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蒼穹を翔る運命の翼

作者:BLADE
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PHASE-00 「覚醒」

 
前書き
細かい設定の違和感はサラッと流して読んで頂けると嬉しいです!
 

 
「こっ、ここは何処だ……?」
 見慣れない建造物、繋がらない通信、周辺の地形は機体内のデータバンクに存在していない。
 そもそも、なぜ自分は生きているのか? 少年には何もかもが分からなかった。

 少年の名はシン・アスカ。国連平和維持軍総旗艦<アークエンジェル>第1MS小隊『ザラ隊』へザフト軍より派遣される筈だった、先の大戦のトップエースである。
「また……、壊しちまったな」
 シンは愛機を見上げて呟く。モニターが壊れていた為、機体の外に出たことから、より客観的に機体を眺める事が出来る。そこには被弾し大破したZGMF-X56S<インパルス>が横たわっていた。

 <インパルス>は先の大戦にて多大な戦果を挙げた、セカンドステージシリーズの中でも優秀な機体である。しかし、その現在の仕様は、分離・合体機構をオミット、汎用性と引き換えに機体構造の単純化による機体強度の回復と信頼性の上昇を図った姿となっていた。
 シンが初めて実戦を経験したときに搭乗した機体であり、自分を育ててくれたといっても過言でない相棒でもある。
 あの<フリーダム>を撃墜した時も、<インパルス>と共に戦った。その後、<デスティニー>を受領し、<インパルス>はルナマリアの搭乗機となったが、何の因果か再び自分の元に帰ってきた形になる。
 不幸なことに、分離・合体機構のオミットにより、今回は脱出も叶わなかった訳だが……。

「確か……、被弾して墜落した筈なんだけどな」
 シンは着任の為の移動中に緊急出撃、交戦に入った為、ノーマルスーツを着ていなかった。あの高度からの落下は最悪、死んでいてもおかしくはなかったのだ。
 それどころか、機体もただでは済まなかった筈なのだが、不思議なことに<インパルス>は被弾時の損傷のみであり、シンに至っては傷ひとつ負っていない。
「夜……か」
 交戦があったのは昼頃だった為、相当の時間、気を失っていたことになる。
「とにかく、周りを見てみるか。ここに居たって仕方がないしな」
 気を失っている間からSOSは発信されていた為、夜明けまで待っていれば救助は来るだろう。
 だが、目の前に建物があるのに座して救助を待つのはシンの性には合わなかった。
 コックピットに戻り、一緒に積んでいたノーマルスーツの入ったトランクを取り出す。
 官給品の拳銃とナイフを身に付け、それと並行して機体のコンソールを立ち上げる。

Generation
Unrestricted
Network
Drive
Assault
Module
Weaponry

 OS起動シークエンスを経て、コックピットのモニターが点灯する。といっても、モニターの大半が死んでおり、サブディスプレイ以外は役に立っていない。
 メイン動力も死んでおり、当然、VPS装甲の展開も出来ない上、機体はピクリとも動かなかった。コックピット内の機材も、補助電源で稼働をさせている始末だ。
 それすらもSOSの発信以外をオフにして節電をしなければ、そうは保つまい。
「やっぱり、さっきと変わってない……か」
 癖っ気のある黒髪を掻き上げながら、シンは嘆息する。
 気が付いた時点で真っ先に通信と現在地の確認をしたが、それから何も状況は変わっていない。
 相変わらず通信は出来ない上、現在地も不明。
「取り敢えず、SOSは継続。――こっちのシステムは無事…だな。」
 ディスプレイの表示を確認し、安堵と共にある種の複雑な感情を抱きながらも、シンは機体と携帯無線を連動させる。
 数回スイッチのオン・オフして使用可能かを確認すると機体のディスプレイを落とした。
 こんなものを使うことがなければ良い、そうは思っても軍人としての自分は取るべき行動をしなければならない。
 思えば、上官に反発を繰り返し命令や軍規違反の常習犯だった自分だが、この数ヵ月でかくも人間は成長するものだな、とシンは苦笑した。
「よし、行くか」
 携帯無線をベルトにぶら下げ、ホルスターの拳銃を確認したシンは、サバイバルキットを背負い、左手にトランクを右手にはノーマルスーツのヘルメットを持ち、機体から出る。
 赤い双眸の先には見慣れない施設が建っている。
 それは敵か、あるいは味方か。
 目の前に建つ建物を目指してシンは歩き出す。
 これが新たな運命の始まりだったとは、その時のシンには知るよしもなかった。




 
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