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ドラゴンクエスト5~天空の花嫁……とか、

作者:あちゃ
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第7話:大人はいつも勝手だ

(レヌール城)

「ところでこの子……名前は何て言うの?」
「え、知らないよ」
名前なんて知らないよ……原作では仲間にならなかったんだし、コイツは喋れないんだし……
似た様なモンスターなら、ミステリードールのミステルが原作では居るけど……その名前使っちゃダメだよね。

「でも友達になったのに名前が無いんじゃ呼ぶ時に不便よね……考えてあげましょうよ!」
「う、うん……ビアンカには何か良い名前があるの?」
ゲレゲレとかボロンゴって言ったら、コイツ怒って襲いかかってくるんじゃねーの?

「そうねぇ……石のお人形だから“ストーンドール”ってのはどう!?」
ストーンドールだぁ!?
見てよ……土偶だよ、ハニワだよ、間抜け面だよ!
声に出しては言わないけど、そんな格好いい名前は似合わないよ。

「それだと長すぎだよ」
俺はあえて長さ以外の問題点を指摘しない。
「何よ……じゃぁアルスには何か良い案があるの!?」
そう言われても……あ、そうだ!

「じゃぁ“ストーンドール”を略して“スドー君”ってのはどうかな?」
我ながら良いアイデアだと思う。
コイツに似合うし呼びやすい。
前世でこんな友達(須藤(スドー)君)が居たしね。ちょっと顔が似てるんだよ。

「へー良いじゃないスドー君って! あなたはスドー君と呼ばれるのでも良いかしら?」
スドー君は無言で間合いを詰めてくる。
これはOKって意味かな?
怒ってる訳ではないよね!?

「どうやら気に入ってくれたみたいよ。良かったわねアルス」
勝手に気に入ったと受け取るビアンカ……
本当にそうなのか判らないが、攻撃してこないし“スドー君”で決定しよう。

しかしコイツは使えるかもしれない。
ヘンリー誘拐イベントを回避し、パパスの死&奴隷生活の回避も出来るかもしれない。
やり方次第じゃバラ色の人生が待ち構えているぞ!
これは知将として実力の見せ所じゃん!



不気味ちゃんではあるが仲間も増え、多少恐怖が軽減された俺……
先程までとは違い軽い足取りで先に進む。
すると図書室の様な部屋に到達した。

「散らかってるわねぇ……」
まぁ当然だろう。
この城が廃墟になって月日が経つ。
何時までも整理整頓されている訳がない。

そんな事を考えながら室内を物色していると、突如目の前に半透明の女性が出現した! 俯き長く黒い髪で顔を半分隠した女性が出現した!
「ぎゃぁー!」
泣く俺。身構えるビアンカ。無表情なスドー君……彼は仕方ないか。

「貴女がこの城のオバケ!? 私達はオバケ退治に来たの、大人しく成仏してよ!」
勇猛果敢にビアンカは幽霊に話しかける。
ただ、この幽霊を退治しちゃダメなんだよね。
突然の出現にビビっちゃって泣いちゃったけど、この人は悪いオバケじゃ無いんだよね。(すげ)ー見た目恐いけどね。

「ビ、ビアンカ……見てよ。この人寂しそう(予想)だよ……悪い事はしてない(希望)と思うよ」
「た、確かにそうだけど……でもオバケ退治しなきゃならないんだから、この人をどうにかしないと……」
この幽霊を退治しても何ら解決には至らない……だけどそれが判ってるのは原作知識のある俺だけ。それに下手な事すると呪われそう。

「でも悲しそう(予想)な顔してるし、お話を聞いてあげようよ」
「一番最初に大声で怖がったアルスが、そう言う事を言う!?」
い、痛い所を突いてくる……
心なしかスドー君が笑ってる気がする……

「ぼ、僕は恐がりだから、突然目の前に出てこられたら、大声出しちゃうんだよ!」
我ながら情けない事を言ってるが、真実なのだからしょうがない……
オバケとか幽霊とかモンスターとか関係なく、突然の出現にはビビりまくってしまうんだよ! しかも見た目が(すげ)ー怖ーし!

