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【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
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例えばこんなことがあった後でも人はまた立ち上がる

 
前書き
何の気なしに逆お気に入りユーザーを眺めていたら見覚えないのに見たことあるユーザーを発見した。
誰だっけ、と考えた2秒後に自分が大好きだった作品を書いてた人であることに気付いてビビった。 

 
7月8日 ジェーンの手記

ゴエモンから大目玉くらった。まさかあそこまで長く説教されるとは思わなかった。しかも私の素性とかガン無視で自分の言いたいことだけ全部言って最後に「反省すること!」と教師みたいなこと言って帰っていった。

絶対説教以外にも聞くことがあったと思うんだが、その辺も含めてゴエモンらしいと言えばらしいのかもしれない。しかし、説教が長い・・・おかしいな、忍耐力は人並み以上にあった筈なんだが。やはり傷のせいで集中力も削れているのかもしれない。

ゴエモンが部屋を出て行って直ぐに精神的疲労を感じた私はそのまま布団に倒れ込もうとし――

「ねすきぃ~!」
「・・・何か用かのほほん。私は眠いんだが」

・・・こいつ、実はワザととかじゃないだろうな?仕方ないから話を聞いてやる。

幾らなんでも無茶しすぎだと諭された。これくらい無茶の内に入らないんだがそれでも駄目らしい。というか言われて初めて知ったが更識とS.A.って裏では協力関係にあるらしい。つまりのほほんは私の事を事前に知っていたと。そしてどうして私がこっちにコンタクトを取ってこないのか不思議に思ってたそうだ。・・・クソ真面目のヒポクリットが書類不備とは珍しい。今度文句言っておこう。向こうも吃驚だったようだがこっちも割と吃驚だ。

ついでにさっきまで真田と何を話していたのかニヤニヤしながら聞かれた。お前もトラッシュの仲間か。というか学園の半分くらいの生徒がトラッシュ並みの発想だが。残念ながら延々と説教されただけだっつーの。お前らが期待するようなことは何もなかったっつーの。だからとっとと帰れ私は眠いんだ。

どうにかのほほんを追っ払った俺は今度こそ暖かい布団にDIVE・・・

「はろはろ~!君がP2(プロトツー)のパートナーだね?」
「・・・・・・・・・」

また来たよ。しかも世界一面倒くさそうな篠ノ之博士が。無視すると面倒くさそうなので話を聞く。

内容は意外と興味深い・・・と言っていいのかは知らんがへーと思う話だった。

曰く、ISコアに廃棄したものなど存在しない。廃棄核(かのじょたち)はただ他の子たちと違った個性を発露させた結果として普通のコアより成長しにくくなっただけ。人間で言えば学習障害に近いものを持った存在なのだと。
S.A.の保持する廃棄核(ロストナンバー)は全てヒポクリットとの話し合いの結果利害が一致から譲渡したに過ぎないそうだ。

「みんな立派に成長してるよ。彼等だけのミニ・ネットワークの存在が証明している。ひょっとしたらコア・ネットワークと違う可能性を発露させるかもしれない。その子たちはISの違う可能性の雛なんだよ?まぁP2は例外だけど」
「P2とはニヒロの事ですか?」
「うん、君たちがそう呼んでいるその子だよ」

そう言って博士は私の胸のコアがある辺りをつついて私の無駄にデカい脂肪の塊がぷるるんと揺れた。もし博士が男だったら完璧にセクハラである。

「この子だけはねぇ、何をやっても目を覚まさなかったんだ。産声さえ上げてないのにあれだけの力を発揮してるんだ。きっとこの子は―――いや、どうだろうね」

そう物憂げな顔をしつつさり気に胸を揉もうとしたので引き剥がしておいた。アンタは助平親父か。

「あぁんいけずぅ!・・・っとそれは置いておいて、ISに産声をあげさせるのが母ならば、この子の母は君だよ。育児放棄しないでね?」
「眠れる獅子は眠ったままかもしれないのに?」
「鼓動を感じるんだ。きっと君の肯定した感情を吸収して外に出たがってる。もうすぐ生まれるから・・・そうなったらこの子は君の子だよ。沢山話しかけて、沢山飛んで、沢山の経験を積ませて・・・そうすればP2は(ニヒロ)から(ウヌム)になる」

結局何が言いたいのかは分からなかったが博士はそのまま行ってしまった。何ともまあ意味不明だ。だが一つだけ分かったことがある。

・・・4月下旬ごろに考えてた「ISコアがオウカに懐柔されている可能性」は完全に、いっそ清々しいほどに見当違いだったみたいだ。あの頃の間抜けな私を無性にをひっぱたきたくなった。



