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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第五章 StrikerS編
  第百三十七話  『記された破滅の予言』

 
前書き
予言の話です。 

 



Side シホ・E・S・高町



それからヘリは聖王教会に到着して私達はカリムの執務室に向かった。
部屋に入るなり、初対面のなのはとフェイトはカリムに敬礼をして、

「失礼します。高町なのは一等空尉です」
「フェイト・T・ハラオウン執務官です」
「いらっしゃい。
初めまして、なのはさん、フェイトさん。
私は聖王教会教会騎士団の騎士、カリム・グラシアと申します。
どうぞ、こちらへ。
はやてとシホ、アルトリアさん、ネロさん、オリヴィエ陛下もゆっくりしていってね。
それと…」

カリムの視線に映るのはフェイト達と一緒で初対面のランサーに向けられている。
その視線にランサーも気づいて反応する。

「あぁ…。やっと俺か。俺はランサーだ。よろしくな、べっぴんな姉ちゃん」
「あら、ありがとうございます。
はい、よろしくお願いしますね、ランサーさん。
しかし、やっぱりこういう場では真の名前は名乗らないのですね」

カリムはランサーの真名を知りたいらしく、名乗ってくれないのに少し残念そうだ。

「あ? ネロとアルトリア、オリヴィエはもう名乗っちまっているから俺も名乗った方がいいか…?」
「私の騎士の誓いで真名は公表しないと約束をいたします」
「そうか。なら…俺はクー・フーリンだ。よろしく頼むぜ、カリムの姉さんよ」
「はい」

ランサーも真名を教えているようだ。
これでカリムにはここにいるサーヴァントは全員名前を知られたことになるわね。
だけど、カリムだから問題ないわね。
昔から内緒のことは本当に誰にも公表しないから私達も信頼しているし。
それで話し合う席に向かうとすでにクロノも着席していた。
なのは達も緊張しているようでわざわざ「失礼します」と言って席に着席した。

「クロノ提督。少し、お久しぶりです」
「…ああ。フェイト執務官」

お互い硬い感じである。
もっと普段のように話せばいいのにね。
それでなにか、おかしな光景に見えた。
それでカリムも私と同じことを思ったのか笑みを零していた。

「お二人共、そう硬くならないで。
私、クロノ提督、はやて、シホ達は個人的にも友人だからいつも通りで平気ですよ」

そうカリムが話すと先程までの堅いイメージがあったクロノも喋りが砕けたようで、

「と、いうわけだ。騎士カリムが仰せだから普段と同じで…」
「平気や」
「その通りね」

私達四人が砕けて話し出すと、なのは達も気分が和らいだのか、

「…はぁ。それじゃ、クロノ君、久しぶりだね」
「お兄ちゃん、元気だった?」

なのはも砕けた喋り方になり、フェイトもクロノの事を『お兄ちゃん』と呼ぶ。
それで顔を赤くするクロノ。
やっぱり慣れないのかしらね…?
アリシアは常時『お兄ちゃん』か『クロノお兄ちゃん』がデフォなんだけどね。

「…それは寄せ。もうお互いにいい歳なんだぞ?」
「兄弟関係に年齢は関係ないよ。
それに、アリシアにもいつもお兄ちゃんって呼ばれているでしょ? クロノ…」
「ほほ~う? クロノ君は本当はお兄ちゃんって呼ばれたいんかな?」
「そうね。そこは確かめておいたほうがいいわ。今後のためにもね…」

いいタイミングではやてが話してくれたので私もそれに乗っかった。
またいいネタが降りてきそうだわ。
するとクロノはやっぱり慌てだして、

「そ、そんなわけ無いだろう!」
「またまたぁ~?
私達の仲でもう分かっとるんよ?
クロノくんの性癖くらい。なぁ、シホちゃん…?」
「そうね。
まだ言われ慣れていないと偽るのは実は初心を装っているとも噂されているからね」
「君たち二人は…ますますエイミィに感化されて毒されていっているな…」
「そうか…?」
「そうかしら…?」
「そうだろう?」

