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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第五章 StrikerS編
  第百四十三話  『公開意見陳述会(1) 前夜のそれぞれの想い』

 
前書き
ストックも切れ切れの状態での執筆ですので少し急ぎ足で書いていますがなんとか今回も投稿できました。

今回はまだ前夜の話になります。

次回にオリジナル展開も踏まえた地上本部襲撃まで入れたらいいなぁ…と思いながら書きました。

それではどうぞー。 

 


Side シホ・E・S・高町



公開意見陳述会が前日に迫った夜のこと。
ロビーに集められた私達前線メンバー。
はやてが私たちのほうに向かって、

「…と、いうわけでいよいよ明日は公開意見陳述会や。
明日十四時からの開館に備えて現場の警備はもう始まってる。
なのは隊長とシホ隊長、ヴィータ副隊長にフィアット副隊長…。
リイン曹長とアルトリア曹長、セイバー、ファイターのサーヴァント二騎…。
そしてフォワードメンバー六名とギンガの各員はこれから出発して一足早く現場入り。
ナイトシフトで警備開始という形や」
「みんな、ちゃんと仮眠はとった…? 眠たい子はいない?」

フェイトの言葉にフォワードのみんなは「はい、大丈夫です!」としっかりと返事を返していた。

「私とフェイト隊長、シグナム副隊長、ランサーは明日の明日の朝に中央入りする。それまでの間、よろしくな!」
『はい!』

それで私達先行組は中央に用事があるというマリーさんとヘリポートまで向かい出発時間になったので各自ヘリに乗り込みを開始をしている時だった。
そこには士郎とアインスに連れられたヴィヴィオとツルギ君の姿があった。
ヴィヴィオは不安げな表情でなのはに視線を向けている。
その不安を感じ取っているのかツルギ君が手を握ってあげていた。

「…なのはママ…」

か細い声でなのはを呼ぶヴィヴィオ。

「あれ? ヴィヴィオ、どうしたの…? ここはヘリが飛ぶ場所だから危ないよ?」
「そう言ってやるな、なのは嬢。ヴィヴィオもお前のことを心配してこうして見送りに行きたいと言ったのだから…」
「そうだぞ、高町。これくらいのわがままは聞いてやった方がいい」

士郎とアインスにそう言われてなのはは少し苦笑気味に、

「すみません。士郎さん、アインスさん」
「なに、構わんさ」
「ヴィヴィオ? ダメだよ。士郎さん達にわがままを言っちゃ…」
「ごめんなさい、なのはママ…」

そこに明日出発組のフェイト達がやってきて、

「なのは、夜勤がけは初めてだから不安なんだよ、きっと…」

それになのはも「そっか」と納得顔になって、

「なのはママは今夜は外でお泊まりだけど、明日の夜にはちゃんと帰ってくるから」
「ぜったい…?」

涙ぐみながらヴィヴィオはそうなのはに聞く。
それになのはも自信の笑みを浮かべて、

「絶対に絶対だよ…」

そう言って人差し指を出す。

「いい子に待っていたらヴィヴィオの好きなキャラメルミルクを作ってあげるから!」
「うん…」
「ママと、約束ね」

そう約束をしてなのはとヴィヴィオは指切りをする。
その一方で私はなのは達を横目で見ながら士郎達に話しかけて、

「士郎…機動六課の守りは、頼んだわよ?」
「任せておけ。
私とアインス、それにシャマルにザフィーラ、キャスターにアルクェイド、志貴、すずか嬢にライダー、ヴァイスがいる。
だから、完璧とはいかんが、もしものことがあってもヴィヴィオは最優先で守りきってみせよう」
「よろしくね?」
「ああ」
「ツルギ君もヴィヴィオを守るのよ?」
「うん、シホお姉ちゃん! ヴィヴィオちゃんは僕が守るよ!」

