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学園黙示録 終末と武器商人

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冴子の闇

路地裏の道をひと組の男女が駆け抜けていく高茂と冴子の姿だ。その後ろには奴らがついてくるように歩いている

(にしても、なんで先輩は突然止まったんだ?しかも子供を見て何か裏がありそうだけど。今ここじゃあ聞ける余裕もないな。)

そう思いつつ駆け抜けていく高茂。しばらくして奴らが他に興味を示したのか。別方向へと歩いて行った。隆茂は冴子の手を引っ張り、近くにあった神社に避難した

~神社~

幸い神社には誰もいなかった。時間も夕暮れになっており、これ以上の行動をは無理と見た高茂。

「先輩、こんなかなら大丈夫ですよ。」

「・・・・・ん」

元気なく返事をする冴子。その様子は誰が見ても分かりきっていた

「さて、連絡でも入れますか」

そう言って無線機を取り出す

「あーあー、こちら武蔵。琴魅ちゃん、聞こえる?」

「あっ高茂さん。聞こえますよ~」

「なんとか追っ手は振り切れたけど、時間的に動くのは厳しい。一夜明けてから署に向かうよ。」

「分かりました。こっちも警察署には入れています。まだ中は見ていないですが、高茂さん達が来てから行いますよ。そちらの場所はどこですか?」

「ああ、そっから遠くない神社に篭ってる。周りに奴らはいなかったから。一安心だ。そっちのことは任せたよ」

「はい。気をつけてください。それとお姉さまにもよろしく言っておいて下さい」

そう言って無線を切る

「先輩」

中に入ると冴子は神棚近くで体育座りをしていた。高茂は部屋の隅に置かれたシーツを取り出し、真ん中に敷く。ついでに手持ちのランプとロウソクをつけた

「そこじゃあ、風邪ひいちゃうかもしれませんよ?こっちに来て休みましょう」

高茂がそう言うと冴子は黙って武蔵の近くに座った。その間にレーションを取り出しすぐに調理してしまう。沈黙の中二人は食べた。

「ふぅ、腹いっぱいだぁ。」

「・・・・・・・」

「先輩、あの子供を見てから様子が変ですよ?直球で聞きます。何かあったんですか?」

「・・・・・・うむ。」

「何がどうしたというのですか?あの凛としていた毒島先輩が弱々しくなってしまうなんてな」

「・・・・・・・誰だって過去というものはあるだろう?私は・・・・・」

「先輩、話したらスッキリするかもしれませんよ?」

「・・・・・・うむ。高茂君なら安心して・・・・・話せると思う。実は・・・・・・・あの子供を見て昔の自分を思い出してしまった。」

「昔の自分?」

「ああ。あれは、中学二年だったか。私は暴漢に襲われてしまったことがあってな。」

「まぁ、先輩ほどの美人ならありえる話でしょうね。それで?」

「私はその暴漢に対して木刀で身を守るために殴ってしまった。何度も」

「まぁ正当防衛ってやつですね。」

「その後、警察もきたが私はお咎めなしで警察官に家まで送ってもらった」

「内容的には正当防衛ですが、ほかにあったということですね」

「あぁ、私はその暴漢を殴っていたとき。とても楽しかった!剣道では味わえないほどの快感があった!私はその時楽しくて楽しくてたまらなかった!だから、この状況は私にとってとても楽しい状況なのだ!だが、あの子供を見て、自分が何をしているのが分かってしまって・・・・・怖くなった・・・・・・」

そういうと泣き出す冴子

「・・・・・・・・(ギュ)」

武蔵は無言で冴子を抱きしめた

「た、高茂君!?///」

突然のことで冴子も動揺している

「先輩、それがどうしたというのです。」

「それがって・・・・・・・君は思わないのか!?こんな気色悪い女など」

「いいえ、それはありませんよ。先輩。先輩が気色悪いなんてこれっぽちも思わないですね。第一俺は武器商人、戦場では色々な客を見ます。狂っている奴、怯えてる奴、勇敢にも戦う奴、金のために戦う、故郷の思い人を思いながら戦う奴。みんな様々だ。だが、先輩のは一時期的なものだ。先輩が狂おうとも俺はありのままの先輩を受け入れますよ。気色悪いとかそんなものはない。これだけは絶対に言えます」

囁くように言う武蔵

「・・・・・・・・・・・・私はいいのか?このままでも・・・・・・」

「えぇ、楽しいことは楽しい、それは人間の本能なんですから。俺だってその部類に入る人間です。だから、安心してくださいよ。先輩」

「う、うわぁぁぁぁ・・・・・・・・・」

冴子は堰が切れたように武蔵の胸の中で泣いた。子供が泣くように。それが数分続いた

「・・・・・・落ち着きましたか?先輩」

「・・・・・・あぁ・・・・・・ありがとう」

笑顔で言う冴子。どうやら吹っ切れたようだ

「それでこそ、先輩ですよ。」

そう言って抱きしめを離そうとすると

「あっ・・・・・ま、待って!」

「はい?」

「も、もう少し・・・・・このままでいいか?////」

顔を赤くしながら言う冴子

「・・・・・えぇ、もちろんですよ。」

武蔵は再び抱きしめる

「あっ後、今後は先輩とは呼ばなくていい。冴子、と呼んでくれ。敬語も無しでな」

「・・・・分かった。冴子。これでいいか?じゃあ、俺も武蔵と呼んでよ」

「うむ。武蔵////」

そう言って一夜を明かす二人だった

~翌朝~

「おお~晴れてるね~」

神社の外は快晴だった。

「外は快晴だな。早く、会長達に会わなくてはな。」

「だな~。ん?」

ふと草むらに目を移すと・・・・・・

[あああああああ~~~]

数体のやつらが出てきた。服装からして神社の関係者などであろう

「マジかい。しゃあねぇ。仕事だ。」

そう言って手に持っていた刀を鞘から抜いた。神社に祀られていた刀である。冴子は村田刀を抜く

「冴子、準備はいいか?」

「ああ、いつでも行けるよ武蔵。」

「「参る!!」」

そう言って二手に分かれて奴らを殲滅をしていく。冴子はトラウマを吹っ切れることができたのか、昨日よりも切れ味が増していた。そして、数分後には奴らは全滅していた

「終わりっと。冴子、そっちはどうだ?」

「ああ、こちらも終わったよ。武蔵。」

「んじゃあ、行くとしますか。」

そう言って二人は警察署に向かう。数十分もかからずに警察署にたどり着き、見事、仲間と合流を果たすのだった。 
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