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占術師速水丈太郎  ローマの少女

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第四十一章


第四十一章

「スープばかりというのは」
「日本だとあれです。味噌汁ばかりが続く」
「ですよね」
 もっとも和食自体がヨーロッパから見ればオードブルばかりの料理となるのであるが。これが文化の差であろうか。
「それは確かに妙ですね」
「やはりそう思われますか」
「ですがパスタばかりでもいいと思うのもまた」
「日本では自然ですか?」
「うどんとかそばならそれだけで食べます」
「うどんにそば」
「あっ、日本のパスタです」
 ここではわかりやすく説明することにした。速水の配慮である。
「うどんは丸くて太い麺でして。平たいものもありますが」
 乾麺のことである。名古屋名物だ。
「小麦粉で作ります。それでそばはそば粉で」
「そうなのですか」
「それだけで食べることが多いですね。日本では」
「成程」
 アンジェレッタにとっては興味深い異文化の話であった。話を聞きながらしきりに頷いていた。
「それではですね」
「ええ」
 話が動いてきた。
「これからそれをしませんか」
「パスタだけですか」
「はい、速水さんのお国を真似てです」
 彼女は言う。
「パスタとワインで」
「それでワインは」
「パスタですからね。赤で如何でしょう」
「赤ともう一つ欲しいですね」
「ではロゼも」
「そうです。それならば最高です」
「わかりました。ではそれで」
「朝の乾杯といきましょう」
 速水とアンジェレッタは城を後にした。そしてそのまま報告の後で祝いへと向かっていく。戦いを終えた二人をパスタとワインが待っている。それを思うと今までの陰惨な戦いがまるでトーキー映画のそれのように過ぎ去っていくのであった。


占術師速水丈太郎  ローマの少女   完


                 2006・11・17



 
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