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魔法少女リリカルなのはViVid~英雄の意思を継ぎし子達

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十一話~決着と新しい目的

 
前書き
セイン「長い様で短い模擬戦も終わりが見えた」

メガーヌ「アインハルトちゃんが見つけたのは戦う意味」

セイン「それぞれの思いが交錯する中、ヴィヴィオは何かを見出した」

メガーヌ「第十一話、決着と新しい目的。始まります」 

 
side セイン


「………これはひどい」
「まあ、こうなるわよね」


なのはさん達の放った魔法で陸戦場の建造物は粉微塵になっていた。


「何人残ったんですかね?」
「ええっと……四人みたいね」


4人かぁ。誰が残ったんだろ?




side 士郎


「……大丈夫か、なのは?」
「ギリギリね……」


砲撃が収まった後、なのはと状況を確認するが、良好とは言い難い結果だった。


士郎 80(行動不能)……ティアナ&ランスのSLB-PSからなのはを庇うも、威力を殺しきれず、行動不能。
なのは 150……士郎に庇われてかろうじて撃墜を免れる。


私はリタイア、なのはも残り一撃喰らえば終わりだろう。そして、他の味方はというと。
エリオ、ルーテシア、リオ、スバルが行動不能、もしくは撃墜されていた。
まともに動けるのはヴィヴィオのみのようだ。
だが、向こうも似たような状況の筈だ。なんとかして見せろよ、ヴィヴィオ。




side ティアナ


「な、なんとかなった……」
「…俺は、アウトだ。済まねえな、ティアナ」


此方はライフを120残して生き残った私と、90残して行動不能となったランスさん。
他には……敵味方合わせて三人生き残ったようだ。


「誰か来るぞ!」


不意にランスさんが叫んだので驚いたが、向かって来た人物がほぼノーダメージだったことに更に驚く。


「ティアナさん、落とさせてもらいにきましたよー!!」


やって来たのはほぼノーダメのヴィヴィオ。


「姉弟子として負けられないわね、これは」


近距離戦に持ち込んで来るであろうことを想定し、構える。


「ティアナさん。ここは私に任せて下さい」


そんな台詞と共に私の横を通り過ぎる影が。ヴィヴィオはその影に対して語りかける。


「やっぱり来ましたね、アインハルトさん」


その影、アインハルトは此方を一瞥するとヴィヴィオへと向かって行った。
そんな私に話しかける人物が一人。


「若い子は若い子なりに色々あるみたいだね」
「ええ。それには同感です」


いつの間にか近くに来ていたなのはさんと対峙する。


「まあ私もまだまだ若いけどね!!」
「私には負けますけどね!!」


此方は師弟対決。私もそろそろ師を越えてもいいわよね?




side ヴィヴィオ


負けたくない。こんなにも強くそう思ったのはいつ以来だろうか。
自分の得意な部分で勝てばいい、強く無くても勝負に勝つ方法はいくらでもある。
だけど、私は今求めている。この人に、アインハルトさんに正面から挑んで勝つことを。


「……距離を取れば貴女が有利なはずです。なのに何故正面から挑んで来るのですか?」


問いかけて来る彼女に答える。


「正面から挑んで勝ちたいから、ですよ。私の剣がアインハルトさんに通用することを証明するのに一番いい方法でしょう?」


私がそう答えると、彼女はゆっくりと構える。


「どうやら私達は全く同じことを考えていたみたいですね。私もあなたに勝ちたい。勝って私の拳が、覇王流がヴィヴィオさんに通用することを証明したい」
「それならやることは一つですよね?」
「そうですね」


その言葉に少しだけ表情を緩める。
そして私は目を閉じ、再び開くと同時に駆け出した。


「「私が上だと証明するだけ!!」」




side なのは


私とティアナの勝負は弾幕の張り合いとなった。
数で私が、密度でティアナがそれぞれ勝り、状況が全く変化しない。


(ここまで強くなるなんてね……)