三人でそう言い合わせるように返事の返しを繰り返す。
でもこの勢いは絶やさせない!
最近、エイミィさんと連絡を取って新たに得たネタを話題に出す。

「それに、たまに家に帰るとよく怒らせてはマグダラで縛り上げられているってエイミィさんに聞くんだけど、やっぱりクロノって緊縛が趣味なの…?」
「それは引くわ~…」

はやてと一緒にクロノをいじる。
久しぶりなので楽しくて仕方がない。

「シホ!
それはそもそもマグダラの聖骸布をエイミィに与えてしまった君のせいだという自覚がないのか!?」
「自覚はあるけど後悔はしていないわ…!」
「自信を持って言い切られた!?」

それで笑いが部屋の中に起きる。

「さて…ゴホンッ!」

でも、いいタイミングでまたはやてが咳き込み、

「さて、それじゃ定番のおふざけも済んだ事だし本題といこうか。
昨日の動きに関してのまとめと、改めて機動六課設立の裏表について、それから今後の話や…」
「いい感じに誤魔化された気がするが…そうだな。
騎士カリム、暗幕をお願いします」
「ふふ…もう少しお話を聞きたいところでしたが。
そうですね、わかりました。クロノ提督」

それで暗幕が引かれて部屋が暗くなる。

「六課設立の表向きの理由はロストロギア・レリックの対策と独立性の高い少数部隊の実験例…。
知っての通り、六課の後見人は僕と騎士カリム、それから僕とフェイト、アリシアの母親で上官、リンディ・ハラオウンだ。
それに加えて非公式ではあるが、彼の三提督も設立を認め協力の約束もしてくれている」
「三提督が!?」
「初めて聞いたよ!?」

三提督に関して知らなかったなのはとフェイトは驚きの声を上げる。

「その理由は…私の能力と関係があります」

それでカリムは手に持つ束を広げる。

「私の能力…『預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』。
これは最短で半年、最長で数年先の未来…それを詩文形式で書き出して預言書の作成を行うことができます。
二つの月の魔力が揃わないと発動できないからページの作成は年に一度しかできません。
予言の中身も古代ベルカ語で解釈によって意味が異なってくる難解な文章」

それを見てなのはとフェイトは分からないという顔になっていた。

「世界に起こる出来事をランダムで書き出すことで解釈ミスも含めれば的中率や重要性は割とよく当たる占い程度。
つまりはあまり便利な能力ではないんですが…。
ですがシホのお陰で解読が捗っているんです」
「どうしてですか…?」
「忘れた…?
私はシルビアと魂を融合させたのよ。
だから古代ベルカのシルビアさんの知識で古代ベルカ語も読めるのよ」
「あ、そっか!」
「あ、っと…それとですけど、もしかして聖杯大戦での予言をしたのってカリムさんが…」
「はい。私が作成しました」

それで何度目になるかわからない驚きの顔をするなのはとフェイト。

「聖王教会はもちろん、次元航行部隊のトップもこの予言には目を通す。
信用するかは別にして有識者には予想情報の一つとしてな」
「ちなみに…地上部隊はこの予言がお嫌いや。
実質のトップがこの手のレアスキルをお嫌いやからな…」
「レジアス・ゲイズ中将だね」
「そんな、騎士カリムの予言の能力に数年前から少しずつある事件が書き出されている」

クロノの目でカリムは予言を話し出す。

「『“古い結晶”と“無限の欲望”と“魔の狩人”が集い交わる地、死せる王の下、聖地より彼の翼がよみがえる。
死者たちが踊り中つ大地の法の塔はむなしく焼け落ち、それを先駆けに数多の海を守る法の船も砕け落ちる』…と記されています」
「それって…」
「まさか…」
「ロストロギアをキッカケとする管理局地上本部の壊滅と、そして管理局システムの崩壊…」

カリムの発言に、なのはとフェイトは揃って息を呑む。

「これを解読していくといくつか分かるものがあります。
古い結晶とはおそらくレリックの事でしょう。
そして聖地より彼の翼がよみがえる…これはおそらくですが…」

カリムの視線はオリヴィエ陛下に移される。

「そうでしょうね。
おそらく私か…それともヴィヴィオのどちらかかでしょう。
あの子はまさしく私の血を継いでいます。
虹彩異色がいい証拠ですからね」
「だから、ヴィヴィオには厳重に警備をしていた方がいいと思うのよ。
そして、予言なんて打ち破ってやるわ…!」
「シホの嬢ちゃん、気合が入ってるな。
なら俺も本気を出すとするとしようかね…?」

ランサーが私にそう言って不敵な笑みを浮かべる。

「そのような予言は百害あって一利なしです。シホ、必ず打ち砕きましょう」
「うむ。そうとなれば万全を喫するしかないな、奏者よ」
「ええ。だから必ずこの予言を阻止しましょう」