それで私達は地上本部へと向かっていく。
そのヘリの中で、

「それにしても、ヴィヴィオは本当になのはさんになついちゃっていますね」
「まったくですね」

スバルとティアナがそう言い出すのでなのはは、

「そうだね。結構厳しく接しているつもりなんだけど…」
「きっとわかるんですよ。なのはさんが優しいって…」
「えへへ…」

それで苦笑いを浮かべるなのは。
そこにリインが、

「もういっそのこと、本当になのはさんの子供にしちゃえば、とか!」
「それも考えの一つ、なんだけどね…。いい受け入れ先が見つかんない場合もあるし。
なにより、ヴィヴィオはオリヴィエさんの…」
「なのは、私は気にしませんよ。
たとえヴィヴィオが私のクローンだとしても受け入れます」
「オリヴィエさん…」

オリヴィエ陛下がなのはの手を握り、

「私は、なのはのサーヴァントです。
なのはの決定なのなら私はそれに従います。
それに、私自身もヴィヴィオを受け入れるのには賛成ですから」
「ありがとうございます、オリヴィエさん」
「そうね、なのは。必ずヴィヴィオは守りましょう」
「うん。シホちゃん!」

そうなのはと約束するが、ヴィヴィオとの指切りの約束は守られないという事になってしまう。



◆◇―――――――――◇◆



Side フェイト・T・ハラオウン



なのは達を見送りした私とヴィヴィオは寝室でヴィヴィオを寝かす準備をしていた。

「しっかし…俺の勘が言っているぜ? なにかきな臭いことが起こるってよ…」
「そうだね、ランサー。だから準備だけはしっかりとしておいてね?
いざって時には令呪も使う覚悟でいるから」
「マスターも心配性だねぇ…。しかし、その覚悟だけはしておいた方がいいかもしれねぇからな。
もしかしてかもという事態になって万全を尽くせないとあっちゃ目も当てられねぇ…」
「そんな事態にならない事を祈るだけだよ。期待しているよ、ランサー」
「おう!」

心強いランサーの声に私も安心感を覚えている時だった。
そこに通信が入ってきた。

「マスター、誰からだ?」
「ちょっと待ってね? えっと…」

画面を操作してモニターを開くとそこにはリンディ母さんからの通信が来ているようだった。
それで繋げる。

『はーい。元気だった?』
「うん。こんばんわ、母さん」
「よう、リンディ。そっちは元気か?」
『ええ、ランサーさん。それとヴィヴィオもこんばんわ』
「えっと、こんばんわ」

ヴィヴィオもしっかりと挨拶できていることに安心しながらも、

「何かありました…?」
『うん。明日の陳述会なんだけどね。私も顔を出そうかどうしようかって迷っているのよ』
「ああ、その事でしたか。それなら大丈夫だと思いますよ。
クロノも任務中ですし…。本局の方もあんまりいらっしゃらないとか…」
『ああ、そう? しばらくぶりに娘の顔も見たいし、ヴィヴィオとも会いたいんだけど』

リンディ母さんはそう頬を染めながら呟く。
ああ、なんだ。最近帰っていないから寂しいんだね。
アリシアはよく帰っているとか言うけどね。

「あの、母さん? 私は警備任務ですし、ヴィヴィオは寮でお留守番ですから」
『あー、そっか。そうよねー』

と、なにやら残念そうにしながらも楽しそうに会話をしだす母さん。
傍目から見ても楽しそうで私は思わず笑みを零してしまうのだった。
それから通信を終えると、

「リンディも相変わらずだったな」
「そうだね、ランサー」

ランサーと二人で話し合っているとヴィヴィオがなにやら飾られている写真立てを見ながら、

「リンディママもフェイトママのママ。こっちのママもフェイトママのママ…」

プレシア母さんの事を言っているんだね。
この写真はプレシア母さんとアリシアが映っているもので私は映っていないけど、でもいいんだ。
プレシア母さんは死んじゃったけど、私にはアリシアがいるから。
それでヴィヴィオに近づいて二つの写真を持ち、まずはプレシア母さんが映っている方を説明する。

「そうだよ。テスタロッサのおうちのプレシア母さんと、ヴィヴィオはまだ会った事がないけどアリシアお姉ちゃん…」

そして今度はプレシア母さんはいないけど、リンディ母さん達と撮った写真を見せて、

「真ん中がリンディ母さん、周りにクロノお兄ちゃん、エイミィお姉ちゃん、クロノお兄ちゃんの子供達のカレルにリエラ、私とアリシアとアルフとランサー…。
プレシア母さんが私に命をくれて、リンディ母さんが今も私とアリシアを育ててくれてるの」
「うー…?」

