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圧倒的究極神が世界を旅するそうです ハイスクールD×D編

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プロローグ
  プロローグ

月明かりが照らす静かな夜の森の上空を、一頭の龍が飛んでいる。

その龍の体躯はとても大きく深紅の鱗で覆われていた。

眼下には龍に追随するように巨大な影が夜の森を進んでいた。

にもかかわらず夜の森は変わらず静かで、森に住む動物たちは一向に騒ぐ気配がない。

そしてその背には5人の人影があった。

「イッセー、今日の稼ぎはどうだ?」

龍が背に乗る一人の男に問いかける。

その声は龍が発するような咆哮ではなく、魅力的な女性の声だった。

「悪くない。それどころか奴らが徒党を組んでいたお陰で本来の賞金にプラスして

 一人辺りで追加の賞金が貰えた」

「ふふ、そうか、いい見せしめだ。やはり防衛より襲撃の方が気楽でいいな」

イッセーと呼ばれた男が龍の問いに答える。

その答えに気をよくしたのか、物騒なことを言いながら龍は少し飛ぶ速度をあげた。

「わわ、いきなり速度を上げないでぇ。いくら結界で風を遮れても

 揺れまではなくすことができないんだからぁ」

イッセーと呼ばれた男の隣に腰掛ける金髪の少女が、龍に非難の声をあげる。

「落ちなかったから問題はないだろう?

