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弱者の足掻き

作者:七織
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七話 「日々の鍛練」

 
前書き
一人称視点での地の文でのテンションが書いてて違和感。書いてるとなれるのだろうか……それとももっと淡々と抑えるのが普通で自分が可笑しいのか。まあいいや。 

 
「はっ!」

 発声と共に踏み込み、拳が伸びてくる。
 その腕を外側にいなしながら掴み、捻り弾く。同時、体を捻り相手の懐に接近。そのまま体重をかけてぶつかり、バランスを崩させる。
 相手の軸足を刈る様に足刀を放ち、相手の足が宙に浮く。
 と、そう見えた瞬間、視界に刈られたはずの足が突如現れる。
見れば前後の足が左右逆になっている。接近と共に合わせて足を下げ、刈られる瞬間に地を蹴り自ら足を離していたのだ。
 その足が、一直線にこちらの顔へと迫る。

「甘い」

 が、それを力技で打ち払う。そのまま宙に浮いた相手に圧し掛かるように共に体を沈ませ、腹部に肘を打ち込む。
 無論、全力ではない。それなりに注意しての一打だ。
 仰向けに、その体がくの字に折れる様な錯覚に陥る。

「——ッア!? ぐっ……」

 だが、それでも十分な痛みがあるのか押し殺した呻き声が上がる。
 しかし、その苦しそうな声とは裏腹に足が別物のように蠢きこちらの腕に絡みつこうとする。
 だが、痛みからかそれは遅い。声に気を取られず、肘が刺さり倒れきる寸前、すぐさま相手から離れる。
 肘に伝わった感触からしても、痛みはあっても骨などには異常はないはずだ。僅かに潜められた相手の眉から、鈍い痛みが伝わっているだろうことが分かる。だが、まだ大丈夫だろう。
 そう思い、感情を込めず淡々と言う。

「ゆっくりと深呼吸しろ。落ち着いたら立て、白。もう一度だ」
「……はい、イツキ、さん」

 今日、何度も繰り返した行為。何日も繰り返してきた行いだ。
 乱れた呼吸を戻しながら、白がゆっくりと立ち上がる。
 俺の踏み込みと同時、潰された落ち葉が物悲しげな音を立てていた。





 あれから数ヵ月が経った。
 あの日の次の日から、鍛錬にいい場所はないかと探し始めた。そうして色々と聞いたり、探したりして見つけた場所がここだ。
 背の高い木々が生茂り、人が余りこなさそうな森。
 確証もないし違う可能性も高いが、原作で出た場所かもしれない。
 おっさんは日中別で用事があるし、基本放任主義でいてくれる。
 そのため、ここで白と共に鍛錬を始めた。

 本を読んだりは家でも出来る。だからこそ、ここですることは基本それ以外のこと。
 組手、チャクラ操作、投擲練習、術の練習が主となる。
 教科書という物は偉大だ。何をすればいいか、基本なら書いてある。
 筋トレ位なら分かるが、それ以外の事など昔親にほんのちょっと教えられた程度の自分には良く分からない所も多い。
 その点、持ってきた親の教材を見れば組手の基本行動、型などが載っている。それに忍術とは違い、純粋な体術という事ならば教材になりうる本の類は探せばある。
 そういった物で知識を得ながら、鍛錬を続けた。今している組手もその類だ。
 体をほぐした後に基礎づくりの運動や型の練習などを重点的にし、その後無差別な組手を少し。
 そうして今、俺は白を叩きのめしている。



 顔を狙い白の右上段が迫る。綺麗なものだが、慣れていないのか予備動作が大きすぎる。
 それを左腕で受け、懐に向け正拳を放つ。

「———ッ」

 白はそれを腕で受けるが、受け切れずよろめいて下がる。
 近づいて胴を狙い、左で追撃の二撃目を出そうとする俺に対し、その腕をかいくぐりこちらの腹部に向け斜めから白の拳が放たれる。
 が、入り込んできたその拳を、放とうとする白の体ごと力任せに俺の右足が弾く。

「———くっ」
(やっぱ、こうなるよな)

 押しのけられた白を見ながら、心の中で小さく呟いてしまう。
 いくら白に才能があり、俺の才がそれに遠く及ばなくとも圧倒してしまう。
 力任せに、潰せてしまうのだ。
 白に幾ら才が有ろうと、それを成す基盤が無ければ意味が無い。後半年もしたら別だろうが、少なくとも現状ではまだチャクラコントロールはこちらの方に一日の長があるし、チャクラの量も白と圧倒的な差がついているわけではない。
 まだ使えないのなら、身体的能力と技術の差が優劣を分ける。
 
