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激突部活動!! バトルク☆LOVE

作者:ぽかりす
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二章 剣と拳のファーストアタック ③






「いきなり来てそんなこと言うだなんて失礼にもほどがあります!」


『そうですよ!ちゃんと正々堂々戦って…』


「るっせーな!お前らみたいな最弱のやつらがなに偉そうに意見してんだ!あ!?」



三人の道着姿の少年に派手な金髪のチャラチャラした男。
彼らの集団に近づいた時ようやく会話が聞こえてきた。
この一部分だけでも彼らが今どういう状況にあるのかが容易に想像できる。



「ちょっとあなた達なにをやってるんですか!」



その輪の中に堂々と入っていくサラ、彼女の小春以外に媚びない姿勢はどうやら剣道部の中だけではないらしい、随分と肝が座っている女の子だ。



「えっと?どちら様でしょう?…」



日本拳法部の子達は突然割って入ってきた謎の人物にどう接したらいいのか分からず少し混乱しているように見える。



「B地区の剣道部部長代理の神崎サラです!日本拳法部の方に試合を申し込みに来ました!」



場の空気を一切読もうとせず単刀直入にこちらの要求を放り込む。
しかも後方の副部長を差し置いて、しれっと部長代理を名乗るあたり流石はサラといったところだ。



『あ?剣道部だ?残念ながらこいつらは俺の方が先に目をつけてんだよ!痛い目に会いたくねぇならさっさと帰りやがれ!』



案の定この不良面の男が食ってかかった。
その眼光は鷹のように鋭いものを帯びているおり、体格は細いながらもヒョウのような滑らかな筋肉のつき方。これだけで彼が何らかの格闘技をしていると想像できる。
やはり日本拳法部に試合を申し込みにきた先客なのだろう。
だがそんなこと彼女にとっては微塵も関係なかった。



「いいえ帰りません!部長から頼まれてここにいるんです!あなたこそ彼らが嫌がってるので帰ってください」


『随分と舐めた口聞くじゃねぇか?女だから手を出さないとでも思ってんのか?」



まさに一触即発、一歩も引かない相手に対し、お互いに威圧オーラを爆発させるかのように睨み合っている。



「まぁまぁ!落ち着けよ二人とも!」



あまりに険悪な空気に我慢できず後ろで傍観していた京介が仲介に入る。



「なんだお前?テメェもそいつの連れか?この女にいいとこ見せてぇってか?あ?いけ好かねぇ目で見やがってシメんぞこら!!」



間に割って入った瞬間浴びせられる罵声の嵐。
どうやらこの不良は京介の生まれつきの感じが悪い目つきが自分に向けられたものだと勘違いしたようで、その矛先がサラから京介へと変わる。



「俺は別にそんな目をしてなんか」


『してんだろぉーが!ムカつくなお前!俺を誰だか知って喧嘩売ってんだろうな!!』


「いや、全く・・・・・・てか喧嘩自体売ってないし…」


『え!?マジでこの俺を知らねぇーのか!?』




不良は完全に意表を突かれたような反応を見せる。
それだけ己の知名度に自信があったようなのだが剣道部の二人はこの人物が一体どこの部活動の人物かさえも全く検討つかない。



「こ、この人はこのB地区で有名な不良でボクシング部の人ですよ!…」



当事者からすっかり第三者になってしまった日本拳法部の子がひっそりと教えてくれる。
なるほどボクシング、改めてみると納得の体格である。



「仕方ねぇから教えてやる!俺はこの如月学園最強ボクシング部のエース!『五十嵐豹牙(イガラシヒョウガ)』だ!!全国でも注目されてるスーパーボクサー!この俺にまだ喧嘩売ろってか!?あ?」



怒っている状況で親切にも自己紹介するあたり、実はこいついいやつなのかも…という気もしなくもないが今はそんなこと思っている場合でもない。



「俺はB地区剣道部の副部長をやってる御剣京介だ。こっちが神崎サラ。さっきもこいつが言ったように俺達はこの日本拳法部に試合を申し込みにきた」


『だからこれは早いもの勝ちだろ!俺の方が早かったんだから当然俺が!』


「待ってください!!」



今度は日本拳法部の子が割って入る。
ひょろひょろの三人組の中では一番背の高い少年。
その道着の使い込み具合からどうやら彼が一番歴の長い経験者、おそらく部長なのだろう。



「なんだお前?テメェは引っ込んでろよ!」



『嫌です!御剣さん…でしたか?僕は試合をするならあなた方がいい!この五十嵐って人は僕達にわざと負けるように脅しにきたんです!苦労して作った部活がそんな風に無くなるなんて絶対嫌だ!正々堂々戦いたいんです!』



