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僕のお母さんは冥界の女王さまです。

作者:LAW
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拝啓お母さん。彼女が会いにきてくれました。

 
前書き
多分この作品はけっこうのほほんな作品になっていくと思います。 

 
 昨日から私は悩んでいます。
 それは私、万里谷祐理の妹であるひかりについてです。
 昨日遅くに帰って来たのでお説教をしたのですが終始ぼ~っとしておりどこか遠くを見ていました。
 体調でも崩したのかと思い、お説教は早々に切り上げて夕食にしたのですが。夕食を食べながらぼ~っとしています。嫌いなピーマンを使ったサラダも全て平らげてしまいました。
 お風呂も意識は此所にあらずのようで何時もは夜更かしするのにその日に限って9時前には自室で就寝。
 流石の私も心配になったので部屋の前で様子を伺っていたのですが唐突に“きゃ~~~♪”と可愛らしい黄色い悲鳴が上がったのを聞いてとりあえず何時ものひかりだと安堵して私も就寝する事にしました。

 しかし・・・



「♪♪♪」


 翌朝の朝食の席で私が見たのは両頬を押さえながらニヤニヤ、クネクネしている我が妹でした。
 正直言って気持ち悪いです。
 可哀想な妹にしか見えません。
 残念な妹にしか見えません。
 両親もドン引きしています。
 流石にこのままでは朝食が始まらないので母に軽く頭を叩かれた後にやっと我に返った妹。
 やっと朝食が始まって数分。どうしてひかりがあぁなったのか気になったので丁度お味噌汁に口をつけている妹に訊ねてみることにしました。







「彼氏でもできた?」







 直後。お味噌汁が大爆発したことを此所に記させていただきます。










 私、万里谷ひかりは現在ルカ君と別れた海浜公園に足を運んでいた。
 学校もさぼってなぜこんな場所にいるのかというと。

「はぁ・・・いるわけないよね」

 ここに来ればもしかしたらまた彼に会えるかもしれないと思ったからです。
 淡い期待を胸に秘めて来たはいいが案の定空振り。彼の姿はなかった。
 それはそうでしょう。彼は私達人間の王。私とは住む世界が違うのです。姉達のような媛巫なら可能性はあったのだろうが私はまだまだ修行中の見習い巫女。
 なにかあったら助けてくれると言っていたがそれはきっと建前的なモノなのでしょう。

「・・・学校行こ」

 気を取り直して学校に行く為に踵を返し、私は動きを止めた。

「また会ったな娘」

 昨日の三人の女性の一人。私を殺そうとした“神”だ。
 私は慌てて地に膝を付き頭を下げる。
 何で彼女がまた私の前に現れたのか。私には分からなかった。まさか私を殺しに来たのか?