 ある程度歳が大きければ別だが、小さい子供にとって歳は一つでも違えば筋力に差が出る。それがいくつか離れている上に、俺は男で白は女だ。性別による差も出てきてしまう。
 体の運動に関しても、僅かとはいえ俺は親から教えられていた。白の成長速度が非常に早く、かなり縮んだとはいえ、その年月のアドバンテージもまだ残っている。
 だから、技術に訴えずとも、白の技を力で潰せてしまう。悲しいことだ。
 
(だからと言って手は抜かないが)

 姿勢を低くし足元を刈りに来た白の足に対し、体の向きを変え力技で堪える。
 こちらが堪えたのを見、無理だと悟ったのか白はそのまま地に手を付け、下から打ち抜くような蹴りを放つ。
 それを交差した手で受けて堪え、そのまま足を掴む。
手に突き刺さる様な鈍い痛みが走る。が、堪え、もがく足を力技で離さないまま白のバランスを崩し、上から抑え込む。

「足掻け足掻け。抜けて見せろ」

 下の白がもがく。
 足を関節に絡ませたり手を首元に伸ばそうとしてくるが、抑える力を強める。

「うう……ぐっ! ——ッあ」

 白が小さく呻く。
 強く抑え込まれ、白は藻掻け無くなる。
 それを確認し、解く。そして卑下する言葉を吐く。

「駄目だな。この程度で駄目か。使えない。確かに成長は早い。だが、俺の為にもっと使える様になれ、白。俺の物なんだろう」
「はい……イツキさん。分かっています」

 キツイ言葉に対し、白は立ち上がりながらにこやかに言う。

 何度となくキツイ言葉を言っているが、一応理由はある。かなり情けないが。
 あくまでも俺が欲しいのは白の力と、原作の様な道具染みた従順な関係だ。だが、どうすれば再不斬との様なあんな関係になるのかは良く分からない。
 普通にしていても大丈夫だとは思う。だが、念には念を入れるべきだ。甘くしすぎて上下関係が薄まったりして良く分からない内に愛想を尽かされたり性格が変わっては困る。だから、再不斬の性格を思い出しながら考えた。
 だからこそ鍛錬で叩きのめしその様を敢えてきつく言い、何度となく上下関係を忘れさせず、理解させる。原作の様な形に近づける。常にでなくていい、最初の内、せいぜい一年程度で十分だろう。あくまでも理解させ根付かせるだけなのだから。
 
 これには直接的に出来る組手が一番であり、早いうちでなければならない。
 何せこれをするにはこちらが負ける様では駄目なのだ。白の才能を考えれば、じきに抜かれるのは自明の事。本当に成長は早いのだ。ならさっさとしておくに限る。
 悲しいが、一年後……いや半年後には立場は逆になっているだろうから。
 よくよく考えれば力任せに女の子痛めつけてるみたいだが背に腹は代えられんし、ちゃんとした鍛錬だ。
 それに、こんな風にしているのも鍛錬の間だけ。これ以外の時なんかは普通に接している。
 もっとも、これで本当にいいのかは分からないし自信もない。だが、しないよりはマシだと思っているし、再不斬がぬるい言葉ばかりかけていたとは思えない。
 
フェイクを入れながら放たれた、脇腹狙いの中段蹴りをギリギリで躱し、咄嗟に右手で払う。そしてそのまま軸足を払い転倒させる。
地面に倒れた白に言う。

「立て。もう一度だ」





 そのまま何度かし、暫くして組手を止める。
 程よく汗はかいているが、運動のし過ぎで筋肉が痛みを上げる前に体を休ませる。
 何度もし、大体白の体力がどの位かは大凡わかっている。既に白は肩で息をし、汗でうっすらと服を肌に張り付かせているのが分かる。この位が止め時だろう。
 自分としてはまだ大丈夫だが、白の方が優先だ。
 まだ成長しきっていない子供の内から無理はいけない。程々で止めなくては。
 基礎鍛錬で体を作るのは重要だが、それを急ぎ過ぎて壊してしまえば意味が無い。
 座らせ、水を渡す。

「ありがとうございます」

 水筒を傾け、白が口をつける。
 その間にカバンから物を出す。

「ほれ、次だ。休みながらやるぞ」
「……ふぅ。はい」

 喉が渇いていたので俺も水筒の水を一口飲み、白にカバンから出した物を渡しながら近くに座る。
 それは水風船だ。
 それを手に持ち、いつも通り水を回す。なれた物で、水は随分と回るようになっている。既に全体が中々の速さで動いている。
 
 組手の後は、体を休めながらチャクラのコントロールの練習だ。
 既にここ数ヵ月で、白はチャクラの扱い方を粗方理解してきた。
 チャクラの扱いは基本だ。術を使う際にも必要となる。だから、力を入れた。白は直ぐに理解したが。
 俺のような存在が頭で理解した上で何度となく体に教え込み繰り返し、染みこませ何日何週間もかけて覚えた物を、白は“感覚”で掴む。覚える速さが違った。
 もっとも、原作でも最初の頃の木の葉丸とかが術出来てたくらいだし、現実的にそこまで難しくはないのだろう。直ぐに教えられる類のモノなのかもしれない。
 
