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エネミーワールド

作者:そうん
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2章 これが「異能者、無能者の会」
  第八話「再び悪夢が始まる」

第八話「再び悪夢が始まる」


なんやかんやで事は収まった。他校への侵入、公務執行妨害などやってのけたが、何故か僕らは逃れられた。やっぱり上からの圧力だろうな。僕ら異能者は優遇されてるというのは本当の事だったのか…。それを証拠に僕ら異能者ではなく顧問が全ての責任を負う形にはなったが…僕は思う。あぁなって当然だと。
顧問はしばらく学校に顔が出せないらしい。僕としては最高に清々しい気分だけれど…何かもの寂しい気もしなくもない。

シャイン
「二週間の謹慎処分かぁ…。」

ユウタ
「自業自得なんじゃないですかね。」

シャイン
「まぁ自業自得なのは確かだけど、なんか…」

ユウタ
「やっぱり罪の意識があるんですか?」

そりゃ…あるに決まってるよ。僕も罰を受けるべきなのに全ての責任が顧問にいくなんて誰が想像できたのだろうか。いや、普通はそうなのか。僕の感覚がおかしいんだな。うん。生活が狂ってから何もかも…

ユウタ
「大丈夫ですか?目が虚ろですけど?」

シャイン
「ぁ、うん。ごめんな。なんか気が乗らないんだよね。」

ユウタ
「そうですか。まぁ…気長に待つしかないですね。」

まぁ、所詮2週間。すぐ帰ってくるよな。うん。いや…まてよ。たった2週間⁉あの人帰ってきたら僕、またあぁなるんじゃないか心配になってきたな。前言撤回…もう一生戻ってくるな。

シャイン
「あぁそうそう。僕色々確かめたいことあるんだけどさ…。」

ユウタ
「何がですか?」

シャイン
「いやー。ここ最近、メルとシィラが二人して部活欠席してるよな。」

たまたま資料を持っていたユウタはここ1週間の記録を取り出し、それを確認していく。

ユウタ
「まぁ…そうですね。確かに記録にも書いてありますし…。というか、丸々1週間来てないですね。」

シャイン
「だろう?それでさ、気にならないか?」

ユウタ
「まぁ…気になるって言われればそうですけど…先輩…殺されたいんですか?」

…。もちろん殺されたくない。けどメルがいない=主格がいないわけで部も何も進まない。

シャイン
「いや、でもこの一週間…僕ら何かしたか?」

ユウタ
「…してないですね。もはや部としてもどうかと思いますよ。」

シャイン
「だろ?だからなんとかしようって奴だよ。
それなら殺されないだろ?説明すればなんとか…」

僕は希望を持って前に進もうとしてはいたが、長年の付き合いを経験しているユウタの発言のほうが現実味があり、絶望した。

ユウタ
「シャイン先輩…。あの人…人の話聞くと思いますか…?」

ない…。一度として通った覚えなんてない。

シャイン
「だとしても…さ?さすがにこれじゃまずいんじゃ…」

ユウタ
「例え俺らが真実を知ったところで抹殺される事は免れないと思いますよ。」

…。無理すぎるだろ…。何それ…。

ユウタ
「大丈夫ですか?顔が真っ青ですよ。」

シャイン
「いや…なんでもない。ただわかることは…お前…あと数秒の間に消されるぞ…。」

ユウタ
「ぇ?なに言ってるんですか?そんなことあるはずが…」

その瞬間、ソファーごとバット代わりにぶん回すメルはユウタの脇腹目掛けてクリーンヒットさせた。

ズドーンッ‼

ユウタ
「ぐぁっ!?」

シャイン
「ひ、ひぃいいい!?」

思わず声がうわずってしまった。
だって…おかしいんだもの…。絶対おかしい‼次元が違うって‼

ユウタ
「う…うがっ…。」

シャイン
「ユウタ‼」

めりこんでいた壁からユウタの身体が離れる時…彼の目は白かった。純粋な白…。これほど恐ろしい光景…見たことない…。

メル
「あんたたち…覚悟できてるわね?」

シャイン
「僕はできてる…。いやいや違う違う‼」

メル
「何が違うのかしら?」

シャイン
「それはその…えーと…実は朗報がありましてね‼」

無駄な言い訳は通用しない。改めて思い知らされたよ。それから…女子のプライベートに介入するのはよくないということを教訓にしようかな…アハ…アハハハハハ…。

スドーンッ‼

シャイン
「ぅ…あ…。」

ソファーが目に映った時、僕はもう壁と密着していた。気がつけば…ユウタの隣に僕はいた。
天井…何度見上げたことだろう…。少なからず部に入ってからは数十回は見てる気がするなぁ…。

