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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第69話:泣くのはいつも商人

(スタンシアラ)
トルネコSIDE

私は商人として成功出来るのだろうか?
独立を志してから、今までトントン拍子で事が進んできたが……
本当にこのままで大丈夫なのだろうか?

スタンシアラの防具店で、『ドラゴンメイル』を5000ゴールドで買い叩くリュカさんを見て……しかも2着を5000ゴールドで買い叩いたあの男を目の当たりにして、商人として自信をなくす。

涙を流しながら鎧2着を渡す店主……
それを受け取り困り顔のシンさん・ライアンさんに渡すリュカさんは、商売人である私から見て憧れてしまいそうな存在である!

憧れてばかりもいられない私は、リュカさんの交渉術を学ぶ為、スタンシアラでの配送依頼や買い付け等に同行して頂こうと思い、縋る様に話しかけます。
しかし返ってきた言葉は……

「イヤだよ。何で僕がお前の金儲けに協力しなきゃならないんだ? 金儲けをしたいのなら勝手にやってくれ……僕を巻き込むなよ!」
と、冷たいお返事でした。

「僕はね……“金儲けをしてやろう!”って思いを感じると虫酸が走るんだ。だから大損させてやろうと張り切っちゃうんだね。さっきの防具屋もそうだよ……僕達田舎者から大金をせしめてやろうとするから、頑張って大損させちゃったんだ(笑)」

「し、しかし……旅の仲間が大儲けするのなら問題ないのでは?」
あまりにもリュカさんが私に冷たいので、少し駄々をこねて商売への協力を請う事にした……でも、よく考えたら船の上でも同じ遣り取りをした様な気がしてきました。

「僕の仲間に金の亡者は居ない。そんな奴大嫌いだし、側にも居たくない! そして僕は他人に利用されるのが大嫌いだ!」
リュカさんを初めウルフさん達ご家族が、私を冷たい目で見据えてます……はい、やってしまいました。

「僕とトルネコの繋がりは船だ……世界を旅するのに船が必要不可欠だから、僕はトルネコと一緒に居る。貴方の船に乗る為には仲間として金儲けに協力しなければならないのであれば……僕はこの国で船を降りる。大分面倒臭いけど他の船を探す事にするよ」

恐れていた事を言われた!
ダメです……貴方を手放すなんて出来ません!
今後の航海の安全を確保する為に、貴方の実力とご家族の存在が必要不可欠なんです!
今ここでリュカさんと別れてしまったら、100%ウルフさん達ともお別れになってしまう。

「あ、あの……リュカさん……」
何とか止める言い訳を考えていると、リュカさんが私の前から立ち去ろうとする!
しかもご家族は彼に付き従う様に歩き出す……

「ご、ごめんなさい! もう二度とリュカさんを私の商売に利用しようと考えません! だから……だから他の船などを探さず、今後も私の船で一緒に旅をして下さい!」
私は泣きながらリュカさんの足にしがみつく。
恥も外聞も関係ない……今リュカさん達と別れる訳にはいかないのだ!

「わ、分かったから足に鼻水を付けるな!」
そう言って私の事を許してくれました。
でも、もう二度と許してくれなさそうだから、怒らせるのは止めようと思います。

トルネコSIDE END



(スタンシアラ)
シンSIDE

アネイルで観光地強引案内男を撃退したウルフさんの遣り口が、とっても可愛らしく思えてくる様なリュカさんの値切りのお陰で、俺とライアンさんの防御力が大幅に向上した。
大量の涙を流す防具屋の店主を見ると、リュカさんに心からお礼を言えないのは何故だろう?
新しい鎧を身につけ、篝火が灯るテラス風のレストランで食事をしながら、ライアンさんと視線を合わせただ黙って頷く。

同じように商魂を露わにするトルネコさんにも、大変冷たい対応……
色んな意味で凄い人なのは解ったけど、企画外過ぎてついて行けないよ。
ウルフさんは師匠にする人を間違えたんだと思う。

だって時折ウルフさんからは、常識的で素敵なお兄さんの面影が見え隠れするんだ。
その事をリューノちゃんに言ってみたら、『あぁ……それはきっとティミーの影響ね。何時もお父さんに逆らっている嫌な奴よ!』って言われた。

ティミーさんとは一体どんな人物なんだろうか?
何度かリュカさん達の会話に出てきた事があるが、多分リュカさんの息子さんなんだと思う。
それも血の繋がった長男なんだと推測される。

リュカさんと彼の実娘を見てると、実息も非常識だろうと予測してしまうが、皆さんの話を聞いてると大変常識的なステキお兄さんに聞こえてくる。
どうしてウルフさんはティミーさんを師と仰がなかったのか!?