 他の事とも並行して色々やっているので変化を除き術はまだ覚えていないが直ぐに覚えるだろう。もう少ししたら、印の理論なんかも理解せにゃならんが大丈夫だろうきっと。
 原作を思えば何年もアカデミーで学ぶ、みたいな感じだったが、そんなに時間がかかるのか疑問だ。
 もっとも、知識と言うよりは実践重視でやっているからかもしれないが。
 それに為になる道徳染みた話などはロクにしていなこともあるだろう。純粋な学業自体なら自分には知識が既にあるし、白も呑み込みが早く、その分の時間が短縮されているからかもしれない。
 理数とか、時間かかるもんなぁ……。あれ、覚えるための練習の方が半分以上時間取ってるし。
 ちなみに知識の方なら家の方でできるのでそっちでやっている。時間は有効にしないと。

 単純にチャクラ量がまだ少ないからなのか割れないが、水風船は両手で持って後一歩の所まで来ている。全体の至る所がグニュグニュっと伸びたり戻ったりする。この調子なら、後半年たたずに一段階目は何とかなるかもしれない。
 木に背中を預けながら、すぐそばの白の方を見る。
 白の方の水の動きも似たようなものだ。チャクラ量さえ何とかなれば、白は既に二段階目にも行けるだろう。まあ、歳はしょうがない。それに、成長速度から見ても、きっと俺よりも速く割れる。後二、三か月位だろうか。
 原作のナルトの様なコツとかさせれば早いかもしれない。だがまだ時間はあるし、なんとかなりそうなのだから普通にしてもらいたい。

 チャクラの量も、直ぐに増える。教えられてなかっただけで、素質自体は俺とは比べものにならない。どのようにチャクラとして扱うか、精神・身体エネルギーをどう意識し、練るか。その感覚さえつかめば速く、実際既に白はそれを掴んでいる。
それと、分かったことだが白は水の操作と相性がいい。他のチャクラ操作系の物はまだ俺よりも拙いのに、水を使う物は習得の速さというか、練度が違う。
俺は両手で持っているのに、白は片手なのだから。
 才能だけでなく、相性もあるのだろう。ある程度進んだら、チャクラ印紙で属性でも調べてみるか。
基礎が出来きっていない内になっても意味ないだろうが、属性変化だか性質変化の修業は年単位でかかるとかだったから、早い内にしておくに越したことはないだろう。
 それと、と白の様子を見る。見る度に、才能の差を感じてしまう。
 片手、なのは良い。そこまで気にはならない。だが、一つ違う。
 白は甲を上にして指を開いているのだ。

(器用だね、ほんとさ……)

 つまり、手は上に有るのに握っていないのだ。それなのに落ちていない。
 まるでその球形が、白の手から生み出されたかのように思えてしまう。
 その手には、水を回すのとは別のチャクラが集められている。
 要は、原作であった木登りの縮小版だ。手にチャクラを集め、水風船を吸着している。それと並行して水も回している。
 俺とて片手での吸着は出来る。だが、同時にやれと言われたらどちらかが下手になる。
 明確な差を、どんどんと縮まる差を見せつけられる。一年後にはきっと、あらゆる点で以て負けているだろう。
 今は水風船だが、木登り自体もすることはある。もっとも、それをする際には組手の時間を少し短めにして、だが。
 そっちに関しても、もう少し扱い方になれれば、楽に登れてしまうだろう。

 そんな事を考えながら、暫く回しつつ休む。
 適度に体が休まり、体が冷えてしまう前に次に移るとしよう。
 立ち上がり、先に次の用意をする。そうして戻り、水風船を回収する。

「次やるぞ次」
「はい」

 ホルダーを渡す。次は投擲の練習だ。
 苦無を二本抜き、体の動きを利用し、短く息を吐きながら一本を打つ。

「———ふっ!」

 踏み込み捻り脱力し只流れるままに打つ。
 ———カツッ
それは狙い通り真っ直ぐに飛び、離れたところに置いた的に吸い込まれる様に刺さる。小さな乾いた音が鳴る。
 円の中心ではなく、少し離れたところに刺さったが今はこんなものだろう。
 本当なら腕だけで飛ばすのが理想だが、現状では高望みだ。

「今の程度はやれ。せめて当てて見せろ」
「……すみません」

 白が投擲練習をし始める。
 だが、芳しくはない。
 的までの距離はけっして近くない。中々の距離がある。最大直径三十六センチ、もっとも小さくて六センチの丸が書かれた板がそこの木に括り付けてあり、簡易的ながらその後ろには土の壁がある。
 白が投げた物は大体が土の壁に当たり、稀に的外の木に当たる。だが、的にはめったに当たらない。
 何度となく繰り返し、その度に拾いに行き、また放つ。
 それが何度となく繰り返される。
 
