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ユーノに憑依しました

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ちょいと前の夢を見ました

 ガツン!! ガツン!! ガツン!! ガツン!! ガツン!!
 俺は今、バールの様な物を使い金属製のカバーを破壊している。
 ガツン!! やっと金属製のカバーにめり込んだ。
 中を抉じ開けて出て来たのは蒼く透き通った宝石、だが水銀の様に常温でも液状化してる。
 肺に吸い込まないようにして容器に移した後、また次の金属カバーを剥がしに掛かる。


「青と緑のデバイスもどきばっかりだな」


 俺が何をやっているかと言うと、墓場荒しではなく発掘のお仕事だ。
 遺跡調査が終わり、重要性が低いと判断された遺跡は資源を回収して一般に公開される。
 その資源を回収する段階のアルバイトとして俺はデバイスの工場跡を漁っているのだ。


「レイジングハートが見つからない」


 そう、この頃の俺はユーノ・スクライアとしてレイジングハートを手に入れなければならなかった。
 魔力資質が高いから遺跡調査にも重宝されるけどさ、そろそろ見つかっても良いんじゃないの? レイハさん。


「先に地球に行って魔力慣らした方が良いかなぁ」


 最近どうもスランプ気味だ、それなりに高価なロストロギアを見つけて何割かは入って来たので懐は暖かいのだが。


「ミッドに行って渡航許可を貰ってくるか、ついでに地上本部や本局の見学でもするかな」


 本来なら俺にはそんな事してる時間なんか無い筈なのだが……もうデバイスの発掘は嫌なんだよ。
 スクライアの連中にミッドに行きたい、管理外世界に行ってゆっくりしたい、と言ったらアッサリ許可してくれた……子供の一人旅だぞ? 大丈夫かこいつら?
 まあ、そう言う訳で、金になりそうな発掘品の中から個人的に拝借した物を含めてミッドに向かう事にした。


………………
…………
……



「此処が機動六課の建設予定地か……――――どう見てもマリンスポーツビーチだろ」


 水上オートバイや水上スキー、丸太のような浮きを引っ張る船にパラシュートに椅子をつけた奴とかが稼動していた。
 でっかい三輪車が海の上に浮いてる。


「あと十年ちょっとで本局か聖王教会に此処が買い取られるんだな」


 まぁ、俺の保身の為に此処は潰れて貰おうか。それもこれも地球に行って闇の書を何とかしないとな……面倒臭い。


「さて、気を取り直して士官学校でも探してみるかね」


………………
…………
……


 管理局の地上本部から少し離れた所にその施設はあった。


「将来管理局に勤めてみたいんですけど、見学できますか?」


 受付のお姉さんに営業スマイルと魔導師登録を提示すると、あっけなく見学許可が下りた。
 ……けど、この事態は想定してなかった。振り返ると小さいのに良い体格をした人が居た


「君一人? お父さんとお母さんは?」
「……今日は俺一人で見学だよ、綺麗なおねーさん」


 ――――何で士官学校にクイントさんが居るんだよッ!? あんた陸の人間だろ!?


「あら? 君いくつ?」
「黙秘します」
「今直ぐ補導しようか?」
「……これから見学するんで補導は勘弁して下さい」


 魔導師登録をみせて勘弁して貰う。


「ふーん、スクライアの子かあ……よし、おねーさんが案内してあげる」
「……クロノ・ハラオウン、此処に居ますか?」
「……ハラオウン君知り合いかな?」
「いえ、管理局で働くなら将来嫌な上司になりそうなので偵察に」
「あはは、いーねそれ、いいよー、一緒に見に行こうか」


 俺から差し出した手をクイントさんはニッコリ笑って繋いでくれた。


「――――血を、遺伝子情報を誰かに渡した事あります?」


 クイントさんが足を止めて俺の前にしゃがんだ。


「……――――何でそんな事聞くの?」
「研究所でそっくりな子供を二人見た」
「……どこの研究所で見たの?」
「転移魔法を失敗した時に変な施設に飛んだ、魔法が使えなかったから、どこか判らないくわしい場所を知りたい」


 真っ赤な嘘だがな。


「……毎年健康診断は欠かしてないし私の遺伝子情報は調べれば判ると思う」
「少なくとも一定量のサンプルは必要になると思う、そこから割り出せない?」
「……確かめてみる価値はありそうね」

「嘘だと思わないの?」
「嘘だったら嘘で良かったねって笑ってやるわよ……その子、見たんでしょ?」
「……戦闘機人計画、アンチマギリングフィールドに気を付けて、特にレジアス・ゲイズって人には」

「……OK,お手柄よ、ユーノ君、それでかなり絞り込めるわ」
「……俺はレジアスの裏に居る人間に見つかりたくないので、お願いできますか?」
「うん、わかったわ、さて、クロノ君だっけ? 見に行こうか」
「はい」


 クイントさんが俺を肩車してローラーで走り始めた。


「ウイングロードだっけ? それも研究されてた」
「……――――そう、……ねえ、その子達どんな感じだった?」
「……そうだね、笑えば可愛いと思うよ……あんな研究施設じゃなければ」
「……――――飛ぼっか」


 ウイングロードが発生してその上を高速で走り始める。遠くの空に大きな衛星らしき星が見える。


「空を走るの好きなんだ……嫌な事忘れたりする時はこれが一番!!」
「リクエスト――――――カットバックドロップターン」
「おー、激しいのがお好き?」
「本職のを見てみたい」
「良いわ、見せてあげる――――しっかり掴まってて、舌を噛まないでよ?」