でもヴィヴィオは少しわからないという顔になっている。
まだ少し難しかったか。
それでヴィヴィオを抱きしめて、

「少し難しかったね。でも、プレシア母さんもリンディ母さんも私にとって大事なお母さんなんだよ」
「ヴィヴィオと一緒ってこと…?」
「そうだよ」

するとヴィヴィオは笑顔になってくれた。
よかったよかった。

「おい、ヴィヴィオ。これ以外にも集合写真が結構あるから後でみんなで見るか?」
「うん、見たい!」
「いい返事だぜ。この事件を乗り切ったらみんなで写真を見せ合おうぜ、マスター?」
「そうだね。いいアイデアだよ、ランサー」

ランサーにしては気が利いた提案だったので私も快く了承した。
写真は機動六課が発足してからもみんなで撮りあっているから色々な写真が見れる機会もあるかもしれないので楽しみ。



◆◇―――――――――◇◆



Side 八神士郎



「ツルギ、少しいいか…?」
「なぁに? パパ?」
「どうしたんだ、士郎?」

私はアインスとツルギと明日に控えて眠りにつく前にツルギに相談をしておこうと思う。

「ツルギ、お前とヴィヴィオの身にもしものことがあるかもしれない。だから…」

もうお馴染みとなった私の詠唱『投影開始(トレース・オン)』と唱えてあるものを投影する。
それは“身隠しの布”。

「パパ、これは…?」
「これは身隠しの布。あらゆる魔術的な探知を遮断・透過するものだ。
もしもの事があったらヴィヴィオと一緒にこれを被るんだ。
そうすれば熱源センサーを使われない限りは気配も消しておけるから身を隠せる」
「うん、わかった…。でも、パパ達は?」
「私とアインス…それに他の戦えるメンバーももしものために控えておかないといけない」
「そうだぞ、ツルギ。
だから、その時はアイナさんとヴィヴィオと一緒に部屋で隠れて私達が迎えに来るまで息を殺しておくんだぞ?」

するとツルギは少し不安げな表情になって、

「パパ…ママ…絶対迎えに来てね?」
「ああ、約束する。私は昔は出来たかもしれないが今はもう嘘や偽る事が嫌いなのでね。必ず迎えに来る」
「そしたらまた主はやてやシグナム達家族みんなで一緒に出かけよう、ツルギ」
「うん。絶対行こうね!」

それでやっと笑顔をツルギは浮かべてくれた。
この笑顔を守るためにおそらく襲撃してくるだろう敵はすべて私達で叩き落とそう。
答えを得た私、そしてシホは『大切な者達を守れる正義の味方』なのだから。
それでふとある人物を思い出す。
出会いが違っていれば友になれただろう相手。


―――ライゼル…。


お前との約束は今も守り続けているぞ。
だから安心して見ていてくれ。
そう決意した。
そしてその時、幻聴かもしれないが、

『―――当たり前だ。私を負かしたんだ…私以外に負ける事は、私が許さん……』

と、ライゼルの言葉が聞こえてきたような気がした。
それで私は、『ふっ…』と笑った。


そしてアインスとツルギが一緒に眠りについた後、隣のキャスターの部屋に向かう。
そこでは念入りに機動六課の周りに設置した結界を目を閉じて再チェックをしているキャスターの姿があった。
キャスターの周りにはいくつもの呪術のコードが浮かんでいる。
邪魔するのもいかんな。と思い、外に出ようとするが、

ご主人様(マスター)…? どうされたのですか?」

どうやらキャスターには気配で気づかれてしまったらしい。

「あ、すまん。キャスター、邪魔をしてしまったか…?」
「いーえ。大丈夫ですよ」

それで様々なコードは瞬時に消え去っていつもの人懐っこい笑顔を浮かべるキャスター。
うん、やはりキャスターの笑みは癒しなのかもしれないな。

「?…どうされました?」
「いや、なんでもない」

いかんな。見惚れていたというのも正直に言える訳もないしここは黙っておこう。

「むむっ!? なにやら私はなにやら絶好のタイミングを逃してしまったような気がします!?」
「気のせいだ」

よよよ~…と少し演技が入ったような落ち込みを見せているキャスターに苦笑しながらも私は近寄って、頭を撫でる。
するとキャスターはハニカミの笑みを浮かべて「えへへ~」と喜んでいた。
それで私も少し癒しを感じながらも、顔を引き締めて真剣な声で話しかける。