「重心を意識しろ。体幹を意識してずらさず、バランスを崩すな。特に仙骨の辺り」
「はぁ、ふぅ……分かりました」

 白が苦無を放つ。放つ。放つ。ただひたむきに、文句ひとつ言わずに続ける。
 ホルダー内が空になり、無くなるごとに拾いに行ってはまた放つ。只ひたすらに、不甲斐無い己を上げるために。
 もっとも、まだロクにできないのはしょうがない。
 投擲練習を始めてからまだそんなに経っていないのだ。ある程度の基礎が出来、チャクラの扱いがそこそこ出来てからやっと始めた。そんなに早く当たるはずがない。
 体作りに組手、チャクラの練習と続けてであり、投擲の時間もそう多くはない。それに、体も疲れているだろう。
 だがそれでも甘いことを言うつもりはない。ひたすら白が繰り返すのを見、時たまその後ろで自分の体を動かす。
 
(もっと本数があればいいんだが……。探してみるかね)

 そうすれば白と同時に自分も出来る。自分も一緒にすることはあるが、白に専念させることもあるのだ。
 苦無や手裏剣はどうか分からないが、千本は医療用にも使われていたはず。探せばあるだろう。
 そう思いながら、適度な所で俺は残っていた一本を白の後ろから打つ。
 それは見せつける様に、的に刺さる。それに対し俺は何も言わない。
白は苦無を、無くなれば手裏剣を放ち続けた。





暫くし、ホルダー内を全て投げきった所で声を掛ける。

「今日はここまでで良い。片付けはやっとくから、そのまま帰って休んどけ」

 ここで鍛錬を始め、既に数時間が立っている。途中途中で休憩を入れたりしたが、そろそろ止め時だろう。
 見れば白は汗を浮かべ、白い肌を赤く上気させている。疲れ切っているだろう、無理は禁物だ。

「イツキさんはどうしますか?」
「いつも通りだ。暫くしたら家に戻る。体冷やさないようにさっさと帰っとけ、風邪引くぞ」
「分かりました。……先に失礼します」

 そう言い、白は先に戻って行く。一人で帰しても、特に問題はないだろう。
 白の姿が見えなくなったところで、的の所に行く。
 そして、それを見る。
 まぐれらしき数本を除き、的には当たっていない。的の枠外の木に当たっている。
 つい思ってしまう。

(……化け物が)

 枠外の木。
そう、的の括り付けられた木に集中して刺さっているのだ。
 最初は後ろの土の壁に刺さっていたはず。それなのに、既にほとんどが木に刺さっている。
 そこまで太い木ではない。板の枠外などそう広くはないというのに。
刺さっている物を抜き取り、戻る。

 放つ。的に刺さる。放つ。的に刺さる。
 白を帰し、一人になったこの場で何度となく繰り返す。
 数十メートル離れた的。当てるのにはそれなりに技術がいる。
 投げ方を覚え、その動きへの違和感を無くし、入ってしまう力を抜き、普段使わない筋肉を酷使する。
 繰り返すことで重心の大切さを理解し、外してしまう事を繰り返し腰の重要さを知り、どこで放てばいいのかを数で覚える。
 慣れぬ動きにバランスを崩され、使わぬ筋肉の筋肉痛を経験し、この距離の的に安定して当たるようになるまで何か月もかかるのだ。
 何日も繰り返し、繰り返すうちに自然と的に近づく。遅々とした勢い故に気づけず、気づいた時にはいつのまにか当たっている。そういう成長のはずなのだ。
 それなのに、白は後少し当たる所にまで来ている。一日で、目に見える成果を出すのだ。
 このままなら、一月もせずにほぼ全てを当ててしまうだろう。
 
 その速さが、頼もしい。その速さが、怖い。
 腰から下を使わずに投擲する。それは、大凡四本に一本の割合で外れかける位置に刺さってしまう。
 白に見せる必要があったから、確かに当てるために全身を使った。だが、使わなければこんなものなのだ。
 白に見せるために、まだ白に追いつかれないために、必死で苦無を放つ。
 すぐ後ろで手を伸ばしている天才(はく)から必死で逃げるために、恐怖から逃げるために凡人(オレ)が必死に、無心で放つ。
 放つ、放つ、放つ放つ放つ、放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ、放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放つ放———

