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【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
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例えばこんな同級生に俺は一体何が出来るんだろ

7月8日 ラッキーアイテムは妹系キャラのグッズ・・・この占い何を思ってこれをラッキーアイテムにしたんだ?

ウツホは慣れない身体を使ったせいか眠ってしまった。今は篠ノ之博士が面倒を見ている。と言うか今更だが(ウツホ)って名前は生徒会の(うつほ)さんと図らずとも同じ読みになっていることに気付いた。正直全然意識してなかったんだが、ウツホはすっかり自分の名前を気に入っているようで今更訂正など出来るわけもない。・・・まぁええか。
しかし、それよりも重要な案件が俺の前に現れている。そう、シノノーノ箒ちゃん襲来である。しかも今までとはだいぶ様子が違う。そう、例の悩みをぶちまけられたのである。

箒ちゃんに心中を吐露されて俺は考えた。彼女がどうすれば初恋と現実の狭間に生まれた軋轢(あつれき)から解放されるのか。
初恋はどれも甘酸っぱくて美しいものだ。簡単に忘れられない。現実は、変えられないから現実として重く圧し掛かる。正直おりむーが鈍感すぎるのが最大の障害にして原因なのだが当の本人は未だ生死の境をさまよっているためどうにもできない。

うーん・・・うーん・・・ダメだ!どう考えても救いがない!!考えが纏まらなかったので勢いで喋ることにした。

「もういっそのこと初恋を捨ててもう一度女としておりむーを見たらどうだ?」
「初恋を捨てる・・・?無茶を言うな!あの時は本当に好きだったんだ、今更忘れられるか・・・」
「だってもうそうしないと箒ちゃんはこれ以上一歩も前へ進めないぞ?」
「分かっている!分かっているからお前にこうして・・・・・・いや、済まない。相談しているのは私なのに」

そう言うと俯いてしまった。微かに肩が震え、瞳から滴が・・・い、いかん!泣かせてしまったか!?何とかあやさなければ、ああでも何をどういえば止められるか・・・

「そ、それならさ!俺が箒ちゃんの初恋をしばらく預かるよ!だからそれでもおりむーが好きなら初恋はもう必要ないでしょ!?・・・って俺何言ってんだ」

自分でも何言ってるか分からん。恐る恐る箒ちゃんの方を見る。

「・・・・・・・・・・・・ぷっ」

笑われた。顔から火が出るほど恥ずかしい。でも何とか涙は止まったようだ。げに恐ろしきかな女の涙。しかし涙をぬぐい笑っている箒ちゃんの顔はどうしようもなく可愛かったので恥かいた見返りとしては十分かな。

「この恋泥棒め・・・特別にお前に預けることにするよ。借りパクするんじゃないぞ?でないとお前に惚れたことになってしまう」
「泥棒呼ばわりは何度もあったが恋泥棒は初めて言われたよ・・・まぁ箒ちゃんがそれで前に進めるなら・・・その初恋、責任を持って預からせていただきます」
「責任、持つんだな?」
「え?あぁ、うん。そりゃ持つよ」

・・・どういう意味だろうか?責任としてカツ丼奢らされるとか?まぁそれ位なら別にかまわないんだけど・・・え?オウカ?何で溜息ついてんの?



 = =



「そこのオニーサン、ちょーっと良いかな?」

福音”説得”の準備も兼ねて仮眠を取ろうと部屋に向かう途中、旅館の従業員さんに声を掛けられた。よく見ると昼間ジェーンさんと喋ってた人だ。・・・深夜で室内なのにバイザーをつけ、日本旅館なのにバリバリ金髪の外国人。こうして視ると良く考えなくても違和感バリバリな上に”いる”。ジェーンさんと同じく体内に気配を感じるが、彼女の中にいる子は微かに意志が感じられる。

「わお、そこまで分かっちゃうなんてすごーい!」
「はぁ、良く分かりませんけどどうも」
「ま、それはいったん置いといて・・・実はさぁ、さっきジェーンちゃんが”ニヒロ”を連れて勝手に福音の所に行っちゃったんだ!だからあの子の事が大事なら・・・追いかけてあげてくれないかな?」

うん、何言ってるか良く分からない。えーとつまりジェーンさんがニヒロ君・・・ひょっとして彼女のISコアかな?と一緒に出撃したと。・・・え?何で?というかお姉さんジェーンさんと知り合いなん?

「護衛対象の君を全然守れてないことにガマンならなくなって先に障害を掃う気だね~・・・でも、福音は暴走してるとはいえあの戦争好きの米国が主導で作ったISだから、いくらあの子でも無事じゃすまないと思うんだ」
「・・・そうですか。それじゃ今からジェーンさん迎えに行ってきます」

実のところ他にも考えるところは沢山あった。このおねーさんが結局何者か分かってないし、護衛という言葉も非常に気になる。「貴方は行かないんですか?」とか「先生にチクるのが先か」とか「他の皆に手伝ってもらおう」とか。”後になって思えば”考えることは沢山あった。
だが俺はその人の「無事では済まない」という言葉のみに全ての気を取られた。

ジェーンさんまでおりむーみたいな姿になると思うと、正直耐えられない。あの時だって俺とオウカにはおりむーを助けることが出来たかもしれないのに、今回自分の同居人が血染めなんて嫌だ。死なれるのはもっと嫌だ。それを見て泣きそうになっている人の顔を見るのが、嫌だ。

笑ってほしい。箒ちゃんにもジェーンさんにも皆にも。笑って安心して過ごすのが一番に決まっている。

「場所、分かるの?」
「ラウラさんからドイツの監視衛星のデータリンクを受け取ったから大丈夫です」
「そう。オネーサンは今回は手伝えないから任せたよ?私もジェーンちゃんの笑顔は見たいしね♪」

ジェーンさんが何故今回に限ってそんな蛮行に出たのかは知らないが、福音に向かったと分かれば夜明けまで待つ暇はない。廊下から下に降りて桜花を展開。周囲への被害も忘れ、フルブーストで月夜に飛び立った。それを見送りながら旅館の従業員――アリスはころころと笑った。

「・・・君が初めてなんだ、ジェーンちゃんの心を動かせたのはさ。オンナノコの心を弄んだ責任は取らないとねー♪」

・・・オウカの超精密な集音マイクは幸か不幸かその台詞を拾い損ねた。



 = =



「鈴!」
「箒・・・覚悟は決めた?」
「そんなこと言ってる場合か!たった今ゴエモンが一人で出撃したぞ!?どういうことだ!!」
「えっ」
「えっ」
「全くあの方はまたもや私に断りなく・・・!」
「というか(ジェーン)の姿が見当たらないんだが何所に行ったのだ・・・」
『ええいどいつもこいつも・・・セシリア、鈴音、シャルロット、ラウラ、箒!!今すぐあの馬鹿を連れて帰って来い!!』
「「「「「り、了解!!」」」」」

まぁ当然こうなるわな・・・
 
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