「キャスター…おそらく明日は一つの山場だろう」
「はい」
「みんなの居場所を守るために、お前の力…また貸してもらうぞ?」
「お任せくださいまし。ご主人様(マスター)のためならこのタマモ、存分に力をお貸しします…」
「頼むぞ」

そう言って私は少しらしくない事をしたと思うがキャスターのおでこにキスをする。

「マママ、ご主人様(マスター)…!?」
「これは私からの気持ちだと思ってくれ…」
「はううぅぅ~…エヘヘ♪ 頑張ります~♪」
「では、頼むぞ」
「はい!」

それで私は部屋をあとにするが出て行った後部屋の中から、

『やりましたよー! タマモちゃん、またステップアップです! この勢いを殺していいものか!? いや、ない! 反語!! クフフ…』

という言葉が聞こえてきた。
なぜか、いつも通りか…と納得する反面、残念な気持ちになったのはきっと気のせいではないだろう。
そんな事を考えていると目の前から志貴とアルクェイドの二人が歩いてきた。

「あ、シロウだ。やっほー♪」
「やぁ、士郎」
「ああ、志貴にアルクェイド」

それでロビーに移動して三人で会話をし始める。

「しかし…こうも俺の直感が嫌な予感がするのはやっぱり例のスカリエッティか、それとも隻眼の魔術師か………おそらく両方だと思うけどな。仕掛けてくると思うかい? 士郎」
「ああ、だからシホ達がいない中で一番の戦力なんだから期待しているぞ。志貴にアルクェイド」
「任せろ。遠距離戦は俺もアルクェイドも苦手だけどここに近づかせないさ」
「はやてに居場所を守るように任せられているから…地球じゃないし本気は出せないけどめいいっぱい頑張るわよ。
それとだけど、志貴~。もしうまく事が終わせられたらご褒美頂戴!」
「なにをだ…?」

志貴がアルクェイドの『ご褒美』という単語に分かりやすいように額に汗を浮かべる。

「私とセッ「言わせない!」…あうっ!? なにすんのよ、志貴ー!」
「大声でなにを口走ろうとしているんだ! このアーパー女!!」
「いいじゃない! 知らない仲じゃないんだしー!」
「だからってなーッ!」

それから二人はあーだこーだと言い合いになっているが、まぁ緊張をするよりこんな具合がこの二人にはちょうどいいのだろうな…。



◆◇―――――――――◇◆



Side ヴァイス・グランセニック



ストームレイダーの中で色々とチェックをしている。
なのはさん達はもう現地入りしたので俺は後は六課に帰って士郎の旦那達と一緒に守りを固めるだけだ。
こんな時にシホさん達に鍛えてもらった腕が使えるのは複雑だが、まぁ…ヴィヴィオを守るためだ。
いくらでも俺を使ってくれといった感じである。
そして一息ついていると外からティアナがやってきた。
その腕にはポットとコップが握られている。
気が利くねぇ…。

「お疲れ様です。警備部隊からの差し入れです」
「おう。あんがとな」

それで俺とティアナはお茶を飲みながらなのはさん達の事を聞いてみる。

「それでしたら警備の端っこの方ですのでのんびりやっています」
「そうか」
「ご一緒してもいいですか?」
「ああ、いいぞ」

それでティアナは俺が今背中を預けているストームレイダーに一緒になって背中を預けて横に立ってきた。

「…少し、いいですか?」
「なんだ? 面倒な話なら勘弁な」
「すみません…。ヴァイス陸曹には狙撃の訓練を手伝ってもらっているので、昔はなにをしていたのか調べさせてもらいました」