———ズキン

「———つっ!」

 手の痛みで我に返る。見れば、手の包帯が赤く滲んでいる。豆が潰れでもしたのだろう。
 白の成長の早さを理解してから、白を帰した後、一人で鍛錬を続けてきた。
 ある時は腕の筋肉の痛みを無視し、ひたすらに苦無を投擲し続け血豆が出来て包帯を巻いた。
 ある時はひたすらに体術の型をし、筋肉に貫くような痛みが出る寸前まで錬度を上げた。
 白が帰ってから、肉体の限界が来るまで。こうでもして酷使しないと、その成長速度に置いて行かれてしまう。そうしてやっと、まだ抜かれないで済んでいる。
 特に何もなかったが、今日の組手も何度か危ないことがあった。
 
(理由は分かってるんだよな……情けねぇ事だ)

 白が、理解できない。
 辛いはずなのに、文句ひとつ言わず付き従うその性格が分からない。
 原作を知っているから理解は出来る。だが、納得しきれないのだ。
 俺は自分が死なないためなら何でもしようと思っている。白を拾ったのも、自分の命を守るためだ。あくまでも、自分の為なのだ。
 だが、白は違う。俺に付き従う。意志の最上位が、中心が白自信ではない。
 俺が必死で守ろうとするものを、貫こうと決めたものを、投げ捨てている者が目の前にいる。
 命を守る為に必死で足掻こうとする俺には、分かっていたはずなのにそれが理解できない。
 そして同時に、その才が怖いのだ。
 たった数ヶ月で追いつこうとするその才が。追い抜きかけるその才が。努力を否定するその速さが。
まるで、自分の頑張りなど無意味だと言われるようで。

 自分などと違い、全うに(ざぶざ)に会えたのなら、それこそ既に自分を超えていただろう。アカデミーにでも行けば、十二になるずっと前に卒業できてしまうだろうと確信できる。
 そして同時に理解している。この思いが、あくまでも一過性なのだと。
 従順な性格など最初から分かっていた。だが、実際に見て動揺しただけ。才能も、一度抜かされでもすれば容易く諦めがつくだろう。そもそも、自分よりも強くなることが分かっていたから連れてきたのだ。弱ければ意味が無い。
 だから今している行為は下らない、形のない悪あがきなのだ。そう理解しているからこそ、衝動のままに体を動かし続ける。
無論、本格的に自分の限界を無視し壊すつもりはない。それは何が在ろうとしてはいけないのだから。寸前で止める程度の理解はある。
自分の意志でもって最初に壊す体が、自分の物など笑えないのだから。
 
 手の痛みが治まるまで、型の練習をしようと木に向かい、軸を意識しながら蹴りを放つ。
 途端、鈍い痛みが走る。何が起きたかと、服を捲る。
 脇腹に、小さな痣が出来ていた。

「……はは」

 意識しない内に、いつの間にか小さく声が出ていた。
 俺は全身の疲労や痛みを無視し、ひたすら動かし続けた。

それから暫くし、全身が悲鳴を上げきる頃、鍛錬を止めた。





「あー、疲れた」

 町中を歩きながら一人ごちる。全身が疲れ切っている。
 少し休んだからある程度大丈夫だが、それでも体が重い。
 帰るだけならばわざわざ町を通る必要も余りないのだが、少し寄り道だ。
 疲れたので、何か甘い物が欲しいのだ。
 その考えで、白露屋に足を向ける。

「おっちゃん、何か甘い物くれ」
「何か疲れたげな顔してんなイの字。友達と遊んでたのか?」
「まあ、そんな感じです」

 そんなわけないが言う訳にもいかず、適当に誤魔化す。
 度々買いに来て、ここのおっちゃんとも数ヵ月の付き合いだ。中々にフランクな会話もする。イの字、なんて呼ばれもする。
 ちなみに子供の友人がいないわけではない。知り合いはいるし、会って気が向けば適当に話したりもする。
 もっとも精神の差から微笑ましい感じで、友人、と言っていいのか微妙だが。
 知り合いの少年や少女から共に「イツキってさ、怒らないよね」とか「大人みたいなこと言うな!」と文句言われたこともある位だ。
 まあ、それはさておき。甘い物が欲しい。

「疲れてるんで、甘いもの下さい」
「言う事が何か歳違うよなぁ。甘い物ならいくらでもあるぞ。試作品の羊羹でも食っとくかい? 安くしとくよ」
「じゃあ、それ下さい」

 饅頭は結構買うため、違う物がいい。
 代金を払い、一本貰う。
 それと、何か小さく切られたのも出てきた。

「試作だからな、食べて感想おくれな」
「そういうことなら、いただきます」

 楊枝に挿し、口に運ぶ。

「美味い……」

 くどくない。
 普通の羊羹なら濃い甘さがあり、お茶でも欲しくなる。だが、これは甘さがありながら食べた後にそれが口に残りにくい。流れていくようだ。
 水羊羹みたいな物のように感じる。
 もっとも、残りにくいというだけで、子供の体にとってはまだ甘さが残るが。

