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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』

作者:零戦
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第三十七話

 
前書き
何とか仕上げれました。 

 



――ドイツ、総統官邸――

「黒死病か……」
「はい、そのため研究者等の調査団を派遣したいと」

 ヒトラーはリッベントロップからの報告にそう呟いた。

「……その調査団の中にSSを紛れ込ませて特地を調査するのだ」
「は、判りました。ですが、調査の方を優先させたいのですが構いませんか?」
「……良かろう。黒死病は防がなければならんからな」

 部屋にいる全員は黒死病の言葉に怯えていた。いくら屈強のナチスドイツでも黒死病はトラウマである。
 なお、史実なら既にバルバロッサ作戦が開始されて独ソ戦が展開されているのだが……独ソ戦は未だに展開されてなかった。
 日本に門が現れた事によりヒトラーが門に興味を持ったからである。これにより独ソ戦は展開されず、余剰の戦力をドイツアフリカ軍団(DAK)に回した。
 DAKは四個歩兵師団、三個装甲師団の増強を受け総司令官もエルヴィン・ロンメルからエーリッヒ・フォン・マンシュタインに交代した。
 これは南方戦域総司令官アルベルト・ケッセルリンク空軍元帥(地中海・北アフリカ方面のドイツ軍を統括)の独断であった。
 予てからマルタ島のイギリス軍が輸送路を妨害していた事もあり、ケッセルリンクはロンメルより先立ってヒトラーに直訴した。

「マルタ島を攻略しなければDAKは干上がり、ロンメルも捕虜になりますッ!!」

 ケッセルリンクはそう迫り、ヒトラーもロンメルが捕虜になるのを恐れて新たな戦力の補充とマルタ島攻略を優先したのだ。
 ケッセルリンクはロンメルをドイツアフリカ軍団総司令官から降格をして第七装甲師団司令官に任命した。

「正直に言えば、君は総司令官には向いてない。まだ師団長のが似合っている」

 ケッセルリンクはロンメルにそう言った。ロンメル自身も判っていたため格下げに応じた。
 それに後任がマンシュタインならと降格に応じた理由でもある。
 ともあれ、マルタ島攻略作戦は九月二十日に開始されるのであった。

「暫くは北アフリカ方面に戦力を投入して日本の動向を探り情報を収集するしかあるまい。それに拉致被害者の事もある。日本に突け入る隙間はあるのだ」
「ハイルッ!!」

 ドイツは北アフリカ方面に戦力を投入しつつ日本を探る事にしたのである。
 一方、アメリカも当面は日本に支援しつつ動向を探るしかないと踏んでいた。

「ジャップに宣戦布告をして日本を占領出来れば門の情報も手に入るが……それは無理だろうな」
「は、ジャップは炎龍とやらの遭遇で新装備を開発中との事です」
「むぅ……奴等にテコ入れをしたのは間違いだったかもしれんな……」
「それは違うと思いますプレジデント」

 ルーズベルトの言葉にハル国務長官はそう言った。

「それは何故だハル?」
「奴等にテコ入れすれば此方の産業は潤います。イギリスに支援していますが、日本にも支援すれば日本の市場にもアメリカ企業が潜り込めると思います」
「ふむ……外から侵略するのではなく内から侵略するのか……面白いじゃないか」

 ルーズベルトはニヤリと笑った。

「そうなれば善は急げだ。日本に対する支援を広げようか」

 ルーズベルトは更なる支援を承認するのであった。



――横須賀基地――

 この日、横須賀基地に二隻の特設巡洋艦と一隻の輸送船が欧州から帰還した。
 二隻の特設巡洋艦は金剛丸と金龍丸であった。この三隻の船団の任務は欧州――ドイツへ行き、ベ式機関短銃と銃弾の受け取りとドイツ海軍へ零式水偵二機の受け渡しであった。
 門の出現後、特地へ進出した日本軍であるが炎龍との遭遇で軽機関銃や機関短銃の使いよさの報告があり、陸海は共同でベ式機関短銃とその銃弾(MP28)の大量購入を決定して三隻はドイツに派遣された。
 しかし、ドイツもただ金だけでくれてやるわけにはいかず海軍の零式水偵の譲渡を言ってきた。(譲渡するなら購入金額を半額にすると言っていた)
 海軍は苦渋の末、二機の譲渡を決定したのだ。
 三隻は大西洋経由でドイツに向かい、何度かアメリカやイギリス艦艇の臨検を受けつつもフランスのブレスト港に到着。
 準備されていた機関短銃を受け取り、二機を譲渡した。(なお、購入した機関短銃は今回だけでも五千丁にも及ぶ。そのため輸送船に入りきらないのは特設巡洋艦に載せられたがこれもまた入りきらないので二回目の受け取りが予定されている)
 機関短銃を装備するのは下士官から上の階級となっている。
 陸海軍は少しずつではあるが内部の改革が出来ていたがそれでも相変わらず仲は悪い。
 しかし、特地派遣軍は割りと仲は良好であった。樹達の交流により派遣軍でも連帯感が出来ていたからだ。
 また、派遣軍司令官の今村中将も良識派である。(山本五十六と友人でもあった)

「特地派遣軍への物資輸送は完全であろうな?」
「は、特地派遣軍の要請は出来る限り応えるようにしてあります。それと、特地からの報告では油田地帯とダイヤモンド鉱山を発見したそうです」
 エルベ藩王国内を調査した結果、ダイヤモンド鉱山が三ヶ所と油田が四ヶ所も発見された。

 陛下に戻ったデュランは七ヶ所の周辺土地を日本に譲渡する代わりに日本に援助要請をした。
 つまり、日本の政治や軍事を学ぶため人員を派遣させろだ。
 日本は二つ返事で即答した。

「特地で味方があれば運営しやすい」

 政府をそう判断したのである。

「特地に技師を送る。上手くいけば日本は石油を自国で生産出来る」
「判りました」

 辻と東條はニヤリと笑うのであった。


 
 

 
後書き
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