あー、なんだ。その事か。
なんとなくだが把握したよ。

「どうせ、なんで狙撃手を辞めたんだ、とかだろう? お前の考えはなんとなく分かるよ」
「はい…すみません。でも失礼を承知で聞かせてください。
ヴァイス陸曹は昔はエース級の魔導師だったというのに、なんで辞めてしまったんですか?
今ももしかしたらもっと上を目指せたかもしれないですのに…」

まったく…。今もまだ自分のことで精一杯の癖に俺のことを心配してくれて、嬉しいやらなんやら。
なら先輩として後輩を導くことをしないといけないかねぇ…。
それでお茶を飲みながら空を見上げて、

「そうだなぁ…。
調べたならわかると思うが、俺が一度狙撃手をやめるきっかけになった事件も調べたんだろ?」
「はい。ミスショットで危うく妹さんを打ってしまいそうになって…でも、シホさんの助けで怪我なく事件を解決することができたそうですね」
「ああ。あの時ほど自分の心の弱さを痛感したことはないね。
妹が人質に捕らわれたと知って俺は恥ずかしながらも焦りにかられちまった…。
そしてその結果がミスショットだ。
だらしないったらないな」
「そ、そんな事は…!」

それでティアナは一回顔を上げたがすぐに俯く。
おそらくあのミスショットの事を思い出して俺の経験と重ねているんだろうな。
だからティアナの頭をポンポンと軽く叩いてやり、

「過去の事を悔やむな。忘れられないっていう気持ちは分かるが、それを糧に成長もしたんだろう?」
「はい…シホさんに、それを教えられました」
「ハハッ…やっぱりシホさんか。すげーよな。俺達は同じ人物に同じような経験をして救われたんだぜ?」
「ふふ…似ているんですかね」
「違いねーかもな。っと、話がそれたな」
「いえ」

それで俺は話を軌道に戻す。

「まぁ、そんな経緯があって、俺は自分の未熟さを痛感させられて一回銃を下ろした。
そして試してみたかったヘリ操縦士の道に進んだ。
だが、今思えば一種の逃げだったのかもしれねーが…それでもよかったって思ってるし後悔もしてねぇ。
そんな経緯があってヘリパイロットになって運良く憧れのシホさん達と同じ部隊に配属できたんだからな」
「前向きなんですね…」
「そう考えといたほうがお得だろ?」
「まぁ、そうですね」

ティアナはそれで笑みを浮かべていた。

「何事も前向き思考の方がやっていけるんだよ。
だからお前も頑張れよ。執務官志望のお嬢さんよ?」
「ッ! 知っていたんですか!?」
「ははは! まぁな。後、お前には最初に教えとくが俺は機動六課が解散した後、また魔導師に戻ろうと考えている」
「えっ…?」

そこで驚きの表情をするティアナ。

「そこまで驚くこたぁねーだろ?
お前の狙撃の訓練もたまに付き合ってやっているし、シホさんにも鍛えてもらっている。
腕が上がってきた…。
自信もついてきた…。
そして証明するんだよ。今度こそ俺は妹の誇りの兄でありたいと、な」

するとティアナは目を見開く。
ん? なにか変なことを言ったか?

「やっぱり、ヴァイス陸曹はあたしと似ていると思います…」
「そうか…?」

なにか考え込んでいるのか何度か頷いていて、しばらくして、

「ありがとうございます! お話とご教授感謝します!」
「お、おう…。まぁこれくらいならお安い御用だ。警備頑張れよ」
「はい! それでは失礼します!」

それでティアナはわざわざ俺の紙コップも回収してその場から離れていった。

「まったく…落ち着きがないねぇ。ま、それも若さか。そう思うだろう? ストームレイダー」
《そうですね》
「それとストームレイダー、これからもよろしく頼むな」
《はい、マスター》

俺は、恵まれているんだ。
そう思えばもうミスショットもしねーだろうな。
だからな、ティアナ。お前も同じく恵まれているんだからもう焦ってミスショットをするなよ。
離れていく背中を見ながら俺はそう思うのだった。