おとなしそうな彼が必死に訴えてくるその目は真剣そのものであった。
自分の部活がなくなるかもしれない現状でも「わざと負けろ」なんて言葉はスポーツマンシップの風上にも置けない。
こんな彼の姿を見せられて京介は黙ってはいられなかった。




「そっかそっか、状況は大体理解できたし君の伝えたいことはよく分かったよ。…けどごめん・・・それはできない」


『そ、そんなぁ!?』


「ふはははは!やっと身の程が分かったか!じゃあさっさと帰って…」


「おい!五十嵐豹牙!!」



笑いながら中傷する五十嵐の言葉を京介は強い口調で遮った。



「俺はこの日本拳法部の子達よりも断然潰してぇやつができた!お前のボクシング部…俺達剣道部が終わらせてやるよ!」



思いもよらない展開にその場にいた全員の思考が止まる。





「はぁ?何言っちゃってんの?俺達を潰す?笑い話にもなんねぇぞ!あははは!!」



一番初めに口を開いたのは五十嵐豹牙。
彼はこの唐突な出来事を笑い飛ばすかのように腹を抱えて爆笑する。



「ちょっと!?京介さん何言ってるんですか!私達は日本拳法部と試合しに来たんですよ!?なのになんでわざわざ強そうなボクシング部と試合するんですか!」



サラも普段はあまり見られないような慌てた様子で続いた。
確かに弱小部活と戦うためにきたのにこんな強豪を相手にするなんて正気の沙汰じゃないのかもしれない。
しかしここまできたら引くに引けない現状だ。



「悪いなサラ。俺も本当なら日本拳法部の子と戦いたいんだけどこの馬鹿が譲ってくれねぇからな。それにこいつの人を見下した態度がどうしても気に入らない」


『私もこの馬鹿の態度には腹が立ちますけど小春さんに言われた通りにしないと!』


「…おいテメェら…さっきから黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって!!馬鹿ってのは誰のこと言ってんだ!?」




流石に馬鹿馬鹿言い過ぎたか、五十嵐の堪忍袋の緒が切れたようで、先ほどまでよりもさらにキツく威圧に満ちた言葉を放つ。




「上等だコラ!こんな奴らよりお前らの剣道部を潰してやるよ!雑魚なんか相手にしなくても俺達は余裕で勝ち上がれるっつーことを見せつけてやる!!」




結果オーライと言っていいのだろうか、ともかく京介の思惑通りに五十嵐も話に乗ってきた。



「明後日だ!明後日の放課後テメェらのとこに乗り込む!それまでせいぜい怯えてろ!」


『お前こそビビって逃げんなよ?』


「誰が逃げるか!チィッ!どけコラ!」



五十嵐は日本拳法部の子の間を強引に押し退けて去っていった。
よほどイライラしているらしく自分の通り道にあるゴミ箱を派手に蹴り倒したりしていた。




「……あの…ごめんなさい」



その後ろ姿が消えそうになった時、おもむろに日本拳法部の部長らしき子が京介たちに謝罪した。




「僕達のせいで御剣さん達がボクシング部と戦うことになっちゃって…その、本当に…」


『いいっていいって!気にしないでよ!それにこれは俺が勝手に決めたこと!君達は関係ないよ!』



彼らに無駄な心配をさせないようにか、京介は先ほどまでとは打って変わったような明るい口調で話す。




「全くですよ!京介さんが本当に余計なことしてくれたおかげで面倒なことになっちゃって!帰ったら殺します。てか死ね」


『あはは~…サラちゃんすごく怖い…』



やはりサラの機嫌は良くなかった。
なんの遠回しもなくシンプルな罵声を飛ばしてくる時は本気で怒っているというのを京介は知っている。サラの意見を全く聞かずに話を決めてしまったのは正直悪かったとも思う。



「ともかく試合相手が決まったんだ。帰って小春に報告しねぇと。日本拳法部の諸君、騒がしくして悪かったな」


『いえ、それは全然かまわないのですが…あの、がんばってくださいね?』


「おう!お前らこそ頑張って勝ち抜けよ?さぁ帰るかサラ…ってあれ!?」



気づくと先程まで横にいたはずのサラの姿がない。
バッと京介が後方を振り返ると、既に帰路に着いたサラがもう豆粒のように小さくなっていた。
もはや口も聞きたくないという意思の表れなのか彼女の歩行速度は普段の数倍ほどもある。



「おい!待てよサラ!!置いてくなよ!!」



そのサラを追いかけて京介も走っていく。
みるみるうちに二人の影は小さくなり大きな交差点あたりで曲がって視界から消えた。



「本当に大丈夫なのかな…」



後に残された三人組は夕日が差し込みだした町のくたびれた集会場前で、二人の消えた方角をしばらく心配そうに見ているのだった。



 
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