「食べやすいです」
「そうだろう。子供でもそうなら、手軽に食べられるな。ありがとよ」

 帰ったらお茶と一緒に食べるか。
 爪楊枝を返し、店を去る。
 用も終わったし、調べることも特にないのでさっさと町を抜けて家へと向かう。
 
 調べる事、といえばタズナの家はもうみつかった。
 職人として知られているらしく、ある程度聞いて回ったら直ぐに分かった。
 家を遠目に見に行ったし、家族も見た。
 タズナの孫、イナリもいることが確認できた。歳も分かった。
 それと木の葉の事件もいつ頃かある程度分かり、今が原作何年前なのかの推測も立った。
 その結果、数年は特に何もしなくていいことが分かったので安心して鍛錬に励むとしよう。
 せいぜいイナリとカイザの邂逅を潰さないようにね。





 家に帰り、中に入る。

「あ、お帰りなさい」

 椅子に座っていた白が迎える。

「ただいま。おっさんは?」
「まだ帰っていません」

 そうかい、と返事を返す。
 羊羹の包装を剥がし、お茶でも頼もうかと思い白を見る。

「……風呂でも入ったのか?」

 今更だが何か服が変わってる様な気がするし、髪も黒が濃くなって艶がある気がする。
 まあ、肌がほんのり赤みをおびているのもあるが。
 それに対し、分かりますか、と白は小さく笑う。

「服が汚れていましたし、汗で風邪をひかない様にと言われましたので。つい先ほど出たばかりです」
「温めるのは良い事だよ。なら俺も軽く汚れ流すか」

 聞くと、湯は入れたらしい。
 まあ白が帰ってから今まで時間はあったし、時間も時間だ。それに汚れを流すためにも必要だろうさね。疲れてた体でよくやったものだ。
 本来は交代制だが、もはやそれは形ばかりでいる奴がするみたいな形になっている。
 正直シャワーだけで個人的には良いのだが、湯船につからんと翌日筋肉痛で死ぬので大事なのだ。
 まあ、浸かっても軽くなるだけだが。
 適当に着替えを持ち、脱衣場に入る。
 そのままさっさと服を脱ぐ。

(脱ぐ時、普通にしてる時より妙に痛みを感じるのはなんなんだろうマジで……)

 風呂に入る。
 まず簡単に体を流し、湯船につかる。
 熱めの湯だが疲れた体には妙に気持ちいい。まさしく溶ける様な心持ちである。
 そのまま湯の中で緊張している腕や足の肉を揉む。筋肉の痛みを和らげるのには大切な行為だ。詳しい知識が無いので拙い物だが、しないよりはましだという程度だろうが。
 ゆっくりと、つま先から順々に脹脛、太もも。腕の方も二の腕、上腕と力をそう入れず柔らかく揉む。ついでに腹も揉んどくか。やわらけー。

(痛みを感じるってのも、筋肉痛になってるわけだからある程度は良い事なんだよな。いらん怪我してるわけじゃない)

 超回復イエー、と何の気なしに脳内で思う。
 外面的に怪我したら、おっさんへの説明がめんどくなってしまう。そのためにも組手の際などは首から上とかは狙わないようにしている。白には遠慮なく狙わせてるが。

 おっさんは今は家にはいない。
 いない、というかまだ帰って来ていないだけだが。
 波の国に着いて二週間ぐらいして、おっさんは何か仕事を始めた。
 何を思ってかは知らんが、何でも金稼ぎをしないわけにもならんし、何もしてないのもあれだからとからしい。
 金自体はある程度普通に過ごす分にはあるらしいが、それ自体はもともと自分一人用で考えていた分らしい。なんでも、俺の事を知ったのは出かける準備して日を決めようとした頃だったそうだ。それまで親とはそんなに会ってなかったとか。
 今の現状では後々の事を考えると少ないらしく、死んだ俺の親が残した分も結構あり、大丈夫らしいが流石に稼いでおくに越したことはないらしい。申し訳ない事だ。まあ、そう続く事でもないのでいいだろうとか思ってる。
 仕事内容は外との繋がりで交易染みた事とからしいが、詳しくは聞かなかったので分からない。そこまで本腰入れてるわけではないようで帰るのが遅い時もあれば、早い時もあるし何もしない時もあるみたいだ。

(会う時間減ったなそういや、申し訳ない事だ。二人分増えたわけだしなぁ。親の金からいくら貰ったんだろ)

 家にいることが少なくなったように思う。まあ、時々手伝わされるがそれくらいは手伝うべきなのだろう。
 そんな考えが湯の熱さに溶ける様につらつらと考えられ、形にならないまま次々に流れていく。
 そろそろ出よう。そう思い、風呂から出てさっさと服を着て脱衣所から出る。
 おっさんの姿が視界に映る。どうやら、入ってる間に帰っていたらしい。

