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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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関係者

 目を開けるといつも自分がログアウトをしているガレージの中が目の前に広がる。オイル等の臭いが鼻を突くがこの世界では普通のことなので特に気にしない。すぐに近くにある作業台の上によく手入れのされている二丁の銃を手に取る。そしてその二丁をホルスターに直して、作業台の手前に乗っているハンティングナイフを取って腰に直すと、今度は作業台の横にある四輪のバギーを見る。

 バギーも入っている日はほとんど整備しているしているのでいつでもいけるように見える。

「っと、カズ……こっちに来たらキリトか。迎えに行きたいけどどうせ移動するだろうしちょっと探し回るかな」

 そう呟いてバギーにまたがるとエンジンを温め始める。そして数秒してエンジンも温まったところでウィンドウを開いてガレージのシャッターを開くように動かすとゆっくりとシャッターが開いていく。そして完全にシャッターが上がると同時に発進させてガレージから出る。

「とりあえず、メインストリート辺りを適当に探せば会えるだろ。あっ、でもあいつのこっちの容姿しらねぇ。まあ、そこら辺は何とかしてみるか。……でも、その前にBoBにエントリーしてたほうがいいんじゃね。時間ねぇし、参加できなかったら死銃を探す度ころじゃなくなるし」

 そう呟いて最初はキリトと会うのではなくエントリーのために総督府に向かうことにした。もしも、二人とも参加出来ないというハプニングになったら困るからだ。すぐに方向を総督府のあるほうに向けて大きな道をバギーで走る。

 途中、バギーのエンジン音を聞きつけたのか金髪ツインテールがきょろきょろしながら人の波から出てきた。丁度、目の前に出てこられたのでブレーキをかけてバギーを止めた。

「ゲツガ、どこか行く予定だったのか?」
「ちょっとな。今回はBoBに参加しようと思ってるから総督府に行ってエントリーするところだけど」
「……参加するのか?それなら私も参加する」
「なんでだよ……」

 若干あきれながらアウラに言った。だが、アウラはそんな自分の言ったことを気にせずにバギーの後ろに乗った。

「本当に参加する気なのかよ……」
「一度決めたら実行する」
「まあ、そんな性格なのはログイン初日でわかったことだから特にツッコまねえからな」
「たまにはいいと思う」

 アウラは少し返しを期待していたのか残念そうに言った。自分にそんなことを振られてもどういう返しをしていいか分からないため困る。

「はいはい、できたらな。とりあえずお前も参加するならこのまま総督府に行くぞ。そっからは敵同士だからな」
「わかってる。負けないから」
「別にいつ戦うかわかんねえだろ。とりあえずこのまま行くぞ」

 再びバギーのエンジンをかけて、総督府に向けて走らせる。しかし、本戦まで進んだとしても自分の武器は決定打になるのはM500とホローポイントがあるにはあるが、それでもシノンの武器ヘカートの一撃の威力には到底及ばない。今回は本当に勝ち続けなければならないため、本戦に行けたとしたら“あれ”を使うことになるかもしれない。

 だが、この世界で上位入賞をして死銃に接触するのが優先事項だ。あの武器を使わずとも、何とかなるかもしれない。そんなことを考えながら運転してようやく総督府についた。総督府の前でバギーから降りるとそのまま総督府に入ってエントリーをパネルで済ませようとするがなぜか違和感を感じたため、振り返る。だが、そこには誰もいない。首をかしげながら再び向き直り、パネルに必要事項を打ち込むとすぐにその場から離れた。

 これで参加は出来たはずだから後はキリトを探せばいいだろう。時間に間に合わなかったら自分ひとりでもやるしかないが一人だと出来る範囲が狭くなるのでキリトにはいてほしいところだがこっちでのキリトでのキリトの容姿がわからなければ本当にどうしようもない。キリトの名前を叫びながら会うのも恥ずかしいしどうするかと思う。

「あいつなら……まず武器を選びに行くだろうな。あいつの選びそうな武器は……光剣とかか?いや、まさかGGOにまで来て剣を選ぶなんてことは……あるだろうな。銃を使うよりもあいつなら剣を使ったほうがいいかもしれないし……とりあえず、武器ショップ回ってみるかな。金がないから多分、金儲けの出来そうなところにいると思うからそこら辺から潰していくかな」

 そう呟きながらバギーに乗ってエンジンをかける。そしてそのままバギーを発進させた。とりあえず近いところから探していくためにメインストリートの中にある所から探す。どの店にもたくさんの客がいるがどれがキリトなのかさっぱりわからない。とりあえず動き方で探すもその中にはいなかったので次に行く。

 だが、もうすぐでBoBのエントリーも終了してしまうはずだ。BoBで名を上げたほうが確実に死銃が接触してもらう可能性があるため、キリトにも参加してもらいたいのだが無理なら一人で何とかするしかないと思う。

 そしてそのまま時間が過ぎるだけと思っていたが、エンジン音を聞いたのか一人の少女の声が聞こえた。

「ちょっとゲツガ!近くにいるなら来て!」

 この声から察するにシノンであろう。だが、何で自分を呼ぶ必要があるのだろうか。そんなことを考えながらバギーをシノンの声の聞こえたほうに向けて進める。そこにはどうも落ち着いた雰囲気ではないシノンともう一人少女がいた。