7月9日

私の身の上と体の事、ニヒロの事を簡単に真田に説明した。こいつ絶対どこか勘違いしてるが大体伝わったからいいだろう。・・・あ、私の実年齢伝え忘れてらぁ。まぁいいか。傷もすっかり治った。骨折治すのにギプスは要らんのかと思うかもしれんが、生憎骨は結構改造されてるのでギプスなしに元の形に復元されるんだ。
・・・ニヒロが産まれるとかの話で思い出したがアートマンが作ってるとか言う人造人間はどうなったのだろうか。聞くのが非常に怖い。

そして篠ノ之は悩みを吹っ切ったようだ。初恋の呪縛から解放された篠ノ之は随分爽やかな顔をしている。あいつはこれから普通に恋をすることが出来るだろう。ただ、その向かう先は明らかに変わっているが。
私も少しトラッシュに似てきたのかもしれんな。気付いているか真田?初恋を預かった責任と言うのはつまり、あいつに好きな相手が現れなかったらお前が嫁に貰わなきゃならないという事だぞ?
篠ノ之博士の妹と博士に繋がりのあるお前のカップルとなると国の方も怖くて手が出せんだろうなぁ。真田は所属が日本だから下手すれば公認か?いつ気付くのか楽しみだ。

アリスは既に別の任務に向かったのか姿は見なかった。あいつにもそのうち一言礼を言っておこう。踏ん切りがつかなかった私に切っ掛けを与えるつもりだったんだろうからな。意外とそういう(はかりごと)をするやつなんだ、あいつは。

・・・そういえばあのウツホとかいう奴は結局どうなったんだろうか?明日真田に聞いてみるとしよう。今日はもう寝る。ラウラがさっきからこっち見てるし。





7月8日 もう一つの誕生日


私は意識を取り戻した一夏に自分の言葉で伝えたいことを伝えた。

子供のころ、一夏が好きだったこと。
離れ離れになっても、ずっと好きだったこと。
でも再会してから、今の一夏が好きなのか段々分からなくなったこと。

そして、いろいろ考えた結果面倒になって全部一度忘れてリスタート事にしたということ。

一夏は今一分かっていない顔をしていたが最後の一言には笑っていた。ムカついたので一発殴っておいた。

「そっか、やり直すのか・・・俺が言うのも変だけど頑張れよ?」
「ああ、私は今日から新しい私になるよ」
「新しい・・・あ、そうだ!実は誕生日プレゼント渡し損ねてたんだけど、新しくなるんなら今日も誕生日だよな?」

はい、と小さなプレゼントボックスを差し出す一夏。誕生日理論は良く分からないが悪くない。私が新生する日ならそう言うのも面白いかもしれない。
プレゼントは白いリボンだった。いつも同じリボンをしていることに気付いての事だという。・・・相変わらず変な所で人をよく見ている。その調子で人の好意にも気付いていれば、と思わないでもないが、そういう所も含めて織斑一夏と言う一人の男だということだろう。今つけている緑のリボンをほどき、白いリボンで髪を結う。

「ん・・・どうだ?」
「似合ってるぜ。心機一転、って感じだな」
「いいや、これからさ。まだ始まったばかりなのだから・・・」

初恋は世紀の大泥棒に預けておいた。これで私は心置きなく人を好きになれる。
その相手が誰なのかは分からない、また一夏を好きになるのかもしれない。そしてまた辛い思いをするかもしれないし、間違いだって後悔だってするだろう。それでもいいんだ。夢見る乙女(シンデレラ)でいる年はもう過ぎた。

これからは、ロマンではなく情熱で恋をしよう。

私の言葉に呼応するように、紅椿の鈴がちりんと鳴った。


なお、この光景を覗き見していた鈴とシャルは抜け駆けされなかったことにほっと胸をなでおろしていたらしい。




おまけ

『自由の翼は私と共に!(ぬし)さまの恋のためならば・・・ツバキはいつでも成層圏を飛ぶぞぉーッ!!』byツバキ
『あら、愛の告白じゃなかったのね・・・という事はシャルロットにもまだ勝ち目があるよ!』byファリン
『もう!好きなら好きって今すぐ突撃すればいいのに何で黙って見てるのよー!』byシャロン
『何か他のお姉ちゃんたちがうるさいよー・・・』byウツホ
『しっ!今お姉ちゃんたちでニンゲンの恋をけんきゅー中なの・・・!』byオウカ
『・・・皆も好きだね』byヴァイス
『コア・ネットワークの使い方、こんなんでいいのかなぁ・・・?』byレン

以上、ISコアの暇な時間の過ごし方でした。 
 

 
後書き
ミニ・ネットワーク・・・ロストナンバー同士のネットワークの事。元々コア・ネットワークも束が意図的につくったものではないことを示唆している。

白式の二次移行・・・格納庫でひっそり行われました。誰も見てないけど。
ツバキの一人称・・・自分の名前を一人称にするタイプ
シャルの認識・・・ゴエモン=恩師 一夏=恋してしまったのです 
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