そして、どうしてウルフさんはマリーさんに手を出してしまったのか!?
最初からリューノちゃんだけに惚れていれば、彼女はちょっと我が儘な困ったちゃんで済むレベルなのに……マリーさんは大厄災ちゃんレベルなのだから。

言ったら怒られるかな?
“ウルフさん、人生を棒に振ってませんか?”って言ったら絶対に怒られるよね!?
もう手遅れっぽいし言わない方が身の為だよね!

「どうしたんですかシン様?」
周囲はスタンシアラ特有の水路になっており、その水面に篝火が反射し色っぽい表情になったホイミンさんが、考えている俺を心配し尋ねてきた。

「いえ……別に……」
「ホイミン……シン殿は昼間のリュカ殿の値切りを思い出していたのだよ」
「あぁ、あれは凄かったですね! ボクはお金の事に詳しくないですけど、お店のオジサンが泣いてましたからね……きっと酷い事なんだと感じました」

「はははは……本当に酷かったですねぇ。ライアンさん達と合流する前……しかもリュカさんとも合流する前に、ウルフさんが同じように商人(の様なもの)を撃退して見せた事があるんです。その時も“酷い”と思いましたが……今回のを見れば、あの時の等可愛く思えてきますよ」

「やはりウルフはリュカ殿の弟子と言うだけあって、そっち方面でも張り切っておるんですなぁ……」
「何でウルフさんはリュカさんの弟子になったんですかね!?」
何度も言うが、全くその通りだ!

「ホイミンさんの言う通りですが、リュカさんやウルフさんに聞かれると怒られるかもしれませんから、あまり大きな声で言わない方が良いですよ」
俺は思わず身を屈め、ホイミンさんに耳打ちをする、すると……

「おいシン、ホイミン……何か僕とウルフの悪口を言ってるだろ!?」
と、嫌みな程の地獄耳男(リュカさん)がニヤニヤしながら俺達に話しかけてきた。
あぁめんどくせー……何て言い訳しよかな?

「ち、ち、違いますよ! ボク達はリュカさんとウルフさんの悪口なんて言ってないですよ!」
何か適当な事を言おうと考えてたら、まだまだピュアハートのホイミンさんが、慌てた口調で否定してしまった。
これでは悪口を言っていたのを認めている様なもんだ。

「何だよホイミンちゃん……俺とリュカさんの悪口を言ってたの? 酷いなぁ……深く傷付いたよ俺は。そんな酷い()だとは思ってなかった……」
たいして傷付いてないくせに、ワザとらしく項垂れるウルフさんがムカツク。

「ち、違うんですよぉ!」
『うるせー馬鹿!』とか言って話を打ち切れば楽なのに、心優しいホイミンさんは必死に取り繕おうとしている……良い()だなぁ。

「じゃぁホイミンは何の話をしてたんだい?」
「え!? えぇ~とですねぇ……その……」
彼女は何と言い訳をするのだろうか?
言葉を間違えると余計面倒臭い事になるぞ……

「えっと……その……ど、どうしてウルフさんはマリーさんの彼氏をしてるのかなって思ったんです!」
「「はぁ?」」
お、ナイス質問ホイミンさん!
俺もその事を聞きたかった。

「何だと元ブヨブヨ!? お前私がウルフの彼女じゃ不満なのか!?」
「不満とかはありませんけど……ウルフさんは色々人選ミスをしてるふうに感じます。師匠とか……彼女とか……もっと他に居なかったんですか?」

良く言ったホイミンさん!
俺も知りたかった事柄だし、余計な口を挟まずに静観しようと思う。
でもマリーさんの強力魔法が怖いので、料理の皿を持ってアリーナ姫の後ろに隠れます。

「何だと、私の何処が人選ミスだと言うんだ!?」
「そのキチガイな性格ですよぉ! マリーさんは直ぐに強力な魔法で武断的解決を謀るじゃないですか! でもリューノさんは我が儘を言っても、穏便に解決しようとする……とても常識的です。ボクから見たらウルフさんにはリューノさんがお似合いなんです!」

言っちゃったよ……
誰もが思っていながらも怖くて口に出せない事を、ホイミンさんは簡単に言ってしまいましたよ。
みんなマリーさんが大暴走しないか窺っている……逃げ出す心構えを整えてる。

「そんな事無いのよホイミン」
しかし、そんな緊迫状況を緩和したのは、ウルフさんの二股相手であるリューノちゃん。
仲悪いのかと思われてたマリーさんを庇い、ホイミンさんを落ち着かせる。

「マリーはね、ウルフと一緒に居れば比較的まともな可愛い女の子になれるの。でもウルフから離れて放し飼い状態になると、優しく止めてくれる人が居なくなって大暴走しちゃうのよ」
うん。フォローになってないです。
要約すると“凄く迷惑な女”って事でしょ!?

チラリとリュカさんの事を見たら、腹を抱えて笑っているんです。
貴方の娘さんでしょ!
もっと、ちゃんと教育して下さいよ!

シンSIDE END



 
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