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問題児たちと生命創造主が異世界から来るそうですよ?

作者:オークス
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箱庭について

「あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために
小一時間も消費してしまうとは。
学級崩壊とはきっとこのような状態を言うに違いないのデス」
黒ウサギは泣きながら落ち込んでいる。

「いいから、さっさと説明しろ。」
取りあえず、話だけ聞くことになり全員で黒ウサギの前の岸辺に座る。
黒ウサギは気を取り直したのか咳払いをし、両手を広げた。
「それではいいですか、皆様。定例文で言いますよ? さあ、言います!

ようこそ“箱庭の世界”へ!
我々は皆様にギフトを与えられたものたちだが参加できる
『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召還いたしました!」

「ギフトゲーム?」
「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、
皆様は、普通の人間ではございません!
その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、
星から与えられた恩恵でございます。

『ギフトゲーム』はその“恩恵”を用いて競い合う為のゲーム。
そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者が
オモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ!」

黒ウサギの説明に飛鳥が手を上げて質問する。
「まず初歩的な質問からしていい? 貴女の言う“我々”とは貴女を含めた誰かなの?」
「YES! 異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、
数多 とある“コミュニティ”に必ず属していただきます♪」
「だが断る」
十六夜がバッサリ切り捨てる
「属していただきます!
そして『ギフトゲーム』の勝者は
ゲームの“主催者(ホスト)”が提示した商品を
ゲットできると言うとってもシンプルな構造となっております」
また、十六夜に切れて説明を始める黒ウサギ。
「主催者って誰?」
耀が控えめに手を上げ聞く。

「様々ですね。修羅神仏が人を試すための試練と称して行われたり、
 コミュニティの力を誇示するために独自に開催するグループもあります。
 前者は自由参加ですが、“主催者”が修羅神仏のため、凶悪かつ
 難解で中には命を落とす物もありますが、その分見返りは大きいです。
 場合によっては新しい“恩恵(ギフト)”を手に入れることもできます。
 後者は、参加にチップが必要です。
 参加者が敗退すれば“主催者”のコミュニティに寄贈されます。」
「後者は俗物ね。チップには何を?」
飛鳥が訊ねる

「様々です。金品・土地・利権・名誉・人間・・・
 そして、ギフトも賭けることができます。
 新たな才能を他人から奪えればより高度なギフトゲームを挑む事も可能です。
 ただし、ギフトを賭けた場合、負ければご自身の才能も失われるのであしからず。」
 そういう黒ウサギの顔には黒い影があった。
「そう。なら最後にもう一つ。ゲームそのものはどうやって始めるの?」
「コミュニティ同士のゲームを除けば、期日内に登録すればOK!
 商店街でも商店が小規模のゲームを行っているので
よかったら参加してください。」
「・・・・・・つまりギフトゲームとはこの世界の法そのもの、
という解釈でよろしいのかしら?」
お? と驚く黒ウサギ。
「ふふん、中々鋭いですね。しかしそれは八割正解二割間違いです。
 我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。
 ギフトを用いた犯罪などもってのほか! 
 そんな不逞の輩は悉く処罰します。しかし! 
 ギフトゲームの本質は勝者が得をするもの! 
 例えば店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすれば
 ただで入手することも可能だと言うことですね」
「そう。中々野蛮ね」
「ごもっとも。しかし“主催者”全て自己責任でゲームを開催しております。
 つまり奪われるのが嫌な腰抜けは
 初めからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」



「ってちょっと待ってどうしたら元の世界にもどれるの?」
そこで今まで黙っていたハクアがそう黒ウサギに訊ねる
それから黒ウサギに腕を引かれて4人から遠く離れた場所に
連れていかれた
「何で帰りたいのですか?」
「それは元いた世界を捨てる気などなかったからよ
手紙を開いた私も悪いけれど強制的に飛ばされるなんて
幾ら何でも理不尽じゃない」
「・・・仕方ありません私どもが今回貴方がたを
召還させて戴いた理由をご説明しましょう」

そこでハクアは黒ウサギの事情:コミュニティが
箱庭に於ける天災(魔王)に襲われ主力を引き抜かれ
子供だけが残され、ほぼ壊滅状態であり
コミュニティを再建する為に
ハクアたちを召還したのだと聞かされた。
「どうかお願いします!私たちを助けて下さい‼」
黒ウサギは泣きそうな顔で頭を下げる
(ずるいじゃないそんな顔で言われたら
断れないわよ)
「はぁ、解ったわよ黒ウサギ頭を上げなさい」
ハクアは渋々だが、彼女に協力する意向を示した。






「さてこれでだいだいの説明を終わらせて
戴きます宜しいですね?
4人の前に戻ってきた黒ウサギはそう切り出した

黒ウサギが僕達に確認を取るように聞いて来る。
その中、十六夜が手を上げた。
「待てよ。さっき二人だけで何かを
話していたことは目を瞑ってやるが
まだ俺が質問してないぜ?」
その声は、威圧的でいつもの軽薄な様子が一切無かった。
「・・・・どういった質問でしょう?
 ルールですか?
 それともゲームそのものですか?」

黒ウサギも十六夜の雰囲気を感じ取りやんわりと聞く。
「そんなのはどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ、
黒ウサギここでお前に向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃない。
世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、
プレイヤーの仕事じゃない。俺が聞きたいのは・・・・・・たった一つ。」

十六夜が目を細めて、この場にいる全員を見まわし、天幕に覆われた都市を見上げる。
そして、何もかも見下すような視線で一言

「この世界は………面白いか?」

十六夜の目は至極真面目だった。
『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い』
手紙にはそう書いてあった。
僕達 は全てを捨てて箱庭に来た。
それに見合うだけの価値はあるのか?
それは、ここにいる僕達五人にはとても重要なことだ。
十六夜の質問に黒ウサギはニッコリ笑いながら宣言する。
「YES。『ギフトゲーム』は人を超えたものたちだけが参加できる神魔の遊戯。
 箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」


 
 

 
後書き
因みに、この時点で黒ウサギのコミュニティが壊滅状態だと
問題児組で、知っているのはハクアのみです

それでは、誤字脱字意見等有りましたらお願い致します。
 
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