教え子の成長を喜びつつも、油断も慢心もしない。
対等な相手として見なければこちらが落とされてしまう。
と、この状況に痺れを切らしたのか、ティアナが派手な動きを取った。


「ファントムバレット、マルチシフト……ファイア!!」


どうやら弾幕戦の合間に少しずつ魔法陣を仕掛けていたようだ。
そこから大量の魔力弾がこちらへ向かってくる。
そして、ティアナが居た方向に目を向けると、そこには誰もいなかった。
恐らく、ティアナの狙いは……。


「後ろからの近接戦闘……でしょ?」
「!?」


そう言いながら振り返る。
すると、視線の先には驚いた顔のティアナが。


「くっ!」


そのまま襲い掛かってくるティアナ。
その攻撃を受け止める際にある仕掛けを加える。
その仕掛けは私の十八番。


「バインディング、シールド……!」


捕まった事で渋い顔になるティアナ。


「終わりだよ、ティアナ。エクセリオン……バスター!!」


そして私は砲撃を放った。
背後へと向けて(・・・・・・・)


「嘘……!?なんでバレて…」


正面の幻影が消える。
それからティアナがダメージを喰らった事を示す表示を確認した後、ゆっくりと近づきながら話す。


「残念。ティアナの得意な二手三手先を読む戦法、誰が教えたんだったかな?」
「士郎さん……です。最初からわかっててバインディングシールドを使ったんですね」


その回答に納得したのか、ティアナは溜め息をついて両手をあげる。
まあ、士郎君の教えた戦法ならどう来るかなんてすぐに解るからね。
この勝負は貰ったよ。




なのは 150
ティアナ 0(エクセリオンバスター直撃)


さて、若い子達はどうなったかな?




side アインハルト


状況はヴィヴィオさんに有利になりつつあった。
格闘家(インファイター)が苦手とする斬撃武器との戦い方を完璧に理解しているヴィヴィオさんは此方に防御以外の選択をさせてはくれない。
ただ、向こうも攻め切れてはいない。ならばまだ勝機はある……!


「…そこっ!」
「ッ!」


今まで斬撃一辺倒で攻めてきたヴィヴィオさんがここに来て刺突を織り交ぜて来た。
これで私は更に追い込まれる。だが、不思議と焦りはない。


「はっ!!」


攻撃の切れ目に出来た僅かな隙に逆転の一撃を放つ。
だが、その一撃はヴィヴィオさんを捉えられなかった。


「狙い通り……!」
「なっ……!?」


まるでそこを狙われる事がわかっていた様な対応。
恐らくだが、攻撃を誘導された……!


「この一撃で……!」
「くっ…」


隙を晒した私へと強力な一撃を叩き込もうとするヴィヴィオさん。
避けることは不可能。防ぐ時間もない。ならば……




side セイン


「こりゃ決まったな~」
「そうね。まさかヴィヴィオちゃんも士郎さんと同じ事が出来るようになってたのね」


ティアナとなのはさんも決着が着いてるし、これは青組の勝ちで終わりかな?


「まだだよ。まだおわりじゃない」


不意に聞こえた声に振り向くと、そこにいたのはアリシアだった。


「えーっと、どゆこと?」
「みてればわかるよ」


そう言われたのでモニターに視線を戻す。
そこには私の予想と大きく変わった光景があった。




side ヴィヴィオ


「……まさか、そう防ぐとは思いませんでしたよ」


アインハルトさんは私の剣を横から殴る事で軌道を変えて見せたのだった。


「上手くいったのは偶然です。ですが、次からは必然にします」
「言ってくれますね!!」


まさかこの短期間で此処まで強くなるとは、アインハルトさんには本当に驚かされる。
だが、私だって今までとは違うんだ!!