(ゴゴゴゴゴ……)
俺の一方的な情けな口論をしていると、幽霊の人が右手を挙げ、それに連動し一部の本棚が動き出す。
原作同様隠し階段だろう。

「見て階段があるわ!」
思った通り隠し階段出現に、ビアンカは声を出す。
俺も思わず視線を階段に向け存在確認する。
スドー君は目だけを動かして……

そして視線を幽霊の人に戻すと……既に居なくなっていた。
この先の王家のプライベートルームで待機中かな?
ビアンカに視線を向けると黙って頷いた。先へ進もうとの意思疎通成功。やっぱ俺達ラブラブ!
スドー君とは……よく解らん。



暫く進んで王家のプライベートルームに辿り着く。
そこに入ると、先程の幽霊の人が控えており、か細い声で現状を訴えてきた。
もっとハッキリ喋ってほしい……半透明だし、表情が悲壮感漂ってるし、恐いんだよ!

名前はソフィアさんと言うらしいが、いつも俯いて長い黒髪で表情が隠れてるから、俺は心の中で『貞子(ソフィア)』と呼ぶ事にする。
口に出すと呪われそうな気がするから絶対に言わない!

取り敢えず貞子(ソフィア)の話しも終わったみたいだし、恐いから先へ進む俺達。
ぶっちゃけ半分以上聞き取れてない……でも怖いから先へ進む俺達。
プライベートルームを出て少しした所で「あの女幽霊(ひと)か細い声で話すから恐かったわ……」とビアンカが耳打ちしてきた。
井戸から出現すると、もっと恐いんだぜ!

「僕もチビリそうだったよ(笑)」と言い返すと、
「やだぁ~アルスったら(笑)」と会話が弾んだ。
よしよし……良い感じになってきたぞ! ラブラブ感上昇中!
スドー君とは……うん、まぁ良いでしょ!



下の階へ移動し、周囲を見回すと……
そこには半透明の厳ついオッサンが佇んでいた。
あれが王様幽霊か? 貞子(ソフィア)とは対照的に存在感があるぞ。

「あ、あそこにも幽霊の人が……行っちゃった!?」
ビアンカにも知らせる為、見たままの事を言おうとしたら、オッサン勝手に何処かへ行っちゃった。
確か俺等の度胸を確認するテストだったよね。

「もしかして今度こそ悪いオバケかしら?」
「さ、さぁ……兎も角行ってみようよ」
彼女の士気が高いのは良いが、無闇に退治しようとするのは控えて欲しい。
あのオッサンも悪いオバケじゃないからね!


やれやれな感じでオッサンを尾行すると、城の裏手の空中回廊で待ち伏せされる俺達。
オッサン敵だったら俺達アウトです。
でも勿論敵じゃ無いからセーフだよ。

ビアンカに任せると『退治してやる!』って言い出しそうだから、俺が話しかけようと思います。
でもね……「あの、僕達……「ここまで付いてくるとは見上げた度胸の持ち主だ!」って一方的に話し出しちゃったの。

その後も此方からの発言を許さず、敵ボスの居場所や其処への行き方、城内で閉ざされている扉の開放などを一方的に話し、俺達をオバケ退治に追い立てる王様(オッサン)
反抗的な発言をすると、突如雷が鳴り「はぁ~? 良く聞こえなかったぞ!」って押し通してくる。

身勝手な大人だ。
会話が成り立たないので諦めて言う通りにする良い子な俺達。
まぁ最初から目的は同じだったから良いんだろうけど、些か納得出来ない感が残るよ。

因みに王様(オッサン) の事を心の中で『信長(エリック)』と呼ぶ事にする。
一方的で我が儘で強引で……
本家の事を詳しく知らないけど、そんな感じがするから信長(エリック)と呼ぶ事にする。

しかし原作とは随分と違う状態だなぁ……
貞子(ソフィア)は恐いし……
信長(エリック)は強引だし……

でもスドー君が居るのは心強い!
無表情で不気味だけどね。



 
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