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エネミーワールド

作者:そうん
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1章 平穏な生活に終止符
  第七話「課外活動③」

第七話「課外活動③」


気がつけば僕は空を眺めていた。服もボロボロ…。見渡す限り僕の周りには誰一人としていなかった。

シャイン
「泣きてえ…。」

…。身体のあちこちが痛い。酷いよな。どんだけ変な偏見持たれてるんだか…。

シャイン
「っ‼ や、やめてくれ‼」

地面に突っ伏してる僕の前に木の枝がが現れ…つつかれてる。おい、これどういうことだ?

シィラ
「どうしたのさ…そんなとこで転がって。」

シャイン
「いや、そうしたい訳じゃないんだよ。見ればわかるだろう?」

シィラ
「うん。服ボロボロだからすぐわかる。あの暴動でしょ?」

へぇー。あれ…暴動ってことになったんだ…。
明らかに袋叩きにされてた気しかしなくもないけどね。

シャイン
「なぁ…見てないで、僕の手を引いてくれないかい?」

シィラ
「ごめんごめん(笑)」

起き上がり、彼女の顔を再確認すると、なにかと整っている。まさに自分好みだった。髪型といい、その声のトーンからしてメルに負けないくらいだった。

シャイン
「ありがとう。君は?」

シィラ
「アタシ?シィラだよ。そんな君は?」

シャイン
「シャインって言うんだ。」

なんとも軽いその口調は僕にとっても話しやすい相手だった。いや、誰に対しても話しやすいのかもね。

シィラ
「それで、シャインはどうしてこんなところで寝てるのかな?」

シャイン
「いやいや、だから寝てたわけじゃないってw」

シィラ
「じゃあどうしてそこでゴロゴロしてるのかな?」

シャイン
「いや、いい変えたところで変わらないんだけどさ…。それに、何さ…ゴロゴロってw」

安定のツッコミをかましながらも僕は彼女との会話を楽しんでいた。そんな彼女も僕を見て笑顔を浮かべていた。

シャイン
「アハハ…ハハ。」

シィラ
「ニヒヒw」

何か違う…うん。何か違うよね…。こういうのもいいけどさ…。悪い予感しかしないんだけど…いつもさ…こういう時にあるのって…

メル
「いたいた。先生たちも来て下さい。」

国語の教師
「おーぉー。さっきは悪かったな…さっさとずらかるぞぉ(笑)」

ざけんな…。タイミング悪…。マジふざけんなよ…。僕の楽しみを奪うんじゃねぇ…。

シィラ
「どうしたの?シャイン。」

シャイン
「ん…ん!?ぁ、うん。なんでもない。(ちくしょう…早く帰ってくれよぉ…。)」

シィラ
「あれあれー?何か隠しているなぁ?」

うぐっ…顔近い…近いよ!!ち、近い…。

シャイン
「とにかく…何もないよ。うん。」

シィラ
「本当かなぁ?アタシに嘘なんてお見通しだよぉ?」

うぉ…ぉ…。もっと近くなってるよ…やばい…理性がっ…。

メル
「何ニヤニヤしてんのよっ!!」

シャイン
「へ?ちょっ!?」

ゴスッ‼

シャイン
「うげっ…。それはないっすよ…。」

バタッ…。

ありえねぇ。なんで…なんでですか…。

メルは勢いよく僕に腹パンを僕の正中線ギリギリの位置に…。当然僕は立っていられないわけで…。

シィラ
「大丈夫?(笑)」

なんで…笑ってるんだよ…。酷いよ…ひ、酷い…。

メル
「あら…。気を失ったみたいね…。まぁ大丈夫よ。(はぁ…。本当に苦労かけるわね…。)」

国語の教師
「とりあえず、ずらかるぞぉ?」

いつまでその調子なのかしら…呆れちゃうわ。少しはシャインの気持ちがわかるかも。

ユウタ
「とにかく、ヤバイっすよ!!先生、早く逃げないと…。」

校内アナウンス
「不審者の現在位置、グラウンド、体育倉庫前。警備の者はただちに捕獲に迎え。」

おかしいわね。どうして通信機みたいに放送するのかしらね。イタズラかしら?

