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【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
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例えばこんな家族はいつなんどきも忘れちゃいないだろ

6月23日

結局トーナメントはジェーンさんとラウラさんのペアが優勝した。箒ちゃんとセシリアのペアもかなり善戦したが、最後の最後に放たれた攻撃でBT5号機に搭載されたミサイルが誘爆したのが勝敗を決した。惜しかったね、ティアも悔しがっている。ちなみにジェーンさんの打鉄の方がヒトミ、箒ちゃんの打鉄は最近知り合ったシーラという子である。

おりむーを買う権利については優勝者にその気がないため消滅したらしい。代わりに俺が買われたんだけど何で?え?おりむーじゃなくて男性操縦者を買う権利?聞いてないぞ俺。
実際のところは単に臨海学校の時の水着を買うのを手伝うだけなんだが。

そしてラウラさんに何故か弟と呼ばれた。ジェーンさんは妹と呼ばれている。姉と呼べと言われたのでラウラ姉と呼んだら嬉しそうに身悶えしていた。よくわからない子だ。

そして箒ちゃんである。うん、またうちに来たんだ。てっきり口惜しがってるかと思ったらそれほどショックは受けていない模様だった。それより明日が楽しみだとのこと。うんうん、前向きはいいことだよな。



6月24日

母さんと弟が学園にやってきた。母さんは心なしか最後に見た時より少し痩せたような気がする。弟は割と元気だ。二人とも順番に抱きしめた。母さんなぜ今日は胸元を強調した服を着ているんでしょうか?え?俺を抱きしめるため?やめてくれよいい年なんだから・・・

と言ってもうちの母は未だ20代だったりするので「無理すんな」みたいなことにはなっていないが。皆も母さんの若さに驚いている。
・・・え?弟がなぜサングラスしてるかって?ちょっと生まれつき目に悪いところがあるせいだよ、オウカ。・・・え?IS技術で目が治るかも!?それは要検証だな。俺の人生の最大の幸運はお前に出会えたことだよ。

皆でお喋り。母さんは楽しそうだ。弟は折角だから連れてきたゼゼーナンを頭の上に乗せている。それで分かったことだが、このメンバーの中でカエルに触れないのは会長とセシリアだけだった。
話を進めていると母さんが「で、どの子がうちの家族になるのかしら」とか言い出した。気が早いよ。そしてラウラは二つ返事で「行く」と返答するんじゃないよ、ジェーンさんも悪乗りして「じゃあ私も」とか言ってるし。最近ラウラさんは俺の事を完全に兄弟扱いしているから来るとしたら養子縁組であって嫁とかではないけど。こら箒ちゃん、のほほんもどさくさに紛れて立候補するんじゃないよ!「じゃあ俺も」「折角だからアタシも!」みたいなノリになってきたじゃないか!

(何かを書こうとして消した跡がある)
でもまぁ・・・母さんと弟が楽しそうならそれでいっか。それでいいんだ。



6月25日

桜花の開発元、ゾルダーク技研の研究員のリューガ・ゾルダークさんという男の人が訪ねてきた。・・・同い年だった。多分天才っていうやつなんだろう。すげぇ(また小学生並みの感想)。

桜花を改良するから預かるらせてくれという事だった。作業は全部学園内でやる気らしい。学園って部外者の立ち入りとか厳しいはずなのに許可貰ってるなんて、実はゾルダーク技研ってすごいところなのかな?

案内したメンテ室には整備科の人が行列を作っていた。リューガさんは15歳という年齢でISの設計図を一から引けるマジの天才で、桜花は彼が手がけたISの一つに過ぎないらしい。第3世代武器って個人で作れるものだったのかと聞くと、親父さんの方が10倍はすごいという返答が返ってきた。貴方の親父さん本当に人間か?シャルが「うちの会社の技術部には絶対聞かせられないなぁ」と苦笑いしてるよ。

改良が始まった。全身のあちこちのパーツが取り外されたりくっつけられたり抜かれたり挿入されたりしている。オウカは相当くすぐったいらしく何やら艶めかしく喘いでいる。あれよあれよという間に外装が変わってゆく。素人の俺にも手際がいいことが理解できるほど作業速い。・・・あ、GM-リンカー使ってる。なんかうれしい。


両肩部の非固定装甲は取っ払われ、代わりに展開装甲とか言う技術の使われたスラスター類が増設された。脚部には撤廃されていた特徴的なスカートが柔軟性を得られるよう改造されて取り付けられた。そして何より頭部。今までは猫耳カチューシャみたいなECCMセンサがあったのだが、それがポニテ付ヘルメットみたいなモノに変更された。何とこのポニテみたいな繊維には大気中に拡散した『桜花幻影』のエネルギー及びシールドエネルギーを回収する機能があるらしい。俺の脳波コントロールで操れるし武器とかまで握れるらしい。これで俺もちょっとは仕事が出来るな。
武装である散華はさらに改良したプログラムをアップデート。特殊グレネード弾頭は段数そのままに拡張領域をちょい増設して改良は終了した。

おめかしの終わった桜花は現状スペックで白式とタメを張れるところまで機能が引き上げられているという。リューガさん凄すぎぃ!!