「どうしたんだよ、叫んだりなんかして」

 そうシノンに聞いた瞬間、すでにシノンはバギーの後ろの席に乗ってきた。

「ゲツガ、このまま総督府に向かって!このままじゃ、BOBにエントリーできなくなる!」
「おいおい、そういうのは早めにして置けよ」
「そんなこと言ってないで早く!あなた参加するんでしょ!?早く乗って!」

 シノンは相当焦っている。それだけ今回のBoBに大きな意味があるのだろう。

「おい、早くお前も乗れ!」
「は、はい!」

 そう言うとシノンの後ろに乗る。それを確認すると急発進する。

「舌かむなよ!」

 そして、そのまま人は勝手に道を開けて行くのでその間をどんどん進んでいく。それにバギーのエンジンの馬力も上げているので三人乗せても結構なスピードで進むことが出来ている。ほんの数分で総督府の手前につくとバギーを横スライドさせながら停車させた。

「着いたぞ!」
「ありがとう!さあ、あなたも急いで!」

 そう言ってシノンともう一人の少女をそのまま、見送る。これで何とかなるだろうとそのまま自分も総督府の中に入ろうとすると一人の男に呼び止められた。

「ゲツガ」
「ん、この声はシュピゲールか?」

 振り向くとそこには案の定、シュピゲールがいた。この男は以前にシノンから紹介してもらったのだが、自分は普通に接しているつもりなのにあちらの目からは敵意を持った視線で見られているため、何かと苦手である。そのシュピゲールが自分から話しかけてくるのは珍しいため、首をかしげながら聞いた。

「何かようか?」
「用はないよ。ただ、今回の大会に出るのか聞きたくってね?」
「ああ、今回は出るぜ。シノンとアウラも出るって言ってたぞ」
「シノンは知ってるさ。そうか、君も出るんだね……大会がとても楽しみになってきたよ」

 その言葉を言ったときのシュピゲールの目が僅かに何かにごったように感じ、背筋に悪寒を覚える。

「そうか、何でそんなに楽しみになるんだ?」
「さあね」

 そう言ったシュピゲールはそれ以上何も告げずにそのまま総督府の中に入っていた。そして、シュピゲールのあの言葉に違和感を覚えながら自分も総督府に入ろうとする。しかし、少し考え事をしていたせいか、誰かとぶつかってしまう。

「すまん」

 そう言って立ち去ろうとするが、その男は自分の肩を掴んで来て引き止めてきた。その男はフード付きのマントにガスマスクのようなものをつけて顔がかくてている不気味な特徴のあるプレイヤーであった。

「なんだよ」
「ゲツガ……」

 自分の名前を聞いた瞬間、僅かに眉を寄せて払うように肩を掴んでいた手をどかす。

「名乗った覚えもないのに俺の名前を知ってるなんて俺は有名人になったんだな。今は名が売れてるなんて嬉しいことだけどな」
「……てめぇはあのゲツガか……」

 それを聞いた瞬間、本能的にその人物から離れてホルスターに納められているベレッタと腰にあるハンティングナイフに手を掛けた。

「あのゲツガってのはどういう意味だ……」
「さあな。だが、教えなくてもすぐに分かるだろうぜ。この血生臭い世界でな、血塗られた弾丸(ブラッディーバレット)」

 その名を聞いた瞬間、ホルスターから銃を抜き、そいつの頭に向かって発砲していた。弾丸は障壁に阻まれてその男に届くことはなかったがそのワードを聞いて奴が誰かを理解する。

「かまかけたがどうやら本物らしいな……覚えておけ、このBoBでお前のその表情を恐怖に染めてやるよ。イッツショータイムだ」
「その呼び方、それにその言葉……テメェ、レッドの残党か……この世界で会うなんて本当に不運だぜ……」

 男を見ながら言った。

「どうやら、因縁がこんなところにも持ち出されるなんて思わなかったぜ……」
「因縁なんてすぐになくしてやるよ。死銃がな」
「お前が死銃ってことじゃないのか?」
「おっと、これ以上は何も言わないぜ。本戦に上がれたら楽しみにしておくんだな」

 そう言って男は、総督府の中に行ってしまった。すぐにその後を追うが中には先ほどの人物の影さえ見当たらなかった。素早く移動してどこかに隠れた、もしくはログアウトしたかだが、後者のほうはない。もうすぐで大会が始まるからだ。あんな言葉を残しておいて参加しないのは不自然すぎる。

「ったく。まさかこんなところで接触するなんてな。しかも、野郎があんなこというって言うことは今回の事件にSAO生還者が関わってるってことになる。それにあの名前を知ってるってことは確実にレッド、あの戦いに関わっていた奴だから俺はもう無関係じゃないってことか……キリトは参加しているかどうかはわかんねえけど、これはどうにかするしかないだろ」

 そう呟くとホルスターに銃を納めてから一度外に出てバギーを取りに戻るとそのままバギーに乗って総督府に入った。 
 

 
後書き
バギーで総督府の中は入れるのか?とか思った人はこれは二次創作だからそこら辺は気にしないことをオススメします。

 
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