「御身のご尊顔を再びこの目に見えること恐悦至極にございます」

「本来ならば妾が人間等の前に自ら出向く事などないのだがな」

「我が身に余る幸福にございます。恐れながら御自ら御出向きなられた訳をお伺いさてて頂きたいのですが」

「娘。名をなんという」

「は、私はこの日ノ本で媛巫女となるべく修行をしております。万里谷ひかりと申します」

 震える口調でなんとか自己紹介を済ませる。正直言って怖い。目の前にいるのは何故なら神なのだから。

「では妾の真名を申してみよ」

「恐れながら御尊名を申し上げます。御身は夜の落とし子、神の憤と罰を司る女神、ネメシスであらせられます」

 顔を下げたまま彼女の名前を口にする。
 目の前にいるのは夜の女神ニュクスが産んだ神々の一柱。神罰、憤情、復讐を司る冥界の女神だ。

「万里谷ひかり」

 彼女の影が私を覆う。

「妾は考えたのだがやはり神罰は必要だ」

 私は耳を疑った。

「この国島国は我等が皇子に無礼を働く者が多すぎる。王も妃も嘆いておられた。何故我が子が人間ごときにあぁまで無下にされなければならないのかと」

 冷や汗が全身を伝う。不味い、この国に属するカンピオーネはいない。彼に頼めたとしてもそれまでに多くねの人々が死んでしまう。

「 御身のお怒りはごもっともでございますがこの国の者に直接の非はございませぬ!」

「故に神罰を下す」

「お待ちください!!ーーーっへ?」

 顔を下げた直後。私は呆けた声を出した。

 何故なら目の前の女神がしゃがみこみ笑顔で私の頭を撫でていたからだ。

「あっはっは。冗談だよ」

 なにがなんだか分からない私は混乱した表情で女神ネメシスを見つめる。

「昨日ちゃんと言ったろ? “我が名を持って謝罪する”って。私は神罰を下すつもりはないよ。っていうかあんなので神罰下してたら地球の人口激減だっての」

 目の前にいる女神にはもう昨日のような神々しいオーラはない。あるのは男勝りなお姉さんといった雰囲気しかなかった。

「・・・・」

 呆然としその場に崩れ落ちる。腰が抜けてしまって足腰が立たない。

「おっと、悪かったな驚かせて」

「え、え、えぇっ!?」

 突然抱き上げられた私は戸惑いの声をあげる。だけど彼女はかまうことなく私を背負った。

『うわわ、私神様におんぶされてるよ~』

「あの場所に行けばひかりに会えると思ってたよ。若が会いたがってたんだ」

「え、ルカく。いえ、ルカ様がでございますか?」

「喋りにくいなら普通でいいぞ。正直言ってさっきから笑いをこらえてんだ」

「ひ、ひどくないですか!? ネメシス様達神様のためなのに!!」

「あっはっは。下手な言葉ほど笑えるモノはないからな」

 笑いながら歩く彼女の行き先は海浜公園の入口。そこには一台のタクシーが止まっていた。

「待たせたな」

「いえいえ、行き先はお迎えにあがった総合病院でよろしいですか?」

「頼む」

 私を社内に座らせ自分も乗り込む彼女。私は表情が引きつっています。

「タクシーご利用の女神さま」

「不思議か? 言っとくがこの国だってちゃんとした手続きで入国したんだぞ?」

 そう言ってビザとパスポートをみせてくる。
 確かにちゃんとしたパスポートで名前の欄には“ネメ・ニュクス”と名打たれているあと何気にヨーロッパ諸国中心に様々な国を回っていた。

「アレ? 私がおかしいのかな? 神様の常識って・・・」

「まぁ、細かい事はきにするな」

 何でか納得いかない感情を圧し殺しつつ着いた先は海辺にある都内の中でもかなり大きい総合病院。
 案内されるまま中に入った私はとある棟の最上階にある病室に連れられた。

「おう若。客を連れてきたぜ?」

「客?」

 中にいたのは私が会いたいと思っていた男の子、ルカ・セフィーネ。
 大きな患者用のベッドにいる彼は身体を起こした状態でネメシス様に顔を向けていた。

「ほら、行ってやんな」

 小さく背中を押された私はゆっくりと彼に歩み寄る。視線をずらせば昨日の女神が二人それぞれ林檎の皮を剥いたり、花瓶の花の水を入れ替えたりしていた。
 その目には敵意がはなく。雰囲気も優しいお姉さん。彼女達はまるで私がここにくるのを分かっていたかのようです。
 その優しい眼差しに見守られつつ彼の左手を両手で掴んだ。

「え? ひかりさん?」

「はい、一日ぶりですねルカ君」

 光を映さない瞳を見開く彼に私は優しく微笑む。

「会いたくなってきちゃいました」

「ね、ネメ? どういうこと? ナタもエリスもひかりさんが来るの知ってたの!?」

「若は分かりやすいからな。昨日あれだけひかりのこと話してたら嫌でもまた会いたいってのが分かるっての」

「だからネメに彼女を探しに行ってもらったんだよルカちゃん」

 その話しを聞いて私は思わず赤面してしまう。だってそれは彼が私と同じ事を考えていたという事になるという事になるから。

「ルカ君。ネメシス様の言っていることってホント?」

 この時は不謹慎ながら彼の目が見えなくて良かったと思った。だって今の私の顔はとてもじゃないけど彼に見せれるような状態ではないからだ。
 私の問に彼は私同様顔を真っ赤にして小さく頷く。それからは私達は手を繋ぎながら顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。