私がそう宣言する。オリヴィエ陛下やヴィヴィオを敵の手に渡すわけにはいかないからね。
ネロ達も気合を入れていた。
それで話は終了し、私達は六課へと帰ることになった。



◆◇―――――――――◇◆



Side 八神はやて



六課に帰ってきてロビーで、

「ほんならなのはちゃん、フェイトちゃん、シホちゃん。
これで今日はもう用はないからゆっくりしてな」
「うん」
「情報は充分揃ったし大丈夫だよ」
「ええ」

だけど言っておきたいことがある。

「あのな!
三人は私の命の恩人で大切な友達や。
六課がどんな展開と結末になるかはまだ、分からない…けどな!」
「その話だけど出向を決めるときにちゃんと聞いたよ」
「私もなのはもシホも納得してここにいる。大丈夫…」
「それに私とシホちゃん、フィアちゃんの教導隊入りとかフェイトちゃんの試験とかはやてや八神家のみんな、すごくフォローしてくれたじゃない?」
「だから、今度ははやての夢をフォローしないといけないって…」
「そうよ。はやては一人じゃないんだから…」
「あかんな。それじゃ恩返しとフォローの永久機関や」

それで四人して笑い合う。

「友達って、そういうものだと思うんだ…」

それで私は嬉しくなった。
途端、なのはちゃんとフェイトちゃんとシホちゃんは、背筋を正して敬礼してきて、

「八神部隊長、今のところ部隊長は何も間違っていないであります」
「だから大丈夫。いつものように堂々と命令してください。胸をはって、エヘッと…」
「そうです。それが、その元気こそが八神部隊長の取り柄なんですから」
「うん! ありがとう、三人とも!」

それで三人と別れて部隊長室へと入り、引き出しからアルバムを取り出して、グレアムおじさんの所へと目が移る。

「グレアムおじさん…」

私の命は、グレアムおじさんが育ててくれて、うちの子たちが守ってくれて、なのはちゃん達に救ってもらって、生きてるけどアインスが繋いでくれた命や。
私の命は、悲しんでいる誰かを救うそのために使うんや。
そう、決意する。



◆◇―――――――――◇◆



Side 八神士郎



…さて、どうしたものか。
なのは嬢が帰ってくるまでヴィヴィオの面倒を見ていたのはいいのだが…私も懐かれてしまった。
そしてまだ若いつもりではいるのだが…、

「シロウ“おじさん”、ありがとう!」
「…ああ。ヴィヴィオ、私の事はおじさんと呼んでも一向に構わない。
だから、ツルギと仲良くしてくれな…?」
「ツルギ…?」
「ああ、もうすぐヴィヴィオのお友達になる子の事だよ」
「お友達…。欲しい!」
「もうすぐ会えるからな」
「うん!」

そこになのは嬢とフェイト嬢が部屋に入ってきた。

「士郎さん、ごめんなさい。
ヴィヴィオ、迷惑かけなかったですか?」
「ああ、大事無い。だから私ももう出て行くが、ヴィヴィオを寝かしつけてやってくれ」
「はい」
「シロウおじさん、またね!」
「ああ、ヴィヴィオ。またな」

それで私は食堂へと戻る途中で自宅にいるアインスと連絡を取り、

『士郎、明日にもツルギと一緒に機動六課に向かわせてもらうことにする』
「わかった、待っているぞ。アインス」

一緒にいたキャスターも声を上げて、

「それとご主人様(マスター)
志貴とアルクェイドにも連絡を入れましたので近々機動六課に出向という形でやってくるそうですよ」
「これで八神家勢揃いだな…機動六課を城塞にでもする気か? はやては…」
「さて、どうでしょうね…?」
『だが、私達家族が揃えば怖いものなど何もないな』

アインスがそう言う。

「ああ。それは自信を持って言えることだな」

さて、これからどうなっていくのか? 楽しみではあるな。


 
 

 
後書き
まず久しぶりのクロノの出番なのですからここぞという時に弄らないとダメでしょうと思いました。

予言部分に原作部分に少しオリジナルのセリフを追加しました。

誰かはもうわかってくると思いますが。

八神家が揃えば世界を相手取ることもできると思います。

そのうち家族も一人増えますしね。



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では。 
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