「覇王断空拳!!」


アインハルトさんが切り札であろう攻撃を放つ。
だが、私もこの程度ではやられる様な鍛錬はして来ていない!
衝撃を刀身で受け流し、反撃に出る。


「これが私の全力全開……!!」
「くっ…」


魔力を刀身に収束させて、一気に放つ私の切り札。その斬撃の名は。


「スターライトザンバー!!」


虹色の斬撃がアインハルトさんへと向かって行く。
勝利を確信した私が見たのは、斬撃によってライフを失ったアインハルトさんが放った捨て身の一撃だった。




…………………………………………………………………


「気がつきました?」


私の斬撃で気を失ったアインハルトさんが目を覚ました。


「私は……負けたのですね」


落胆した様子のアインハルトさん相手にどうしようかと悩んでいると、今回の試合の結果をママが伝えにきたようだ。


「赤組は全員が行動不能もしくは撃墜。青組は生存者一名。よって青組の勝利だよ」
「そう、ですか……」


更に落ち込んだアインハルトさんを見かねたフェイトさんが助け舟を出す。


「でも、アインハルトはヴィヴィオと相打ちだったし、勝っててもなのはが相手じゃあどうしようもなかったよ」
「え?ヴィヴィオさんと……相打ち?」


どうやら事情が飲み込めていないようなので、私が説明をする。


「アインハルトさんは最後の最後で私にクリーンヒットを入れたんですよ。それで私は行動不能になったんですよ」
「ですが私は気絶しましたし……」


此処まで言っても様子の変わらないアインハルトさんにさっきまでアリシアと遊んでいたはずのランスさんがやってきて話しかけた。


「だったら二戦目と三戦目で勝ちゃあいいんだよ」
「二戦目が…あるのですか!?」


驚いた様子のアインハルトさんに二戦目と三戦目のことを説明する。


「二戦目はチームメンバーを三人トレードして、三戦目はリミッターを二段階外したうちのパパとママ、ランスさんフェイトさんの4人対その他のメンバーでやるんですよ」
「まだ…やれるのですね」
「はい!」


少しではあるが嬉しそうなアインハルトさんに私も返事を返した。




side ティアナ


「あー、疲れた!!」
「流石にリミッターが一段階だけだとあの四人は強いよね」


模擬戦終了後、お風呂でリラックスした後にスバルと二人で話をする。


「まあおかげさまで実戦感覚が戻ってきたし、中々有意義だったわよ」
「そうだね」


そんな会話をしながら体をほぐしていると、ノーヴェが此方にやってきた。
近づいてきたノーヴェにスバルが話しかける。


「みんなは何してる?」
「フェイトさんとこはランスさんが呑んでて他のメンバーはそれぞれくつろいでる。なのはさんと士郎さんはメガーヌさんと料理中。で、チビたちが……」
「動けなくなってる、と?」
「そゆこと」


この姉妹はお互いに大体言いたいことはわかるらしい。仲がいいのは結構なんだけど、ヴィヴィオが動けなくなるなんてね。ちょっと驚きだわ。




side アインハルト


「う゛ぉぉ……」
「か、体が……」
「痛い…」
「まだまだ修行が足りないねぇ」


上から順にヴィヴィオさん、コロナさん、リオさん、ルーテシアさんの発言だ。
ヴィヴィオさんが十代女子が出してはいけない呻き声を出していたが、つっこむべきなのだろうか。
それより、私も含めてみんな動けなくなっているのにルーテシアさんだけは平気なようだ。


「ルーちゃんはなんで平気なの……?」
「そこは年長者ならではのペース配分がね」
「ぬぅう゛、わたしだってふだんならぁ……」


ヴィヴィオさん、喋るのもきついならば喋らなくても良いのでは…。
と、そんな事を考えているとドアが開き、三人の大人が入ってきた。


「全く、ヴィヴィオは。ザンバーはまだやめておけと言った筈だぞ?」
「そうそう。フルドライブは連発するようなものじゃないんだよ」
「君がそれを言うのか?」
「たはは……」