 それよりもシルマ、お前今回大層暴れたそうじゃないか」

「私よりも黒歌ちゃんとか白音ちゃんの方が張り切ってたよ。

 私は後ろから魔法を使って援護してただけだよ」

シルマと呼ばれた少女は黒歌と白音の方が張り切っていたと主張する。

「張り切る張り切らないは問題じゃないにゃ。一発の威力と範囲が問題なのにゃ」

「そうです。シルマ姉様が使う魔法は味方に当たりませんがその範囲は強力すぎます。

 それと霞、何時までそこに座ってるんですか。約束の時間はとうに過ぎています」

黒歌と呼ばれた黒髪で髪と同じ色の猫耳がある美女は、それよりもシルマが使う魔法がおかしいと指摘し、

白音と呼ばれた白髪で髪と同じ色の猫耳がある少女も、それに同意し、イッセーの膝の上に座ったまま

動かない黒髪の少女に変わるよう催促する。

「………………zzz」

霞と呼ばれた黒髪の少女から寝息が聞こえた。

どうやら揺られているうちに眠ってしまったらしい。

それに毒気を抜かれたのか、白音も起こす気にはなれず催促をやめた。

「兄様、頭を撫でてください」

その代わりにイッセーに頭を撫でるように催促をした。

「構わないぞ、ここに座れ」

「兄様、失礼します。…にゃぁ」

イッセーが隣に座った白音の頭をなでると、目を気持ち良さそうに細めていた。

ふとイッセーは視線を感じ見回すと、黒歌が此方を見ていた。

先ほど白音にしたように、白音の隣を優しく叩き、此処に来いと促した。

「私も失礼するにゃ。……気持ちがいいのにゃ~」

白音と黒歌を交互に撫でていると満足したのか二人も眠ってしまった。

「紅音、霞達が寝てしまった。なるべくゆっくり頼むぞ」

「私はタクシーではないんだがな。まあいい、たまにはゆっくりと景色でも観ながら飛ぼうじゃないか」

紅音は寝てしまった3人を起こさないようにゆっくりと空を飛ぶ。

「それにしてもいっくん、とても強くなったね」

雲一つない夜空を見渡しながらシルマが隣に座るイッセーに声をかけた。

兵藤一誠は転生者だ。それもただの転生ではなく憑依である。

助けたのは隣にいるシルマであり、戦う為の術を与えたのもシルマである。

シルマが助けた理由は単純で恩を返すためであった。

シルマは元はゲームの中の住人であり、プレイヤーによって変わるエンディングを迎える。

だがシルマが助けた男はゲームであれ、キャラを大切に育成し最良のエンディングを迎えていた。

何の因果か、ゲームの中の存在だったシルマだが自らの体を持つことができた。

恩を返すためにシルマは男を助け、自らが作り上げた世界で新たな生を歩むことになった。

その際に5つの特典をつけることになった。

一つ、ステータスは圧倒的遊戯ムゲンソウルズZを準拠とする。

一つ、レベル制限、能力制限解除。

一つ、コンディションスキル、習得スキル全習得済み。

一つ、コンディションスキルの装備数制限なし。

一つ、ステータスUPの補正値を2000%とする。

これが男の望んだ特典である。

いずれも最強には程遠く、だが突き詰めれば最強に到れる特典であった。

これは男の趣味であり、RPGでの地道なレベリングが大好きな男らしい選択だった。

シルマは男に内緒で追加で更に特典を与えていた。

一つ、”虜魅”の使用。

一つ、全武器適正、スキル適正あり。

男は追加の特典に気づくことなく転生した。

そして男は転生した先で兵藤一誠の名を与えられ、ここがハイスクールD×Dの世界であることに気づいた。

男、一誠は名前だけは知っていたため強くなろうと決意した。

一誠が5歳くらいになった頃、シルマが現れた。

シルマが言ったことを簡単に纏めると私も付いていくとのこと。

そして一誠の修行が始まった。

便利なことにシルマがムゲンフィールドを再現した。

ムゲンフィールドの中は時間が経たないため修行に最適であり、敵も徐々に強くなる。

さらに一誠のステータスはゲーム準拠なため敵を倒せば倒すほど強くなるためまさにうってつけだった。

修行の開始から今に至るまで毎日ムゲンフィールドに通い、モンスターを倒し、素材を集めて武器や防具を作り、

ゴールドを集めて作った武器や防具を強化し、ムゲンポイントを集めてスキルを強化する。

一誠は修行しているうちに虜魅が使えることに気づいたが実際に使ってみるとシャンプルは出現しなかった。

その代わりモンスターを支配下に置くかステータスを吸収するかの選択が出た。

毎日欠かすことなく修行した結果、一誠は間違いなく世界最強と言える強さになっていた。

LV:99,999

萌:ドS

HP:9,999,999,999

SP:9,999,999,999

ATK:9,999,999,999

DEF:9,999,999,999

INT:9,999,999,999

MND:9,999,999,999

AGI:9,999,999,999

TEC:9,999,999,999

MOVE:800

これが現在の一誠のステータスである。これに更に武器や防具、コンディションスキルが上乗せされる。

正真正銘最強と言える強さだが、この世界で知る人間はシルマを含め、紅音や霞、黒歌、白音と一誠の両親ぐらいしかいない。

「あれだけ毎日戦い抜いたんだ、強くならない方がおかしい」

一誠はそれに、と言葉を区切ってシルマを見て、

「お前にいつまでも守られてるわけにはいかんだろう?」

「…そっか。なんかいっくんが遠くに行っちゃったきがするなぁ」

シルマは再び視線を夜空に戻し、一誠の肩に頭を預けた。

「イッセー、そろそろ住宅地にでる。そろそろ冥界を出て人間界に戻るとしよう」

紅音の言葉に一誠も頷き、魔法を発動させる。

すると紅音の目の前に裂け目のようなものが現れた。

それを潜ると雲一つない満月の夜空に変わりはないが、眼下には広大な森ではなく人の生活感溢れる明かりが広がっていた。

巨体の龍が現れても人は気づくことなく生活をしていた。

紅音は一軒の家の上空に来るとその姿を変化させた。

赤い髪を一括りにして後ろで止めて、体も女性としての魅力が存分に溢れるスタイルだった。

一誠が黒歌を、シルマが白音を、紅音が霞を抱えて家の玄関に降りた。

普通なら騒ぎにでもなるだろうが魔法で覆っている為問題にならなかった。

「そう言えば明日から新年度だ。準備はいいな?」

紅音がふと思い出したように一誠とシルマに問いかける。

一誠は大丈夫だと首を縦に振り、シルマは顔を青くし冷や汗を流し始めていた。

「あわわ、忘れてた。いっくん今から準備手伝ってお願い」

そう言うやいなや慌てて家の中に入っていった。

紅音も苦笑しながらそれに続いて家に入る。

「いい夜だ。こんな夜には」

「いっくん手伝って~」

一誠はため息を一つ吐きおぶっていた黒歌を抱え直し、家の中に入っていった。

「うるさいぞシルマ。もう夜中と言っていい時間だ」

「ごめんね~、でも私一人じゃ終わりそうにないの~」

一誠はシルマの泣き言をBGMに彼女の手伝いを始めるのだった。


次の日からとある噂が冥界を駆け巡った。

雲一つない満月の夜には広大な森の何処かに巨大な龍の影が現れ次元の狭間に消える。

この噂が当分の間、冥界を賑わせることになったことは余談。 
 

 
後書き
書き直しました。
3人称で書くのって難しいですね。

 
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