「おう、これ美味いな。ご苦労さん」

 勝手に羊羹食ってやがった。あんたの為に買って来たんじゃねぇぞこの野郎。
 羊羹を前に、楊枝に挿したそれを持ちながら言うおっさんに思う。

「僕も食べます。白も無くなる前に食べとけ」
「いいんですか?」
「悪いわけないだろう」

 言い、楊枝を羊羹に挿す。
 おっさんが用意したのか、置いてある急須のお茶を自分の湯のみに注ぐ。
 楊枝で羊羹を切って刺し、食べる。美味い。おっさんに負けじとそのまま何度も手を動かす。
 ふと見れば白は置かれた急須を両手で持ち、自分の湯のみに茶を入れる。その後羊羹に手を伸ばし、味わうように一切れ食べゆっくりとお茶を飲んでいる。

(……行儀良いな)

 自分と比べ、何か恥ずかしく……思いそうになったが目の前のおっさん見て開き直る。まあいいか。
 それでも食べるのをいったん止め、お茶を飲む。

「熱っ!」

 甘さを流すために普通に飲もうとし、熱さに小さく呻く。
 熱さを忘れていた。子供の舌にはキツイのでちびちび飲む。

「これ今まで食ったことねぇな。どこで買った」
「いつも饅頭買うとこです。何か試作品だとか。それより食いすぎ」
「白露屋だっけか。美味いモンだ」

 そう言いながらおっさんは食い、時折茶を飲む。もっとゆっくり食えヤロウ。
 そのまま三人で食べ、すぐさま羊羹一本食べ終る。
 本当なら半分ほど残すつもりだったのだが、まあいいか。

「風呂入るとするかねぇ。おい、飯は今日誰だ」
「おっさんです」

 立ち上がったおっさんに返す。
 偏りはあるが飯は一応当番制だ。おっさんの頻度の方が俺と白より多い。
 意外にもおっさんが一番上手く、順番的にはおっさん、俺、白の順だ。なんでも、長年独身男を甘く見るなだとか。泣ける。
 俺も昔は一人で作ることが多く、記憶というか知識があるのでそこそこ作れるし後々の為にも色々練習もしている。
 白は歳を考えれば一番下なのはしょうがないので作るときは大体手伝っている。飲み込みはかなり早い。

「俺か……めんどくせぇ。交換しないかガキ」
「その後代わってくれたことがないんで嫌です」
「ちっ。カップ麺にすっかねぇ……。なら風呂は後でいいか」

 おっさんが湯を沸かし始める。
 おっさんの料理は上手いが、ちょくちょくインスタントになることが多い。まあ、めんどくさいのは分かる。
 特にすることもないので、白と一緒にどのカップ麺にするか選ぶ。
 前醤油だったし豚骨でいいか。見れば白は蕎麦を選んでいた。意味もなく流石だと思ってしまう。
 沸いた湯を注ぎ三分待つ。おっさんは醤油と味噌だった。
 実にインスタントな食事を終え、おっさんは風呂へと向かっていた。

「この後、どうしますか?」
「やることないし、上行くか」
「はい」

 白と二階の自室に行く。
 まだ寝るには早いが、とりあえず布団を敷く。
 敷き終わり、白に聞く。

「体の方は大丈夫か」
「特に痛みはありません。大丈夫です。気を使ってもらってありがとうございます」
「そうか。なら、柔軟するか」

 白に背中を押してもらい、布団の上で柔軟をする。
 子供だからか体は十分に柔らかい。だが、あくまでもそれは歳の為。何もしなければ段々固くなってくるだろう。
 体を動かす戦いの際にはどれだけ体が動かせるのかは大切だ。体が硬いせいで避けられない、なんてなったら笑えん。
 そのためにも、こういった事をしておくのは大切だろうと思う。地道な事だが、そういった事が必要になることは多い……といいなぁ。
 一通り終わり、白と交代する。風呂上りではないが、まあしないよりは良いだろう。そこまできつくするわけではないし。
 白の背中を押しながら、適当に会話する。

「帰ってから何してたんだ」
「ん〜〜。本を、ふう、読んでまし、た。んっん、んー」

 何のかは分からないが、教材だろう。熱心で助かる。
 白は足を広げ、片方ずつ体を倒していく。凄く柔らかい。
 そのまま柔軟を続け、ほどほどな所で止める。
 さてどうしよう。やることが無い。
 子供だという事を考えても、まだ寝るには早すぎる時間である。