メル
「ともかく、逃げましょう。見つかっているようですしね。」

国語の教師
「じゃ、失礼するよ。」

その場から僕らが去って行く時、彼女は何かを囁いた。僕の心の中で…。

シィラ
「面白いわ。今度…。アタシからそっちに行ってみるよ。」

そ…ぅ…。会えたらね…。
ハハハ…ハハ…。





目が覚めた時にはもう彼女の姿はなかった。
僕はまた天上を見上げ、右手を掲げていた。

メル
「あぁー。もう気待ち悪いわね。目が覚めたんならその手、どうにかしてよね。」

シャイン
「あ…ぁぁ…ごめん。って…えぇ!?」

今、僕はひどく動揺している。それは確か…だと思う。僕は自分の目を疑った。
そこにはメル、クソすぎる顧問、ユウタ…そして、シィラがいた。

国語の教師
「ぉ、目が覚めたか。あれから3日も寝たまんまで困ったんだよね。」

シャイン
「そうですか。って三日も!?いやいや、そうじゃなくて…なんでシィラがここにいるんだ?」

ユウタ
「さぁ…。わからないですけど、まぁ…昨日ですかね。俺のクラスに転校してきたんですよ。」

そうなのか…。あれ…夢じゃなかったんだ。
にしてもなんで部の部屋なのに…ここにいるんだろう。

シィラ
「よっ…説明ご苦労‼ところで姉御。」

メル
「何?」

ぇ、どういうことだ。メルが姉御?は?意味がわからん…。

シャイン
「ちょっと待ってくれ…。」

メル
「何よ。少しは待っていられないの?わかるでしょ?」

シャイン
「ぁ、うん。ごめん。でもさ、なんで姉御って呼ばれてんだ?」

疑問を投げかけてみると二人して僕の顔のちかくまで寄ってきた。

シィラ
「恩人だから。」

ち、近いです。はい。

シャイン
「な、なに?恩人?」

メル
「まぁ、シィラさんが自己紹介の時にね…うっかり「異能者です。」なんて言ったからクラスに馴染めなくて…。」

シャイン
「ぁぁ…それでお前がここに招いたんだな。」

へー。シィラって異能者だったんだ。嬉しいっちゃ嬉しいけど…なんか実感湧かないなぁ。

シィラ
「姉御、アタシに"さん"なんていらないよ(笑)
アタシたちもう友達じゃない。」

メル
「それもそうね。」

姉御と呼んでいる時点で間違っている気がするけど…。ここはあえて言わない方が…

メル
「何よ、シャイン…何か言いたそうね?まぁ、あなたのことだからしょうもない事なんでしょうね。まぁその時はその時ね。」

これだから言わない方がマシってことなんだよね…ハハ…本当女って恐ろしい。

シャイン
「な、なんでもないさ。どうぞ続けてくださいな…ハハ…アハハ。」

メル
「相変わらずだわね。」

あんたが怖いからそうしてるんじゃないか。何が起こるかわからないし…ついこの前なんか腹パン…うぅ。思い出したくもない。

ユウタ
「ところで…シャイン先輩…。勝負の件なんですけど…。」

ぁぁ…そういえばそんなのもあったっけな。
この場合…僕が気絶した時点で何も言えないよね。かといって放棄ってのも気が進まない。

シャイン
「そ、そうだね。まぁ、ナシってことにしようよ。僕も散々な目にあったし。(主に、顧問とかメルとか…)」

ユウタ
「そうですか。ならよかったです。」

よかったって?どういうことだよ。なんで溜め息なんて…。なんか嫌な予感が…。

ユウタ
「よかったですね。もし先輩がそう言わなければ、俺ら、命なかったっすよ。」

シャイン
「は?」

ユウタ
「それがですね…もし先輩が和解を望まないと言うのなら…あの人が…殺しちゃうらしいですよ…。(小声)」

ま、まさか…。嘘だろ…一歩判断を誤っていたら…死んでいたというのか!?どういうことだよ。

メル
「あら、話しちゃったのかしら?」

ビクッ…!?

ユウタ
「ん?な、何のことかな?」

シャイン
「うん、何のことかさっぱりだなぁ?」

僕は嫌々、ユウタと肩を組みなんとかその場を凌ぐため、引きつった笑みも浮かべてやった。
どうして…こんな目に合わなきゃならないの?ねぇ、誰か教えてよ‼誰か‼ 
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