この男はもう一つの暗部の組織とは別行動を取っていたのだろう。
 現にあそこに転がっている超能力者(レベル5)にはちゃんとAIMジャマーは効いている。
 どうせ、この男にももうじき効いてくるはずだ。」

八雲の言葉を聞いた男達は少しずつ動揺が収まっていく。
八雲は麻生が開けた壁の穴を見る。
どうやら、麻生一人だけしか来ていない事を確認すると余裕の笑みを作る。

「君一人だけかい?」

「そうだ。
 それがどうかしたのか?」

「随分と余裕だね。
 よほど自分の能力に自信があると見える。
 だが、お仲間さんから連絡がいっていないのかな?
 私達の手にはこれがある事を。」

八雲は視線で研究者に合図を送る。
それを感じた研究者はAIMジャマーの出力を上げる。
それに伴い、麦野達の頭痛もひどくなる。
しかし、麻生はそんな状況の中顔色一つ変えない。

「おや?その様子だとあまり効いてないみたいだな。
 もしかするとそれほど、能力の強度(レベル)は高くないのか。
 それなのに一人で乗り込んできた。
 何とも無謀だね。」

その言葉を聞いた男達は嘲笑う。
八雲の言葉を聞いた麻生ははぁ~、と大きなため息を吐きながら言った。

「んで、もう話は終わりか?」

「そうだな、こちらも時間があまりない。
 なので、君は早々に・・「それじゃあこっちから行くぜ。」・・・へ?」

突然、麻生の姿が消えた。
次の瞬間、後ろで叫び声が聞こえた。
後ろを振り返ると、AIMジャマーを背負っていた研究員の一人の背後に麻生が居て、後頭部を掴み、研究者の身体が数センチ浮いていた。
すると、麻生の手から高圧電流が流れ、研究者の全身に電流が流れる。

「ぎゃあああああああああ!!!!!!!!!」

悲痛な叫びが施設内に響き渡る。
背中に抱えていたAIMジャマーがボン!!という音を立てて潰れてしまう。
それを確認した麻生は手を離すと、研究者はうつ伏せになって気絶する。
生きているのは麻生が力を上手く調整したからだろう。
倒れた研究者の近くにいた研究者は信じられない光景を目にしたかのように狼狽えながら言った。

「あ、ありえない・・・ありえない!!
 お、お、お前は空間移動と電撃を行った!!
 つまり、二つの能力を所有している事になる!!
 だが、現段階では能力は一人に一つが限界なのにどうして、お前は二つも持っているんだ!!
 まさか、お前は幻の「多重能力者(デュアルスキル)」なのか!?」

「仮に俺がその「多重能力者(デュアルスキル)」という能力者でもこのAIMジャマーが発動しているこの中じゃあ能力は発動できない。
 なのに、ちゃんと使えるという事は俺の能力は超能力ではないないってことだ。」

「な、なら、お前は何者だ!?」

「さっき言った筈だがな、ただの助っ人だってな。」

掌から放った電撃が研究者を襲う。
逃げる事もできなかった研究者は電撃に呑まれ、黒こげになる。
もちろん、AIMジャマーもただではすまない。

「あの男の狙いはAIMジャマーだ!!
 全員、射殺せよ!!」

その号令と共に一斉に銃口から何十発の弾丸が麻生に向かって飛んでいく。
だが、弾丸は麻生に当たる事なく、そのまま横に逸れていく。
一発も当たらず、横に逸れていくのを見て男達は徐々に恐怖を覚えていく。