 ウイングロードが変化して捲り上がり、頂点で消失した。クイントさんと一緒に空中に投げ出される。


「これが、カットバックドロップターン」


 そのまま空中で回転して急降下、ウイングロードが再び発生して高速で着地する。
 うん、面白い視界だった。


「どうだった?」
「うん、生まれてから最高の体験だったよ」
「あはは、それはなにより……ってあら?」


 気が付くと地上に居た士官学校の生徒全員がこちらを見上げていた。


「あはは、ちょっと目立ち過ぎちゃったかな?」
「……早く降りましょうか」


 深く考えてなかったが、この中に転生者が居たら不味過ぎるだろ。
 この後、校長室に連行されたクイントさんを放置して、俺はクロノを発見する事に成功した。


「アレがクロ介か……小さいな」


 俺のストレートな呟きが聞こえたのか、遠くに居たクロノが周りを気にした。
 後ろの方でサポートしてるのがエイミィか……若いと言うよりは小さいな。
 一緒にデバイスのチェックをしてるのがマリエルだな、まだ試行錯誤の最中か。

 さてさて、見学もコレくらいにして渡航許可でも取りに行くかね。
 外に出る前に士官学校の中をぶらりと歩き回ってみたが、喧嘩を吹っかけてくるような転生者は居なかった。


「……居ないのか、それとも、この程度じゃ釣られないのか……まあ、どっちでも良いか、無害なら放置、放置」


 渡航手続きのカウンターで受付のお姉さんから旅の注意事項を受け、手続き終了までに時間が掛かるので街に出る事にした。
 デバイスの部品でも見に行くか? 本局の見学でも良いけど……時間掛かりそうだしデバイスだな。

………………
…………
……


 何故かデバイス街と呼ばれる所にアキハバラって地帯があるらしい。
 日本の文化が混ざってるとは聞いたが……何かの間違いでリインフォース・ツヴァイみたいな萌えデバイスだらけになったら怖い物があるな。

 ……数百単位で棚に陳列されるリイン、某ドールショップを思い出すな……そこに居た超迷惑な客も。
 ……いや、思い出すのはよそう、あの時の店員さんは可愛そうだった、うん何も出来なかった俺を許してくれ。

 一人どうでも良い記憶に浸っていると、前に三人組が見えた。クロノ、エイミィ、マリエルの三人だ。


「ほら、クロノ君、ファイトファイト、その程度じゃ荷物もちなんて出来ないよー」
「無茶を言うな! もう両手が塞がってるんだ、その上まだ何か買おうって言うのか!?」
「そりゃーねー、まあ、がんばりなよクロノ君」


 見事な荷物持ちだぞ、クロノ。



「それにしても、クロノ君が買い物に付き合って欲しいって言うなんて、珍しい事もあるもんだね」
「別に難しい事を頼む訳じゃない、母さんが今日帰ってくるから……少し労いたいだけだ」
「うんうん、クロノ君はお母さん大好きだもんね」
「っ……だから、そんなんじゃないって言ってるだろ!!」

「はいはい、感謝感謝、お母さんに感謝しないとね~」
「エイミィ!!」
「先輩、あんまりからかっちゃ悪いですよ」

「いいのいいの、クロノ君はコレくらいが丁度いいんだよ、最近難しい顔して変な事ばっかり考えてるんだから」
「クロノの『別に』は特別だからなー」
「そうそうって、あれ? 君誰?」


 さり気無く混ざったつもりだったが、早速バレた、まあ、当然か。


「俺? 俺はユーノ・スクライア、そこに居るマリエルさんがデバイスの腕が良いと聞いてね、どうだい? 資金を出すから俺のデバイスを弄ってみない?」
「……ねえ君? ユーノ君だっけ? お姉さん達をからかったら駄目だよ?」
「ふむ、コレとコレとコレあげる、後はコレが俺の魔導師登録で軍資金がコレだけ」


 今現在所持している発掘したレアパーツ全部渡して、レイジングハート改造用資金を見せる。


「コレだけやって俺の意思が伝わらないなら諦めるよ?」


 地球滅亡確定、やったね、俺は自由の身だ!!


「……先輩コレって古代ベルカのデバイスですよ、保存状態も良いし、メンテしたら充分使えますよ!?」
「この話を受けてくれないなら俺には無用の長物だし、あげる」
「スクライアって遺跡発掘の集団だったよね? 君はお使い? 何で一人なの?」
「まだ発掘してないんだけどフルメンテして欲しいデバイスがある、信用できる技術者に扱って欲しいだけさ、ブラスターシステムとかな」


 俺の出したキーワードに三人の顔付きが変わる。


「……君、どこでその話し聞いたの?」
「さて、どこだろう? 俺の依頼は今度持って来るデバイスをブラスターで収束砲を撃っても耐えられる様にして貰いたい」
「ブラスターでブレイカーを!? そんなの一流の魔導師でも無理だよ!? 一体何に使うの!?」


 小さく手招きして耳を寄せるようにジェスチャーする。


「――――数年後に復活する闇の書退治だ」
「お前ッ!! 一体何が目的だッ!! 一体何を知っているッ!! 何故僕達に近づいたッ!! 全部話すんだ!!」


 キレたクロノに襟を掴まれて宙吊りにされる……回りに注目されてるぞクロ介。


「クロノ君、落ち着いて!! マリー、場所を移すよ!」
「はい!!」


 少し離れた公園に拉致られた。さてさて、どう転ぶかな? 失敗して全部終わると楽なんだけどな。 
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