ハーブ

第十三章

「それで来ました」
「終わらせたのですか」
「仕事は終わらせるものです」
　静かに述べたアンジェレッタだった。
「そういうものです」
「そうですか」
「はい、ですから」
　また言ってであった。そしてである。今度はアンジェレッタから話すのだった。
「ここに来ました」
「成程。仕事は終わらせるものですか」
「それが私の考えですから」
「わかりました。では御到着を歓迎します」
　そうしてであった。あらためて話すのだった。今度は事件の話だ。
「そしてですが。犯人を見たのですね」
「はい、しっかりと」
　本郷が話してきた。
「それどころか一戦交えてきましたよ」
「そうですか。一戦ですか」
「はい、倒すことはできませんでしたけれどね」
「ですが相手がわかったのは大きいですね」
　警部はこのことは素直に喜んでいた。一応満足な顔をしている。
「それは」
「大きいですか」
「はい、大きいです」
　こう本郷にも述べるのだった。
「人間ではなかったですか。やはり」
「完全に俺達の仕事ですね」
「警察が相手をするのは人間です」
　警部は人間の世界だけで出される言葉を述べた。
「ですから」
「そういうことですね」
「はい、その通りです。ただ」
「ただ？」
「相手を人間として話をまとめることはできます」
　それはできるというのだ。厳しいその顔を微かに綻ばせての言葉だ。愛想のない警察署の一室だがそれでもその中でそんな顔をしてみせたのだ。
「そちらはお任せ下さい」
「それが警察の仕事ですか」
「こうした事件での」
　犯人が人間でない場合のだというのだ。
「ですからそちらはお任せ下さい」
「御願いします」
　役は真面目な顔で警部に告げた。
「そちらは」
「はい、わかりました」
「そしてです」
　さらに話す彼だった。
「次で決めます」
「次ですか」
「向こうからの誘いでもありまして」
　美女の言葉をここで出すのだった。
「ですから」
「倒すのですね」
「お任せ下さい」
　彼はその言葉をさらに続けていく。
「全て」
「はい、それでは」
　警部も彼のその言葉を受けて頷いたのだった。
「そちらはお任せします」
「じゃあ話はこれで決まりですね」
　本郷が笑いながら話す。
「後は」
「お食事はまだですか？」
　警部からの言葉だった。
「食事は」
「ああ、それですか」
　本郷は警部の言葉に少し困った顔になりそのうえで述べた。その言葉は。
「それですけれどね」
「どうされますか？」
「自分達で食べますので」
　そうするというのである。
「お気遣いなく」
「まさかと思いますが」
　警部は察した様な顔になって三人に言うのであった。
「本郷さんと役さんは日本の方ですね」
「はい」
「その通りです」
　これはもう言うまでもないことだった。