「どうして一発も当たらないんだ!?
 しっかり狙え!!」

焦りの声を出す、八雲。

「無駄だ、ただの拳銃じゃあ俺を殺せない。」

そう言う麻生の指の間には細長い白い針が挟まっていた。
あれには名前があり「飛針」と呼ばれ医術などに使われる針の事だ。
この針で病人や患者のツボに刺して治療するなどにして使われる。
麻生はその飛針を飛び交う弾丸の間を縫うように放つ。
飛針はまるで吸い込まれるように一つのマシンガンの銃口の中に入って行く。
次の瞬間、飛針が入ったマシンガンは内部で暴発してボン!!という音を立てて爆発する。
銃が暴発して、銃を持っていた手が吹き飛び、男の叫び声が施設内に響く。
他の男達がそれに一瞬気を取られている内に、麻生は何本も飛針を創ると銃口に向かって投げつける。
ボンボンボン!!、と次々と銃が暴発していき、最後には銃を構えている者はおらず、五体満足なのは八雲とAIMジャマーを持っている八人の研究者だけだ。
他の男達は自分の手を押えて地面にのた打ち回っているか、気絶しているかの一つだ。
麻生が指を鳴らすと、今度はAIMジャマーがビビビビ!!!、という異音を放った瞬間に爆発する。
その爆発の衝撃で研究者達は気絶してしまう。

「な、なにを・・・・」

訳が分からないといった表情をする、八雲。
麻生は面倒くさそうな表情をしながらゆっくりと近づいて行く。

「簡単な事だ。
 AIMジャマーから流れる特殊なジャミングの電波を感じ取って、逆算してその機械の内側から破壊できるように、妨害電波を送っただけだ。」

「お前は・・・何者なんだ?」

ジリジリ、と後退しながら八雲はさっきと同じことを聞いた。
あの時と違うのは、八雲が完全に麻生に恐怖しているという事だ。

「何度も言っているだろう。
 ただの助っ人だ。」

その言葉と同時に、八雲は腰にあるハンドガンを取り出そうとする。
だが、それよりも早く麻生が近づきハンドガンを持とうとする手に手刀を入れる。
その衝撃でハンドガンがコンクリートの地面に転がる。
そのまま空いている右手で八雲の顔面を捉えると、そのまま壁に叩きつける。
こうして、学園都市にテロ行為をする前に「外」の部隊は鎮圧されるのだった。






「さて、お前に二、三聞きたい事がある。」

八雲の身体を壁にぶつけたまま質問する。

「お前達はこの学園都市の生徒数十名を拉致したはずだ。
 どこへ収容している?
 言っとくが、嘘をついてもすぐに分かるぞ。
 一応、俺はお前の脳の記憶を覗く事はできる。
 それをしないのは、お前の記憶なんてできる限りは見たくないから、こうして質問しているだけでその気になったらいつでも覗く事もできる。」

「し、知らない。」

「どうやら、まだ分かっていないみたいだな。」

「本当だ!!本当に何も知らないんだ!!
 俺達は確かにこの学園都市にテロ行為をする予定だったが、子供を拉致する計画はなかった!!
 本当だ、信じてくれ!!」

必死に訴えてくる八雲の眼を見た麻生は嘘をついているように見えなかった。

「なら、心当たりはあるか?」

「お、俺は何も・・・・・・・・・もしかして、あの女の仕業かもしれない。」

「あの女?誰だそれは。」

「俺がこの学園都市に来る前に色々教えてくれた女だ。
 潜入する計画からその他諸々細かい作戦まで考えてくれた女だ。」

「特徴は?」

「黒髪でショートヘヤーだった。
 眼鏡をかけている以外は・・・・・」

不意に八雲の言葉が切れた。
そして、次の瞬間だった。

「あ、あぐあ・・・・・あばびあうどいうしはへあはひ!!!!!!」

何やら訳の分からない言葉を発すると、突然八雲の身体が膨らみ始めた。
ゾクッ、と何かを感じた麻生は手を離し後ろに下がる。
身体の中に何かいるのか、下から上に行くように膨らみ最後には口から何本も触手が出現する。

「うげ・・・何あの気持ち悪いの?」

AIMジャマーが全部壊れたので、頭痛が無くなったのか麦野達は未だに頭などを押えているが何とか立ち上がる。
フレンダは八雲から出る何本の触手を見て、気持ち悪そうな表情する。
他のメンバーもたまらず視線を逸らす。
口から出た触手は集まり、形を創っていく。
その形は大きな眼球だった。
瞳が開き、ギョロギョロと周りを見渡す。
眼球が麻生の姿を捉えると、動きを止める。

「どうも、こんにちは。
 星の守護者さん。」
 
 

 
後書き
感想や意見、主人公の技の募集や敵の技の募集など随時募集しています。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