◆◇―――――――――◇◆



Side エリオ・モンディアル



僕達が警備の手順の説明を受けていると、ふとした時にある知り合いの人物の顔を見た。
それというのは、

「あ、ロボ君だ!」
「キャロもわかったの? だったら…!」

それで僕はロボ君に話しかけた。

「ロボ君!」
「ん? あ、エリオ! それにキャロもいるのか!」
「久しぶりですね」
「そうだな。お前達も管理局員だったんだな」
「うん。そう言うロボ君も…」
「ああ。俺はオジキ…じゃなくてジグルド提督が隊長の部隊、ブリューナク隊の一員なんだよ。聞いたことはあるか?」
「ごめん。ちょっと他の部隊の話は聞いたことがなかったから…」
「私も…」
「あはは。まぁ気にしないぞ。見れば同じ警備担当みたいだからお互い頑張ろうぜ!」
「そうだね!」
「うん!」

ロボ君とそう話しているとランさんとレンさんの声が聞こえてきた。

「エリオ君、キャロちゃん。そろそろ移動だよ。あれ? そちらの男の子は?」
「僕とキャロの知り合いのロボ・バルコム君です」
「そうなの。それじゃ紹介したほうがいいかな?」
「そうだね、ラン姉さん」

それでランさんとレンさんがロボ君に自己紹介をしようとしていたところでロボ君の方にも二人の女性が近寄ってきた。
一人は黒みかかった青い髪をポニーテールにしているランさん達と年齢が同じくらいの女性。
そしてもう一人は赤みかかった髪で髪型はおさげでなのはさん達と同じくらいの年齢の女性。
青い髪の女性が最初にロボ君に近寄ってきて、

「若、こちらにおいででしたか」
「探したぞ、ロボ」
「あ、“セイラ”さん。それに“凰華(おうか)”陸曹」

新たな人達が出てきたので僕達はどうすればいいのかという感じになったが、ロボ君が「なら全員で自己紹介をしようぜ!」と提案してきたので僕達もそれに乗ることにした。

それでまずロボ君達が、

「エリオとキャロはもう知っていると思うけど俺はロボ。ロボ・バルコム三等陸士だ」
「私は若の側近を務めますセイラ・ヒラガ三等陸士と申します」
「あたしはブリューナクの第1小隊の隊長を務める獅堂(しどう)凰華(おうか)陸曹だ」

セイラさんに凰華さんか。
それで僕とキャロとランさんとレンさんで自己紹介をした。
それから全員で少し会話をした。
特にセイラさんはなんでロボ君の事を若と呼ぶのかについてだと昔から一族でのやり取りでロボ君の一族とセイラさんの一族が従者関係でそれが今も継続しているという話らしい。
少し時間が経ち、

「それじゃエリオ。俺達も警備担当だからもしなにか起きて会うことがあったら共闘しようぜ!」
「うん!」

それで僕達は別れたのだった。
あとでスバルさんとティアさん達にもロボ君達の事を教えておこう。



◆◇―――――――――◇◆



Side 高町なのは



シホちゃん達やスバル達と歩いているがそろそろ中に入る時間になってきたので、

「スバル、私達はそろそろ中に入るから…」
「そうね」

ポケットからレイジングハートを取り出す。
シホちゃんも呼応してアンリミテッド・エアを取り出していた。

「内部警備の時はデバイスは持ち込めないから、スバル。レイジングハートとアンリミテッド・エアをお願いしていい?」
「あ、はい!」
「前線のメンバーでフェイト隊長からも預かっておいてね」
「頼むわよ」
「はい、わかりました!」
「アルトリアもスバル達のお守りを頼んだわね。ネロとオリヴィエ陛下は私となのはにそれぞれ霊体化してついているから」
「了解です、シホ」

そして夜は明けてきていよいよ公開意見陳述会が始まろうとしているのだった。


 
 

 
後書き
士郎とヴァイスのくだりで結構長くなりましたね。でも士郎に関しては必要な工程でしたので。

ヴァイスは原作と違い余裕がある大人の発言をさせてみました。

すずかとライダーの話も載せたかったのですが、この二人だとノロケ話になっちゃいそうなので文字数の関係もあってカットしました。

他にもオリジナル勢も何名かお披露目したので使いどころを見極めないといけないですね。

まぁ、この人達は次章の方なのですがね…。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。 
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