「何かしたい事あるか」
「本が読んでいる途中でしたので、その続きを読もうかと」

 ……何か読むか。
 カバンを漁り、適当に本を掴んで寝っころがる。
 見れば、白は座って何か読んでいる。

「何か分からない所あれば言ってくれ」
「はい。その時はお願いします」

 ある程度までは答えられるし、白の理解力は高いから大丈夫だろう。
 髪を掻き上げながら静かにページを見続ける白を横目に、自分の本に目を通していく。
 つい、あくびが出てしまう。今日は、一人での鍛錬にいつも以上力を入れ体を酷使してしまった。
 その理由を思いながら、ページを捲った。






 一つページを読み終わり、次に進もうと指を動かす。紙同士がこすれ合う独特な、けれど決して不快ではない静かな音が空に響く。
 読み続けていく内に、ふと文の一説に目が止まる。
 もう一度目を通すが、読んだ内容が頭の中で形を得ず、あやふやになってしまう。上手く理解できていないのだ。
 文の最初から読み返すが、少し感触は良くなったがやはり上手く形を得ない。いくつか読めない漢字があることも理由なのだろう。
 感覚からして恐らく何度も読めばゆっくりとだが段々と理解できていくのだろうとは思う。だが、やはり正確性に欠けるかもしれない。
 そう思い、顔を上げて口を開く。

「いつ……」

 視線の先、呼ぼうとした相手が目を閉じているのに気づき白は声を止める。
 恐らく、読んでいる途中で寝てしまったのだろう。放り出された右手には閉じられた本があり、まるで栞の様に指が刺さっている。いや、閉じられているといった方が正しいのか。
 
(……疲れてるのかな。起こすのは止めよう)

 このまま分からなければ明日聞こう。そう思う。
 自分も一端読むのを止め、寝ている相手に近づく。
 その手から静かに本を取り、頭の近くに置く。そして寝ているその体に布団を掛ける。
 本を読む気にはなれず、静かに布団を上下させる主を何とはなしに静かに見つめてしまう。

 こうして見れば普通の、町で見る子供達と違いなんてないように見えてしまう。けれど、普段の行動や言う事何故だか大人びている様に思える。
 その様が、白には酷く不思議だ。
 歳から比べれば酷く不相応な精神を持つ白には何とはなしにそれが分かってしまう。その違和感を感じ取ってしまう。
 けれど、だからと言って白は疑問を持たない。
 今日の様に何度となく鍛錬で倒されても。道具だと言われ、何度となく苦言を言われようとも悪感情など抱きなどしない。するはずがない。

 あの日、必要とされた。拾ってくれた。あの時の言葉はずっと、忘れないだろう。
 ただ嬉しかった。
 道具だと言われてもいい。むしろ、そんな風に扱って貰えた方が自分の在り方を間違えないで済む。
 駄目だと、まだ未熟だと言われてもいい。成長を、力を期待されているのだから。
 力で地に伏されるのもいい。まだ未熟なのだと思い知らされる、期待に答えたくなる。
 普段は気を使ってくれる。大切にされているのが分かる。だから、答えたい。
 盾になれと言われたら盾になろう。命を投げ出せと言われたら投げ出そう。

 どうして親代わりの相手に隠れて鍛錬をするのかは分からない。何故忍びの鍛錬をするか、詳しい所良く知らない。必死ささえ感じそうになる。
 それが何なのかは分からない。分かる必要もない。必要なら、きっといつか教えてくれるだろう。なら、無理に聞く必要なんてない。
 必死になるための何かの壁に、あるかもしれない何かの為の刃の様な道具であればいい。
 自分の全てを、捧げると決めたのだから。白という存在は天白イツキの一つの道具なのだから。
 布団で眠るイツキを見、自然と微笑んでしまう。
 疲れているのならば、このまま静かにして置こう。

(お疲れ様です)

 静かに心の中でそう思いながら、白はその近くで続きを読み始める。
 その中にある知識を黙々と得続けていく。
 小さな寝息と、紙を捲る静かな音だけがその部屋の中で続き、夜は更けていった。
 







 この日から三週間後、とても小さな一つの転機が訪れることとなる。
 取得難易度A忍術螺旋丸。その第二段階へと、白は進む。

 
 

 
後書き
 強さ、成長というものにある程度の納得が出来る理由というものが自分は大切だと思っています。主人公ならそれが特に。
 一日でパワーアップ。キングクリムゾンでいつの間にか強キャラ化。修行シーン一切なしで頑張ったんです発言。描写のない敵なら普通ですが、主人公でそりゃアウトだと思うことがしばしば。納得できる理由がなければ強さが薄っぺらく思えてしまう。
 そんな感じなので修行シーン入れてます。

 安易なチートでヒャッハー! ハーレムサイコ—! お前らは間違ってる(キリッ! ○○君カッコイー、キャー! 
 みたいな話をこれで書くつもりは一切ないので、そういったのが読みたい人は時間を無駄にさせてしまうでしょう。今からでもお気に入りから外した方が賢明です。 
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