「これはルカの妃候補最有力でしょうか?」

「だねぇ。あ~二人とも可愛い。奥方様にも見せてあげたい!!」

「ナタは今晩にでも旦那に報告な」

 何か神様達が言っているが私達の耳には入いってこなかった。





「それじゃひかりに自己紹介と行くか。なかなかレアな場面だからちゃんと聞けよ?」

 やっとの事で回復した私達。現在私は女神達から自己紹介という異常な状況の真っ只中にいた。

「アタシはネメシス。下界ではネメ・ニュクスって名乗ってる」

「私はエリス。わたしのことは知ってる?」

「ハイ、ネメシス様と同じくして夜の女神が産み落とした不和、戦争を司る女神です」

「わ~! ひかりちゃん博識だねぇ♪ 下界じゃエリス・ニュクスを名乗ってるから気軽にエリスさんって呼んでね♪」

「アタシもネメでいいぜ」

「ハイ、エリスさん!ネメさん!」

 元気よく返事をする私。正直言って今、目の前にいる人達が女神だとは思えません。だってタクシー乗ってたしパスポートとビザ持ってるし

「そなた等、少しは威厳をもったらどうだ? はぁ・・・まぁよい。ひかりよ我が名をそなたに開こう。我が名はタナトス。夜の落とし子にして死を司る神。下界ではナタ・ニュクスと名乗ってるがまぁ、必要な時以外はナタでいいでしょう。区別をはっきりさせるならば喋り方も砕けたモノでかまいません」

 唯一神々しい雰囲気で自己紹介をしてきたナタさんも直ぐにそのなりを引っ込めて軽く諦めたように

「よろしくお願いします」

「彼女達は僕が神殺しとなった時から僕の世話をしてくれています。今では家族であり大事な姉達です」

 ルカ君が嬉しそうに言うのを見て私も嬉しくなり笑顔になる。手はずっと繋いだままで時折、ナタさんが剥いた林檎を彼に食べさせている。そのまま私達は楽しくお話しをし気付けば夕方。流石に学校をさぼってまでいては家族が心配するだろうと思い。そろそろおいとまさせてもらう事にした。

「それではネメを護衛に付けましょう。ネメ、ひかりさんを御自宅まで送ってあげて。呪はまだ効いてるから結界があっても反応しないはずだよ」

「あいよ。もしもの時はひかりは神の末席候補としてバカに神罰喰らわせればいいんだな?」

「いやいや、そこは変身して穏便に危機回避しましょうよ!?」

 そして私はネメさんに連れられてタクシーに乗り込み自宅である七雄神社へと向かう。

「今日は悪かったな。学校があったのに若に会いにきてもらって。アタシからもひかりの親にちゃんと事情を説明するからさ」

「いえ、私もルカ君に会いたかったですし。ネメさんに頭を下げさせる訳にはいきませんよ。私の方から上手く言っておきます。というか姉と会うのがリスク高過ぎです」

「そういえば姉がいるって言ってたな。姉も巫女なのか?」

「ハイ、日本の媛巫女の中でも上位に位置する巫女です。しかもヨーロッパにいる魔女以上の霊視能力をもってます。ルカ君の言っていた呪がどういったものかはわかりませんが何かの拍子に霊視して正体がバレてしまったらルカ君達は日本にいられなくなります」

「・・・・」

「私はそんなの嫌です」

 私は前をじっと見つめながら語る。それを聞いたネメさんは少しの沈黙の後突然私の頭を撫でて回した。

「お前はそんなこと考えなくていいんだよ! ひかりは若と今後どう過ごすかだけ考えろ。なにかあってもアタシ達がなんとかしてやるよ」

 神罰、復讐を司る女神なのに頭を撫でる彼女の手はとても柔らかくてとても優しかった。 
 

 
後書き
 タナトスを男神ではなく女神にしました。
 あまりツッコまないでいただけると嬉しいです。
 あと、ヒロインはひかりで決定します 
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