シィラ
「姉御〜。どうしたんですかい?」

メル
「なんでもないわ…。盗人を懲らしめただけよ。」

へー。僕ら盗人扱いねぇー。もうダメだわこりゃ。

シィラ
「じゃあ早くきてくださいよぉ〜。」

メル
「えぇ。わかったわ。 それじゃあと3日留守にするからヨロシクね。あと、それから…」

な、なんですか。姉御…。

遠のく意識の中、僕はしっかりとこの耳で恐ろしい宣告を聞いた。

メル
「もしも次、もう一度同じようなことをしようとした場合どうなるか…わかるわね?」

シャイン
「は、はぃ。」

全体力を振り絞って出た言葉がこれだ。この部はあの人によって支配されている。まさに「姉御」というのがふさわしい呼び名だと身体で知った。ということはシィラはそれを見破っていたと?

メル
「今いくわ。」

シィラ
「そんじゃいきましょうか。」

メルはその窓を突き破り外へと出た。
あれは…姉御…というより破天荒といったほうが…いやまてよ。口に出しそうだからあえて忘れたほうが…

そこで僕の意識はプツリと切れた。
僕の「姉御」「破天荒」というワードを脳内に残し、そのまま…天へと旅立つ。

シャイン
「さようなら皆、さようなら僕の人生。」

天へと登るのかと思いきや、生えた羽がもがれ、そのまま僕は落下していく。

シャイン
「そうか、僕は地獄に…行くんだね。」

メル
「何寝言言ってんのよ。早く起きなさい。」

ん…な、なんだなんだ?なんでメルの声が?
脳裏に響き渡る、救いの声…落下して行く僕をその地獄から救うべくして舞い降りた天への一本道。これを逃すわけには…

ボゴッ‼

シャイン
「うぐっ…。」

その一本道を駆け上がると同時に頬に鋭い痛みが走る。ダメだダメだ。このまま登り切らなければ僕の命はない。そう決心してはいたものの、次々と降りかかる頬の痛みに僕は…

シャイン
「っ!!んぅう…ここは…。」

メル
「部の部屋よ。あなた、いつまで寝てる気?もう部活終わったわよ?」

どうやら僕は夢を見ていたらしい。しかしなんか痛覚がリアルだった気がする。
僕は両頬を触れて確かめる。

シャイン
「っ!?」

その想像もできない痛みに思わず白目を向きかけた。う、うぉお…。痛い…痛すぎるゥ‼

メル
「ちょっと痛かったかしら…なにしろビンタじゃ覚めないと思ったから。」

シャイン
「ぇ?じゃあ何したの、僕に…。」

メルは誇らしげに両拳を見せつけてきた。
グー…。グーですか。そりゃ、痛いに決まってる。よくよく見たらめっちゃ腫れてるし…。

シャイン
「…。恐ろしいな。本当に。」

メル
「何か言った?ん?」

シャイン
「いや、なんでも…。」

そうか…だからか…。いつもいつもこんな目にあってるから…こんな夢まで見るようになったのか…。これじゃいくらあっても身体が、持たないよ。どうにかならないものか…。

シャイン
「とにかく帰ろうか…。もう遅いし…。」

メル
「それもそうね。」

それにしても…どこから夢でどこから現実だったんだろう。二次元と三次元の見分けがつかなくなったみたいな症状に陥っている気がする。そう思う自分が非常に残念だ。ますます悲惨になっていくなぁ…僕の人生…。もう何が何だか分からなくなってきた。今日はもう深く考えないようにしよう。 
 

 
後書き
次回なのですが、今週、テスト一週間前だったり・・・来週、テスト期間だったりするのでもしかしたら、水曜日まで更新することができないのかもしれません。というより確定的と言ったほうがいいのかもしれません。まぁあくまでも推測なので、もしかしたら?ということもあるかもしれません。なので私としてもその期間のコメントなど対応が遅れたりすることもあるのであしからず。 
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