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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第九十八話

 
前書き
八月で終わると言ったな……ありゃ嘘だ。
な、何だってーーーッ!!

すいません、八月で終われなかったです。 

 


「皆に集まってもらって済まないのじゃ。報告の通り、蜀軍が魏へと侵攻したのじゃ」

 美羽は玉座に集まった皆にそう言って机に地図を拡げた。

「蜀軍は天水、南安、安定の三郡を攻略して長安に迫っています。魏軍は防衛していますが、孔明、ホウ統の策略により魏軍の戦線は完全に崩壊しています」

 司馬懿が司会役として戦線の状況を説明している。説明を聞き終えた曹操は美羽に視線を向けた。

「袁術、私達は急ぎ魏に戻りたいのだけど……」

「構わないのじゃ。急ぎ引き返して防衛に務めてほしいのじゃ」

「ですが袁術様、魏の戦線は崩壊しています。此処は曹操を捕らえて……」

「司馬懿、それは駄目じゃ」

 司馬懿の言葉を美羽はピシャリと押さえた。

「曹操殿は必要な人物じゃ。それは御主も判るじゃろ?」

「……申し訳ありません」

「構わないのじゃ。それに必要な人物は御主も含まれておる」

「……有り難き言葉です」

 司馬懿は頭を下げた。こうして曹操達魏軍は直ぐに許昌へと向かった。



「これ程上手く作戦が行くなんて予想していなかったな」

「御主人様の地道な工作の結果ですよ」

「そうです。そのおかげで後方の三郡を攻略出来たのです」

 長安郊外に布陣した蜀軍の北郷の天幕で北郷と孔明、ホウ統が話をしていた。

 蜀は魏と仲が争う前に南蛮の支配下に置き、孟獲大王の南蛮兵をも動員して魏攻略へ乗り出した。

 蜀の王である劉備や関羽達は赤壁の戦いの最中に行う魏攻略に渋ったが、孔明とホウ統は「今、魏攻略をしなくては漢を再興する事が出来ません。桃香様の夢を優先して申しているのです」と迫った。

 北郷も「赤壁の戦いで魏は兵力の大半を南に移動しているから犠牲も少なく出来る」と言って魏攻略を賛成の支持をした。

 流石の劉備達も天の御遣いである北郷が賛成したらならばと承諾して蜀の魏攻略が発動されたのであった。

「明日から総攻撃をしますが、長安は漢の高祖が都を守るために築いた城ですからがむしゃらに攻めれば味方の被害は大きいでふ……あわわわ、また噛んだ……」

 ホウ統が顔を赤くした。そして翌日、蜀軍の総攻撃が始まり、長安の魏軍は徹底抗戦を展開し蜀軍は一時三十里まで下がった。

 そして長安の領民が水汲みや薪狩りをしている時に再び蜀軍が進撃したが、間一髪で城門は閉じられた。

 しかし夜半、領民に紛れて城内に侵入した関羽以下決死隊が火を放ち魏軍は混乱した。

 その間に城門が開き蜀軍が長安に侵入して生き残りの魏軍は蜀軍に降伏するのであった。



「……最悪、魏は蜀に占領されるな」

「……そのようです」

 俺は司馬懿と話していた。司馬懿から話があるらしい。

「……暇が欲しいのか?」

「……何れはです。今は時期では無いですが」

 ……成る程な。

「頭の回転が早い司馬懿の事だ。蜀が仲に侵攻した時に言うのかな?」

「……王双殿には敵いませんね。御願い出来ませんか?」

「……理由は?」

「……本当は私、引きこもりなんです。家でずっと本を読んで過ごしたいんです」

 ……ニートか。

「なら曹操に与していたのは……」

「あれは曹操が私の能力に目を付けて無理矢理軍に入らせたんです。母親は喜んでましたが……」

 成る程ねぇ。

「判った。一応頭の中には入れておくよ、ただ……」

「判ってます。本当に暇が頂けるかは難しいかもしれません。ただ頭の中には入れてほしいのです」

「判った」

「ありがとうございます」

 司馬懿はそう言って俺に頭を下げた。



「邪馬台国から使者が来た?」

「はい、仲の力を貸してほしいのです」

 雪風はそう言っているが……これって邪馬台国が魏に支援を求めたあれか?

 年代は忘れたけど、確か鏡とかを邪馬台国に送ったはずだ。

「使者は玉座か?」

「そうです。まだ私も会ってませんが……」

「なら行くか」

 俺達は玉座に向かった。



「そうか、狗奴国との対立で味方がほしいと?」

「は、率直に言えばその通りです」

 玉座に着くと美羽と邪馬台国の使者二人が面会をしていた。

「あッ!?」

「どうした雪風?」

 雪風が不意に使者を見て叫んだ。

彦五十狭芹彦命(ひこいさせりひこのみこと)様と稚武彦命(わかたけひこのみこと)です」

 ……誰だ?

「卑弥呼様の弟様です」

「卑弥呼の弟……ってまさか桃太郎のモデルの皇子かッ!?」

 嘘だろ……待てよ。てことは……。

「卑弥呼は倭迹迹日百襲媛命(やまとととびももそひめのみこと)なのかッ!?」

「は、はい。そうです」

 ……マジで?

「そ、それなら卑弥呼の父親は大日本根子彦太瓊尊(おおやまとねこひこふとにのみこと)なのか?」

「そうです」

「……嘘だァッ!!」

 思わず叫んだ俺は悪くない。決して悪くない。

「先程から何じゃ長門?」

「済まん……さっきから信じられない出来事が起きて倒れそうなんだ」

 俺は美羽にそう言った。だって桃太郎のモデルの皇子だぞ?

 しかも卑弥呼の父親は欠史八代の大日本根子彦太瓊尊(おおやまとねこひこふとにのみこと)――孝霊天皇なんだぞ?

 なお、欠史八代とは『古事記』・『日本書紀』において系譜(帝紀)は存在するがその事績(旧辞)が記されない第二代綏靖天皇から第九代開化天皇までの八人の天皇のこと、あるいはその時代を指す。

 創作とか言われているが実在説もある。

 まさに日本史のロマンだな。『その通りby作者』


 
 

 
後書き
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