| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

激突部活動!! バトルク☆LOVE

作者:ぽかりす
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

一章 希望と絶望のセレモニー③


「ただいま戻りましたぁ!!」


『あら、ミナト君帰ってきたみたい』


剣刀館の入り口から活気ある声が響いてきた。
どうやらミナトが例の用事を終えて戻ってきたみたいだ。
ミナトはドタドタと音を立てながら道場に入ってくる。


「あっ!先輩気がついたんですね!よかったよかった!もしかしたらあのまま目を覚まさないかもと思いましたよ!」


『勝手に俺を殺すんじゃねぇよ!…で何で呼び出されたんだ?』


「あぁそうそう!…えっと~」



ミナトは自分の肩からかけている通学鞄をゴソゴソ漁る。



「あ、これっす!これもらってきたんです」



そういうとミナトは鞄から一枚のプリントを取り出して小春に差し出した。
小春はプリントを上から下までさっと目を通す。



「……部活動全参加の中央集会?…しかもこれ明後日じゃない」


『部活動の中央集会だなんて初めてではありませんか?』




サラも小春にべったり引っ付いたまま、その紙を見ている。




「中央集会なんて久しぶりだな。なにか大きなイベントでもあるのか?」




中央集会とはこの如月学園の中央区で開かれる集会のことである。
この学園は馬鹿みたいに大規模であるため、生徒はそれぞれA地区からF地区にある分校で学生生活の大半を送っている。
それぞれの分校で生活していると言っても互いの分校との交流は非常に活発で、特に部活動間では練習試合などが盛んに設けられたりする。
そして中央集会は入学式や卒業式、または文化祭などの大きなイベントの時だけ、しかもそれに関係する生徒だけが中央区にある大会館に呼び集められるのだ。



「これには代表者と付き添い一人が参加って書いてるわね」


『では小春さんと私が行きましょう!!』



すかさずサラは実に活き活きとした素晴らしい名乗りをあげる。
彼女にとったら愛しの小春と二人きりでいられるのだから張り切るのは無理もない。



「ダメよサラさん、部活動を代表していくんだから副部長が行くべきよ!だから京ちゃん明後日スケジュール空けといてね!」



『えぇー!?俺かよ!明後日の休日はゴロゴロする予定だったのに!サラでいいじゃねぇか』



「ゴロゴロするのは予定とはいいません!それにこれは決定事項です!明後日迎えにいくからちゃんとしたくしてなさいよ」



『………』



京介は別に行くのがすこぶる面倒だというわけではない。
しかし小春の横から呪い殺されるのではないかというくらいの恐ろしい程の殺気から身を守るためだったのだが……



(……あぁ…俺死んだわ…)


小春との時間を横取りされた上に朝のお迎えというオプションまでついてくるのだ。
些細な口喧嘩をしただけでも殺されかけた京介にとっては小春に関してのサラは恐怖の対象でしかなかった。
京介は額に冷や汗をかき、頑なに小春の方を見ないように徹した。



「でも、なんの集会っすかね?」


『う~ん、これには当日に説明するって書いてるわね』



目の前で繰り広げられている無音の戦争には全く気づいていないように2人は話しを続けた。


「…なんかの大会っすか?それとも部費…は違うなぁ…」


『まぁ明後日になれば分かるわよ。それより今日はもう遅いしそろそろ帰りましょうか』



確かに窓の外は既に暗くなっており時計もいつの間にか午後7時を刺そうとしていた。



「さぁ、京ちゃん一緒に帰り…」


びゅんん!!



まるでF-1カーが風を切るように二人の人影が道場から飛び出していった。
邪魔者を排除するハンターのような殺意剥き出しのサラと、自分の生命を必死に防衛しようとする京介だ。
そんな彼らの影はすぐに夜の暗闇の中に消えていった。


「あらあら、二人は仲良しさんですねぇ~」


当の争いの元凶はこの事態を実に微笑ましく身送っていたのだった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