入ってきたのはヴィヴィオさんのご両親と、ここの主であるメガーヌさん。
三人は飲み物とお菓子を持ってきてくれたようだった。


「特製栄養ドリンクと疲労回復効果のあるドーナツよ」
「ありがとうございます」


お礼を言い、一つ貰って手に取る。
食べてみるととても甘かったが、しつこくない甘味でいくらでも食べれそうだった。


「美味しいです~」
「生き返る~」
「相変わらずの腕前ですねー」


どうやらヴィヴィオさんとコロナさん、ルーテシアさんは食べた事があるらしい。


「まあな。伊達や酔狂で料理教室を開いているわけではないし、まだまだ現役のつもりだよ」
「まさに完璧超人ですね~」
「ルーテシア、大人をからかうんじゃない」


何というか、ヴィヴィオさんのお父様は凄い方ですね。
そんな事をぼんやりと考えていると、ルーテシアさんに話しかけられる。


「で、アインハルトは試合やってみてどうだった?」
「どう、とは?」
「スポーツとしての格闘技、中々いいものでしょう?」


争うことでなく、強さを競える……私にとっては始めての世界でした。
だから、その気持ちをありのまま言葉にする。


「はい。私の見ていた世界はとても狭かったのだと思い知りました」
「そう。だったらこれに出てみる気はない?」


そう言ってルーテシアさんはホロウィンドウを展開すると、それを此方へと向けてくる。


「D・S・A・A公式魔法戦競技会?」
「そう。通称インターミドルチャンピオンシップ。十代の魔導師が覇を競い合うんだ」


そんなものがあるのですか………。


「今年は私たちも出るんです。アインハルトさんもどうですか?」
「全国から魔法戦自慢が集まってくるし、自分のレベルを知るのにも丁度いいと思うんだけど」


私の求めているものはそこにあるのでしょうか?
知りたい、確かめてみたい。そんな思いが私を突き動かした。


「参加……してみようと思います」
「本当ですか!?」
「ええ。多くの猛者達と戦える機会ですから」


ヴィヴィオさんとも、決着をつけたいですしね、と心の中で呟く。
そんな私を見て微笑むヴィヴィオさん。
皆で都市本戦に出てみたい、という話をしているとヴィヴィオさんのお父様が気になる事を言った。


「そう言えば、参加するのには安全面考慮の為デバイスが必要ではなかったか?メガーヌは昔出ていたらしいからそこら辺は詳しいだろう?」
「ええ。昔と変化が無ければCLASS3以上のデバイスが必要ですね」
「デバイス、ですか……持ってないですね。真正古代ベルカのデバイスは製作が難しいと言いますから」


まさかデバイスが必要になるとは。
しかし、落ち込む私を見てルーテシアさんが不敵に笑った。


「ふふふ、私の人脈を舐めて貰っては困りますねぇ。真正古代ベルカに詳しい知り合いなんて数え切れない位いますから!!任せておいて!!」


と言うルーテシアさんはとても輝いていた。




side out


ルーテシアがアインハルトの為に動くと決めたのとほぼ同時刻……ある場所では。


「へくちっ!」
「あら?風邪ですか?」
「いや、これはイケメンが私の噂をしているんや……!」
「なる程…あるあ、ねーよな」
「どこからそんなネタを…!?」
「2ちゃんねる」
「なんと(・д・)」


と、こんな会話があったらしい……。


 
 

 
後書き
約3ヶ月振りの更新になりました。

お久しぶりです。スランプって一度なると長いですね……構想が浮かんでるのに書けないと中々きついものがあります。(決して遊戯王またやり始めたからではない。はず……)

次回は少し短めかもしれません。
スランプ自体はまだ続いてますのでここからは更新がかなり遅くなっていくと思います。
なるべく5月に入るまでには次を書き上げたいですね……

長くなりましたがこの辺で。(*・ω・人・ω・) 
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