リューガさん曰く桜花は第3世代兵器試作の時に造ったISで、本格的に調整を練って行ってはいなかったという。ほかに丁度いいISが無かったからこのフレームをIS学園に渡したものの、このあたりできっちり整備してあげたかったのだろう。オウカ共々深く感謝の意を伝えたら爽やかな笑顔で「君こそうちの娘を大切に扱ってくれてありがとう。末永く付き合ってゆくことを願うよ」と言われた。



6月27日

試しに訓練場で桜花幻影最大出力を試してみたらアリーナ内を桜吹雪が乱れ舞った。すげー!キレー!

そして当直の監視員さんに怒られた。そういえばこれジャミング機能あるんだった・・・

でもみんな曰く桜の花びらを全身に纏いながら空を飛ぶ桜花は幻想的だったとのこと。
写真も撮ってもらったのでオウカフォルダに追加しておく。

IS学園なんて、って前までは思ってたけど・・・最近は毎日が充実してると思う。



6月28日

生徒会室に行ってみたら会長がゼゼーナンと睨めっこしていた。そっと指をゼゼーナンへ向け、ゼゼ―ナンがぴくっと動いた瞬間手をひっこめ、自分の引っ込めた手を眺めてため息をついている。

本人なりにカエル嫌い気にしてたんだ?と思ってちょっと笑ってしまった。会長はその姿を見られたのが恥ずかしかったのか顔が真っ赤になっていた。

ゼゼーナンと言えばこいつと初めて出会ったのはどっかの露天風呂だったな。温泉ガエルって感じで露天風呂の端っこに浮いてたんだ。・・・こいつ本当にカエルなんだろうか、あの温泉確か温度50度くらいだったぞ。



6月29日

最近箒ちゃんの溜息が増えた。
今度は俺の部屋に乗り込んでも来ない。おりむーも流石に気になって聞いてみたら、顔を眺めながらため息を吐かれて諦めたという。のほほんを向かわせて探ってみてるが何に悩んでいるのかは分からずじまいだった。俺も聞き込みで事情を探る。

まずはセシリアに聞いてみる。
最近の箒ちゃんは訓練機では専用機に勝てないことを気にしていたらしい。ちなみにセシリアさんは最近ついにフレキシブルを習得したそうだ。ティアとの相性もばっちりで何よりだ。

次に鈴ちゃんに聞いてみる。
最近一夏と少しづつ距離を取るようになっているらしい。というか逆に最近模擬戦の戦績がいまいちだからアドバイスが欲しいと相談された。取り合えずシャロンの要求通りのパワー押し戦法とスパイクを使ってみたら?と伝えた。

次はシャルだ。
唯の勘だが、最近の箒からは迷いを感じられるという。悩みではなく迷いだ。悩みとは漠然とした考えの中で道が分からなくなることだ。迷いは選ぶ道のうちどれを通ればいいかが分からなくなること。つまり彼女は何らかの選択を迫られているという事か。

一応ラウラにも聞く。
最近彼女の目線はおりむーと俺の二人によく向けられるようになったそうだ。つまり俺とおりむーにかかわる悩みか。さっぱりわからん。人の目線を見て情報を読み取るとは流石軍人さんなのか?

ジェーンさんは見当がついているようだが「そのうち時が来ればあっちから相談してくるだろう」とのこと。口惜しいが暫くは待つことにした。



6月30日

・・・なんとシャロンのスパイクには高圧電流が流れるギミックがあったらしい。鈴ちゃんが「スパークチャァァージ!!」と叫びながら突撃をかます様はなかなか面白かった。そんな機能あったんなら最初から使えばよかったのに何で気づかなかったの?って聞いたら「4日前にリューガとか言う人にメンテ頼んだ時に冗談半分で追加武装付けてって頼んだ覚えがある」とのこと。・・・パねぇ。
将来的には雷龍咆とかサンダーブレークとか使えるようになりそうらしい。プロになる日も遠くない。

後、ちょっと気になる情報を手に入れた。来月7日は箒ちゃんの誕生日らしい。彼女の悩みに関係があるかもしれない。取りあえずプレゼントにハンカチでも買おう。
 
 

 
後書き
シーラ・・・パートナーを選ばずどんな操縦者にも平等に接する。逆を言えば誰に対しても夢中になれない正に訓練機向きの性格。ただしゴエモンに近寄られると照れて動揺する。

ゾルダーク技研・・・IS発表前から存在した民間の技術研究所。IS学園と直接繋がりがあり、それ以外のIS開発依頼は殆ど受注していない。噂では篠ノ之博士と繋がりがあるとかないとか。技術力の高さはすでに第4世代機を作れるだけのレベルに達している。
元ネタは分かる人だけ分かればいいや。

リューガ・ゾルダーク・・・研究所所長のビアン・ゾルダークの一人息子。天才。実はブルー・ティアーズのBT兵器の基礎理論を考えたのはコイツだったりする。
 
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